FXニュース:今夜米消費者物価指数発表
2023年11月14日東西FXニュース – 2023年11月14日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 年内円安後の為替介入警戒
- ドル円2022年記録に迫る
- 1990年以来の円安目前で
- ユーロ円は年内円安再更新
今日2023年11月14日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の151円79銭前後から円の高値でドルの安値の151円57銭前後の値幅約22銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は151円62~63銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の151円74~75銭付近の前東京終値比で約12銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、欧州主要株価の上昇を受けたリスク選好のリスクオン市場で低リスク通貨の日本円が売られて欧州ユーロが買われやすくなっており、ドルも円相場で151円台後半の高値圏で推移していた。
続いて昨夜22時頃から始まった今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、今夜この後の翌米国市場で米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国の新政策金利や金融政策を決める上で重視していることが知られている米国のインフレ指標の最新米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表予定を控えており、市場では先週末の米国ミシガン大学の11月の米国消費者調査で1年先の予想インフレ率が前月から上昇し4.4%と4月以来の高水準であったことから、米国の高インフレ警戒感から米国政策金利が高金利で長期間維持されるとの市場予想が強く、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が4.69%台に上昇し、対照的に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) は金利抑制の大規模緩和金融政策を粘り強く継続する市場予想が優勢で、日米金利差拡大と日米金利差拡大予想による円売りドル買いが先行し、ドルは円相場で昨夜23時50分頃に一時151円91銭付近の昨年2022年10月以来の今年最大の円安ドル高の記録を更新した。
しかし、2022年10月21日に記録した1990年以来の151円95銭の歴史的な円安ドル高の記録に近づいたため、市場では日本政府と日本銀行による為替介入警戒感が急激に高まり、まとまった利益確定売りや持ち高調整が急速に進んだことでは、高値後のドルが円相場で一時急落し、深夜24時7分頃に一時151円20銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
同じく深夜過ぎには、昨夜22時50分頃から始まった米国連邦巡撫制度理事会 (FRB) のクック理事の発言は、米国金融政策についての言及がないまま終わったとのFXニュース速報も流れ、一部のタカ派発言期待で買われたドルも利益確定売りの対象になったことも一時急落の値動きに影響を与えていた。
一時急落後のドルにはすぐに買い戻しが始まったものの、今朝未明に米国ニューヨーク連邦準備銀行が発表した10月の米国消費者調査では、1年先の期待インフレ率が前回の3.7から3.6%に鈍化し、3年先は前回と同じ3.0%の横ばいであったが、5年先も前回の2.8%から2.7%に鈍化していたことから、先週末の米国ミシガン大学の統計との強弱入り混じる市場予想により、今夜この後のより重要度の高い米国消費者物価指数 (CPI) の発表イベントが注視され、持ち高調整や結果が分かるまでのイベントリスクによるドルの買い控えなどの抵抗が入り始めていたため、ドル円の買い戻し幅は151円79銭付近までに限られた。
また、午前4時の最新米国経済指標の10月の米国月次財政収支が、前回の-1710億ドルと市場予想の-300億ドルに対し-666億ドルと、前回よりは赤字額が改善したものの市場予想を下回ったこともドルの買い戻し幅の抵抗に影響を及ぼしたほか、同時進行だった米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の中では米国ダウ工業株30種 (DJI / Dow Jones Industrial Average) は続伸したものの、米国政策金利の先高感への警戒感などもあり、米国S&P500種 (SPX / S&P500 / Standard & Poor’s 500 Index) と米国ナスダック (IXIC / NASDAQ Composite / National Association of Securities Dealers Automated Quotations Composite) が前日比で下落したため、安全資産の米国債買いに伴う利回り低下の影響で米国長期金利が一時4.629%低下し、低リスク通貨の円が買われたことも抵抗の一因となっていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の151円91銭前後から円の高値でドルの安値の151円20銭前後の値動きで、今朝7時頃の冬時間のニューヨーク終値を151円72銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約20銭の円安ドル高をつけていた。
今朝9時頃からの日本の東京外国為替市場では、昨夜から今朝までの米国市場で今年最大の一時151円91銭付近の円安ドル高記録を再更新し、今朝の日本の報道では日系銀行のスプレッドのレートで一時151円92銭付近の円安ドル高を記録したとも伝えられており、2022年10月記録の1990年以来の歴史的な円安ドル高までわずか数銭差という円安ドル高進行後の一時急反落という荒い値動きによる為替介入警戒感が高まり、今朝9時頃にドル円は一時151円65銭付近にやや円買いされて始まった。
今朝の国内ニュースでも、日本政府の鈴木俊一財務相が円安進行について、「為替相場は、ファンダメンタルズ (経済の基礎的条件) を反映し、安定的に推移することが重要で、過度な変動(英:ボラティリティ / 米:ボラティリティー / Volatility)は望ましくない」と、為替介入を警戒させる口先介入を繰り返した。
日本市場では為替介入のトリガーになると考えられている急激なボラティリティ (価格変動) に注意した取引が始まったため比較的小幅な値動きになったが、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があり、今朝9時52分頃に一時151円79銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
続いて、日本企業の円買いドル売りや、急激なボラティリティに注意した小幅な為替介入警戒の利益確定や持ち高調整が緩やかに入っていったが、今日の日経平均株価 (Nikkei 225 / JP225) が大幅に上昇したことでは、低リスク通貨の円売りの抵抗が入ったが、為替介入警戒感の高まっていたドルよりもリスクオン市場に強い欧州ユーロなどが買われていた。
今夜この後の米国消費者物価指数 (CPI) 発表前のドルのイベントリスクのドルの持ち高調整や買い控えなどの影響もあり、安全資産の米国債買いの影響で債券価格上昇に伴う利回り低下の影響で、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.60%台に向けた低下を見せたこともあり、欧州英国市場参入後の16時53分にドルは円相場で一時151円57銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録し、その後のドルの買い戻し幅も今夜のイベント前のために限られていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は151円62~63銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の151円74~75銭付近の前東京終値と比較すると約12銭の円高ドル安になっていた。
なお、今夜19時半頃からは米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェファーソン副議長の発言があり、「米国のインフレ持続性に関する不確実性は、それ以外の場合よりも強力な政策対応を必要とする可能性がある」と指摘し、市場では今夜この後の最新米国インフレ指標の10月の米国消費者物価指数 (CPI) に注目が集まっている。
今夜この後の日本時間の経済指標カレンダーの予定では、今夜22時半に注目の最新米国重要経済指標の10月の米国消費者物価指数 (CPI) とコア指数が発表される予定で、同じく22時頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国リッチモンド連銀バーキン総裁の発言予定と、深夜24時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つFRBのバー副議長の発言予定と、26時45分頃から同じくFOMC投票権を持つFRB高官の米国シカゴ連銀のグールズビー総裁の発言予定なども控えている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は162円33〜34銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の162円25〜26銭付近の前東京終値比で約8銭の円安ユーロ高であった。
また、今夜19時台の英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロが対ドルで上昇した影響もあり、ユーロは円相場で一時162円76銭付近の2008年8月以来の今年最大の円安ユーロ高の記録を続伸している。
主な要因は、今夜19時に発表された欧州ユーロ圏の最新重要経済指標の7〜9月の第3四半期の欧州域内総生産 (GDP) の改定値は、前期比-0.1%と前年同期比0.1%の前回からの横ばいで市場予想通りであったが、同時発表の欧州経済指標の欧州ユーロ圏総合の11月の欧州ZEW景況感調査が前回の2.3から13.8に大幅上昇し、主要国ドイツの11月の独ZEW景況感調査の期待指数も前回の-1.1と市場予想の5.0に対し9.8と前回と市場予想以上に上昇したことなどで、欧州景気懸念緩和による主要通貨に対するユーロ買いに影響を及ぼした。
このため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0705〜1.0706ドル付近で、昨夜17時1.0691〜1.0693ドル付近の前東京終値で約0.14セントのユーロ高ドル安だった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンドの円相場の終値は186円41〜47銭付近で、昨夜17時の185円61〜67銭付近の前東京終値比で約80銭の円安ポンド高であった。
昨夜に英国のスナク首相が、英国の欧州離脱後に退陣した元首相のキャメロン外相を敗者復活のサプライズ起用したニュースも為替相場に英国ポンド買いの影響を及ぼしていたが、主な要因は、今日の夕方16時に発表された最新英国経済指標の10月の英国失業保険申請件数が前回の2.04万件から1.78万件に改善し、10月の英国失業率は前回と横ばいの4.0%であったが、同時発表だったILO方式の9月の英国失業率が市場予想の4.3%に対し前回と同じ4.2%と市場予想よりも強かったことが、英国景気懸念緩和による英国ポンド買いの影響を及ぼした。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年11月14日の日本時間(JST)20時31分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の午前11時31分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:31の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 151.71 〜 151.72 | −0.03 (円高) |
ユーロ/円 | 162.63 〜 162.64 | +0.38 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0718 〜 1.0719 | +0.0027 (ドル安) |
英ポンド/円 | 186.39 〜 186.45 | +0.78 (円安) |
スイスフラン/円 | 168.17 〜 168.23 | −0.10 (円高) |
豪ドル/円 | 96.61 〜 96.65 | −0.08 (円高) |
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