FXニュース:米CPIが市場予想を上回る
2023年10月13日東西FXニュース – 2023年10月13日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米利上げ長期化予想が再燃
- 米長期金利上昇時のドル高
- 日経平均下落時の円買いも
今日2023年10月13日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の149円84銭前後から円の高値でドルの安値の149円57銭前後の値幅約27銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円64~65銭付近で、昨夜17時の前東京終値の149円16~17銭付近と比較すると約48銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で、昨夜21時半に発表された最新米国重要経済指標の9月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) が、前月比では前回の0.6%と市場予想の0.3%に対し0.4%と前回よりはやや鈍化を示したものの市場予想を上回り、前年同月比では前回の3.7%と市場予想の3.6%に対し3.7%と市場予想以上に根強い米国インフレの高止まりを示したことで、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が重視する最新データの予想比上振れにより、米国金融引き締め長期化予想が再び高まり、主要通貨に対してドルが買われ、発表前は一時149円1銭付近だったドルは発表を受けて円相場で149円台中盤から後半に向けた上昇を始めた。
9月の米国消費者物価指数 (CPI) のコア指数は、前月比が前回と市場予想通りの0.3%の横ばいで、前年同月比は前回の4.3%に対し市場予想一致の4.1%であったものの、気候条件で変動の激しい生鮮食品やエネルギーを除き物価基調を測るコアが市場予想の範囲内であっても、最近の米国内でのストライキ拡大を受けた今後の賃金インフレの影響への警戒感や、今月の中東情勢の悪化を受けた今後の原油価格の値上がりへの懸念などもあったため、一時は鈍化が見込まれていた米国インフレの根強さが改めて意識されたことでは、米国利上げ長期化予想が再燃し、米国長期金利が上昇に伴うドル買いが続いた。
同時発表だった米国雇用市場関連の最新米国経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数も前回の20.7万件と前回修正の20.9万件と市場予想の21.0万件に対し20.9万件と市場予想よりは堅調で、前週分の米国失業保険継続受給者数は前回の166.4万人と前回修正の167.2万人と市場予想の168.0万人に対し170.2万人とやや弱かったものの、総合的には米国雇用市場も堅調さを保っていることから、今後の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) における米国利上げ長期化予想の抵抗要因になるとは市場では受け止められず、米国金利の先高感から米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇を続け、日米金利差拡大による円売りドル買いに加えて、欧州ユーロなどの主要通貨に対してもドル高を記録した影響も円相場に波及した。
一方、同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では、企業への貸付ローンなどの金利上昇への決算への影響の警戒感によるリスク回避のリスクオフの株売りで米国主要株価三指数が下落を示したことでは、ドルから買える低リスク通貨の円買いはやや抵抗要因となったため、やや横ばいに近いに値動きも一時は混ざった。
しかし、同じく同時進行していた米国ニューヨーク債券市場では、午前2時に米国30年債の入札があり、低調な結果を受けた債券価格低下に伴う利回り上昇の影響が、他の米国長期債にも波及したため、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時の4.6%台から4.7%台に向けた上昇を見せ、かねてからの円安要因である日米金利差拡大による円売りドル買いが優勢になり、ドルは円相場に対して上昇を続け、他の主要通貨に対しても一時はドルが全面高を記録したため、午前4時頃に一時149円83銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録し、その後にも16分間ほど149円82〜83銭付近の高止まりを示した。
また、欧州ユーロなどを含めた主要通貨全般に対するドルの強さを示すドルインデックスも、一時106.60付近に上昇していた。
午前5時頃には、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言もあり、米国ボストン連銀のコリンズ総裁が、最近の米国経済について講演し、「この米国経済の底堅さこそが、米国政策金利を高金利のまま、長期間とどめる必要がありそうな理由の一つ」と述べており、米国金融引き締め長期化予想が継続していた。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の149円1銭前後から円の安値でドルの高値の149円83銭前後の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値を149円81銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約64銭の円安ドル高をつけていた。
今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場でも、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米国の政策金利や金融政策を決める米国連邦公開市場委員会 (FOMC) で重視することで知られている「今後の利上げはデータ次第」の最新「データ」の1つである米国消費者物価指数 (CPI) に市場予想を上回るデータがあったことを受けた日米金利差拡大予想による円売りドル買いが入り、今朝9時55分の日本市場の仲値決済での日本企業の輸入実需による円売りドル買いも相まって、今朝9時55分頃に一時149円83〜84銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、日本市場では、輸出企業による円買いドル売りの抵抗や、150円台の手前付近からは日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の為替介入への警戒感による早期の利益確定や持ち高調整が入りやすくなり、日本の主要貿易先である米国株式市場が昨夜の米国金利上昇への警戒感から下落した影響もあって、今日の日本の東京株式市場で日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が下落したため、日本株安時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円買い抵抗が強まり、午後14時15分頃に一時149円57銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
日本市場時間の円相場でのドルの市場安値後には、日米金利差拡大予想によるドルの買い戻しが入ったが、午後からの欧州英国市場の参入では、中東情勢懸念のリスク回避などもあり、世界的な安全資産でもある米国債買いの影響もあって、債券価格上昇に伴う利回り低下で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が今朝の一時4.7%台から再び4.6%台に低下しており、この時間の円相場でのドルの買い戻し幅は、今朝の円相場でのドルの高値以下の範囲内に限られた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は149円64~65銭付近と、昨夜17時の149円16~17銭付近の前東京終値比較で約48銭の円安ドル高になった。
今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定や、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定があるが、米国株式市場に向けた米国主要企業の決算報告予定も注目されており、日本時間の今夜の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜20時頃に米国大手金融のJPモルガン・チェース (JPM) の決算報告、9月の米国輸入物価指数と米国輸出物価指数、22時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言予定、22時頃に米国シティグループ (C) の決算報告予定、そして23時頃に10月の米国ミシガン大学消費者信頼感指数の速報値が発表される予定である。
また、欧州ユーロ関連では、今夜22時頃から欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会のラガルド総裁の要人発言予定も注目されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円92〜94銭付近で、昨夜17時の158円43〜44銭付近の前東京終値と比較すると約51銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、先述の米国消費者物価指数 (CPI) を受けた米国金融引き締め長期化予想によるユーロ売りドル買いによるユーロ安の影響の波及や、今日の日経平均株価の大幅下落を受けたリスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円が買われてリスク市場に弱い欧州ユーロが売られていた。
このため、ユーロドルも今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0552~1.0554ドル付近で、昨夜17時の1.0620~1.0622ドル付近の前東京終値比で約0.68セントのユーロ安ドル高であった。
また、今日の午後15時45分頃に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標の9月の欧州消費者物価指数 (CPI) の改定値は、前月比が前回と市場予想通りの-0.5%の横ばいで、前年同月比も前回と市場予想一致の4.9%の横ばいと、昨夜の9月の米国消費者物価指数 (CPI) と比較すると、市場予想を超えるようなサプライズ感はなかった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は182円72〜78銭付近と、昨日17時の183円38〜44銭付近の前東京終値比で約66銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、欧州通貨同様にリスク回避市場に弱いと考えられている英国ポンドも、今日の午後15時15分に日経平均株価が3万2315円99銭の終値と、前日比で178円67銭安の大幅安で大引けしており、日本株安時の低リスク通貨の円買いのリスクオフで売られていた。
今夜17時頃から英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のベイリー総裁の発言があり、先月に金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) が5対4の僅差で英国政策金利の据え置きを決定したことについて、「今後の金利決定は引き続き厳しいものになるだろう」と発言した。将来の金利決定に向けての選択肢は、残しておくことを強調していた他の関係者達の最近の意見に同調していた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年10月13日の日本時間(JST)19時25分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で8時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の夏時間 (GMT+1 / BST / JST-8) 11時25分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 19:25の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 149.62 〜 149.63 | +0.46 (円安) |
ユーロ/円 | 157.44 〜 157.46 | -0.99 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0522 〜 1.0523 | -0.0098 (ドル高) |
英ポンド/円 | 182.31 〜 182.37 | -1.07 (円高) |
スイスフラン/円 | 164.82 〜 164.88 | -0.64 (円高) |
豪ドル/円 | 94.39 〜 94.43 | -1.19 (円高) |
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