FXニュース:日銀植田総裁が経済連で発言

2023年12月25日
FXニュース:今日の日銀総裁の経済連発言

 

東西FXニュース – 2023年12月25日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日銀国債買入オペで金利抑制
  • 米経済指標は強弱入り混じる
  • 耐久財受注前月比は大幅高
  • 米PCEデフレーター予想以下
  • 米消費者態度指数は上方修正
  • 欧米クリスマスの市場流動性

今日2023年12月25日月曜日のクリスマスの日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の142円 9銭前後から円の安値でドルの高値の142円52銭前後の値幅約43銭で、本日は短縮取引が多かったものの、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は142円41~43銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の142円22~23銭付近の前東京終値比で約19銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因は、本日12月25日のクリスマスは欧米市場を始めとする世界的な祝日休場で、主に日本市場と中東市場のみの限定的な流動性の開場になっているが、先週末の米国経済指標が強弱入り混じったことや、今日は日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁の発言があったが、前回の日銀金融政策決定会合後の発言と特に変わりなく、今日は日銀が金利抑制の公開市場操作の国債買い入れオペのオファーと実施もしていたことで、日本国債の利回りが低下したことや日経平均株価が小幅高で大引けしたことなどが、今日の日本主導の世界FX市場に影響を及ぼしていた。

時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、世界市場の前営業日にあたる先週金曜の夜22時頃からの米国ニューヨーク外国為替市場は、先行していた英国ロンドン外国為替市場は25日のクリスマス (Christmas Day) と翌日の26日もボクシングデー (Boxing Day) の祝日で大型連休を控えていたために、ホリデー前のポジション調整で利益確定や持ち高調整のドル売りと欧州英国通貨の買い戻しが進んだ影響で、昨夜22時頃にドル円は一時142円12銭付近のニューヨーク始値をつけていたが、昨夜22時30分頃からは米国重要経済指標を含む最新米国経済指標の発表が相次ぐことで、発表寸前のイベントリスクで瞬時141円92銭付近の安値圏もタッチしていた。

先週金曜の夜22時30分の同時刻の経済指標の発表時間には多少のずれがあり、最初に発表された11月の米国耐久財受注は、前月比が前回の-5.4%と前回上方修正の-5.1%と市場予想の2.2%に対し5.4%と前回と市場予想を大幅に上回り、輸送用機器除くコアの前月比も前回の0.0%と前回修正の-0.3%と市場予想の0.1%に対し0.5%に上昇し、主要通貨に対してドルが買われて上昇し、一時142円47銭付近に上昇した。

しかし、続いて発表されていた11月の米国個人所得の前月比は前回の0.2%と前回修正の0.3%に対し市場予想通りの0.4%で、さらに11月の米国個人消費支出 (PCE / Personal consumption expenditures) の前月比は、前回の0.2%と前回修正の0.1%と市場予想の0.3%に対し0.2%と市場予想を下回り、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が注視する米国インフレ関連の重要指標の11月の米国PCEデフレーターの前年同月比は、前回の3.0%と前回修正の2.9%と市場予想の2.8%に対し2.6%にインフレ鈍化を示し、食品とエネルギーを除いた同米国PCEコア・デフレーターの前年同月比も、前回の3.5%と前回下方修正の3.4%と市場予想の3.3%に対し3.2%に米国インフレの鈍化を示したほか、前月比でも前回の0.2%と前回下方修正0.1%と市場予想の0.2%に対して0.1%に鈍化したことでは、米国インフレ抑制のための利上げ後の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) が来年早期に米国利下げに転じる市場予想が高まり、主要通貨に対して再びドルが売られたことで、先週金曜の夜23時5分頃にはドルは円相場で一時141円88銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

深夜24時に発表された11月の米国新築住宅販売件数も、米国ローン金利上昇後の影響もあり年率換算件数が前回の67.9万件と前回修正の67.2万件と市場予想の69.0万件に対し59.0万件に伸び悩み、前月比も前回の-5.6%と前回修正の-4.0%と市場予想の1.6%に対し-12.2%の悪化を見せたが、同じく24時に発表された12月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値は、前回と市場予想の69.4に対し69.7に上方修正されたことでは、再び強弱が入り混じる経済指標となり、一連の経済指標発表後のイベントリスクの低下により、米国市場でもクリスマス・ホリデーの連休の週末を控えたドルの買い戻しが強まった。

同時進行していた米国ニューヨーク国債市場でも、米国債権価格上昇後の高値圏からの利益確定売りや持ち高調整売りが続いたことで、米国債売りによる債券価格低下時の利回り上昇の影響で、米国10年債の利回りが市場となる米国長期金利が上昇し、先週金曜の夜22時の市場開場時の一時3.85%台から先週土曜の午前1時45分頃には一時3.92%台に上昇したため、日米金利差拡大時の円売りドル買いも、米国市場のドルの買い戻しに相まったことで、先週土曜の午前1時49分頃と午前2時9分頃にドルは円相場で一時142円66銭付近に上昇し、米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、2回目がほぼ同価格で+0.1銭しか上抜けしなかったため、テクニカル分析的なダブルトップの毛抜き天井の2つ山をチャートに描く売りサインとなったため、利益確定売りの抵抗と、ホリデー前のポジション調整後の買い控えで、午前2時の英国ロンドン外国為替市場の終了後の米国ニューヨーク外国為替市場は、やや横ばいに近い値動きに転じた。

米国長期金利も、上昇後の抵抗で3.895%付近の先週末のニューヨーク終値をつけ、米国ニューヨーク株式市場でも米国主要株価三指数のうち米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) がホリデー前の利益確定売りなどで小幅安になったほか、S&P500種 (Standard and Poor’s 500) とナズダック (Nasdaq Composite) も小幅高に留まった。

このため、先週金曜の夜から土曜の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の141円88銭前後から円の安値でドルの高値の142円66銭前後の値動きで、先週末のニューヨーク終値は142円41銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約29銭の円安ドル高をつけていた。

今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場では、週末の中東バーレーン市場の窓開けが早朝のオセアニア市場のクリスマス休場により市場流動性が乏しく十分に埋まらない状態で始まったが、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、今日は5と10がつく日で日本の貿易企業の決算日が集中しやすい五十日 (ごとおび) ではあるものの、主要貿易先の米国・欧州・英国やオセアニアやアジアでも香港などの主要な世界市場が、日本以外はほとんどクリスマスなどで祝日休場のために輸入実需はなかったものの、国内輸出企業の円買いドル売り需要はあったために、円相場が上昇し、今朝9時55分の仲値決済時に一時142円14銭付近にドル売りで円が買われて円相場が上昇した。

また、今日の日本市場では昼の13時頃から日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男総裁の要人発言予定が注目されていたことで、午後13時16分頃に来年の修正の関する発言への期待感の日米金利差縮小予想などで円相場が上昇し、一時142円9銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、午後13時過ぎ頃からの日銀の植田総裁の発言内容は、東京都内の経団連の審議員会の講演で、2%の物価安定目標が持続的・安定的に実現していく確度は「少しずつ高まってきている」と発言したことでは、来年早期の日銀修正に関する発言が期待されたものの、実際の発言内容は、先週の日銀金融政策決定会合後の記者会見の発言内容と特に変わらず、市場予想を高めるものではなく、また今日は日銀が金利抑制の公開市場操作の国債買い入れオペのオファー実施で国内長期金利が低下したことで日米金利差拡大による円売りドル買いに転じた。

ただし、午後14時には日本の最新経済指標の発表があり、10月景気一致指数 (CI) 改定値は前回と横ばいの115.9であったが、10月景気先行指数 (CI) 改定値は前回の108.7から108.9に上方修正されたことでは、やや円買いの抵抗も混ざった。

だが、午後15時10分には、今日の日銀の金利抑制の国債買い入れオペのオファーの影響などもあり、国内長期国債利回りが0.610%と前営業日比で-0.015%低下したことで、先週末に3.895%で終値をつけていた米国長期金利との日米金利差拡大による円売りドル買いが入ったほか、午後15時15分には今日の東京株式市場で日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が3万3254円3銭と前営業日比84円98銭高で大引けしたことでも、リスクオン (リスク選好 / Risk-on) で低リスク通貨の円が売られたため、対ドルの円相場が下落し、16時54分頃にドルは円相場で一時142円52銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

また、午後からの英国ロンドン外国為替市場は今日のクリスマスデー (Christmas Day) だけでなく、明日の12月26日のボクシングデー (Boxing Day) も祝日連休で、明日開場予定の米国市場よりも長い休場の予定であるが、小規模ではあるものの欧州や英国と時間帯が近い週末市場で有名な中東バーレーン市場は、今日のクリスマスも開場中のため、日本以外の世界市場のほとんどが休場で市場流動性に乏しいクリスマス市場で窓開きをしながらも、世界的に流動性の高いドル買いの値動きが生じていた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は142円41~43銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の142円22~23銭付近の前東京終値比では約19銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場はクリスマス休場のため、経済指標や要人発言の予定は特にないが、中東市場時間は今日の午後14時頃から今夜22時頃まで開場しており、世界的な流動性の乏しさから小規模市場の小さな値動きでも大きく増幅して窓が開きやすくなっていることから、海外FX会社の中には窓埋めトレードを禁止していない会社もあるため、クリスマス休暇明けの窓開けには注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は156円92〜97銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の156円44〜45銭付近の前東京終値比で約48銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、先述の通り、今日の日本市場では、日銀の公開市場操作の国債買い入れオペのオファーで国内長期金利が低下したため日欧金利差が拡大したことや、今日の日経平均株価が上昇のまま大引けしたことでも、円売りユーロ買いが入りやすくなっていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1011〜1.1015ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.1002〜1.1006ドル付近の前東京終値では約0.09セントの小幅なユーロ高ドル安であった。

主な要因は、先週の欧州経済指標では欧州インフレの根強さに対する警戒感が高まったが、先週末に発表された前述の最新米国重要経済指標の米国PCEデフレーターでは、市場予想よりも米国のインフレ鈍化のディスインフレ傾向が観測されたことで、来年3月の早期の米国利下げ予想が優勢で、現時点での市場予想値のフェドウォッチ・ツール (CME FedWatch Tool) でも来年3月の米国利下げ予想が0.25%の小幅利下げ予想値が確定値超えの78.1%になっており、一部の0.50%の大幅利下げ予想も15.2%に上昇していたことで、来年の米国の利下げの方が欧州よりも早期になる市場予想が影響を与えていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は180円87〜93銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の180円48〜54銭付近の前東京終値比で約39銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、欧州ユーロ同様に、今日の日銀の国債買い入れオペで日本の国債利回りが低下しており、日英金利差による円売りポンド買いが影響を与えたほか、今日の日銀の植田総裁の発言でも特に来年の修正時期に関する発言がなかったことでも円が売られていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年12月25日の日本時間(JST)17時00分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の8時00分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 17:00の為替レート 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比
ドル/円 142.41 〜 142.43 +0.19 (円安)
ユーロ/円 156.92 〜 156.97 +0.48 (円安)
ユーロ/ドル 1.1011 〜 1.1015 +0.0009 (ドル安)
英ポンド/円 180.87 〜 180.93 +0.29 (円安)
スイスフラン/円 166.18 〜 166.24 +0.11 (円安)
豪ドル/円 97.09 〜 97.13 +0.62 (円安)


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