FXニュース:年内円安ドル高記録続伸
2023年9月28日東西FXニュース – 2023年9月28日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米長期金利4.6%台記録
- 日米金利差拡大のドル高
- 米耐久財受注が予想超え
- 米金融引締め長期化予想
- 日米金融政策差の円売り
- 株価と原油高の相場影響
- 米GDPとFRBの発言控え
今日2023年9月28日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の149円56銭前後から円の高値でドルの安値の149円20銭前後の値幅約36銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円30~31銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円2~3銭付近の前東京終値比で約28銭の円安ドル高であった。
また、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、今朝未明の午前3時台に一時149円70〜71銭付近の昨年2022年11月24日以来の今年最大の円安ドル高の記録を続伸した。
今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の英国ロンドン外国為替市場でも、この時点での今年最大の円安ドル高記録を続伸していたが、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場では、昨夜21時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の発言があり、米国のインフレ率を目標の2%にするためには、まだ十分な利上げを進めたとは断言できないと、年内の追加利上げの可能性と来年の高金利の据え置きも示唆したことで、米国の金融引き締め長期化予想が強まり、金利抑制の大規模緩和金融政策継続の日本との日米の金融政策の違いによる円売りドル買いが入っていた。
そこに、昨夜21時半に発表された最新米国経済指標の8月の米国耐久財受が、前月比の前回にマイナス圏だった-5.2%と前回修正の-5.6%と市場予想の-0.5%に対し、市場予想を上回るプラス圏の0.2%に上昇し、堅調な米国景気を背景とした米国利上げ長期化予想が高まり、米国金利の先高感から米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いも入り始めた。
さらに、米国内のニュースで、車社会の米国で原油先物価格上昇の影響によるインフレ圧が意識されたことや、最近の米国内のストライキ拡大を受けた賃金インフレ圧によるインフレ抑制のための米国追加利上げ予想や、今月末までに米国政府の新年度予算案が成立しない場合に一部の米国政府機関の閉鎖リスクの可能性を受けて、一部の大手格付け会社が政府機関の閉鎖時には米国の格下げも検討との話題もあったことで、午前2時の米国5年債の入札に絡む他の米国債売りによる債券価格低下に伴う利回りの上昇が起きていたこともあり、そこに月末要因のドルの買い戻しなどや、前述の堅調な米国経済を背景とした米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国利上げ長期化予想による米国政策金利の先高感も加わっていたことで、米国長期金利の上昇が続いた。
米国長期金利の上昇が続き、一時4.64%付近の2007年10月以来の高利回りを記録したことで、円安要因の日米金利差拡大による円売りドル買いの勢いが増し、午前3時台には、3時12〜13分頃と18分頃に、テクニカル分析的な毛抜き天井のダブルトップをチャートに描くような形の高値圏への数回ヒットで、一時149円70〜71銭付近の昨年2022年以来の今年最大の円安ドル高記録を続伸した。
米国長期金利が記録的な上昇を見せたことで、欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨に対するドル買いの影響も円相場に波及していたが、主要通貨全般に対するドルの強さを示す米国インターコンチネンタル取引所 (ICE) のドルインデックス (ドル指数 / U.S. Dollar Index) も、一時106.84付近の昨年2022年11月30日以来の高値を記録していた。
ただし、昨年2022年10月24日に記録の一時149円71銭付近のドルの高値と並んだ今年の円安ドル高記録を続伸後のドルには、高値圏からのドルの利益確定売りや、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の為替介入警戒感などによる安値圏からの円の持ち高調整などの抵抗が入り始めた。
テクニカル分析的にも、日本語で毛抜き天井と呼ばれる英語圏のダブルトップをチャートに描いた後には売りサインと受け止められたが、その値動きの一因には、同時進行だった米国ニューヨーク株式市場で、米国政策金利の先高感による米国主要企業の決算と株価への影響の警戒感による一部のリスク回避 (リスクオフ) の米国株売りによる、米国株価下落時の低リスク通貨の円買いが起きていたことも為替相場に影響を及ぼしていた。
ただし、米国原油先物価格が一時1バレル94ドル台と昨年2022年8月以来の高値を記録し、車社会の米国のインフレ圧の一方で、島国で輸送コストのかかる日本の貿易赤字リスクも増えたことでは、米国市場では低リスク通貨の円買い抵抗は限られていた。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の149円15銭前後から円の安値でドルの高値の149円71銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を149円63銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約56銭の円安ドル高をつけており、米国市場では4営業日連続のドルの続伸となった。
今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場でも、今朝10時半頃に時間外の米国債市場で米国10年債の利回りが4.62%台の高水準で、日米金利差拡大による円売りドル買いの継続では一時149円56銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、日本時間の今朝の取引では、米国原油先物相場が一時1バレル95ドル台に高騰を続け、原油高による日本の貿易赤字拡大懸念も、今日の円売りドル買いの一因となった。
しかし、今朝も日本政府の鈴木俊一財務相が、今朝未明の米国市場で今年の円安ドル高記録を続伸した最近の円安の為替相場について、「過度な変動 (ボラティリティ) は好ましくなく、過度な変動があれば、あらゆる選択肢を排除することなく、適切な対応をとる」と、為替介入警戒感を高める円安牽制発言を繰り返した。
日本市場では、149円台後半の150円台の手前では、日本政府と日本銀行の円買い為替介入の現実感が増したことで警戒感が強まり、時間外の米国債券市場でも米国長期金利が午前10時35分頃の4.622%付近から一旦下げ始め、午後14時台に一時4.591%付近まで低下したことでは円の買い戻しが続いたが、その後に米国長期金利が反発と再上昇を始めたことでは、欧州市場の参入も相まってドルの買い戻しも混ざった。
ただし、今日の日本の東京株式市場では日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が大幅に下落し、午後15時15分に3万1872円52銭の終値と、前日比499円38銭安の大幅安で大引けしたことでは、日本市場では日本株安時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが強まり、午後16時21分頃に一時149円20銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
一方で、米国長期金利が再上昇を始めたことでは、夕方から本格参入の英国ロンドン外国為替市場では、再び日米金利差拡大による円売りドル買いも入った。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は149円30~31銭付近で、前営業日同時刻の昨夜17時の149円2~3銭付近の前東京終値比では約28銭の円安ドル高になった。
なお、今夜18時29分頃には、米国長期金利は一時4.645%にも上昇の記録を見せている。
今夜この後には、最新の米国重要経済指標の発表予定や、市場の注目度が高い米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長などの高官達の発言予定や米国債入札予定などがあり、日本時間の今夜の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時半に4〜6月の第2四半期の米国実質国内総生産 (GDP) 、米国GDP個人消費と米国個人消費支出 (PCE) コア価格指数 (通称:米PCEコア) 、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数が同時発表され、22時に米国シカゴ連銀のグールズビー総裁の発言予定と、23時に8月の米国住宅販売保留指数、26時に米国7年債の入札予定と、26時頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクック理事の発言と、続いて29時頃からパウエル議長の発言予定があり、以上のFRB高官達は全員が次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 投票権を持っており、四半期末の月末を控えた市場の値動きに加えて、最新の米国経済指標のデータやFRB発言が注目されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は156円88~90銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の157円44~46銭付近と比較すると約56銭の円高ユーロ安であった。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0506 – 1.0508ドル付近で、前営業日同時刻の昨夜17時1.0564~1.0566ドル付近の前東京終値比では約0.58セントのユーロ安ドル高だった。
主な要因は、欧州景気懸念によるユーロ売りで、比較的に堅調な景気の米国の世界的に流動性が高い安全資産のドル買いや、世界最大の対外純資産を持つ日本の低リスク通貨の円買いが継続した。
今夜18時の欧州市場で発表された欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の9月の欧州消費者信頼感の確定値も、前回と市場予想通りの-17.8のマイナス圏での横ばいで、同時発表だった9月の欧州経済信頼感は前回の93.3と前回修正の93.6と市場予想の92.5に対し市場予想以下の93.3であった。
ただし、今夜21時には欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の9月の独消費者物価指数 (CPI) の速報値の発表予定があることでは、持ち高調整も混ざっている。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は181円42~48銭付近と、前営業日同時刻の昨夜17時の180円96銭~181円2銭付近の前東京終値比で約46銭の円安ポンド高であった。
主な原因は、欧州景気懸念の影響や英国政策金利の据え置き後の英国利上げ終了時期の市場予想と米国長期金利上昇時の英米金利差予想によるポンド売りドル買いなどで、他の主要通貨であるドルに対するポンド売りの影響は円相場への値動きに影響を及ぼしていたものの、対ドルの円相場が年内最大の円安ドル高の記録を続伸したことでは、基軸通貨のドルに対する円安圧が、他の主要通貨である英国ポンドにも波及する抵抗も見られた。
また、英国通貨も既に高金利である点では日英金利差トレードや、今日は月末を控えた世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場で英国ポンドの買い戻しなども影響を与えており、今夜の東京終値では前東京終値比で円安ポンド高になっており、今夜19時台の英国ロンドン外国為替市場でも円安ポンド高が進行している。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年9月28日の日本時間(JST)19時22分(チャート画像の時間帯は英国ロンドン外国為替市場時間の夏時間 (GMT+1 / BST) 11時22分) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:22の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 149.25 〜 149.26 | +0.23 (円安) |
ユーロ/円 | 157.24 〜 157.26 | -0.20 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0534 〜 1.0536 | -0.0030 (ドル高) |
英ポンド/円 | 181.94 〜 182.00 | +0.98 (円安) |
スイスフラン/円 | 162.66 〜 162.72 | +0.05 (円安) |
豪ドル/円 | 95.28 - 95.32 | +0.24 (円安) |
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