FXニュース:国債買いで米長期金利再低下

2023年12月20日
FXニュース:国債買いで米長期金利再低下

 

東西FXニュース – 2023年12月20日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FRB高官の3回利下げ発言
  • 対欧の米早期利下げ予想継続
  • 国内輸出企業の円買い五十日
  • 日銀維持の円売り後の調整も
  • 日経平均株価一時年内最高値
  • 英インフレ鈍化でポンド売り

今日2023年12月20日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の144円10銭前後から円の高値でドルの安値の143円30銭前後の値幅約80銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は143円56~57銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の144円20~21銭付近の前東京終値比で約64銭の円高ドル安であった。

今日の日本市場の円相場の値動きの主な要因は、昨日の日本市場で日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) 金融政策決定会合が、マイナス金利と大規模緩和金融政策の維持を発表後に、植田和男総裁が来月の修正に慎重な姿勢を示した影響から、昨夜の英国ロンドン外国為替市場や今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場でも主要通貨に対する大幅な円安が進行したため、その反動で今日の日本市場では円の買い戻しの調整が強まったほか、米国債価格上昇に伴う利回り低下の影響で、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が低下したため、日米金利差縮小時のドル売り円買いも入り、主要通貨に対して円相場が反発した。

時間に沿った為替相場と世界FX市場のトレンド動向の分析ではまず、昨日の日本市場終了後の昨夜19時の英国ロンドン外国為替市場で発表された欧州ユーロ圏の最新重要経済指標の11月の欧州消費者物価指数 (HICP / Harmonized Index of Consumer Prices) 改定値の前年同月比が市場予想通りの2.4%の横ばいで、欧州HICPコア指数の前年同月比も市場予想通りの3.6%の横ばいであったことから、欧州インフレ高止まりにより、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の欧州利下げ開始時期の方が、米国よりも来年の利下げ開始時期よりも遅くなる可能性が意識され、米国長期金利が低下していた。

そのため、日銀の発表後の主要通貨に対する円売りで、ドルが円相場で昨夜19時48分頃に一時144円95銭付近の日通しの高値を記録した後には、高値からのドルの利益確定売りと安値からの円の持ち高調整買いによる抵抗が強まったほか、米国長期金利低下時の欧州英国通貨に対するドル売りが入り始めたため、昨夜22時頃の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は144円32銭付近になった。

ただし、昨夜22時半の米国ニューヨーク外国為替市場では、最新米国経済指標の11月の米国住宅着工件数の発表があり、年率換算件数が前回の137.2万件と前回修正の135.9万件と市場予想の136.0万件に対し156.0万件に上昇し、前月比も前回の1.9%と前回修正の0.2%と市場予想の-0.9%に対し14.8%と前回と市場予想を上回ったことでは、米国長期金利が一時反発したため、主要通貨に対するドル買いが入り、昨夜22時44分頃にドルは円相場で一時144円47銭付近の米国市場時間の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、同じく発表された11月の米国建設許可件数は、年率換算件数が前回の148.7万件と前回修正の149.8万件と市場予想の146.5万件に対し146.0万件と前回と市場予想よりも低下し、前月比も前回の1.1%と前回修正の1.8%と市場予想の-2.2%に対し-2.5%とマイナス圏に悪化したことでは、米国ソフトランディング期待がやや減少し、安全資産の米国債買いが再び強まったことで、米国長期金利が再び低下し始めた。

また、前日までに米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の複数の高官達から、先週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の来年3回の米国利下げの見通しを示唆したドットチャート発表後に市場で高まっていた来年早期の米国利下げ予想への牽制発言が続いていたが、米国経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル (WSJ / Wall Street Journal) 掲載記事で米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁を含む多数の高官達がドットチャート通りの来年3回の利下げを想定していたことや、昨夜23時半頃からの米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言では、「米国のディスインフレの進展が続けば、適切に対応する」などの米国利下げに積極的なハト派の発言があったことが市場で話題になり、来年に欧州よりも早期からおよそ3回分相当の米国利下げが始まるという市場予想が再燃し、欧州ユーロに対してドルが売られていた影響が波及したほか、米国長期金利低下に伴う日米金利差縮小により対ドルの円相場が反発し、午前1時38分頃にはドル円は一時143円53銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

一方で、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場では、金利警戒感緩和により米国主要株価三指数が軒並み続伸し、ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が大幅高になったことでは、米国株高時のリスクオン (リスク選好 / Risk-on) で低リスク通貨の円が売られたことでは、対円のドルも市場安値後には反発した。

それに加えて、日銀の大規模緩和金融政策継続とマイナス金利による主要通貨に対する大幅な円安の影響もこの時点ではまだ残っていた。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の144円47銭前後から円の高値でドルの安値の143円53銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値は143円84銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約1円6銭の円安ドル高をつけていた。

今朝8時頃からは次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国シカゴ連銀のグールズビー総裁が、「米国のインフレが目標の2%まで低下を続ければ、FRBは制約的な姿勢の再考が可能になる」と発言したが、2%の手前から早期に利下げを開始するという市場の期待には左右されないとし、またバイデン大統領の再選を後押しするために利下げするとの見解も否定していたが、ディスインフレ (インフレ低下) による利下げ転換についての発言は市場で意識されていた。

今朝8時50分には日本の最新経済指標の通関ベースの11月の日本貿易統計が発表され、季調前は前回の-6625億円と前回修正の-6610億円と市場予想の-9624億円に対し-7769億円と前回よりは赤字額が増えたが市場予想よりは強く、季調済では前回の-4620億円と前回修正の-5013億円と市場予想の-7689億円に対し-4089億円と前回と市場予想よりも赤字額が改善されていた。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は、今朝9時頃の143円92銭付近から始まったが、今朝の日本市場の仲値決済に向けては、今日は5と10がつく日で日本の貿易企業の決算日が集中しやすい五十日 (ごとおび) 市場であることもあり、輸入実需の円売りドル買いが先行したことや、今朝9時台の米国長期金利が3.92%台に反発していたことと今日の日経平均株価が大幅に上昇したリスクオンの低リスク通貨に円売りなどで、今朝9時19分頃にドルは円相場で一時144円9〜10銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、続いては国内輸出企業のまとまった円買いドル売りも入り始めたほか、欧州よりも来年早期からの米国利下げ予想の再燃で米国長期金利が再び低下を始めたため、日米金利差縮小時による円買いドル売りと、日米金利差縮小予想の持ち高調整の円買いや、長期ポジション決済による円の買い戻しなどが日本市場で優勢になった。

昨日の日銀の大規模緩和金融政策継続により国内金利上昇への警戒感が緩和されていたことでは、今日の日経平均株価が大幅続伸で大引けしたことではリスクオンの低リスク通貨の円売り抵抗も混ざったが、午後からの欧州英国市場の参入では、世界的な安全資産でもある米国債買いの影響もあり、米国長期金利の低下が続き、一時3.9%台を下回る3.8%台になったことではドル売りの勢いが増し、ドルは円相場で午後16時38分頃に一時143円30銭付近の今日の日本市場時間の円の高値でドルの安値を記録した。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は143円56~57銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の144円20~21銭付近の前東京終値比で約64銭の円高ドル安になった。

今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定と米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定や米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時に米国MBA 住宅ローン申請指数、22時半に7〜9月の第3四半期の米国経常収支、深夜24時に11月の米国中古住宅販売件数と12月の米国消費者信頼感指数、24時半に米国週間原油在庫、26時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国シカゴ連銀のグールズビー総裁の発言予定、27時に米国20年債入札予定などがある。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は157円41〜42銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の157円58〜59銭付近の前東京終値比で約17銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、昨日の日銀の大規模緩和金融政策継続による大幅な円安の後の円の買い戻しが今日の日本市場では優勢になり、対ユーロでも円相場が反発上昇していた。

今日のユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0963〜1.0965ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0926〜1.0928ドル付近の前東京終値では約0.37セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、前述の来年の欧州と米国の利下げ開始時期の市場予想の違いにより米国長期金利が低下しており、欧州ユーロに対してドルが売られていた。

今日の午後16時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の11月の独生産者物価指数 (PPI / Producer Price Index) の前月比は、前回の-0.1%と市場予想の-0.3%に対し-0.5%と前回と市場予想よりも鈍化を示したが、前年比では前回の-11.0% と市場予想の-7.6%に対し -7.9% と市場予想ほどは鈍化が続かなかった。

また、同時発表のドイツの1月の独GFK消費者信頼感調査は、前回の-27.8と前回修正の-27.6と市場予想の-27.0に対し-25.1と、マイナス圏ではあるものの、前回と市場予想よりも改善されていた。

今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の10月の欧州経常収支は、季調済が前回の312億ユーロから338億ユーロに上昇したが、続いて今夜19時に発表された10月の欧州建設支出の前月比は前回の0.4%と前回上方修正の0.9%に対し-1.0%に低下し、前年同月比も前回の-0.3%と前回修正の0.7%に対し-0.7%のマイナス圏に低下と、欧州景気懸念もやや燻っている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対英国ポンドの円相場の終値は181円71〜77銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の182円63〜69銭付近の前東京終値比で約92銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、欧州ユーロ同様に、今日の日銀の大規模緩和金融政策継続後の円売りで大幅な円安ポンド高を記録した後の利益確定売りや持ち高調整で円相場が反発し、今日は円高に傾いたほか、今日の午後16時に発表された最新英国経済指標に英国インフレ鈍化のディスインフレ傾向が出てきたことで、英国の来年利下げ時期に関する市場予想が浮上した。

午後16時に発表された11月の英国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) は、前月比が前回の0.0%と市場予想の0.1%上昇に反して-0.2%に鈍化し、前年同月比も前回の4.6%と市場予想の4.4%に対し3.9%で、同英国CPIコア指数の前年同月比も前回の5.7%と市場予想の5.6%に対し5.1%と、前回と市場予想よりも英国のインフレが鈍化していた。

同時発表の11月の英国小売物価指数 (RPI / Retail Price Index) も、前月比が前回の-0.2%と市場予想の0.2%に対し-0.1%と前回ほどではないものの市場予想よりも鈍化し、前年同月比では前回の6.1%と市場予想の5.7%に対し5.3%と前回と市場予想よりもインフレ鈍化を示したことでは、英国にも来年の利下げ時期に関する市場予想が高まり、英国ポンドが売られて円が買われたことで、今夜20時台には大幅な円高ポンド安になっている。

今日の東西FXニュース執筆終了時の2023年12月20日の日本時間(JST)20時45分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時45分頃。なお、サマータイム制のある米国市場も現在冬時間で、日本との時差が14時間遅れのJST-14 / GMT-5になっている) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:45の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 143.37 〜 143.39 −0.87 (円高)
ユーロ/円 156.87 〜 156.89 -0.71 (円高)
ユーロ/ドル 1.0940 〜 1.0942 +0.0014 (ドル安)
英ポンド/円 181.43 〜 181.49 -1.20 (円高)
スイスフラン/円 166.10 〜 166.16 -0.39 (円高)
豪ドル/円 97.05 〜 97.09 +0.27 (円安)


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