FXニュース:今夜米雇用統計発表を控え
2023年9月01日東西FXニュース – 2023年9月1日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米個人消費支出インフレ圧
- 米株価失速でリスク回避も
- 欧ECB追加利上げ予想後退
今日2023年9月1日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の145円70銭前後から円の高値でドルの安値の145円24銭前後の値幅約46銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は145円38~40銭付近と、前営業日同時刻の昨夜17時の145円90~92銭付近の前東京終値比では約52銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、昨夜20時半に発表された欧州中央銀行 (ECB) 理事会の前回の議事要旨の内容を受けて、欧州のスタグフレーション懸念への言及などがあり、次回9月の利上げ継続予想が減退し、欧州長期金利の低下を伴うユーロ売りが先行していた。
続いて、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場では、最新米国重要経済指標の発表があり、7月の米国個人消費支出 (PCE) デフレーターの前年前月比は前回の3.0%に対し市場予想通りの3.3%に上昇し、前月比も前回の0.5%と市場予想の0.7%を上回る0.8%で、PCEから変動の激しい食品とエネルギーを除き価格指数の基調を示す7月の米国個人消費支出 (PCE) コア・デフレーターも、前年同月比が前回の4.1%に対し市場予想通りの4.2%に上昇、前月比は前回と市場予想一致の横ばいの0.2%と、米国の根強いインフレ圧の高止まりを示したことで、主要通貨に対してドルが買われて円相場で上昇した。
ただし、7月の米国個人所得の前月比は前回と市場予想の0.3%に対し0.2%で、同時発表の前週分の米国失業保険継続受給者数は前回の170.2万人と前回修正の169.7万人と市場予想の170.3万人に対し172.5万人とやや弱かったものの、前週分の米国新規失業保険申請件数は前回の23.0万件と前回修正の23.2万件と市場予想の23.5万件に対して22.8万件と、市場予想以上に改善されたことを受けて、米国の根強いインフレ圧と米国雇用市場の最新週の米国新規失業保険申請件数の低下により、米国利上げ長期化の可能性もあることで、日米金利差拡大予想の円売りドル買いが続き、昨夜22時40分頃に一時146円23銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
続いて、昨夜22時45分に発表された8月の米国シカゴ購買部協会景気指数も、前回の42.8と市場予想の44.1に対し48.7に上昇し、米国利上げ抵抗要因の景気懸念も市場予想以上にやや緩和されたものの、好景気と不景気を分けるボーダーラインの50を下回っていたことでは、市場高値後のドルはしばらく高止まりを見せた後に、利益確定売りの抵抗が入り始めた。
また、米国市場と後半が同時進行中だった世界最大規模の外国為替取引量のある英国ロンドン外国為替市場では、英国夏時間16時で日本時間の深夜24時にあたる日本市場における仲値決済の様なロンドン・フィキシング (London Fixing) の大規模な売買フローでは、月末要因のドルの高値後の利益確定売りや安値後の円買いの持ち高調整が強まったことでは、対ドルの円相場は深夜24時に145円46銭付近に反発上昇した。
英国市場の月末決済要因では、8月は欧米通貨に対する記録的な円安が進行し、8月29日にドル円が一時147円台の昨年2022年11月以来の今年最大の円安ドル高を記録したほか、ユーロ円も前日に2008年8月以来の今年最大の円安ユーロ高を記録後であったために、月末の決算のポジション調整でドルや欧州通貨の利益確定売りと安値の円買いが強まっていた。
さらに、米国ニューヨーク株式市場では米国利上げ長期化予想への警戒感があり、前日までは続伸していた米国主要株価が失速を見せ始めたことでも、リスク回避のリスクオフで、ドルから買える安全資産の米国債が買われて利回りが指標となる米国長期金利が低下したため、低リスク通貨の円買いが続き、午前3時25分頃に一時145円35銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
米国市場の安値後にはドルの買い戻しも入ったものの、米国市場では今夜この後に米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長も重視している最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表イベントを控えており、9月4日月曜日の米国の労働者の日のレイバー・デー (Labor Day) の祝日連休前でもあるため、イベントやホリデーを前にした利益確定や持ち高調整の後の結果が分かるまでの買い控えの様子見も入り始めていたことでは、比較的小幅域に留まった。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の146円23銭前後から円の高値でドルの安値の145円35銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を145円54銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約70銭の円高ドル安をつけていた。
今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今朝の日本市場の仲値決済に向けては、月初めの日本企業の輸入実需の円売りドル買いの需要もあり、今朝9時37分頃に一時145円70銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今朝9時55分の仲値決済の後には、今朝までに米国長期金利が低下していたことを受けて、日米金利差縮小時の円買いドル売りが強まった。
また、日本市場と時間帯が近いアジア市場では、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行 (PBC) が、中国の金融機関の外貨預金準備率を現在の6%から4%に今月の9月15日から引き下げると発表し、昨年9月以来の今年初の引き下げにより最近の中国人民元の下落を抑制する目的とみられることがニュースで話題になり、発表後に中国本土外のオフショアの外国為替市場で元高ドル安が急速に進行した影響が、円相場にも外貨からのドル下落圧として波及し、今朝10時24分頃に円相場でドルは一時145円24銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今夜この後の日本時間21時半には、最新米国重要経済指標の8月の米国雇用統計の発表イベントを控えており、市場安値後のドルには買い戻しも入り始めたものの、イベントリスクの買い控えや結果が分かるまでの様子見も入り始めていたことでは、今朝の下げ幅を午後に向けて徐々に縮めていくような値動きになった。
時間外の米国債券市場では、日本市場の午後の取引では米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りが下げ止まりを見せていたことでも、日米金利差を意識した円売りドル買いも入り、また今日の日本の東京株式市場では日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が上昇し、午後15時15分に3万2710円62銭の終値と前日比91円28銭高で大引けしたことでは、日本株高時のリスクオンでは低リスク通貨の円が売られる値動きもあったことから、午後15時52分頃には一時145円62銭付近までドルが買い戻されたが、今夜のイベントリスクもあり、今朝の今日の市場高値を超えられなかったことでは、午後からの欧州英国市場の参入もあり、短期のドルの利益確定売りの抵抗で反落した。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は145円38~40銭付近で、昨夜17時の145円90~92銭付近の前東京終値比では約52銭の円高ドル安になった。
今夜この後には、最新米国重要経済指標を含めた経済指標データの発表予定や、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などが続く。日本時間の今夜の経済指標カレンダーの予定は、今夜21時半に市場注目度と重要度の高い米国雇用統計の8月の米国非農業部門雇用者数変化、8月の米国失業率、 8月平均時給などが発表されるイベント時間があり、続いて今夜22時45分に8月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) と、同時刻の頃から米国クリーブランド連銀のメスター総裁の発言予定、23時に 8月の米国ISM製造業景況指数と、 7月の米国建設支出などが予定されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円80~81銭付近と、前営業日同時刻の昨夜17時158円91~94銭付近の前東京終値比で約1円11銭の大幅な円高ユーロ安であった。
ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0854~1.0858ドル付近と、昨夜17時の1.0890~1.0892ドル付近の前東京終値比で約0.36セントのユーロ安ドル高だった。
主な要因は、昨夜発表された7月開催分の欧州中央銀行 (ECB) 理事会の議事要旨で、欧州利上げ継続予想が減退し、欧州ユーロ圏主要国の国債の利回りが指標となる欧州長期金利が低下し、日欧金利差縮小時の円買いユーロ売りや、欧米金利差拡大によるユーロ売りドル買いが優勢になっていた。
欧州中央銀行 (ECB) 理事会の議事要旨では意見がわかれており、「欧州利上げ継続後の累積的な効果が、欧州の基調インフレ率を低下させるのに十分強いとの証拠が得られない場合には、次回9月の追加利上げが必要となる場合がある」という意見があった一方で、「9月の欧州経済予測では、追加の利上げを継続しなくても、欧州インフレが2%に向けて十分に下げる可能性が非常に高い」との意見や、欧州インフレ見通しの高止まりと欧州経済の成長見通しの鈍化から、「ソフトランディング (軟着陸) とは対照的に、欧州経済が景気悪化のスタグフレーションに陥る段階に入りつつあるのではないかとの懸念が生じている」との指摘もあり、前回は最終的には0.25%の追加利上げで合意したが、欧州景気懸念により政策金利をこれ以上引き上げないのが望ましいとの意見もあり、最近の欧州経済指標と併せて、次回9月の利上げ継続の見通しは積極性に乏しい内容と市場で受け止められた。
今日の午後16時50分に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標の8月のフランスの仏製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値が前回と市場予想の46.4に対し46.0に低下し、16時55分のドイツの8月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は前回と市場予想一致の39.1の横ばいであったものの、17時の欧州ユーロ圏総合の8月の欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は前回と市場予想の43.7を下回る43.5で、いずれもボーダーラインの50を下回る不景気寄りであったことでも欧州景気懸念が続いた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は184円35~41銭付近と、昨夜17時の185円42~48銭付近の前東京終値比で約1円7銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、地理的に近い欧州の影響を受けやすい英国ポンドにも利上げ抵抗要因の英国景気懸念があり、今夜17時半に発表された最新英国経済指標の8月の英製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も、前回と市場予想の42.5に対しては43.0とやや上昇を見せたものの、数値的には欧州並みに悪い不景気寄りの50以下であった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年9月1日の日本時間(JST)19時23分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時23分) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:23の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 145.47 〜 145.49 | −0.43 (円高) |
ユーロ/円 | 157.76 〜 157.78 | -1.15 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0843 〜 1.0845 | -0.0047 (ドル高) |
英ポンド/円 | 184.34 〜 184.40 | -1.08 (円高) |
スイスフラン/円 | 164.82 〜 164.88 | -0.93 (円高) |
豪ドル/円 | 94.16 〜 94.20 | -0.40 (円高) |
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