FXニュース:米国長期金利が一時4.111%

2023年8月11日
FXニュース:米国長期金利が一時4.111%

 

東西FXニュース – 2023年8月11日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米CPIは市場予想をやや下回る
  • 欧米株高時のリスクオン円安
  • 米30年債入札で利回りが上昇
  • 米長期金利上昇で日米金利差
  • 今夜の米PPI発表予定に向けて
  • 英国GDPが市場予想を上回る

今日2023年8月11日金曜日の日本の東京外国為替市場は「山の日」で祝日休場ですが、世界FX市場の今朝9時から17時頃までの日本市場相当時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の144円90銭前後から円の高値でドルの安値の144円55銭前後の値幅約35銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場相当時間の対ドル円相場の終値は144円62~63銭付近と、前日同時刻の昨夜17時の143円80~81銭付近の前東京終値比で約82銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜21時半に米国ニューヨーク外国為替市場で発表された最新米国重要経済指標の7月の米国消費者物価指数 (CPI) の総合指数は、前年同月比が前回の3.0%と市場予想の3.3%に対し3.2%で、前月比も前回の0.2%と市場予想の0.3%に対して0.2%と市場予想をやや下回った。

米国消費者物価指数 (CPI) から価格変動の激しい食品とエネルギーを除いた物価の基調を示すことで重視される7月の米国消費者物価指数 (CPI) のコア指数も、前年同月比が前回と市場予想の4.8%に対し4.7%で、前月比も前回と同じ市場予想通りの0.2%上昇と、前月に続いての2ヶ月連続での低い上昇率に留まったことで、米国連邦準備制度理事会 (FRB) がリセッション (景気後退) を起こさずにインフレを沈静化させられるというソフトランディング (軟着陸) の期待感が高まり、次回の米国利上げ見送り予想が強まったことでは、主要通貨に対するドル売りが一時先行した。

同時発表だった前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の170.0万人と前回修正の169.2万人と市場予想の171.0万人と弱く、前週分の米国新規失業保険申請件数も前回の22.7万件と市場予想の23.0万件に対し24.8万件に増加したことでも、主要通貨に対してドルが売られ、ドルは発表時に円相場で一時143円29銭付近の米国市場および日通しでの円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、市場予想の3.3%にはやや届かなかったとはいえ、7月の米国消費者物価指数 (CPI) の総合指数は3.2%の上昇率で、前回の6月の3.0%から上昇率が加速していたことでは、米国の政策金利が高止まりする可能性も意識され、円買いドル売りは一時的なものとなり、市場安値後のドルにはすぐに買い戻しが始まった。

また、米国市場と後半が重なっていた同時進行中だった欧州英国市場では、先日の欧州ユーロ圏のイタリア政府の銀行課税上限後の欧州株価続伸により、リスク選好 (リスクオン) の低リスク通貨の円売りが起き、ユーロ円が一時159円19銭付近の2008年9月以来の円安ユーロ高を記録した影響が波及し、ドルを含め他の主要通貨に対する円安圧が加わった。安全資産のドルに対してもリスクオン市場でユーロは小幅に続伸したが、低リスク通貨の円売りの勢いのほうが大幅に優勢であった。

同時に進行していた米国ニューヨーク株式市場でも、7月の米国消費者物価指数 (CPI) のコア指数を受けた次回の米国利上げ見送り予想の高まりにより、米国企業決算への金利上昇による影響への警戒感が一時緩和されたことから米国主要株価が上昇し、米国ダウ平均株価指数 (DJI) が一時450ドル以上も急騰したことを受け、欧米株高時のリスクオンの低リスク通貨の円売りの勢いがユーロ、ポンド、ドルと広がり、主要通貨に対して円相場が大幅に下落したため、ドルは円相場で144円台に反発上昇して推移した。

また、日本時間の深夜24時過ぎのニュースで、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁が、「7月の米国消費者物価指数 (CPI) は、ほぼ予想通りで、米国のインフレデータは正しい方向に向かっていると思う。だが、我々のインフレに対する勝利宣言とはまだ言えない。インフレについては、まだやるべきことがあり、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が、過度な高金利に関して言及するには、まだ長い道のりがある」と発言したため、利上げ見送り後の利上げ終了予想や早期の利下げ予想が後退し、米国長期金利が上昇した。

米国ニューヨーク債券市場では、午前2時の米国30年債の入札が低調だったこともあり、米国債の債券価格低下に伴う利回り上昇の影響で、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りも連動する様に上昇し、米国消費者物価指数 (CPI) 発表時には次回の米国利上げ見送り予想の高まりにより一時3.9417%付近にまで低下した米国長期金利が反発後に大幅に上昇し、米国長期金利が4.1113%付近の高利回りを記録したため、日米金利差拡大時の円売りドル買いの勢いが増し、一時急騰したダウが米国高金利高止まりの可能性もあることから沈静化することに伴って、上昇トレンドのドル円が買われ、ドルは円相場で144円台後半に上昇し、今朝の午前5時5分頃に一時144円81銭付近の7月3日以来の円安ドル高を記録した。

米国ニューヨーク債券市場では、米国長期金利は4.11%台で高止まりをしたまま、前日比0.11%高で終値を迎えた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の143円29銭前後から円の安値でドルの高値の144円81銭前後の値動きで、今朝6時のニューヨーク終値を144円75銭付近と、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円2銭の大幅な円安ドル高をつけていた。

今朝早朝の世界FX市場のオセアニア市場では、米国長期金利上昇を受けた日米金利差拡大予想による円安ドル高が進行し、今日は日本が山の日の祝日で日本政府や日本銀行 (日銀 / BoJ) が休みであることから、144円台後半でも為替介入への警戒感が少なかったこともあり、144円台後半の米国市場でのドルの高値記録を更新していた。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場は祝日休場であったが、日本市場相当時間と重なる世界市場の今朝のオセアニア・アジア市場では、今朝9時8分頃に、前述の日米金利差拡大による円安ドル高が進行し、一時144円89〜90銭付近の今日の日本市場相当時間の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、テクニカル分析的に今年6月30日に記録した年内高値の145円7銭付近がレジスタンスラインの上値として意識され始め、145円台の手前からは、円相場で高値圏のドルには利益確定売りの抵抗が入り始めた。

また、アジア市場では、中国の上海総合指数が2%以上の大幅下落を見せたことでも、中国が主要取引先の欧州株価も低調に始まり、安値後の低リスク通貨の円買いが入り始めた。

今日の午後からの欧州英国市場の参入でも、午後15時に発表された最新英国重要経済指標の6月の英国月次国内総生産 (GDP) の前月比が、前回のマイナス成長の-0.1%と市場予想の0.2%に対しプラス圏の0.5%と市場予想を上回り、4〜6月の第2四半期の英国国内総生産 (GDP) 速報値の前年同期比も、前回と市場予想の0.2%に対し0.4%に上昇しており、同前期比も前回の0.1%と市場予想の0.0%に対し0.2%に上昇し、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドル売りで英国ポンドが買われた影響が円相場にも波及し、ドルは円相場での今朝までの上昇幅を縮めた。

また、続いて15時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の7月の仏消費者物価指数 (CPI) の改定値は、前年同月比は前回と市場予想通りの4.3%の横ばいであったが、前月比が前回と市場予想の0.0%に対し0.1%に上昇していたことを受け、欧州市場のドルの利益確定売りでユーロが買い戻された影響もあった。

しかし、中国株価の大幅下落の影響を受けて、欧州株価も下落を見せたことでは、ユーロに対して世界的に流動性の高い安全資産のドルが買われた動きもあり、低リスク通貨の円買いも続いたものの、今朝は前日比で1円以上も大幅だった円安ドル高が、午後に前日比で1円以下の小幅な円安ドル高になるという値動きとなり、今日の午後16時55分頃の一時144円55銭付近が、今日の日本市場相当時間の円の高値でドルの安値になった。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場相当時間のドル円相場の終値は144円62~63銭付近で、昨夜17時の143円80~81銭付近の前東京終値比で約82銭の円安ドル高になった。

今夜この後にも、最新米国重要経済指標の発表が続き、日本時間の今夜21時半に米国インフレ関連の7月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) が発表され、23時に8月の米国ミシガン大学消費者態度指数の発表予定などがある。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場相当時間のユーロ円相場の終値は158円96~98銭付近と、昨夜17時の158円32~33銭付近の前東京終値比で約64銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、昨夜の欧州英国市場では欧州株高時のリスクオンの低リスク通貨の円売りユーロ買いで、2008年以来の記録的な円安ユーロ高を記録した影響が残ったが、今夜の欧州株価の下落時には、低リスク通貨の円の買い戻しも入ったために比較的小幅域に留まった。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場相当時間の終値は1.0991~1.0993ドル付近と、昨夜17時の1.1008~1.1010付近の前東京終値比で約0.17セントのユーロ安ドル高だった。

主な原因は、昨夜の米国消費者物価指数 (CPI) 発表時には一時はドルが売られたものの、米国長期金利上昇時のドル買い戻しの影響や、今日の午後の中国株安を受けた欧州株式市場の下落では、世界的に流動性が高い基軸通貨で安全資産のドル需要があった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場相当時間の英ポンド円相場の終値は183円69~75銭付近と、昨夜17時の183円26~32銭付近の前東京終値比で約43銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、前述の最新英国重要経済指標の英国国内総生産 (GDP) が市場予想を上振れして英国の景気懸念が減退したことにより、英国利上げ継続への抵抗要因が減り、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) による英国利上げ継続予想と共に、日本銀行 (日銀 / BoJ)による大規模緩和金融政策による金利抑制の日本との日英金利差拡大予想による円安ポンド高が続いており、一時184円2銭付近の2015年12月以来の円安ポンド高も記録した。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年8月11日の日本時間(JST)19時37分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時37分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:37の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 144.59 〜 144.60 +0.79 (円安)
ユーロ/円 158.93 〜 158.96 +0.61 (円安)
ユーロ/ドル 1.0991 〜 1.0992 −0.0017 (ドル高)
英ポンド/円 183.76 〜 183.82 +0.50 (円安)
スイスフラン/円 165.05 〜 165.11 −0.46 (円高)
豪ドル/円 94.34 〜 94.38 +0.14 (円安)


注意:

本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。

当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。