FXニュース:米ISM非製造業景況感が好調
2024年2月06日東西FXニュース – 2024年2月6日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 日米金利差影響のドル円相場
- 今年最大の円安ドル高を記録
- 日米株安時の低リスク通貨円
- 日現金給与額前年同月比1%増
- 豪RBAが政策金利を据え置き
- 独製造業新規受注が想定以上
- 欧州総合と英国景気懸念燻る
今日2024年2月6日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの外為取引時間の対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の148円67銭付近から、円の高値でドルの安値の148円36銭付近の値幅約31銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は148円51~52銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の148円49~50銭付近の前東京終値比では約2銭の小幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の欧州英国市場の後半にあたる昨夜22時から今朝7時前頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時148円63銭付近から始まったが、昨夜23時45分に発表された最新米国経済指標の1月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers Index) 改定値が前回と市場予想の52.3に対し52.0にやや下方修正され、1月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回と市場予想の52.9に対し52.5とやや弱かったことでは低リスク通貨の円に対してドルが売られて昨夜23時59分頃に一時148円39銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録したが、好景気と不景気を分けるボーダーライン (Borderline / 境界線) の50をいずれも上回る好景気側であったことでは、軒並み50以下だった欧州ユーロに対してはドルが上昇していた。
また、続いて深夜24時に発表されたより重要度の高い最新米国重要経済指標の 1月の米国サプライマネジメント協会 (ISM / Institute of Supply Management) 非製造業景況指数の総合は、前回の50.6と前回修正の50.5と市場予想の52.0に対し53.4と、前回と市場予想以上に大幅な上昇を見せたため、発表の瞬間に主要通貨に対してドルが上昇し、円相場でもドルが一時148円40銭付近から一時148円73銭付近に瞬時に高騰したほか、昨日の朝のパウエル議長の発言でもデータ重視姿勢が意識されていた米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の次回3月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の早期の利下げ予想が減退を続けたため、その後も米国長期金利が一時4.17%台付近に向けて大きく上昇したため、日米金利差拡大による円売りドル買いが起きて、午前1時1分頃にドルは円相場で一時148円89銭付近と、昨年2023年11月27日以来の今年の高値の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
対円だけでなく、欧州ユーロや英国ポンドなども含めた主要通貨に対するドルの強さを示すドルインデックス (U.S. Dollar Index / ドル指数) も一時104.60付近と、昨年2023年11月14日以来の今年の高値を記録していた。
ただし、同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では、米国政策金利の高止まりによる今後の企業決算への影響に対する警戒感などから米国主要株価三指数が揃って下落に向かい、中でも米国ダウ工業株30種は前営業日比で大幅安になったため、米国株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では、安値からの低リスク通貨の円買いによる抵抗が入り始めた。
しかし、好景気寄りで堅調な米国経済指標を受けて、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は4.16%の終値と、前営業日比よりも上昇して終値をつけており、日米金利差拡大による円安ドル高の今朝のニューヨーク終値に向かった。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の148円39銭付近から、円の安値でドルの高値の148円89銭付近の値動きで、今朝7時前頃のニューヨーク終値は148円68銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の148円38銭付近と比べ約30銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、ニュージーランド市場が休場であったが、他の市場は空いており、今朝8時30分に発表された日本の最新経済指標の昨年12月の毎月勤労統計調査の現金給与総額は、前年同月比が前回の0.2%と前回修正の0.7%と市場予想の1.4%に対し1.0%と、前回よりは上昇したものの市場予想を下回ったことでは、「賃金上昇を伴う2%のインフレ目標」を大規模緩和金融政策の出口政策に掲げる日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の早期の金融修正がやや遠のいたが、元々今年の春闘の結果を見守るのではという市場予想も出ていたため、発表直前の一時148円60銭付近から今朝8時59分の一時148円68銭付近へと、対ドルでやや円が売られる動きになっていた。
同時発表だった日本の最新経済指標の昨年12月の全世帯家計調査の消費支出は、前年同月比が前回の-2.9%と市場予想の-2.1%に対し-2.5%と、前回ほどではないものの市場予想よりも買い控えがあることで、賃上げを伴わないインフレは消費低迷につながるという企業への賃上げ圧が観測されたが、一部の大企業経営陣は今年の春闘での賃上げに積極的な姿勢を見せていた中で、中小企業や非正規雇用などの全体的な賃金動向には様子見姿勢も強かった。
今朝の閣議後の記者会見では、日本政府の鈴木俊一財務相は、日本銀行 (日銀 / BoJ) の今後の金融政策について、「引き続き、政府と緊密に連携を図り、経済・物価・金融情勢を踏まえつつ、賃金上昇を伴う形での物価の持続的・安定的な実現に向け、適切な金融政策運営を行ってほしい」と発言していた。
今朝9時頃からの今日の東京外国為替市場の対ドル円相場は、一時148円66〜67銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値圏から始まったが、今朝までの米国市場でドル円が一時148円89銭と昨年11月27日以来の今年最大の円安ドル高を記録したニュースの影響もあり、高値圏からのドルの利益確定売りによる円の買い戻しが始まったほか、今朝までの米国主要株価三指数の下落を受けて、米国を主要取引先に持つ日本企業の株などを含めて今日の日経平均株価も下落に向かったため、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフの安全資産の米国債買いによる利回り低下と低リスク通貨の円買いの抵抗が入り始めた。
ただし、今日の昼の12時30分にオセアニア市場のオーストラリアの中央銀行にあたる豪州準備銀行 (RBA / Reserve Bank of Australia) が新豪州政策金利を発表し、前回と市場予想通りの4.35%の金利据え置きを決定したことでは、マイナス金利の日本円に対して豪ドルが上昇した影響が対ドル円相場に波及し、12時48分頃に一時148円67銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を再記録した。
しかし、今日の日経平均株価は大幅な下落を続け、午後15時15分に3万6160円66銭の終値と、前営業日比で193円50銭安の大幅安のまま大引けしたことでは、日本株安時のリスク回避のリスクオフで、国内第一安全資産の低リスク通貨の円が再び買い戻されていた。
また、今日の日本市場時間の時間外米国債券市場の取引では、世界的な安全資産でもある米国10年債が買われて債券価格が上昇する一方で利回りが指標となる米国長期金利が低下し、午後からの欧州市場の参入が始まり出した午後15時台には一時4.12%台付近にまで低下したため、日本株安時の低リスク通貨の円買いに加えて、日米金利差縮小時の円買いドル売りも重なって対ドルの円相場が反発し、午後15時21分頃にドル円は一時148円36 銭付近の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、欧州本土に続いて午後16時からは英国ロンドン外国為替市場が本格参入したため、債券価格上昇後の米国債の利益確定売りが入り始めて米国長期金利が一時4.15%付近に向けて反発し、日米金利差拡大による円売りドル買いが入ってドルが円相場で反発を始めた。
また、午後16時に発表された欧州ユーロ圏の主要国ドイツの最新経済指標の12月の独製造業新規受注の前月比が、前回の0.3%と市場予想の-0.2%に対し8.9%と想定外の大幅な上昇を見せ、前年同月比も前回の-4.4%と市場予想の-5.3%に対し2.7%のプラス圏に転じて大幅に上昇したことでは欧州景気懸念が緩和され、リスク市場に弱い欧州ユーロが低リスク通貨の円に対して買われて上昇し、ユーロ円の円相場の下げが対ドル円相場にも波及した。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は148円51~52銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の148円49~50銭付近の前東京終値比で約2銭の小幅な円安ドル高になった。
今夜この後には、特に重要度の高い最新米国経済指標の発表予定はないものの、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定や米国債の入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、26時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国クリーブランド連銀のメスター総裁の発言予定、27時に米国3年債の入札予定、27時頃から米国ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の発言予定と28時頃から米国ボストン連銀のコリンズ総裁の発言予定があるが、後者二名は次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権は保有していない。最近の日米金利差を受けた売買などから、米国債の利回りや、米国株式市場からの為替相場への値動きの影響にも注意が必要である。
一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は160円69〜71銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の160円5〜10銭付近の前東京終値比で約64銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、前述の夕方16時の欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の12月の独製造業新規受注が、欧州景気懸念の市場予想に反して想定外の大幅上昇であったことなどから、欧州景気懸念が一時緩和され、リスク市場に弱かった欧州ユーロが低リスク通貨の円に対して買われて円安ユーロ高の東京終値になった。
ただし、今夜その後の19時の英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の12月の欧州小売売上高が発表され、前月比は前回の-0.3%と前回修正の0.3%と市場予想の-1.0%に対し-1.1%と前回と市場予想を下回り、前年同月比は前回の-1.1%と前回修正の-0.4%に対し市場予想の-0.9%に近い-0.8%と、市場予想ほどではなかったものの以前よりも悪化していたことでは、欧州ユーロ圏総合の欧州景気懸念が再燃し、低リスク通貨の円に対して欧州ユーロが利益確定売りも相まって売られたため、今夜20時台には前東京終値比の円高ユーロ安にも転じている。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0752〜1.0754ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0779〜1.0781ドル付近の前東京終値比で約0.27セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、今日の日本市場終盤の夕方には米国長期金利が反発上昇を見せたほか、昨夜の好景気寄りの堅調な最新米国重要経済指標を受けて、対ユーロでドルが上昇していた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は186円45〜51銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の187円36〜42銭付近の前東京終値比で約91銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、先述の最新米国経済指標や米国長期金利上昇時の影響により、対ドルで欧州英国通貨売りが入っていた影響が円相場にも波及したほか、日本株安時の低リスク通貨の円買いで、リスク市場に比較的弱い欧州英国通貨が売られた影響も見られた。
今日の日本市場の終了後の今夜18時30分の英国ロンドン外国為替市場で発表された最新英国経済指標の1月の英国建設業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) は前回の46.8と市場予想の47.3を上回る48.8に改善されたものの、好景気と不景気の境界線の50は依然として下回る不景気寄りであったことでは、欧州に地理的・経済的に近い英国の景気懸念も燻っている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年2月6日の日本時間(JST)20時28分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時28分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:28の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 148.72 〜 148.73 | +0.23 (円安) |
ユーロ/円 | 159.64 〜 159.66 | -0.41 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0733 〜 1.0735 | -0.0046 (ドル高) |
英ポンド/円 | 186.57 〜 186.63 | -0.79 (円高) |
スイスフラン/円 | 170.53 〜 170.59 | +0.45 (円安) |
豪ドル/円 | 96.54 〜 96.58 | -0.16 (円高) |
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