FXニュース:日米株高で低リスク通貨円安
2024年2月23日東西FXニュース – 2024年2月23日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米新規失業保険申請件数改善
- 米FRB副議長後期利下げ示唆
- 米FRB理事インフレ警戒発言
- 欧ECB要旨利下げリスク言及
- 独GDP改定値もマイナス成長
今日2024年2月23日金曜日の日本の東京外国為替市場は祝日休場であるが、9時頃から17時頃までの世界FX市場の対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の150円37銭付近から、円の安値でドルの高値の150円65銭付近の値幅約28銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間の対ドル円相場は150円55~56銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の150円15~16銭付近の前東京終値比で約40銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場で日経平均株価が史上最高値を記録してリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円売りが起きた後の昨夜の英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロ圏のフランスと欧州総合の購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) 速報値に市場予想以上の指標があったことや、昨夜21時30分頃に公開された前回の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の議事要旨に、「時期尚早な欧州利下げのリスクは、遅すぎる場合のリスクを上回る」と、欧州利下げに慎重な姿勢が示されたことで、欧州ユーロが対円だけでなく対ドルでも上昇した影響を受けて、昨夜22時頃から米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時150円38銭付近の米国市場の円の高値で安値から始まった。
しかし、米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜22時半前に一時4.35%台に上昇し、日米欧金利差拡大による円やユーロに対するドルの買いが先行したことに加えて、昨夜22時30分に発表された最新米国経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数が、前回の21.2万件と前回修正の21.3万件と市場予想の21.8万件に対し20.1万件に改善され、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の189.5万人と前回修正の188.9万人と市場予想の188.5万人に対し186.2万人に減少しており、堅調な米国雇用市場を受けて米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が今年の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国利下げ転換をする時期が遅くなる可能性が意識され、ドルが円相場で上昇した。
続いて、昨夜23時45分に発表された最新米国経済指標の2月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は、前回の50.7と市場予想の50.5を上回る51.5であったが、2月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の52.5と市場予想の52.0を下回る51.3で、2月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の52.0と市場予想の51.8を下回る51.4であったことでは、上昇後のドルには利益確定売りの一時抵抗が混ざったが、欧州と比較するといずれも不景気と好景気を分けるボーダーライン (Borderline / 境界線) の50を上回る好景気寄りの経済指標であったことでは、抵抗後にも再びドルが買われて円相場で上昇した、深夜24時に発表された1月の米国中古住宅販売件数も、年率換算件数は前回の378万件と前回修正の388万件と市場予想の397万件を上回る400万件であったが、前月比では市場予想の5.0%ほどではないものの、前回マイナス圏だった-1.0%と前回修正の-0.8%からプラス圏の3.1%に改善されていた。
深夜24時頃からは米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェファーソン副議長の発言があり、 2024年の米国経済の支出と生産の減速の見通しを言及した上で、「米国経済が大方この想定通りなら、今年後半に金融引き締め的な政策に転換するのが適切になるだろう」と講演しており、今年後期の利下げ転換の可能性が示唆されたが、同時に「米国の物価安定という最終目標の達成を損なわない様に、インフレ鈍化を受けた政策金利の過度な利下げを警戒する必要がある」とも発言していたことでは、米国政策金利の先高感が意識され、米国長期金利が一時抵抗後に再び反発上昇して一時4.34%台に向けて戻したことで、日米金利差拡大による円売りドル買いが進行し、ドルは円相場で午前2時9分頃に一時150円69銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
市場高値後のドルには利益確定売りの抵抗が入り始めたが、午前3時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事の発言があり、前日にも米国利下げ時期についての質問に対し、「今ではないのは確か」と返答しており、午前4時頃からの米国フィラデルフィア連銀ハーカー総裁の発言も、まだ時期尚早と米国利下げに慎重な意見を述べていたこともあり、円相場の抵抗幅は限られた。
また、米国ニューヨーク株式市場でも、昨日の朝に好決算を発表したAI関連半導体の米国エヌビディア (NVIDIA) 株の高騰を牽引にハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が前日比で3%近く上昇したほか、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) も今年は史上最高値を更新するなど好調で、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) も大幅高になり、米国主要株価三指数が全て前営業日比で大幅高であったブルマーケット (Bull Market / 強気市場) の影響により、安全資産の米国債が売られて債券価格低下に伴う利回り上昇が起きたほか、リスクオンで低リスク通貨の円が売られやすかった日米株高も円安に影響を与えていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の150円38銭付近から、円の安値でドルの高値の150円69銭付近の値動きで、今朝7時前頃のニューヨーク終値は150円53銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の150円30銭付近と比べ約23銭の円安ドル高をつけていた。
今朝7時頃から、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のクック理事の発言があり、「米国政策金利の利下げを始める前に、米国のインフレ率が2%の目標に向かって抑制されつつあることへのより強い確信が欲しい」と今後のデータ重視の慎重な姿勢を示したほか、「いずれ実施する米国利下げは、変化するリスクバランスを反映させるための政策調整であると考えている」と述べていた。
早朝のアジア・オセアニア市場に続く今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場は天皇誕生日の祝日休場であったが、日本市場相当時間の世界FX市場の対ドル円相場は一時150円47銭付近から始まった。
今朝9時半過ぎ頃から、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のウォラー理事の発言があり、最近の経済指標のデータなどを受けて、「米国のインフレについては、圧倒的に上振れリスクがある」とタカ派発言があったことでは、日米金利差拡大予想からドルが買われて円相場で上昇し、今朝9時37分頃にドルは円相場で一時150円56銭付近に上昇し、今朝9時54分頃まで150円台後半の高値圏で推移したが、利益確定や持ち高調整の抵抗が入ったことでは、今朝10時9分頃に一時150円37銭付近の今日の日本市場相当時間の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、ウォラー理事は、さらに「米国物価安定への軌道に乗っているのかどうかを確かめるためには、あと数カ月のインフレデータを見る必要がある。急いで利下げを開始する必要はない」と早計な米国利下げ予想に否定的な見解を示しており、次回3月の金利据え置き予想値97.5%に続き、さらに次の5月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国政策金利据え置き予想値も確定値70%超えの79%に上昇し、日米金利差を意識した円安要因によりドルは円相場で反発上昇し、午後15時24分頃に一時150円65銭付近の今日の日本市場相当時間の円の安値でドルの高値を記録した。
日本市場相当時間の高値後のドルにはやや利益確定売りや安値後の円の持ち高調整の抵抗が入ったものの、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間の対ドル円相場は150円55~56銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の150円15~16銭付近の前東京終値比で約40銭の円安ドル高であった。
その後の今夜19時18分頃の英国ロンドン外国為替市場では、時間外取引の米10年債の利回りが指標となる米国長期金利が午後の一時低下後に反発上昇し、一時4.34%台に向けた日米金利差拡大があり、ドルは円相場で一時150円77銭付近に上昇し、日本市場相当時間の本日高値を更新した。
今夜この後の米国市場は平日開場予定ではあるが、特に重要度の高い最新米国経済指標の発表は予定されていない。
一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値相当時間には163円4~6銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の162円98銭~163円0銭付近の前東京終値比で約6銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、欧州中央銀行 (ECB) 理事会が欧州利下げリスクに言及し、金融政策の転換に慎重な姿勢を示したことによる日欧金利差予想による円安ユーロ高の影響が続いており、今年の高値圏の163円台に乗せていたが、今日の午後16時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新重要経済指標の10〜12月期の独国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) 改定値は、前期比が前回と市場予想通りの-0.3%のマイナス成長で、前年同期比も前回と市場予想通りの-0.2%、季調前の前年同期比も前回と市場予想通りの-0.4%と欧州景気懸念の市場予想通りのマイナス成長であったことはやや低リスク通貨の円の抵抗要因になったことで、小幅域になっていた。
続いて、今夜18時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの2月の独IFO (Information and Forschung) 企業景況感指数も、前回の85.2に対し市場予想通りの85.5の想定範囲内の上昇であった。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間は1.0829〜1.0831ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0852〜1.0854ドル付近の前東京終値比で約0.23セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、欧米ともに利下げ転換時期が遅れる可能性が意識される中で、最新の欧州ユーロ圏の経済指標の中には米国と比較すると不景気寄りの経済指標がより多く、今日の主要国ドイツのマイナス成長も意識されていたこともあり、ユーロ安ドル高になっていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値相当時間は190円73〜79銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の190円25〜31銭付近の前東京終値比では約72銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、日英金利差によるトレードで円安ポンド高になっていたほか、日米欧株価上昇を受けた低リスク通貨の円売りでも英国ポンドが買われていた影響や、日英の経済政策の違いなども意識されていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年2月23日の日本時間(JST)20時25分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時25分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。
通貨ペア | JST 20:25の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 150.67 〜 150.68 | +0.52 (円安) |
ユーロ/円 | 163.18 〜 163.19 | +0.20 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0829 〜 1.0830 | -0.0023 (ドル高) |
英ポンド/円 | 191.06 〜 191.12 | +0.81 (円安) |
スイスフラン/円 | 171.13 〜 171.19 | +0.25 (円安) |
豪ドル/円 | 98.91 〜 98.95 | -0.02 (円高) |
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