FXニュース:欧米景気懸念リスク回避後
2023年8月24日東西FXニュース – 2023年8月24日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 欧米経済指標のPMIが低調
- 米購買担当者景気指数低下
- 米AI関連半導体IT株は好調
- 日経平均株価が大幅に上昇
- 今夜からジャクソンホール
今日2023年8月24日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の144円61銭前後から円の安値でドルの高値の145円36銭前後の値幅約75銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円35~36銭付近と、前営業日同時刻の昨日17時の145円35~36銭付近と同じ、前東京終値比で約0銭の横ばいレンジ圏であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の欧州英国市場では、昨日の夕方に発表された欧州ユーロ圏の総合と主要国ドイツやフランスの最新経済指標の8月の製造業とサービス部門の欧州購買担当者景気指数 (PMI) の速報値の低下に加えて、地理的に近い欧州連合 (EU) 離脱後の英国の8月の製造業とサービス部門の英国購買担当者景気指数 (PMI) の速報値も同様に、軒並み好景気と不景気を分けるボーダーラインの50を下回ったことを受け、欧州周辺の景気懸念による欧州ユーロ売りや英国ポンド売りで、世界的に流動性の高い安全資産のドル買いや低リスク通貨の円買いが先行していた。
しかし、続いて始まった昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場では、昨夜22時45分に発表された最新米国経済指標の8月の製造業とサービス部門の米国購買担当者景気指数 (PMI) の速報値も市場予想以下であったために、ドルも売られ始めたが、米国のPMIの内訳ではサービス部門と総合にはボーダーラインの50を上回るデータが混ざっていた。
最新米国経済指標の8月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は、前回の49.0と市場予想の49.3に対し47.0と、前回と市場予想以下かつ、欧州英国同様にボーダーラインの50以下の不景気寄りで、ドル売りが起きた。
同時発表の8月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値も前回の52.3と市場予想の52.2に対し51.0と、好景気寄りではあるものの前回と市場予想を下回り、8月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の速報値も前回52.0と市場予想の51.5に対し50.4と前回と市場予想以下であったが、ぎりぎりで好景気側に留まった。
しかし、最近の米国経済指標には市場予想を超える堅調なものが多かったため、市場予想以下の最新データを受けて、堅調な米国景気を背景とした米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国利上げ長期化予想が減退したことや、米国リセッション (景気減速) 懸念のリスク回避でドルから買える安全資産の米国債買いが入り、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りや、主要通貨に対するドル売りも起き、最新の米国購買担当者景気指数 (PMI) の速報値の発表前には一時145円台後半で推移していた円相場のドルは、発表後に一時144円台に急落した。
ただし、昨夜23時に発表された7月の米国新築住宅販売件数は、年率換算件数が前回の69.7万件と前回修正の68.4万件と市場予想の70.4万件に対し71.4万件と市場予想を上回り、前月比も前回の-2.5%と前回修正の-2.8%と市場予想の1.0%に対し4.4%と堅調であったことでは、やや横ばいに近い値動きに転じる抵抗も入った。
しかし、明日のジャクソンホール会議でもパウエル議長発言イベントを控えたイベントリスクの買い控えもあったドルは、横ばいに近い値動きに転じてからも米国景気減速懸念のリスク回避で安全資産の米国債買いが進み、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.18%台に急落したことを受けて、日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いドル売りが続き、今朝未明の午前2時20分頃には一時144円54銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
一方、同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では、米国金利上昇警戒感の緩和や、決算報告シーズン終盤で株引け後に報告予定のあった米国AI関連半導体大手の米国エヌビディア (NVIDIA / NVDA) 株が今年になってから220%超えの上昇を見せるなど、米国のハイテク株やIT株は好調で、米国株式相場が上昇を見せたことでは、リスクオンで安全資産の米国債や低リスク通貨の円が売られて円相場でドルは反発と上昇を始めたが、本日8月24日から26日までのジャクソンホール会議で、明日の夜に米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の講演発言イベントなどの各国中銀トップの要人発言イベントを控えているため、ドルにはイベント前の持ち高調整やイベントリスクの様子見の買い控えが混ざり、米国経済指標発表後の下げ幅を今朝5時半頃に一時144円91銭付近に縮めた程度に留まった。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の145円60銭前後から円の高値でドルの安値の144円54銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は144円84銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比では約1円5銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
ただし、今朝午前5時頃の米国株式市場の株引け後に、先述の米国エヌビディア (NVIDIA / NVDA) の第2四半期の決算報告が発表され、1株利益と売上高共に上昇予想だった市場予想をさらに上回り、米国のAI関連の主要半導体大手としての需要の高さが市場予想以上であることが意識され、次の第3四半期の市場予想以上の先行き予測や250億ドル規模の自社株買い承認などの発表もあり、時間外の米国株式先物で一時12%の大幅高を見せたことでは、IT関連の好調さを受けては、米国景気減速懸念がやや緩和され、投資用実需のドル買い需要なども入り始めた。
今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、昨夜の欧英米の購買担当者景気指数 (PMI) 低下による欧米英景気懸念の影響が残っていたため、今朝の対ドル円相場は円の高値圏から始まったため、今朝9時23分頃の一時144円61銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値になった。
しかし、今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済に向けては、今朝の久しぶりの円の高値から、輸入実需や準備資金の円売りのドル買いやユーロ買いが優勢になり、ドルが円相場で今朝までの下げ幅をさらに縮め始めた。
今日は日本の東京株式市場でも日経平均株価が大幅に上昇し、日本株高時のリスクオンで高値圏からの低リスク通貨の円売りも続いた。
今日の午後15時15分に今日の日経平均株価は、3万2287円21銭で終値をつけ、前日比で276円95銭高の大幅上昇で大引けした。
また、一時は4.18%台に低下後の米国長期金利が、今日の日本市場と欧州英国市場参入の午後の時間外取引では一時4.2%台に回復を見せたことも、日米金利差拡大による円売りドル買いの要因となり、ドルは円相場で昨夜の8月の米国購買担当者景気指数 (PMI) の速報値の発表後の大幅な下げ幅を、今日の日本市場で横ばいレンジ圏付近にまで縮め、今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録する形で今夜17時の東京終値を迎えていた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は145円35~36銭付近で、昨夜17時の145円35~36銭付近と同じ、前東京終値比で約0銭の横ばいレンジ円になった。
今夜は米国で明日8月25日の夜にパウエル議長の発言予定のある8月24〜26日のジャクソンホール会議のイベントが始まるほか、今夜この後にも最新の米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間のスケジュールは今夜21時半に 7月の米国耐久財受注と、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数が発表される。今夜23時頃からは米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官で次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言予定があり、深夜24時15分頃からは次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権は持たないものの、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国ボストン連銀のコリンズ総裁の発言予定もある。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円 79~80銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の157円30~35銭付近の前東京終値比で約29銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、昨夜の欧州購買担当者景気指数 (PMI) の速報値の低下による欧州景気減速懸念を受けてはユーロが売られたが、今日の日本市場では日経平均株価の大幅上昇のリスクオンによる低リスク通貨の円売りユーロ買いや、久しぶりの割安感から輸入実需や準備金の円売りユーロ買いが優勢に転じたことが影響を及ぼした。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0854~1.0856ドル付近と、昨夜17時の1.0816~1.0820ドル付近の前東京終値比で約0.38セントのユーロ高ドル安だった。
主な要因は、昨夕の欧州経済指標の低下を受けてはユーロ売りドル買いが先行したものの、昨夜に発表された米国購買担当者景気指数 (PMI) の速報値も市場予想以下であったために、ユーロの買い戻しが強まった。加えて、日米株価上昇時のリスク選好市場ではリスクオンのユーロ買いが入っていたことや、明日のパウエル議長発言のイベントを控えたイベントリスクの米ドルの買い控えも値動きに影響を及ぼしていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は184円60~66銭付近と、昨夜17時の184円92~98銭付近の前東京終値比で約32銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、昨夜の最新英国経済指標の英国購買担当者景気指数 (PMI) の速報値の不景気よりの低下を受けた英国景気減速懸念のリセッション警戒により、リスク回避のリスクオフの英国ポンド売りで低リスク通貨の円が買われた影響が見られた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年8月24日の日本時間(JST)19時18分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時18分) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:18の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 145.45 ~ 145.46 | +0.10 (円安) |
ユーロ/円 | 157.86 ~ 157.87 | +0.56 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0851 ~ 1.0853 | +0.0035 (ドル安) |
英ポンド/円 | 184.36 ~ 184.42 | -0.56 (円高) |
スイスフラン/円 | 165.22 ~ 165.28 | +0.10 (円安) |
豪ドル/円 | 93.81 ~ 93.85 | +0.36 (円安) |
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