FXニュース:今夜欧英新政策金利発表控え
2023年12月14日東西FXニュース – 2023年12月14日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米インフレ鈍化金利据え置き
- 米FRB来年3回の利下げ予想
- 来年末ドットチャート4.6%に
- 米長期金利低下で金利差縮小
- スイス中銀も金利を据え置き
- 主要通貨に対し一時全面円高
今日2023年12月14日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の142円92銭前後から円の高値でドルの安値の140円95銭前後の値幅約1円97銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円3~5銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の145円80~81銭付近の前東京終値比で約3円77銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、昨夜22時20分頃にドルは円相場で一時145円72銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録していたが、昨夜22時半に発表された11月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) が発表され、前月比は前回の-0.5%が-0.4%に下方修正されたことに加えて市場予想の0.1%に対して0.0%と市場予想よりも鈍化を示し、前年同月比も前回の1.3%が1.2%に下方修正された上で市場予想の1.0%に対し0.9%に低下し、食品とエネルギーを除いた物価基調のコアPPI指数も、前月比が市場予想の0.2%に対し前回と横ばいの0.0%で、前年同月比では前回の2.4%と前回下方修正の2.3%と市場予想の2.2%を下回る2.0%に米国インフレ鈍化が継続したことで、主要通貨に対してドルが売られ始めた。
続いて、日本時間の午前4時に今月12月12〜13日に開催された今年最後の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の米国新政策金利と金融政策の発表イベントがあり、米国インフレ鈍化継続などを受けて、米国政策金利の据え置きが決定され、現状の5.25-5.50%で維持され、市場で優勢だった市場予想通りではあったものの、一部のタカ派予想が後退し、主要通貨に対するドル売りの勢いが増した。
米国ニューヨーク債券市場では、米国債の価格が急騰すると共に、債券価格上昇に伴う利回り低下の影響で、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が大幅に急落したため、主要通貨に対してドルが売られると同時に日米金利差縮小による円買いドル売りが強まり、発表前は145円台前半で推移していた対ドル円相場が発表直後に144円台前半の大幅な円高ドル安になった影響が波及し、主要通貨に対しても円相場が大幅に上昇した。
午前4時半頃からは、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 終了後の定例記者会見が始まり、市場注目度が高い米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board / The Fed) のジェローム・パウエル議長の発言や米国政策金利見通しのドット・チャートの発表があり、来年2024年末のドット・チャートの中央値がこれまでの5.125% (現状の5.00〜5.25%) から4.625% (4.50〜4.75%) に下方修正されたことから来年3回の米国利下げが想定されていることが示唆され、来年の米国利下げ予想により米国長期金利が更に低下を続けた。
今回のパウエル議長の発言では、「米国のインフレは緩和してきたものの、依然として目標の2%よりも高過ぎる」ことや、「今後の状況次第では、追加利上げの可能性も残したままにしておく」などのタカ派寄りの発言もややあったものの、リスクバランスに関しては、以前の中道的意見に加えて、「今回のインフレは(パンデミックにより)需要と供給のバランスが崩れた異常な事態で急速に進んだため、急速な利上げを進めなくてはならなかったが、最近の米国インフレ鈍化が急速に進んでいることから、金利を高く据え置きし過ぎることのリスク」も、以前の利上げやり過ぎのリスクと利上げ不足で価格安定化の目標を実現できないリスクとのリスクバランスの考慮に加えられ、「米国政策金利の最終地点のピークに達したかそれに近い」ことから、「まだ始まったばかりだけれども、今回は利下げ時期に関する議論もあった」などのハト派寄りの発言も多く受け止められ、市場では来年3回の米国利下げ予想が高まり、記者団にも米国利下げに関する質問が相次ぎ、金融政策の効果が出てくるまでに時間がかかることから、「2%の目標達成の前に利下げを開始する場合の、コアインフレ値は3%台からでも可能か?」などの記者の質問に対し、パウエル議長は「雇用市場などの様々な要因の今後のデータなども踏まえてこれから検討するもので、どのコアインフレ値からとかいつからなどはまだ決めていない」ことを示唆した上で、「今後のデータ次第」の中道的スタンスを継続していたが、市場では今回は「かなりハト派寄り」の会見と受け止められていた。
このため、今回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) と記者会見後には、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が急落し、午前4時45分頃には一時4.001%付近に低下したことから、日米金利差縮小による円買いドル売りが継続したほか、主要通貨に対してもドルが売られたドル安圧の影響の波及で、午前5時11分頃にドルは円相場で一時142円63銭付近に大幅下落し、米国市場時間の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、米国ニューヨーク株式市場では、米国金利上昇警戒感の緩和継続から米国主要株価三指数が揃って上昇し、ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) は前日比512.30ドル高の大幅高、ナズダック (NASDAQ Composite) も前日比200.567ドル高の大幅高、S&P500種 (Standard and Poor’s 500) も前日比63.39ドル高と揃って続伸したことでは、ブル・マーケット (強気市場 / Bull Market) によるリスクオン (リスク選好 / Risk-on) で低リスク通貨の円が利益確定で売られる抵抗もやや入ったものの、米国長期金利低下による日米金利差縮小時のドルの買い戻しは実需以外では小幅域に留まっていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の145円72銭前後から円の高値でドルの安値の142円63銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値を142円89銭付近と前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約2円56銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場では、今朝9時頃に対ドル円相場は一時142円79銭付近の始値で、今朝の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需による円売りドル買い予約が入っていた今朝9時1分頃に一時142円92銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となり、その後は対ドルの円相場が上昇を続けた。
日本市場でも来年の複数回の米国利下げ予想により、今日の日本市場時間の時間外の米国債券市場でも米国長期金利が今朝9時台の一時4.0%台から3.9%台に低下したため、日米金利差縮小による円買ドル売りで、大幅な円高ドル安が更に進行した。
また、今日は日本国債の入札もあり、20年物国債の入札が不調に終わったことで、国内長期金利が上昇したことでも日米金利差縮小による円買いドル売りの勢いが増し、今日の昼の12時43分頃には、ドルは円相場で一時140円95銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録したほか、前東京終値比で約5円近い円高ドル安進行により、今年7月31日以来の円高ドル安の記録が話題になった。
日本の東京株式市場でも、国内長期金利上昇を受けた金利警戒感などによるリスクオフ (リスク回避 / Risk-off) の株売りで今日の日経平均株価が大幅に低下していたことでも低リスク通貨の円買いが起きていた。ただし、今夜この後には英国や欧州の新政策金利と声明発表などのイベントを控えていることなどから、午後からの欧州市場の参入では、イベントリスクを終えた世界的な安全資産でもあるドルが安値から買い戻される抵抗も入り始めた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は142円3~5銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の145円80~81銭付近の前東京終値比で約3円77銭の大幅な円高ドル安になった。
なお、今夜17時半にはスイス国立銀行が新政策金利を発表し、市場予想通りに3カ月物銀行間取引金利誘導目標中心値を前回と同じ1.75%に据え置きを決定した。
今夜この後には、最新米国経済指標の発表などに加えて、英国と欧州ユーロ圏の新政策金利発表イベント予定があり、今夜の日本時間の米欧英の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) 後の英国新政策金利と金融政策の声明と議事要旨発表があり、22時15分に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の欧州ユーロ圏の新政策金利と声明発表と続いての22時45分頃からラガルド総裁の記者会見予定があるが、その前の今夜22時半には最新米国経済指標の 11月の米国小売売上高、11月の米国輸入物価指数、11月輸出物価指数、前週分の米国新規失業保険申請件数と前週分の米国失業保険継続受給者数が同時発表される欧米市場のイベントの重なる時間があってから、深夜24時に10月の米国企業在庫が発表される予定である。
一方、今日の日本市場の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は154円55〜57銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の157円21〜22銭付近の前東京終値比では約2円66銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、対ドルの大幅な円高の影響が他の主要通貨であるユーロ円にも波及したほか、今夜この後に欧州新政策金利と金融政策を決定する欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会を控えたイベントリスクの低リスク通貨の円買いによる欧州ユーロ売りも影響を与えた。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の1.0880〜1.0881ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時1.0781〜1.0783ドル付近の前東京終値で約0.99セントのユーロ高ドル安であった。
主な原因は、来年の複数回の米国利下げ予想により米国長期金利が低下し、円だけでなく欧州ユーロなどの主要通貨に対してもドル安が進行した。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンドの円相場の終値は179円25〜31銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の182円47〜53銭付近の前東京終値比で約3円22銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、欧州ユーロ同様に、ドルに対する円高の影響が他の主要通貨である英国ポンドにも円高圧として波及したほか、昨夜発表の経済指標を受けた英国景気懸念による英国ポンド売りや今夜この後の英国ポンドのイベントリスクによる低リスク通貨の円買いもポンド円に影響を与えていた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年12月14日の日本時間(JST)20時24分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時24分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:24の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 141.33 〜 141.35 | −4.47 (円高) |
ユーロ/円 | 154.47 〜 154.52 | −2.74 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0926 〜 1.0930 | +0.0145 (ドル安) |
英ポンド/円 | 179.14 〜 179.20 | −3.33 (円高) |
スイスフラン/円 | 162.43 〜 162.49 | −4.05 (円高) |
豪ドル/円 | 94.94 〜 94.98 | −0.57 (円高) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。
当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。