FXニュース:日米欧株安リスク回避再び
2023年8月18日東西FXニュース – 2023年8月18日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- ドル146円台後の利益確定
- 中国国有銀の為替市場介入
- 国内消費者物価指数+3.1%
- 日銀が指し値オペ通知せず
- 米長期金利4.32%後の一服
- 来週パウエル議長発言予定
今日2023年8月18日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の145円79銭前後から円の高値でドルの安値の145円15銭前後の値幅約64銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円27~28銭付近と、前日同時刻の昨夜17時の146円21~22銭付近の前東京終値比では約94銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、昨日の日本市場で今年最大の一時146円56銭付近の円安ドル高を記録後の高値のドルの利益確定売りが続いたほか、昨夜19時過ぎに米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg L.P.) が、「中国当局は今週、人民元の急激な変動を防ぐために中国国有銀行に外国為替市場への介入を強化するように指示した」というニュースを報道したことにより人民元買いドル売りの影響が、他の主要通貨である円相場にもドル下落圧として波及し、ドルは円相場で145円台後半に下げていた。
しかし、欧州英国市場の後半から時差で始まった昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場では、昨夜21時半に最新米国経済指標の前週分の米国新規失業保険申請数が発表され、前回の24.8万件と前回修正の25.0万件と市場予想の24.0万件に対し23.9万件に改善され、前週分の米国失業保険継続受給者数は前回の168.4万人と市場予想の170.0万人に対し171.6万人とやや弱かったものの、同時発表だった8月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数が前回のマイナス圏の-13.5と市場予想の-10.0に対しプラス圏の12.0に超大幅な改善を見せたことで、堅調な米国経済指標を背景とした米国の金利高止まりの長期化や米国利上げ長期化予想が強まった。
米国ニューヨーク株式市場では、米国金利上昇への警戒感から米国株価三指数や欧州株式市場も軟調になり、欧米株安時のリスク回避の低リスク通貨の円買いが先行したことでは、昨夜22時25分頃に一時145円62銭付近の米国市場の円の高値で安値ドルをつけたものの、続いて昨夜23時に発表された7月の米国景気先行指標総合指数の前月比も、前回の-0.7%に対し市場予想一致の-0.4%に改善されたこともあり、同時進行だった米国ニューヨーク債券市場では、前米国市場で発表された米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨の内容や、この日の堅調な最新米国経済指標を受けた米国利上げ長期化予想により、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りが上昇し、一時4.3256%付近の昨年2022年10月21日以来の今年最大の高利回りを記録したため、日米金利差拡大時の円売りドル買いでドルが円相場で再び146円台に上昇し、今朝未明の午前2時40分頃に一時146円29〜30銭付近に反発した。
しかし、米国株式市場では、米国主要株価指数の下落が続き、米国ニューヨーク (NY) ダウ平均株価指数 (DJI) が一時320ドル以上も大幅な急落を見せたことを受けて、米国株式市場からの外国為替市場へのリスク回避のリスクオフの流れが増し、米国株安時に株売りのドルからでも買える低リスク通貨の円買いが優勢になり、市場高値後のドルの利益確定売りも相まって、再び145円台後半へとドルが円相場で反発する前と同じレベルに戻すという「往って来い」の一時急落を見せ、今朝未明の午前4時25分頃には一時145円64銭付近まで戻したが、市場安値前では日米金利差拡大予想もあって下げ止まった。
今朝5時頃までの米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価指数が3営業日続落の終値をつけ、I Tネットワーク大手の米国シスコシステムズ (CSCO) やエネルギー関連の米国株価は堅調だったものの、研究開発費用の借り入れ資金の融資やローンなどに金利上昇警戒感があるヘルスケア関連の株安が目立ち、決算報告期の終盤を迎えている主要企業でも、昨夜発表された経済指標を受けた米国金利の長期の高止まり予想や利上げ長期化予想への警戒感によるリスク回避姿勢が観測されていた。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の145円62銭前後から円の安値でドルの高値の146円30銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を145円84銭付近と、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約51銭の円高ドル安をつけていた。
今朝8時半には、総務省が日本の最新重要経済指標の7月の全国消費者物価指数 (CPI) を発表し、前年同月比は前回と市場予想一致の3.3%であったが、天候などで価格変動の激しい生鮮食品を除き物価の基調を見る7月の全国消費者物価指数 (CPI) のコア総合指数の前年同月比は、前回の3.3%に対し市場予想通りの3.1%の上昇であったが、生鮮食料品とエネルギー除くコアコア総合指数では、前回の4.2%に対し市場予想通りに4.3%と前回よりも上昇していたことでは、日本銀行 (日銀 / BoJ) の金融政策修正圧がやや意識された。
今朝9時頃から始まった今日の日本の外国為替市場では、昨夜の最新米国経済指標を受けた日米金利差拡大予想の円売りドル買いが先行し、9時14分頃に一時145円79銭付近の今日の日本市場での円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今週末の日曜日は20日のため、今日が実質的な5と10が付く日本の貿易企業の決済日が集中しやすい「五十日 (ゴトーび) 」にあたるため、日本市場の今朝9時55分の仲値決済では、国内輸出企業の円買いドル売りの動きが強まった。
また、今朝までの米国株安を受けて、今日の日本の東京株式市場では日経平均株価も下落を見せたため、日本株安時のリスク回避のリスクオフで、国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが起き、円相場が上昇した。
さらに、今朝10時10分には、日本の超長期債利回りが上昇しているにも関わらず、日本銀行 (日銀 / BoJ) が公開市場操作の臨時国債買い入れオペの指し値オペを通知しなかったことも、円買いドル売りの一因となり、円相場が上昇を続けた。
その一方で、今朝までの米国市場では一時4.3%台を記録後の米国長期金利は、今日の日本時間の時間外取引では上昇に一服感が見られたことでも、円買いドル売りが継続した。
午後15時15分には今日の日経平均株価は3万1450円76銭の前日比175円24銭安の大幅安のままで大引けしたことでも、低リスク通貨の円買い需要が続き、夕方からの欧州英国市場の本格参入でも、欧州英国株価も軟調であったために、安全資産の米国債が買われた影響で利回りが指標となる米国長期金利が4.2%台に一時低下したことのより、欧州通貨の安全資産のドル買いから低リスク通貨の円買いへと一時傾いた動きがあったことも対ドルの円相場の一時上昇圧となり、午後16時40分頃に一時145円15銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
その後には、午後16時頃から始まった英国株式市場のロンドン証券取引所 (LSE) が、今日の午後15時に発表されていた最新英国経済指標の7月の英国小売売上高が市場予想を下回るマイナス圏の悪化を見せた英国景気懸念や金利上昇警戒感などにより軟調に推移したこともあり、英国株価下落時に世界的に流動性が高いドルが日本市場の安値圏から買い戻された影響もあり、ドルが今日の日本市場での下げ幅を縮める反発を英国ロンドン外国為替市場でも始めたが、その途中で日本市場は今夜17時の東京終値をつけた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は145円27~28銭付近で、昨夜17時の146円21~22銭付近の前東京終値比で約94銭の円高ドル安になった。
ただし、その後の今夜17時50分頃の英国ロンドン外国為替市場では、ドルは円相場で一時145円63銭付近に戻している。
今夜この後の米国市場は、週末を控えた米国株式市場での決算報告期が終盤を迎えており、決算に影響を与えそうな金利上昇の動きにはやや敏感になっている。夏休み時期の米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定は、今夜は特にまだ注目度が高いものは報告されていないが、来週の8月24〜26日には、以前にドル円の為替相場の値動きに数円規模の大きな影響を与えたことがあった国際経済シンポジウムのジャクソンホール会議でのパウエル議長の発言予定のイベントが控えているため、早期の持ち高調整なども入り始めている。また、海外市場では、日本政府と日銀による為替介入への警戒感も燻り続けている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円95~96銭付近と、昨夜17時159円5~6銭付近付近の前東京終値比では約1円10銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、欧州の主要貿易先である中国の景気懸念の影響により、欧州株安時のリスク回避が再燃し、ユーロが安全資産のドルや低リスク通貨の円に対して売られた影響があった。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0871~1.0873ドル付近と、昨夜17時の1.0878~1.0882ドル付近の前東京終値比で約0.07セントのユーロ安ドル高だった。
主な要因は、堅調だった米国経済指標による米国利上げ長期化予想に対し、今夜18時に発表された欧州にも利上げ継続予想があるが、欧州株安時のリスク回避市場では世界的に流送性が高い安全資産でもあるドルや低リスク通貨の円に対してユーロが売られやすかった。
なお、今夜18時の欧州市場で発表された欧州ユーロ圏の最新重要経済指標の7月消費者物価指数 (HICP) の改定値は、前年同月比が前回と市場予想通りの5.5%で、同HICPコア指数も、前回と市場予想一致の5.3%の高止まりであった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は184円70~76銭付近と、昨夜17時186円16~22銭付近の前東京終値比で約1円46銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、前述の通り、今日の午後に発表された最新英国経済指標の7月の英国小売売上高が、前年同月比と前月比ともにマイナス圏の市場予想以下の悪化したことを受けて、英国景気懸念で株価が下落し、これまでに日英金利差拡大による高値をつけていたポンド売りで低リスク通貨の円が買われた影響が出ていた。
さらに、ドルやユーロなどの他の主要通貨に対する今日の日本市場の終値の頃の円高圧も波及したことで、英国ポンドが円相場で今日は久しぶりの大幅安になった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年8月18日の日本時間(JST)19時22分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時22分) の、人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:22の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 145.47 ~ 145.48 | -0.74 (円高) |
ユーロ/円 | 158.16 ~ 158.21 | -0.89 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0872 ~ 1.0876 | -0.0006 (ドル高) |
英ポンド/円 | 185.28 ~ 185.34 | -0.88 (円高) |
スイスフラン/円 | 165.31 ~ 165.37 | -0.86 (円高) |
豪ドル/円 | 93.14 ~ 93.18 | -0.34 (円高) |
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