FXニュース:今年の仕事納めと持ち高調整
2023年12月29日東西FXニュース – 2023年12月29日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米新規失業保険申請件数微増
- 年末ロンドン・フィキシング
- 米国債入札低調で利回り上昇
- 日経平均株価年間7369円高
- 2015年以来のスイスフラン高
今日2023年12月29日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の141円67銭前後から円の安値でドルの高値の141円13銭前後の値幅約54銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は141円38~40銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の140円78~80銭付近の前東京終値比で約60銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜22時半の米国ニューヨーク外国為替市場で最新米国経済指標の発表があり、前週分の米国新規失業保険申請件数が前回の20.5万件と前回修正の20.6万件と市場予想の21.0万件に対し21.8万件に前回と市場予想よりもやや増加し、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の186.5万人と前回修正の186.1万人に対し市場予想通り187.5万人と前回よりも米国失業保険申請者数が増えて米国雇用市場が微妙に軟化した。
このため、米国の賃金インフレ鈍化予想により、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が来年3月19〜20日開催の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) から欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) よりも先行して早期の米国利下げを開始するという市場予想が継続し、一方で来年の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の大規模緩和金融政策修正予想やマイナス金利解除予想による日米金利差縮小予想も出ていたため、円や欧州ユーロなどの主要通貨に対してドルが売られて、昨夜22時44分頃にドルは円相場で今年の7月28日以来となる一時140円25銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
同時進行の英国ロンドン外国為替市場でも、来年の米国と欧州の利下げ開始時期の市場予想の違いから欧米金利差予想で7月下旬以来のユーロ高ドル安を一時記録したほか、世界的なプライベートバンクなどの大手金融機関があるスイスのスイスフランが年末調整の影響や、安全資産としての需要もあり、2015年以来のスイスフラン高ドル安を記録していた。
しかし、同じく発表されていた11月の米国卸売在庫の前月比は、前回の-0.2%が-0.3%に下方修正されたものの、市場予想通り-0.2%の横ばいで、米国リセッション (景気減速) 懸念を高めるほどのものではなく、米国雇用市場の軟化も小幅域であったこともあり、安値後のショートカバーで世界的に流動性が高いドルが買い戻され始めた。
深夜24時に発表された11月の米国住宅販売保留指数の前月比も前回の-1.5%が-1.2%に前回上方修正され、市場予想の1.0%ほどではないものの0.0%にマイナス圏を脱しており、前年同月比も前回の-6.6%が-6.3%に上方修正された上で、-5.1%に改善されてきた。
米国金利先物市場のデータを基に算出される米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) 誘導目標レートの市場予想値で有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウォッチ・ツール (FedWatch Tool) では、来年3月の0.25%の小幅な米国利下げ予想値が70.7%と70%の確定値を僅かに上回るレベルに低下し始めたほか、一部の0.50%の大幅利下げ予想値も13.4%に下げたことで、3月の米国金利据え置き予想の15.9%の方が上回り始めたことでは、午前1時の英国ロンドン市場の世界最大規模のロンドン・フィキシング (London Fixing) に向けた利益確定や持ち高調整で、世界的に流動性が高い基軸通貨でもあるドル買い戻しのフローとも相まって、年末の市場流動性もありドルは円相場で141円台に向けて大幅に反発した。
また、午前3時には米国7年債の入札の影響もあり、低調な入札結果から全般的な米国債価格低下に伴う利回り上昇が起きたため、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も市場前半の一時3.81%台付近から一時3.85%台付近に向けて上昇したため、日米金利差拡大による円売りドル買いで、ドルは円相場でこれまでの下落幅を縮め、午前3時33分頃に一時141円58銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
なお、米国主要株価三指数の終値は、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) とS&P500種 (Standard and Poor’s 500) は小幅ながらも続伸したものの、年末を控えた利益確定売りやポジション調整などの影響もあり、今年躍進後のナズダック総合 (NASDAQ Composite) が小幅安になったことでは、リスクオフ (リスク回避 / Risk-off) で低リスク通貨の円買い需要もあった。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の140円25銭前後から円の安値でドルの高値の141円58銭前後の値動きで、今朝7時頃のニューヨーク終値を141円41銭付近と前営業日同時刻の前ニューヨーク終値比で約42銭の円高ドル安をつけていた。
今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場は、一時141円44銭付近から始まったが、今朝の時間外の米国債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が早朝の3.84%台付近から3.85%台に向けて再上昇した影響もあり、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、明日の30日が土曜日で年末休みにあたるため、すでに早期の年末休暇に入っている企業もある中で、今日が実質的な今年最後の5と10が付く日の五十日 (ごとおび) でもあリ、2023年の仕事納めとなる年末調整が進む中で、市場流動性の現象から少しの値動きでも大きく出やすいことから今年の取引成績を上げておきたい投資系や、最近の円高感から輸入用のドルを年内に安値で押さえておきたい日本企業の円売りドル買い需要などがあり、今朝9時58分頃にドルは円相場で上昇し、一時141円67銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、その後の日本市場時間の時間外取引で、米国長期金利が今朝9時台の一時3.85%台から一時3.83%台に向けて下げた時間には、年末を控えた日本市場の利益確定のドルの利益確定売りと円の買い戻しが再燃した。
また、本日2023年の大納会を迎えた東京株式市場で、今年春の米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏の来日以来、海外の投資家達の注目を集め、今年の年間の上昇幅は7369円高の年率28.2%と、1989年の8756円高以来の大きさとなり話題になった日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が、今日の午後15時15分には3万3464円17銭の終値と前日比75円45銭安で大引けしたことでも、リスク回避の低リスク通貨の円買い需要があった。
午後からの欧州英国市場の参入でも米国長期金利が一時3.83%台に再低下時のドル売りが先行した影響もあり、午後16時19分頃にドルは円相場で一時141円13銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、今年最終の英国ロンドン外国為替市場の本格参入後に、米国債売りの影響もあり、米国10年債の利回りが再び反発し、今夜19時台の一時3.89%台に向けて大幅な上昇に転じたことでは、日米金利差拡大による円売りドル買いが入り始めた。
その途上の今夜17時に今日の東京終値を迎えたが、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円相場の終値は141円38~40銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の140円78~80銭付近の前東京終値比で約60銭の円安ドル高になった。
今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜19時台に米国長期金利は一時3.897%付近に大幅上昇したため、今夜19時頃に日米金利差によりドルは円相場で一時141円91銭付近にも上昇し、日本市場で記録した高値を英国市場で更新している。
今夜この後の今年最終の米国ニューヨーク外国為替市場では、最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは今夜23時45分に12月の米国シカゴ購買部協会景気指数が発表される予定である。
一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は156円47〜48銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円47〜48銭付近の前東京終値比と同じ約0銭の横ばいレンジあった。
主な要因は、日本市場の年末調整では主要通貨に対する円の買い戻しの影響が見られたものも、午後から参入の欧州市場でも同様に欧州ユーロの買い戻しが入り始めた。
そのため、今夜19時台の欧州市場では、先述の英国市場の米国債売りの影響で米国長期金利上昇時の円売りドル買いの影響の波及もあり、円安ユーロ高になっている。
また、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.1065〜1.1067ドル付近で、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.1113〜1.1114ドル付近の前東京終値では約0.48セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、昨夜の低調だった米国債入札以来、年末を控えた世界市場でも米国債売りがあったため、今日の夕方の米国長期金利上昇により、世界的に流動性が高いドルの買い戻しの勢いが増した影響が大きかった。
また、昨夜の欧州市場で今年7月以来のユーロ高ドル安を記録した高値後の欧州ユーロには、年末調整で利益確定売りが入りやすくなっており、今夜最終の今年最後の米国市場に向けてドルが買い戻される値動きも入っていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は180円21〜27銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の180円35〜41銭銭付近の前東京終値比では約14銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、日本市場の年末調整による円の買い戻しが、英国ポンドに対する円相場にも影響を及ぼしたほか、今日の午後16時に発表された最新英国経済指標の12月の英国ネーションワイド住宅価格の前月比が前回の0.2%から市場予想通りの0.0%に英国住宅インフレの鈍化を示し、来年の日銀修正予想のある中で、英国のインフレ鈍化により来年の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の英国利下げ予想が意識された。
しかし、今夜その後の英国外国為替市場では、今夜19時台の米国長期金利上昇時の日米金利差拡大でドルに対する円売りの影響や、円の利益確定利売りで現地実需のある英国ポンドの買い戻しが入ったことなどもあり、今夜20時台には小幅な円安ポンド高に転じている。
今話題のスイスフランは、昨夜は安全資産同士でもあるドルや円に対する大幅なスイスフラン高で話題になったが、今夜17時の今日の東京外国為替市場のスイスフラン円相場の終値は168円6〜12銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の167円72〜78銭付近の前東京終値比で約34銭の円安スイスフラン高と続伸した。
また、今日の夕方17時の東京終値と同時刻に、スイスの最新経済指標の発表もあり、12月のスイス・チューリッヒ工大経済観測所 (KOF / Konjunkturforschungsstelleの略) のKOF景気先行指数は、前回の96.7と前回情報修正の97.2と市場予想の97.0に対し97.8に上昇しており、今夜20時台には再び大幅な円安スイスフラン高になっている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2023年12月29日の日本時間(JST)20時19分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時19分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:19の為替レート | 日本市場前営業日17時の前東京終値時間比 |
ドル/円 | 141.74 〜 141.75 | +0.96 (円安) |
ユーロ/円 | 156.84 〜 156.86 | +0.37 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.1064 〜 1.1065 | −0.0049 (ドル高) |
英ポンド/円 | 180.44 〜 180.50 | +0.09 (円安) |
スイスフラン/円 | 169.16 〜 169.22 | +1.44 (円安) |
豪ドル/円 | 96.36 〜 96.40 | −0.07 (円高) |
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