FXニュース:欧利上げ後の終了予想が浮上

2023年9月15日
FXニュース:欧利上げ後の終了予想が浮上

 

東西FXニュース – 2023年9月15日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米小売売上高が市場予想以上
  • 米卸売物価指数(PPI)も上昇
  • 米株高と原油高でインフレ圧
  • 米長期金利が4.3%台を記録
  • 日銀総裁発言の修正予想後退

今日2023年9月15日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の147円33銭前後から円の安値でドルの高値の147円80銭前後の値幅約47銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円73~74銭付近と、前営業日同時刻の昨日17時の147円28~29銭付近の前東京終値比で約45銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の欧州英国市場と昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の時間が重なる世界市場が活発な昨夜21時15分に、欧州中央銀行 (ECB) 理事会が0.25%の追加利上げを発表し、4.5%の高金利に達したことでは、発表時には一瞬ユーロが主要通貨に対して買われたものの、同時発表の声明文では今回で欧州利上げサイクルが最終到達点に近づいたことが示唆されたと市場では受け止められ、今回の追加利上げで史上高金利に達した欧州ユーロ圏の景気見通しの下方修正による欧州景気減速懸念もあり、欧州利上げ打ち止めの可能性から、欧州利上げ長期化予想が減退し、安全資産の欧州債買いで利回りが指標となる欧州長期金利の低下に伴う低リスク通貨の円買いとユーロ売りに転じた。

欧州中央銀行 (ECB) 理事会の声明文は、「今回の評価を踏まえて、欧州政策金利が十分に長期間維持されれば、欧州のインフレ率は目標に適時に戻るために十分と資する水準に達したと考えられる」と、欧州利上げ後の高金利がインフレ抑制に十分な最終到達レベルに近づいたことを示唆した。

また、欧州中央銀行 (ECB) 理事会は、今年度と来年と再来年の2023〜2025年の欧州ユーロ圏の成長率の見通しを下方修正して引き下げ、欧州景気の先行きの弱さを示したことで、市場では欧州利上げサイクル終了の可能性が注目されたユーロ売りの原因になった。

欧米債券市場では、欧州景気減速懸念の安全資産の欧州債買いによる債券価格の上昇と利回り低下の影響を受けて、米国債の債券価格も連動するように一瞬連れ高になったことで米国長期金利も一時4.222%付近に急落し、日米金利差縮小時の円買いドル売りも入ったが、米国ニューヨーク外国為替市場で昨夜21時半に発表された最新米国重要経済指標の数々が市場予想以上に堅調であったことから、米国長期金利は4.296%付近に反発したため、ドルは円相場で昨夜21時半頃に一時147円56銭付近に反発上昇し、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

昨夜21時半に発表された米国連邦準備制度理事会 (FRB) も注視している最新米国重要経済指標の8月の米国小売売上高の前月比は、前回の0.7%と市場予想の0.2%に対し0.6%で、自動車を除いたコア指数も前月の1.0%と市場予想の0.4%に対して0.6%と、前回からの低下を見込んでいた市場予想をいずれも上回り、同時発表だった8月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) も、前月比が前回の0.3%と市場予想の0.4%に対し0.7%に前回と市場予想以上に上昇し、前年同月比でも前回の0.8%と市場予想の1.2%に対し1.6%の上昇を見せた。

ただし、8月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) から、食品とエネルギーを除いたインフレ基調を見るコア指数の前月比は、前回の0.3%に対し市場予想通りの0.2%で、前年同月比でも前回の2.4%に対し市場予想通りの2.2%であったことでは、コモディティ市場で米国原油先物がおよそ10カ月ぶりの1バレル90ドル台に高騰していたこともあり、エネルギーの原油高による車社会の米国のインフレ要因として意識された。

同じく昨夜21時半に発表された米国雇用市場関連の前週分の米国新規失業保険申請件数は、前回の21.6万件と市場予想の22.5万件に対し22.0万件と前回よりはやや増加したものの市場予想よりも強く、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の167.9万人と市場予想の169.5万人に対し168.8万人と市場予想よりも堅調であった。

同時進行中だった欧州市場では、昨夜21時45分頃から欧州中央銀行 (ECB) 理事会の後の恒例のラガルド総裁の記者会見での発言があり、「欧州の金利がピークに達したかどうかについては、まだ答えられない」としており、今後の欧州利上げについては、今まで通りの「データ次第」としたものの、「欧州の景気は今後数カ月、低迷が続くであろう」と、欧州の経済成長に対するリスクについて言及したこともあり、欧州景気懸念が継続し、ユーロが世界的に流動性の高い安全資産のドルや低リスク通貨の円に売られたが、欧米債券利回りの影響で米国長期金利が再び一時低下した影響では、対ドル円相場では低リスク通貨の円が反発上昇し、深夜24時10分頃に一時147円1〜2銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、欧州利上げサイクルの終了が近づいたとの市場での受け止めからは、欧米株式市場が大幅に上昇し、米国ニューヨーク株式市場も堅調な米国経済指標を受けて、米国ダウ平均株価 (DJI) が前日比で一時400ドル以上も高騰したため、株高時のリスクオン (リスク選好) では、低リスク通貨の円が売られた影響や、一時低下した米国長期金利も米国景気の強さを背景に再び上昇したこともあり、日米金利差拡大時の円売りドル買いが入ったことでは、147円台中盤付近にドルが円相場で再上昇した。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の147円56銭前後から円の高値でドルの安値の147円1銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を147円47銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で、ほぼ横ばいレンジに近い約1銭の僅差の円安ドル高をつけていた。

今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場では、今週末の連休前の利益確定売りや持ち高調整とクロス円などの外貨からの影響の波及では、今朝9時11分頃に一時147円33銭付近の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、昨夜の市場予想以上に堅調な米国経済指標や原油高や株高を受けては、円売りに転じた。

また、今朝9時55分頃の日本市場の仲値決済でも、今日は日本の貿易企業の決算日が集中しやすい5と10が付く日の五十日で、日本の連休前でもあることから、輸入実需の円売りドル買い注文も入っていた。

今日の日本の東京外国為替市場は、欧米株式トレンドの影響もあって、日経平均株価が大幅に上昇し、日本株高時のリスクオン (リスク選好) 市場では、日本株安時のリスクオフ (リスク回避) で買われやすい国内安全資産の低リスク通貨の円売りドル買いが優勢になった。

また、見通しが下方修正された欧州景気先行き懸念と比較して、対照的に堅調な米国景気や、米国インフレ圧の原油先物高を受けて、米国長期金利が上昇したことでも、日米金利差拡大による円売りドル買いが入った。

午後には米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) が、先日の読売新聞で日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男総裁が、日銀のマイナス金利政策の早期修正の可能性を示唆したと市場で受け止められたインタビューについて、「日銀関係者内では、発言内容と市場の解釈との間のギャップを指摘する声が出ている」と報道し、来週の日銀金融政策決定会合では大規模緩和金融政策維持の市場予想が優勢になっており、日米金利差に加えての日米金利差拡大予想による円売りドル買いも入った。

ただし、来週の米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) と日銀金融政策決定会合を控え、パウエル議長や植田総裁の記者会見での発言予定のイベントがあるために、持ち高調整や様子見の抵抗の値動きも混ざった。

しかし、午後15時15分に今日の日経平均株価は3万3533円9銭の終値と、前日比で364円99銭高の大幅高で大引けした事による、株高時の低リスク通貨の円売りが強まった。

また、夕方の欧州英国市場の本格参入で米国長期金利が一時4.32%付近に向けて上昇したため、日米金利差による円売りドル買いの勢いが増し、午後16時19分頃には一時147円80銭付近の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は147円73~74銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の147円28~29銭付近の前東京終値比では約45銭の円安ドル高になった。

今夜この後にも最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時半に、 9月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数、8月の米国輸入物価指数、8月の米国輸出物価指数、22時15分に8月の米国鉱工業生産と8月の米国設備稼働率、そして、23時に市場注目度が高い 9月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値の発表予定などがある。

来週は、9月20日に米国、翌21日にスイスと英国、22日に日本の金融政策の発表イベントが続くイベント週であるために、週末を控えた持ち高調整に加えて、イベント前の持ち高調整や様子見なども入り始めている。

一方、前述の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円54~55銭付近と、前営業日同時刻の昨夜17時の158円10~11銭付近の前東京終値比で約56銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、昨夜の欧州中央銀行 (ECB) 理事会の利上げサイクルの終了が近い可能性が意識され、欧州長期金利低下に伴うユーロ売りや、欧州景気懸念が影響を及ぼした。

このため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0662~1.0664ドル付近と、昨夜17時の1.0733~1.0734ドル付近の前東京終値比で約0.70セントのユーロ安ドル高だった。

今日の午後15時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの8月の仏消費者物価指数 (CPI) の改定値は、前年同月比は前回と市場予想の4.8%に対し4.9%に上昇したが、前月比では前回と市場予想通りの1.0%であった。

なお、欧州景気懸念が続く中で、今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の7月の欧州貿易収支は、季調前と季調済の双方で前回よりも悪化していた。

今夜18時45分頃からは、欧州中央銀行 (ECB) 理事会のラガルド総裁の再発言も入っている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は183円65~71銭付近と、昨夜17時183円88~94銭付近の前東京終値比で約23銭の円高ポンド安であった。

主な要因には、欧州通貨の影響の波及があり、欧州利上げサイクルの終了が近づいたとの市場での受け止めが、対円や対ドルの英国ポンド売りにもつながっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年9月15日の日本時間(JST)19時27分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時27分) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 19:27の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 147.84 〜 147.85 +0.56 (円安)
ユーロ/円 157.65 〜 157.66 -0.45 (円高)
ユーロ/ドル 1.0661 〜 1.0663 -0.0072 (ドル高)
英ポンド/円 183.68 〜 183.74 -0.20 (円高)
スイスフラン/円 165.06 〜 165.12 +0.24 (円安)
豪ドル/円 95.39 〜 95.43 +0.68 (円安)


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