FXニュース:来年早期の米利下げ予想後退
2023年12月18日東西FXニュース – 2023年12月18日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米FRB高官の牽制発言が影響
- 米ハト派も夏頃から2回示唆
- 金利警戒で日経平均大幅下落
- 欧州景気懸念のユーロ売りも
- 明日の日銀金融政策発表控え
今日2023年12月18日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の142円7銭前後から円の安値でドルの高値の142円41銭前後の値幅約34銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円38~39銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の141円96~97銭付近の前東京終値比で約42銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、先週末の金曜の夜18時の英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の12月の欧州製造業・サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 速報値の総合指数が双方共に前月よりも悪化して市場予想を下回ったことなどから、欧州景気懸念によるリスクオフ (リスク回避 / Risk-off) の欧州ユーロ売りで世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルが買われる値動きが出始めていた。
先週金曜の夜22時から始まった米国ニューヨーク外国為替市場で22時半に発表された最新米国経済指標の12月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数も前回の9.1と市場予想の2.0に対し-14.5と想定外の大幅低下を示したことでは、発表時の先週金曜22時にはドルは円相場で一時141円48銭付近に下落したものの、続いて米国ニューヨーク連銀のウィリアム総裁が、市場予想で出ていた米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の来年3月の早期の利下げ予想について、「現時点では、我々は実際に利下げについては話し合ってはいない。来年3月の利下げについて、考えることすら時期尚早だ」と、引き続き、これまでの米国利上げと金融政策によりインフレ率が目標の2%に向けて正しい道を辿っているかどうかを注視しており、「基本的なシナリオとしては、かなり良好だ。インフレ率は下がり、経済は好調を維持し、失業率は低い。だが、この一年で学んだことの一つは、データは意外な方向に動く可能性があるということだ」と、米国追加利上げの可能性は否定できないと、タカ派以外の米国FRB高官がタカ派寄りの発言をしたニュースが話題になり、それまで3.90%台付近で推移していた米国長期金利が一時3.96%付近に急上昇し、日米金利差拡大時の円売りドル買いが起きたほか、同時進行中だった前述の欧州英国市場での欧州景気懸念の欧州ユーロ売りドル買いの影響も対ドル円相場に波及したため、先週金曜日22時42分頃にドルは円相場で一時142円45銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の中でもハト派で有名な米国アトランタ連銀のボスティック総裁も、市場予想で出ていた早期の春からではなく、もっと後の夏頃の「来年の第3四半期から2回利下げする可能性が高い」と発言したニュースもあり、同じく来年早期の米国利下げ予想が後退し、また先週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) のドットチャートの見通し発表後に高まった市場予想の来年3回の米国利下げ予想に対して、追加利上げの可能性に加えて後期の利下げ2回に留まる可能性も浮上したことなどでも、来年早期からの米国利下げ予想が後退した。
ただし、先週金曜の夜23時15分に発表された最新米国経済指標の11月の米国鉱工業生産の前月比は前回-0.6%から前回-0.9%に下方修正されたほか、市場予想の0.3%を下回る0.2%で、同時発表だった11月の米国設備稼働率も前回の78.9%と前回下方修正の78.7%と市場予想の79.1%に対し78.8%と市場予想以下だったことでは、市場高値後のドルには利益確定売りや週末を控えた持ち高調整が入り始めた。
先週金曜の夜23時45分には12月の米国購買担当者景気指数 (PMI) 速報値の発表があり、12月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の49.4と市場予想の49.3に対し48.2に低下したことでもドル売りが入ったが、12月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の50.8と市場予想の50.6を上回る51.3と堅調で、12月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の50.7と市場予想の50.5に対し51.0と前回と市場予想を上回り、欧州ユーロ圏では不景気と好景気のボーダーライン (境界線 / Borderline) の50をいずれも下回っていた不景気側だったことと比較すると、米国ではサービス部門と総合が50以上の好景気寄りであったことではドル買い抵抗もあり、発表時に瞬時に一時141円95銭付近に反発していた。
しかし、今週は今日から二日間開催予定の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合のイベントを控えていることから、イベントリスクの安全資産の米国債買いで、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時上昇後に再び低下して一時3.90%台付近に戻したことでは日米金利差縮小時のドル円の持ち高調整が入ったほか、同時進行の米国ニューヨーク株式市場でも来年早期の米国利下げ予想の後退により、金利警戒感緩和で連日続伸していた米国主要株価三指数の勢いが弱まり、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) が小幅反落方向に転じたほか、これまでは大幅な上昇も見せていた米国ダウ工業株30種平均 (Dow Jones Industrial Average) や米国ナズダック総合指数 (NASDAQ Composite) も小幅高に留まり、市場高値後のドルの利益確定売りで市場安値後の低リスク通貨の円が買われたこともあり、深夜24時15分頃にはドルは円相場で一時141円43銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
その後の週末を控えた米国市場では、ドルの買い戻し需要も高かったため、先週土曜の午前4時25分頃には142円31銭付近まで買い戻されたが、安全資産の米国債買いで米国長期金利の反発幅が限られていたことは、ドルの上値は重く、市場高値は更新しなかった。
また、今週の明日の日銀金融政策発表を控えた日本円には、イベントリスクによる利益確定売りや持ち高調整なども入っていた。
このため、先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の142円45銭前後から円の高値でドルの安値の141円43銭前後の値動きで、先週末の土曜の朝7時頃のニューヨーク終値を142円15銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約26銭の円安ドル高をつけていた。
週が明け、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場は、一時142円33銭付近から始まったが、今日から明日にかけて開催される日銀金融政策決定会合のイベントを控えた日本市場の持ち高調整では、国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買い戻される値動きが先行したほか、日本の金利上昇警戒感などで今日の東京株式市場で日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が大幅な下落を見せ始めたことでのリスクオフの低リスク通貨の円買いもあり、今朝9時59頃に対ドル円相場は一時142円7銭付近の今日の日本市場時間の円の高値でドルの安値を記録した。
今日の日本市場では明日の日銀金融政策決定会合の発表イベントを控えた買い控えや様子見の値動きも強く、やや横ばいに近いスキャルピング向きの値動きを見せる時間も多かった。
今日の日本の経済ニュースでは、今月12月1日時点の今年の2023年冬の日本のボーナス調査で、1人あたりの平均支給額が86万5903円と前年比で2.62%増加し、1975年の調査開始以来の過去最高額となった。ただし、訪日客のインバウンド需要回復のサービス業が好調な一方で製造業は鈍化し、ボーナス全体の上昇率は今年の賃上げ率は下回っていた。
市場の一部での日銀の早期の金融修正予想に対し、今月は日銀が大規模緩和金融政策を継続する市場予想も根強く、今週の日本円のイベントリスクによる持ち高調整では、先週に状況次第では米国利上げの選択肢を残しつつも来年3回の利下げが示唆されていた米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Reserve Board) の金利据え置き後に円高ドル安が進行した後の高値圏からの円の利益確定売りも強まり、その勢いは前述の来年早期の米国利下げ予想の後退や、米国と比較した欧州景気懸念により、午後からの欧州英国市場の参入で強まったため、午後16時57分頃にドルは円相場で一時142円41銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は142円38~39銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜の夜17時の141円96~97銭付近の前東京終値比では約42銭の円安ドル高になった。
また今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、明日の日銀発表を控えたイベントリスクの円の利益確定売りとドル買いが続き、安全資産の米国債買いにより米国長期金利が一時3.89%台に低下した時には一時勢いは弱めたものの、世界的な流動性の高さを持つ安全資産としてのドルにイベントリスクがなくなっていたことに加えて、今夜18時に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標のドイツの12月の独IFO企業景況感指数も前回の87.3と市場予想の87.7に対し86.4と前回と市場予想よりも低下し、再び欧州景気懸念による欧州ユーロ売りのドル買いの影響も対ドル円相場に波及したため、今夜19時40分頃にはドルは円相場で一時142円83銭付近に上昇している。
今夜この後には最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の今夜の経済指標カレンダーのスケジュールは、深夜24時に12月の米国全米住宅建設業者協会 (NAHB / National Association of Home Builders) 住宅市場指数が発表される。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は155円47〜49銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の156円10〜11銭付近の前東京終値比で約63銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、先日に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会のラガルド総裁が利下げは全く議論なしと発言後に一時大幅に上昇していた欧州ユーロが、先述の先週末や今日発表された欧州経済指標を受けた欧州景気懸念により利益確定で売られて、安全資産のドルや低リスク通貨の円が買われた影響が出ていた。
そのため、今日はユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0918〜1.0920ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0994〜1.0996ドル付近の前東京終値では約0.76セントのユーロ安ドル高であった。
英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対英国ポンドの円相場の終値は180円66〜72銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時181円25〜31銭付近の前東京終値比で約59銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、欧州ユーロ同様に、前回の英国中央銀行イングランド銀行 (BoE / Bank of England) 金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) が英国利下げについて言及しなかったことでは一時は英国ポンドも上昇したが、今日は欧州と経済関係の強い英国も欧州景気懸念の影響で英国ポンドが利益確定で売られる値動きが波及していた。
今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年12月18日の日本時間(JST)20時36分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時36分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:36の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 142.70 〜 142.71 | +0.74 (円安) |
ユーロ/円 | 155.73 〜 155.75 | -0.37 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0912 〜 1.0914 | -0.0082 (ドル高) |
英ポンド/円 | 180.52 〜 180.58 | -0.73 (円高) |
スイスフラン/円 | 164.35 〜 164.41 | +0.63 (円安) |
豪ドル/円 | 95.89 〜 95.93 | +0.62 (円安) |
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