FXニュース:今年最大の円安ドル高更新
2023年9月06日東西FXニュース – 2023年9月6日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 日米金利差拡大の円安要因
- 米長期金利4.275%に上昇
- ドル円一時147円82銭付近
- 原油高による米インフレ圧
- 中国影響の欧州景気懸念も
今日2023年9月6日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の147円82銭前後から円の高値でドルの安値の147円1銭前後の値幅約81銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円38~40銭付近と、前営業日同時刻の昨夜17時の146円90~92銭付近の前東京終値比で約48銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、昨夕に発表された8月の欧州ユーロ圏の購買担当者景気指数 (PMI) の改定値が総合とサービス部門共に速報値から下方修正され、市場予想も下回ったことを受けた欧州景気懸念のリスク回避のユーロ売りで、世界的に流動性が高い安全資産のドルが買われた影響が円相場にも波及し、日米金利差拡大による円売りドル買いと相まって円安ドル高が進行して147円台を記録していた。
昨夜21時頃からの祝日連休明けの米国ニューヨーク外国為替市場でも、米国長期金利の上昇に伴う日米金利差や米欧金利差でドル買いが先行し、ドル円は147円34銭付近から始まったが、米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラー理事が、米国経済専門局のCNBCテレビのインタビューで、今後の利上げはデータ次第ではあるが、最近のインフレ緩和のデータについて、「差し迫って、すぐに何かをする必要があるということを示すデータは特に見られない。何もせずに、次のデータを待つことが可能だ」と発言したことで、今月9月19〜20日に開催予定の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では金利据え置きを支持することを示唆したと市場では受け止められ、次回の追加利上げ予想の後退によるドル売りで、昨夜21時50分頃に一時147円8銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
市場予想値で有名な米国のフェッドウォッチ (CME FedWatch) では、次回9月のFOMCの米国政策金利の現状据え置き予想値が93%と、確定値の70%超えの大優勢になり、次回の0.25%の追加利上げ予想値は7%付近にまで減退していた。
しかし、その一方で、米国の根強いインフレ圧などから、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国クリーブランド連銀メスター総裁は、「米国政策金利を、やや引き上げる必要があるかもしれない」と発言したことで、日米金利差拡大予想の円売りドル買いで、ドルは円相場で反発し、再び上昇した。
さらに、この日のニュースで、サウジアラビアが原油価格安定化のために現在実施している日量100万バレルの自主減産を、年末まで期間延長すると報道されたことで、米国WTI原油先物価格が一時高騰し、昨年2022年11月中旬以来の高値を記録したことで、車社会の米国でガソリン価格などのインフレ圧の根強さが再び意識され、一部の米国追加利上げ予想や米国利上げ長期化予想も燻り、米国連邦準備理事会 (FRB) が次回の金利据え置きをしたとしても、高金利を長期間維持する金融引き締めの長期化の可能性も意識されたこともあり、原油高時は島国の日本の貿易赤字リスクも高めるため、低リスク通貨の円のリスク増加もあり円売りの一因になった。
昨夜23時に発表された最新米国経済指標の7月の米国製造業新規受注の前月比も、前回の2.3%と市場予想の-2.5%に対し-2.1%と、前回と市場予想よりも改善されていた。
連休明けの米国ニューヨーク債券市場でも、社債発行増の需給緩和懸念で米国債の利回りの先高観があったことで、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りが一時4.27%台付近に上昇し、かねてから円安要因の日米金利差拡大による円売りドル買いが再燃して円安ドル高が進行し、欧州長期金利よりも上昇したことで欧州ユーロなどの主要通貨に対するドルかいも入ったことで、今朝未明の午前2時55分頃に一時147円80銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
この時点での今年最大の円安ドル高の記録も更新し、昨年2022年11月4日以来の円安ドル高を記録したほか、主要通貨全般に対するドルの強さを示すドルインデックスも、一時104.91と今年3月15日以来の高値を記録していた。
年内高値を記録後のドルには利益確定売りや持ち高調整の抵抗もやや入ったものの、中国景気懸念や欧州景気懸念による世界景気懸念もある中で、最近の米国景気には堅調を示すものも多かったために基軸通貨としてのドル需要もあり、小幅域に留まった。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の147円8銭前後から円の安値でドルの高値の147円80銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は147円72銭付近と前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円25銭の大幅な円安ドル高をつけており、3営業日連続での円相場でのドルの続伸になっていた。
今朝早朝のニュースでは日本政府の神田真人財務官が、今朝までの米国市場で一時147円80銭付近の昨年2022年11月上旬以来の今年最大の円安ドル高を記録した円相場の急落について、「あらゆる選択肢を、排除せずに適切に対応する」と円安牽制の発言をし、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) による為替介入への警戒感から、早朝のオセアニア市場と世界FX市場では、今朝8時53分頃に一時147円36銭付近まで円が買われた。
しかし、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、昨夜の原油高を受けた米国のインフレ圧の高まりにより、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の金融引き締め長期化予想などが高まり、米国長期金利が上昇しており、日米金利差拡大による金利差トレードなどの円売りドル買いが入ったため、開場時の一時147円44銭付近から円相場でドルが再び上昇した。
今朝9時55分の日本市場の仲値決済でも、日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があり、9時55分頃に一時147円81〜82銭付近の日本市場の円の安値でドルの高値の今年最大の円安ドル高の記録を再び更新し、今朝までの米国市場での年内高値も超えた。
しかし、年内高値記録新後のドルには為替介入警戒による利益確定売りや、持ち高調整の安値の円買いが入り始めたことでは、日本市場で円相場は反発を始め、輸出企業の円買いドル売り注文も続いたことでは、午後14時59分頃に一時147円1〜2銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、午後からの欧州市場の参入による円売りドル買いが始まったことや、今日の東京株式市場では日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が続伸し、午後15時15分に3万3241円2銭の終値をつけ、前日比204円26銭高の大幅高で大引けした影響で、日本株高時のリスクオンの低リスク通貨の円売りが入ったことなどで再びドルが反発し、午後16時43分頃には米国長期金利は再び一時4.27%台に上昇したこともあり、円相場でドルは一時147円台中盤付近にまで戻したが、その後に一時4.26%付近に低下したことではやや抵抗が入った。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は147円38~40銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の146円90~92銭付近の前東京終値比では約48銭の円安ドル高になった。
今夜この後にも、最新米国経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、日本時間の経済カレンダーのスケジュールは、今夜20時に 米国MBA住宅ローン申請指数、21時半に 7月の米国貿易収支、同じく21時半時頃から米国ボストン連銀のコリンズ総裁の発言予定、22時45分に8月の総合とサービス部門の米国購買担当者景気指数 (PMI) 、23時に8月の米国ISM非製造業景況指数、27時に米国地区連銀経済報告のベージュブック、28時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国ダラス連銀のローガン総裁の発言予定などが予定されている。
また、今夜23時には北米カナダのカナダ銀行 (BoC) の新政策金利と声明の発表予定もあり、以前に隣国の米国の市場予想に周辺国として影響を与えた経緯上、注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は158円12~13銭付近と、前営業日同時刻の昨夜17時の158円6~7銭付近の前東京終値比で約6銭の小幅な円安ユーロ高であった。
主な要因は、円安要因の日米金利差拡大や日欧金利差拡大による円売りはあるものの、昨日発表された欧州の主要貿易先の中国の8月の中国非製造業購買担当者景気指数 (PMI) が大幅に低下した世界景気の先行き不透明感があり、昨夕発表の8月の欧州ユーロ圏のPMIの改定値も速報値から下方修正され、欧州景気懸念が高まったリスク回避のユーロ売りでは、世界的な安全資産のドル買いに続き低リスク通貨の円買いも混じっていたことや、今日の日本市場で為替介入警戒感の円買いも入ったことでは対円では小幅域になっていた。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0727~1.0729ドル付近と、昨夜17時の1.0756~1.0757ドル付近の前東京終値比で約0.29セントのユーロ安ドル高だった。
主な要因は、米国長期金利の上昇による米欧金利差拡大や、低調な欧州景気と比較して米国景気の堅調さを示す経済指標発表が続いていたことなどで、欧州株安時のリスク回避では世界的に流動性が高い安全資産で基軸通貨のドルをユーロから買う動きもあった。
今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の7月の独製造業新規受注も、前月比が前回の7.0%と前回修正の7.6%と市場予想の-4.0%に対し-11.7%と大幅に低下し、前年同月比も前回の3.0%と前回修正の3.3%と市場予想の-4.5%に対し-10.5%の市場予想よりも大幅なマイナス圏に低下していた。
今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の7月の欧州小売売上高も、前月比は前回の-0.3%と前回修正の0.2%と市場予想の-0.1%に対し-0.2%と低調であったが、前年同月比では前回の-1.4%と前回修正の-1.0%と市場予想の-1.2%に対し-1.0%と市場予想ほどは悪化しなかった。
なお、今夜21時には欧州連合 (EU) のポーランドの新政策金利の発表予定もある。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は184円99銭~185円5銭付近と、昨日17時の184円54~60銭付近の前東京終値比で約45銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、欧州に地理的に近く影響を受けやすい英国にも景気懸念があるものの、対ドルなど他の主要通貨に対する円安の影響が波及したほか、日英金利差拡大も影響を及ぼした。
また、今夜17時半に発表された8月の英国建設業購買担当者景気指数 (PMI) は前回の51.7と市場予想の50.5に対し50.8と市場予想ほどは悪化しなかった。
今夜22時15分頃からは英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) のベイリー総裁の要人発言予定もあり、日英金利差拡大予想も影響を及ぼしている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年9月6日の日本時間(JST)19時38分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時38分) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:38の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 147.37 〜 147.39 | +0.47 (円安) |
ユーロ/円 | 158.23 〜 158.24 | +0.17 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0735 〜 1.0737 | -0.0021 (ドル高) |
英ポンド/円 | 184.94 〜 185.00 | +0.40 (円安) |
スイスフラン/円 | 165.54 〜 165.60 | ±0.00 (レンジ) |
豪ドル/円 | 94.26 〜 94.30 | +0.61 (円安) |
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