FXニュース:明日の米CPI発表控えた調整

2024年1月10日
FXニュース:明日の米CPI発表控えた調整

 

東西FXニュース – 2024年1月10日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 今年早期の米利下げ予想後退
  • 東京都CPIコアが2.1%に鈍化
  • 賃金鈍化で日銀修正予想後退
  • 日経平均バブル崩壊後の高値
  • 欧ECB高官達の利下げ発言も

今日2024年1月10日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の144円42銭前後から円の安値でドルの高値の145円15銭前後の値幅約73銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は144円92~93銭付近と、昨日17時の144円4~5銭付近の前東京終値比で約88銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜22時からの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時143円99銭〜144円0銭付近から始まったが、米国ニューヨーク債券市場で昨夜22時20分頃に米国長期金利が4.05%台に上昇したことを受けては、日米金利差拡大による円売りドル買いが入った。

また、昨夜22時30分に発表された最新米国経済指標の11月の米国貿易収支が、前回の-643億ドルと前回下方修正の-645億ドルと市場予想の-650億ドルに対して-632億ドルと、米国リセッション (景気減速) 懸念の市場予想に反して貿易赤字額か改善されたため、同時進行中だった欧州市場で欧州景気懸念が燻って欧州株価が下落していたこともあり、欧州ユーロに対してもドルが買われて、ドルは円相場で一時144円台前半に上昇した。

しかし、欧州や英国の主要株価下落の影響などもあり、米国ニューヨーク株式市場では米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average)やS&P500 (Standard and Poor’s 500) 種など、ナズダック平均 (NASDAQ Composite) 以外の米国主要株価三指数も下落を見せたことでは、欧米株安時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で世界的な安全資産の米国債が買われた影響から債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.00%台付近に下げたため、日米金利差縮小時の低リスク通貨の円の買いも相まって、昨夜23時14分にドルは円相場で一時143円65銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、米国債券価格の上昇後には利益確定売りや持ち高調整も入ったため、米国長期金利は一時4.02%台に反発し、日米金利差再拡大の円相場や主要通貨に対するドルの買い戻しが入った。

同時進行していた世界最大規模の金市場などを持つ英国ロンドン外国為替市場では、冬季の午前1時のロンドン・フィキシング (London Fixing) に向けて、世界的に流動性が高い取引通貨で安全資産もあるドル買いのフローが主要通貨に対して入り始めたため、ドルは円相場で反発後に上昇し、144円台前半から中盤付近へと向かった。

欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会メンバーのポルトガル中銀のセンテノ総裁が、「最近の想定よりも早期に欧州利下げを実施し、5月まで決断を待つ必要はない」と発言した話題があったほか、フランス中銀のビルロワドガロー総裁も、「インフレが目標の2%に向けて、確実かつ持続的に定着すれば、年内に利下げを実施できる」と発言したニュースなども、今年の欧州利下げ予想に影響を与え、ユーロが売りでドルが買われた。

また、米国市場では明日の夜に米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が毎回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国政策金利を決める際に重視していることが知られている最新米国重要経済指標の先月12月分の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) 発表予定のイベントを控えているため、持ち高調整が始まっていた。

昨日の日本市場の朝に総務省が発表していた先月12月の東京都区部消費者物価指数 (CPI) の生鮮食料品除いた物価上昇基調のコアCPI指数の前年同月比が、前回の2.3%から市場予想通りの2.1%上昇に2ヶ月連続で鈍化を続け2022年6月以来の低水準になったことが時差遅れの米国市場でも話題になり始め、日本国内では長年のデフレ後のインフレだったために買い控えによる消費支出減少が想定よりも進んだなどのデータも同時発表されたために国内債券利回りが低下する程度の反応薄で、元旦に起きた能登地震以降は日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期のマイナス金利解除予想や大規模緩和金融政策修正予想が日本のインフレ鈍化でやや後退した程度だったが、欧米では2桁台の記録的なインフレ後で日本国内とは状況が違うため、欧米の中銀が目標とする2%のインフレ率に近い上昇率の日本首都圏のコアCPIを受けて日銀の今年早期の修正予想が更に減退し、その一方で、最近の米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達の早期利下げ予想の牽制発言の影響もあり、早期の米国利下げ予想値は確定値以下に低下していたため、日米金利差予想も円売りドル買いにつながり、午前3時57分にドルは円相場で一時144円62銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、早期の米国利下げ予想の後退を受けては、企業への貸付ローン金利への警戒感などから米国ニューヨーク株式市場では米国主要株価三指数のうち、国際的な大企業が多いナズダック平均以外の米国ダウ工業株やS&P500の二指数が下落し、前日よりも安値で終値をつけるに至ったことでは、米国株価下落時のリスク回避の安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買いは、対ドルの円相場の抵抗になったことでは、円相場もやや反発した。

そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の143円65銭前後から円の安値でドルの高値の144円62銭前後の値動きで、今朝7時前頃のニューヨーク終値を144円48銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の144円23銭付近と比べて約25銭の円安ドル高をつけていた。

今朝8時30分には日本の最新経済指標の11月の毎月勤労統計調査の現金給与総額が発表され、前年同月比は前回と市場予想の1.5%に対し0.2%に低下し、大規模緩和金融政策修正とマイナス金利解除の出口政策に向けて日銀が目標としていた賃金上昇を伴う2%のインフレ目標からは、賃金上昇の部分がやや遠ざかっていた。

今朝9時頃に144円42〜47銭付近から始まった日本の東京外国為替市場では、今朝9時頃の一時144円42銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値になり、先述の日銀の今年早期のマイナス金利解除予想の後退と、米国の今年早期の利下げ予想が後退していたことにより、日米金利差予想でドルが買われて円相場で上昇した。

今朝9時55分の日本市場の仲値決済も、今日は10日で5と10がつく日本の貿易企業の決算日が集中しやすい「五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」であったため、日本企業の輸入実需の円売りドル買いも活発で、ドルは円相場で144円台後半に上昇を続けた。

仲値決済時には、日本の輸出企業の円買いドル売りや、今朝の米国長期金利の一時4.00%台への低下を受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りの抵抗なども混ざったものの、日米金利差拡大予想もあって米国長期金利も4.02%台に向け反発しドルの買い戻しが入った。

今日の日本市場では、東京株式市場で日経平均株価 (Nikkei Stock Average) がバブル崩壊後の高値の一時3万4539円2銭付近に大幅な上昇を見せたため、リスク選好のリスクオン (Risk-on) で、国内第一安全資産の低リスク通貨の円がドルやユーロなどの主要通貨に対して売られる値動きも、為替相場に影響を与えた。

なお、午後15時15分には、今日の日経平均株価が3万4441円72銭の終値と、前営業日比678円54銭高の大幅高の高値圏で大引けした。原因は、オイルマネーによる日本のハイテク・ゲーム株買いなどの影響があり、任天堂株が連日で上場以来の高値記録を更新し、時価総額がおよそ16年ぶりに10兆円台にのせたニュースが話題になったほか、半導体関連も以前から上昇しており、リスクオンの円売りでドルや欧州ユーロだけでなく、英国ポンドなども幅広く買われていた。

午後からの欧州英国市場の参入の影響もあり、午後16時15分頃にはドルは円相場で一時145円15銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

市場高値後には明日のイベントを控えたドルの利益確定売りや持ち高調整の抵抗なども混ざったものの、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は144円92~93銭付近と、昨夜17時の144円4~5銭付近の前東京終値比では約88銭の円安ドル高になっていた。

また、米国長期金利上昇後の米国債買いによる利回り低下の抵抗はあったものの、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバー達による欧州利下げ時期に関する市場予想の影響や、今日の夕方時点の米国金利先物動向データから米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) 誘導目標の市場予想値を示すことで有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウォッチ (FedWatch) で今年3月の早期の米国利下げ予想値は0.25%の小幅利下げ予想値が70%の確定値を下回る64.5%付近に留まり、0.50%の大幅利下げ予想値は3.1%と低く、金利据え置き予想が32.4%付近であったため、日本の賃上げ鈍化を受けて日銀の修正予想が後退した影響などから、今夜19時台の米国長期金利の一時3.97%台への低下時にも、円相場でのドルの下げ幅は144円後半に限られていた。

今夜この後には、最新米国経済指標発表や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定と米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時に米国MBA住宅ローン申請指数、深夜24時に11月の米国卸売売上高、24時30分に週間の米国原油在庫、27時に米国10年債入札、29時15分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定などがあり、明日の夜の米国消費者物価指数 (CPI) 発表のイベントを控えた持ち高調整や買い控えなども始まっている。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は158円34〜39銭付近と、昨夜17時の157円82〜83銭付近の前東京終値比では約52銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、先述の通り、今日の日経平均株価がバブル崩壊後の高値記録更新の大幅高のリスクオン市場になり、低リスク通貨の円が売られてドルや欧州ユーロや英国ポンドなどが買われたことなどが影響したほか、日本の賃上げ鈍化を受けた日銀の早期の修正予想も後退しており、金利差予想でも円売りが見られた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0927〜1.0929ドル付近で、昨夜17時の1.0954〜1.0956ドル付近の前東京終値比で約0.27セントのユーロ安ドル高であった。

主な要因は、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーが欧州利下げ時期に関する発言をしていた一方で、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達には今年早期の米国利下げ予想を牽制する発言があり、明日の米国重要インフレ指標の発表前の持ち高調整などが入っていた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のポンド円相場の終値は184円5〜11銭付近で、昨夜17時の183円55〜61銭付近の前東京終値比で約50銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、欧州ユーロ同様に、今日の日経平均株価が大幅高で大引けしたリスクオン市場で、低リスク通貨の円に対して英国ポンドが買われて円相場で上昇したほか、日本の賃上げ鈍化により日銀の早期修正予想がさらに後退し、日英金利差予想も市場に影響していた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年1月10日の日本時間(JST)20時44分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時44分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:44の為替レート 昨日の日本時間JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 145.05 〜 145.06 +1.01 (円安)
ユーロ/円 158.75 〜 158.76 +0.93 (円安)
ユーロ/ドル 1.0943 〜 1.0945 -0.0011 (ドル高)
英ポンド/円 184.52 〜 184.58 +0.97 (円安)
スイスフラン/円 170.04 〜 170.10 +0.22 (円安)
豪ドル/円 97.24 〜 97.28 +0.65 (円安)


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