FXニュース:日本政府の為替介入警戒感
2023年9月08日東西FXニュース – 2023年9月8日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 年内高値後の利益確定売り
- 日米株安時の低リスク通貨
- 米国経済指標は堅調に推移
- 欧州インフレ圧と景気懸念
今日2023年9月8日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の146円58銭前後から円の安値でドルの高値の147円44銭前後の値幅約86銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円38~40銭付近と、前営業日同時刻の昨夜17時の147円44~45銭付近の前東京終値比で約6銭の小幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場で一時147円87銭付近の今年最大の円安ドル高を記録後のドル円相場では、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) による為替介入への警戒感や、米国長期金利の高止まり後の一時低下により、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では高値のドルの利益確定売りと安値の円の持ち高調整買いなどが続き、昨夜21時頃に米国ニューヨーク外国為替市場が始まる時には一時147円22銭付近に円が買い戻されていた。
ただし、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、昨夜21時半に発表された最新米国経済指標の米国雇用市場関連の前週分の米国新規失業保険申請件数が前回の22.8万件と市場予想の23.4万件に対し21.6万件と堅調で、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の172.5万人と前回修正の171.9万人と市場予想の171.5万人に対し167.9万人と、いずれも前回と市場予想よりも良く、同時発表の4〜6月の第2四半期の米国非農業部門労働生産性の改定値も前期比が前回の3.7%と市場予想の3.4%に対し3.5%と市場予想を上回り、堅調な米国雇用市場と市場予想以上の経済指標を受けたドルの買い戻しが入り、昨夜21時35分頃には一時147円61銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、同時進行だった米国ニューヨーク株式市場では、中国でのiPhone (アイフォーン) 規制強化による米中対立懸念の影響などで、米国主要ハイテク株の米国アップル (Apple / APPL) が続落するなど、米国主要株価の下落時のリスク回避のリスクオフが強まり、ドルから買える安全資産の米国債や低リスク通貨の円が買われた影響で、米国債の価格上昇に伴う利回り低下などにより、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りが低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りにより、午前1時半頃には一時147円4銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
テクニカル分析的には前日安値の147円2銭付近にはサポートラインがあったこともあり、米国市場の安値を一時記録後のドルには買い戻しも入ったが、ファンダメンタルズ分析的な米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言の影響もあり、再来週の9月19〜20日に予定されている今月の次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁が、米国ブルームバーグ (Bloomberg) テレビに出演し、「我々の米国金融政策は、良好なポジションにあるが、今後もデータ次第の姿勢は必要だ」と語り、現在の金融政策が「米国のインフレを減速させるために、望ましい効果をもたらしている」と指摘する一方で、「我々は引き続き、全てのデータを注視して分析し、金融政策が十分なものであるかを、自分達自身に問わなければならない。米国労働市場の不均衡を縮小し、米国インフレ率を抑制するというポイントにおいて、着実に目標に向かっていることを確認するために、もう一度、利上げする必要があるのだろうか?と」と、次回の追加利上げの有無に関する疑問を持っていることを表明し、次回の米国金利据え置きの市場予想値は、米国フェッドウォッチ (CME FedWatch Tool) でも93%の高確率で推移を続け、一部のタカ派の0.25%の追加利上げの市場予想値は7%の低確率で推移したことも、米国長期金利の低下に繋がったため、一時は4.30%台を記録した米国長期金利は一時4.25%付近を記録し、ドルの買い戻しは147円29〜30銭付近に留まった。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の147円61銭前後から円の高値でドルの安値の147円4銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を終値は147円30銭付近で、前日同時刻の前ニューヨーク終値比で約36銭の円高ドル安をつけていた。
今朝8時半には日本の最新経済指標の発表があり、厚生労働省の7月の毎月勤労統計調査の速報値は、名目賃金の1人あたりの現金給与総額の前年同月比は、前回の2.3%と市場予想の2.4%に対し1.3%と前回と想定よりも上昇率が伸び悩んだことで、日本銀行 (日銀 / BoJ) が目標としていた「賃金上昇を伴った2%のインフレ率」から遠ざかったことでは、日銀の金利抑制の大規模緩和金融政策の修正期待が減退していた。
また、今朝8時50分に発表された日本の最新重要経済指標の4〜6月の第2四半期の日本の実質国内総生産 (GDP) の改定値は、年率換算が前回の6.0%と市場予想の5.5%に対し4.8%で、前期比は前回の1.5%と市場予想の1.3%に対し1.2%であった。
一方で、同時発表の7月の日本の国際収支は、経常収支が季調前は前回の1兆5088億円と市場予想の2兆2957億円に対し2兆7717億円であったが、季調済では前回の2兆3459億円と市場予想の2兆1765億円を上回る2兆7669億円であった。ただし、貿易収支は前回の3287億円と市場予想の1654億円に対し682億円だった。
今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場では、今朝のニュースで日本政府の鈴木俊一財務相が、最近の円安について、「為替相場は、ファンダメンタルズを反映して、安定的に推移することが重要で、過度な変動 (ボラティリティ) は望ましくない。為替市場の動向を、高い緊張感を持って注視し、過度な変動 (ボラティリティ) に対しては、あらゆる選択肢を排除せず、適切な対応を取りたい」と円安牽制発言の口先再介入を行ったことで、市場では日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) による円買いドル売りの為替介入警戒感が高まり、まとまった円買いドル売りが入ったことで、今朝9時頃には一時147円35銭付近で推移していた対ドル円相場は、9時36分頃に一時146円58銭付近に円がドルに対し一時急騰し、今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、今日は日本の東京株式市場でも、今朝までの米国株式市場のトレンドを受けた中国規制強化の影響による米中対立懸念で、日本の主要貿易先の米国ハイテク株価が下落後に、今朝発表された日本の最新経済指標が市場予想以下であった影響などもあり、アジア株価や日本の日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が大幅な下落を示し、日本株安時のリスク回避で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われたことも、円相場の上昇要因になった。
しかし、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、今週の10日は日曜日のため、今日が実質的な5と10の付く日本の貿易企業の決済日が集中しやすい「五十日 (ゴトーび) 」であったため、日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があり、ドルは円相場で再び147円台に反発した。
また、今朝は一時低下していた米国長期金利がやや戻し始めたことでも、日米の金利差による円売りドル買いもあり、午後の欧州英国市場の参入でも、欧州景気懸念の一方で堅調な米国経済指標を受けて、世界的に流動性の高い安全資産でもあるドルが買われた影響もあり、午後16時50分頃に一時147円44銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、ドルは円相場で今朝の為替介入警戒や日本株安リスク回避時の下げ幅を縮めた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円38~40銭付近と、前営業日同時刻の昨夜17時の147円44~45銭付近の前東京終値比で約6銭の小幅な円高ドル安になった。
今夜この後にも米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定や、米国経済指標の発表予定があり、日本時間で今夜22時頃から今月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のバー副議長の発言予定、続いて、23時に7月の米国卸売売上高と28時に7月の米国消費者信用残高などが予定されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円82~87銭付近と、前営業日同時刻の昨夜17時の157円98~99銭付近の前東京終値比で約16銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、昨日に続き、欧州景気減速懸念が続き、安全資産のドルや低リスク通貨の円に対するユーロ売りが影響を及ぼしていた。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0707~1.0709ドル付近と、昨夜17時の1.0713~1.0715ドル付近の前東京終値比で約0.06セントのユーロ安ドル高だった。
なお、今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の8月の独消費者物価指数 (CPI) の改定値は、前年同月比と前月比ともに前回と市場予想一致の横ばいのインフレ高止まりであった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は184円15~21銭付近と、昨日17時の183円81~87銭付近の前東京終値比で約34銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE) のベイリー総裁や高官達の発言を受けて、英国利上げ長期化予想はやや減退したものの、エネルギー価格上昇によるインフレ圧もあり、今月の9月21日に予定されている英国中央銀行金融政策委員会 (MPC) では、目下の英国の高インフレ抑制のための利上げ継続の市場予想が燻っており、日銀の金利抑制の日本との日英金利差拡大予想が影響を及ぼしていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年9月8日の日本時間(JST)19時21分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時21分) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:21の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 147.35 〜 147.36 | -0.09 (円高) |
ユーロ/円 | 157.94 〜 157.96 | -0.18 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0700 〜 1.0702 | -0.0013 (ドル高) |
英ポンド/円 | 183.83 〜 183.89 | +0.02 (円安) |
スイスフラン/円 | 165.18 〜 165.24 | -0.18 (円高) |
豪ドル/円 | 94.24 〜 94.28 | +0.10 (円安) |
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