FXニュース:今夜の米消費者物価指数発表
2023年8月10日東西FXニュース – 2023年8月10日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米市場予想値警戒のドル買い
- 中国景気懸念の安全資産買い
- 訪日インバウンド期待の株高
- 伊ウインドフォール税に上限
今日2023年8月10日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の143円69銭前後から円の安値でドルの高値の144円10銭前後の値幅約41銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円80~81銭付近と、前日同時刻の昨夜17時の143円28~30銭付近の前東京終値比では約52銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、前日の欧州株価下落の原因となった欧州ユーロ圏のイタリア政府の銀行の超過利潤に対する40%の追加課税の「ウインドフォール (棚ぼた) 課税」に、銀行の純資産の0.1%までという上限が強調されたことで欧州株式市場のリスク回避の沈静化が起き、欧州株価が反発上昇したため、リスク回避で買われた低リスク通貨のリスクオンの円売りにより、ロンドン・フィキシング・タイムの英国現地夏時間16時の日本時間の深夜24時頃に、一時143円73銭付近に円相場が下落していた。
また、欧州市場では、昨日に発表された欧州の主要取引先の中国の最新経済指標の弱まりや、7月の中国消費者物価指数 (CPI) の前年同月比が2年5カ月ぶりに0.3%低下したことなどを受けて、世界的に流動性の高い安全資産のドルが買われた値動きも出ていた。
同時進行中だった昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、米国長期金利が米国債の入札予定もあり利回りが一時低下した時にはややドルが売られたものの、今夜この後に発表予定の米国連邦準備制度理事会 (FRB) が重視する最新米国重要経済指標の7月の米国消費者物価指数 (CPI) の発表を控えた市場予想では、米国ダウ・ジョーンズ経済通信社 (Dow Jones & Company, Inc.) 集計の予測値で前回よりも上振れする可能性が指摘されたことから、市場予測値による警戒感や、日本銀行 (日銀 / BoJ) の金利抑制の大規模緩和金融政策の継続予想により日米金利差拡大予想もあったことなどから、円売りドル買いが再び優勢になり、今朝の午前4時15分頃には一時143円74〜75銭の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、市場終盤には、米国利上げ長期化予想と今夜この後の米国消費者物価指標 (CPI) の実際の結果が分かるまでの様子見もあり、ドルがやや高止まりをする様な形で横ばいに近い値動きを見せた。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は円の高値でドルの安値の143円25銭前後から円の安値でドルの高値の143円75銭前後の値動きで、今朝9時頃のニューヨーク終値は143円73銭付近と、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約35銭の円安ドル高をつけていた。
今朝8時50分に発表された日本の最新経済指標の7月の国内企業物価指数は、前年同月比が前回の4.1%と前回修正の4.3%と市場予想の3.5%に対し3.6%の市場予想以上であったが、前月比では前回の-0.2%と前回修正の-0.1%と市場予想の0.2%に対し0.1%と市場予想以下であった。
続いて始まった今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場でも、米国市場のトレンドを受け継いだ日米金利差拡大予想の円売りドル買いが優勢で、日本市場の今朝9時55分の仲値決済も、今日は日本の祝日連休前の10日で、日本の貿易企業の決算日が集中しやすい5と10の付く「五十日」であったために、輸入実需の円売りドル買いが活発で、ドルが円相場で上昇を続けたために、今朝の日本市場の開場直後の9時2分頃の一時143円69銭付近が今日の日本市場での円の高値でドルの安値になった。
また、今日は日本の東京株式市場でも、昨夜のイタリアのウインドフォール課税上限による欧州株価回復の影響もあり、日経平均株価指数 (Nikkei 225 / JP225) が上昇を見せたことでも、リスク選好のリスクオン市場になり、低リスク通貨の円が売られ始めた。
また、今日のニュースでは中国政府が、日本や欧米などの世界約80カ国への中国人観光客の団体旅行を解禁することを発表したため、日本への中国からの訪日外国人によるインバウンド経済効果の日本企業決算への影響の期待感から日経平均株価がさらに上昇し、午後の株式市場終盤には大幅高になったため、日本株高時のリスクオンの低リスク通貨の円売りが強まり、午後15時8〜9分頃にかけて一時144円10銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
午後15時15分に今日の日経平均株価は、3万2473円65銭の前日比269円32銭高の大幅高で大引けした。
午後からの欧州市場でも、欧州ユーロ圏の主要国ドイツなどの欧州主要株価指数が続伸して始まったことから強気市場 (ブル・マーケット) になり、低リスク通貨の円が売られていたが、144円台の日本市場の高値を記録後には、今夜この後の最新の米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントを控えた持ち高調整で、利益確定のドル売りが抵抗要因になった。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は143円80~81銭付近で、昨夜17時の143円28~30銭付近の前東京終値比で約52銭の円安ドル高になった。
今夜この後には、最新の米国重要経済指標を含めた発表予定があり、日本時間のスケジュールは今夜21時半に米国連邦準備制度理事会 (FRB) の「今後のデータ」の一つとして市場注目度の高い7月の米国消費者物価指数と、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数が同時発表される予定で、続いて26時に米国30年債の入札予定と27時に7月の米国月次財政収支、28時頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官でハト派であるが次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権は持たない米国アトランタ連銀のボスティック総裁の発言予定、29時15分頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官で次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言などが予定されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は158円32~33銭付近と、昨夜17時の157円41~42銭付近の前東京終値比で約91銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、前述の欧州株式市場の上昇により、リスクオンで低リスク通貨の円が売られた影響や、先日の日本の賃金上昇率の鈍化を受けた日本銀行 (日銀 / BoJ) の金利抑制の大規模緩和金融政策継続の市場予想により、日欧金利差拡大予想による円売りも続いていた。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1008~1.1010ドル付近と、昨夜17時の1.0983~1.0985ドル付近の前東京終値比で約0.25セントのユーロ高ドル安だった。
主な原因は、今夜の最新米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントを控えたイベントリスクの持ち高調整や高値後のドルが利益確定で売られたことに加えて、前述の欧州ユーロ圏のイタリアの銀行への追加課税の上限により欧州株式相場が反発上昇時のリスクオンでは、低リスク通貨の円だけでなくユーロに対する安全資産のドルも売られた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は183円26~32銭付近と、昨夜17時の182円94銭~183円0銭付近の前東京終値比で約32銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、昨日同様に日本銀行 (日銀 / BoJ) の金利抑制の大規模緩和金融緩和継続予想が優勢であることに対し、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) には英国利上げ継続予想が優勢であったため、日英金利差拡大予想の円売りポンド買いの影響が続いたほか、ドルやユーロなどの他の主要通貨に対する円安の影響もポンドに波及していた。
ただし、今朝8時過ぎに発表されていた最新英国経済指標の7月の英国王立公認不動産鑑定士協会 (RICS) の英国住宅価格指数は、前回の-46と前回修正の-48と市場予想の-50に対し-53と英国の住宅価格インフレは市場予想よりも低下していたことでは、大幅利上げ予想は減退しており、次回も小幅利上げ予想が優勢である。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年8月10日の日本時間(JST)19時7分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時7分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:07の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 143.82 〜 143.84 | +0.54 (円安) |
ユーロ/円 | 158.52 〜 158.53 | +1.11 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1019 〜 1.1021 | +0.0036 (ドル安) |
英ポンド/円 | 183.45 〜 183.51 | +0.51 (円安) |
スイスフラン/円 | 164.63 〜 164.69 | +0.61 (円安) |
豪ドル/円 | 94.32 〜 94.36 | +0.25 (円安) |
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