FXニュース:米景気先行指標が想定以下

2023年11月21日
FXニュース:米景気先行指標が想定以下

 

東西FXニュース – 2023年11月21日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米利上げサイクル終了予想
  • 日米金利差縮小円高ドル安
  • 米株高リスク選好ドル売り
  • 日米の祝日控え持ち高調整
  • 日経平均株価低下の円買い
  • 8月以来のユーロ高ドル安
  • 英国利下げ時期の市場予想

今日2023年11月21日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の148円42銭前後から円の高値でドルの安値の147円24銭前後の値幅約1円18銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円55~56銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の148円95~96銭付近の前東京終値比で約1円40銭の大幅な円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、先週に相次いで発表された米国のインフレ鈍化を示す米国経済指標を受けて、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が来月に予定されている次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) での米国政策金利据え置き予想と米国利上げサイクル終了予想が優勢で、米国長期金利が一時4.45%台付近に向けて低下し、日米金利差縮小と日米金利差縮小予想の円買いドル売りや利益確定と持ち高調整が続き、ドルは円相場で昨夜20時36〜37分頃に一時148円10銭付近と、昨日の世界FX市場の日通しの円の高値でドルの安値を記録し、10月3日以来の円高ドル安の進行が市場の話題になっていた。

また、先週金曜日に米国の先物取引やオプション取引全般を規制する米国政府機関の米国商品先物取引委員会(CFTC / Commodity Futures Trading Commission)が発表した先週11月14日付けの未決済ポジションの建玉報告では、北米最大の金融・商品のデリバティブ取引所の米国シカゴ・マーカンタイル取引所(CME / Chicago Mercantile Exchange)の通貨先物市場で、非商業部門の投機筋の対ドルの円の持ち高は売りと買いの差し引きで13万249枚の売り越しのドル円のロングの大きさが、2017年11月以来の規模であったこともニュースで話題になっており、今週の米国の感謝祭 (Thanksgiving Day) のホリデー・シーズンを前にした利益確定や持ち高調整を見込んだ円買いドル売りも進んでいた。

昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場では、米国ニューヨーク株式市場で米国の金利上昇警戒感の緩和により、米国主要株価三指数が続伸の上昇を始めたため、リスク選好のリスクオンの安全資産の米国債売りで、債券価格低下に伴う利回り上昇の影響から米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.489%付近に向けて反発したことでは、昨夜23時21分頃に一時148円69銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、深夜24時に発表された最新米国経済指標の10月の米国景気先行指標総合指数の前月比が、前回と市場予想の-0.7%に対して-0.8%に低下し、前月と市場予想を下回ったことから、米国景気懸念も米国利上げの抵抗要因となることから、米国長期金利の4.47%台への低下も伴う円買いドル売りが再び進行した。

ただし、午前2時頃からは次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言があり、「米国経済は、依然として成長している。米国失業率はまだ3.9%と堅調で、米国インフレは落ち着きつつあり、これらは全て良いことだ」としたものの、FRBが目標とする2%のインフレ目標にはまだ達していないことなどから、米国インフレの根強さも指摘しており、「我々の仕事はまだ終わってはおらず、成し遂げるまでは続けなくてはならない」と発言し、ソフトランディング (軟着陸) についても、「どこに着地するかを、見極めることになる」と言及しており、発言を受けてはややドル買い戻しの抵抗も混ざっていた。

一方、米国ニューヨーク債券市場では、午前3時の米国20年債入札が好調で、米国債買いによる債券価格上昇に伴う利回り低下の影響が他の米国債にも波及し、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.41%台に急落したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りの勢いが増し、米長期金利低下時には他の主要通貨に対してもドルが売られたことから、午前3時3分頃にドルは円相場で一時148円14銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

米国市場では、今週は23日木曜日の感謝祭の祝日のホリデーや、24日の金曜日のブラック・フライデー (Black Friday) のクリスマス・ショッピング・シーズンの開始を控えており、利益確定や持ち高調整などのポジション決済が進む一方で、市場安値後のドル買いの新規ポジション注文の抵抗は限られていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の148円69銭前後から円の高値でドルの安値の148円14銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値は148円39銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円24銭の円高ドル安をつけていた。

続いて、今朝9時頃から始まった今日の日本市場の東京外国為替市場でも、今週23日の米国感謝祭と同日に勤労感謝の日の日本の祝日も重なることもあり、米国利上げ終了予想やその後の利下げ時期に関する市場予想を受けた日米金利差縮小予想や持ち高調整の円買いドル売りの円高ドル安トレンドが継続したため、今朝9時5分頃の一時148円42銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、その後には円相場が続伸した。

今朝9時55分の日本市場の仲値決済も、今週は日米の祝日を控えているために米国が主要取引先の日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要は弱く、輸出企業の円買いや投資系のロングポジションの持ち高調整などの円の買い戻しなどが優勢であった。

また、日本市場と時間帯が近いアジア市場では、中国の中央銀行にあたる中国人民銀行 (PBoC / The People’s Bank of China) が、今日の対ドルの中国人民元の売買基準値を前日比で元高ドル安に設定した影響が波及し、円相場でもドル安が進んだほか、欧州ユーロに対してもドル安圧が波及していた。

今朝早朝には一時4.42%台付近に回復していた時間外の米国債市場の米国長期金利が、再び低下し、午後2時台の一時4.389%付近に向けて低下していたことも、日米金利差縮小時の円買いドル売りを継続させていたため、その直前の午後13時31分頃にはドルは円相場で一時147円24銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録していた。

市場高値後の円には利益確定売りや、市場安値後のドル買いの抵抗もやや入ったものの、午後15時15分には今日の日経平均株価 (Nikkei 225 / JP 225) が3万3354円14銭の終値と、前日比33円89銭安の小幅安で大引けしたため、国内第一安全資産の低リスク通貨の円の買い戻しも入った。

夕方からの欧州英国市場の本格参入では、再び円買いドル売りが再開したが、その途中で日本市場17時の東京終値を迎えた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は147円55~56銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の148円95~96銭付近の前東京終値比で約1円40銭の大幅な円高ドル安になった。

また、今夜17時32分頃の英国ロンドン外国為替市場では、ドルは円相場で一時147円15銭付近の日通しの円の高値でドルの安値を更新したが、米国長期金利が低下後の反発を見せ、4.2%台付近に向けて下げ幅を戻し始めたため、その後の20時台にはドルも円相場でやや反発している。

今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定や前回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨の公表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、深夜24時に10月の米国中古住宅販売件数、28時に前回10月31日〜11月1日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨公表予定、そして今夜の米国ニューヨーク株式市場の株引け後の明日の時間になるが、今年の値上がり率が話題になった米国エヌビディア (NVDA / Nvidia) の決算報告予定なども控えている。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は161円64〜65銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の162円61〜63銭付近の前東京終値比で約97銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、昨日に続き、基軸通貨で主要通貨のドルに対する大幅な円高ドル安の影響が、他の主要通貨である欧州ユーロに対する円相場にも円高として波及していた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0954〜1.0955ドル付近で、昨夜17時の1.0914〜1.0918ドル付近の前東京終値で約0.40セントのユーロ高ドル安だった。

主な要因は、昨夜の東西FXニュースでもお伝えした通り、前日の欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのドイツ連銀のナーゲル総裁の発言を受けて、欧州早期利下げ予想が牽制された一方で、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国政策金利の据え置き後の米国利上げ終了と利下げ転換時期に関する市場予想が浮上していたことなどが引き続き影響を及ぼしており、一時は今年8月以来のユーロ高ドル安も記録していた。

ただし、今夜この後の25時 (午前1時) には、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会のラガルド総裁の発言予定を控えていることには、注意が必要である。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンドの円相場の終値は184円73〜79銭付近で、昨夜17時の185円79〜85銭付近の前東京終値比で約1円6銭の大幅な円高ポンド安であった。

主な要因は、前日同様に欧州ユーロやドルなどの主要通貨に対する円高圧の影響が、他の主要通貨であり、欧州ユーロと連動しやすい英国ポンドに波及したほか、最近の英国インフレ鈍化や英国景気懸念の英ポンド売りの影響が継続した。

ただし、昨夜の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) のベイリー総裁の発言では、英国の利下げ時期について今考えることについて、「時期尚早」としており、今後のデータで英国のインフレが想定以上に根強い兆候が見られれば、再び利上げしなくてはいけなくなる可能性もあると指摘し、「英国インフレが高水準にある時は、リスクは冒さない」と発言していたため、今夜の英国市場ではその後の下げ幅を英国ポンドは円相場でやや縮めてはいるが、一方で来年の英国利下げ時期に関する市場予想が出ている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年11月21日の日本時間(JST)20時30分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の午前11時30分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:30の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 147.68 〜 147.70 -1.27 (円高)
ユーロ/円 161.60 〜 161.61 -1.01 (円高)
ユーロ/ドル 1.0941 〜 1.0942 +0.0027 (ドル安)
英ポンド/円 185.07 〜 185.13 -0.72 (円高)
スイスフラン/円 167.02 〜 167.08 -1.39 (円高)
豪ドル/円 96.97 〜 97.01 -0.64 (円高)


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