FXニュース:米ISM製造業景況感予想以下

2024年3月04日
FXニュース:米ISM製造業景況感予想以下

 

東西FXニュース – 2024年3月4日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利低下で金利差縮小
  • 米ナスダック過去最高値続伸
  • WTI原油先物昨秋以来の高値
  • 日本デフレ脱却表明検討報道
  • 日経平均株価史上初4万円台
  • 今週米FRB議長発言予定控え

今日2024年3月4日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の149円84銭付近から、円の安値でドルの高値の150円40銭付近の値幅約56銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は150円31~32銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の150円49~51銭付近の前東京終値比では約18銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、先週金曜日の夜の東京終値後で英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる先週金曜日の夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時150円56銭付近であったが、先週金曜日の夜23時45分に発表された最新米国経済指標の2月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の改定値が、前回の速報値と市場予想の51.5を上回る52.2に上方修正されたことを受けては、米国ニューヨーク債券市場で安全資産の米国10年債が売られて利回りが指標となる米国長期金利が一時4.29%付近に向けて上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いでドルは円相場で上昇し、発表時間の先週金曜日23時45分頃に一時150円72銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

また、先週金曜の夜22時半頃から始まっていた次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言の影響もあり、米国経済チャンネルCNBCの今年の米国利下げ時期に関する質問に対し、「いずれ分かる。私は依然として米国のインフレが正常化することを期待しており、インフレが正常化すれば、米国政策金利を正常化する理由になるが、まずはインフレの正常化の方が金融正常化よりも先に来る必要がある」としており、物価高は終盤にあるとしながらも、「賃金インフレ圧などのインフレ圧は、依然として残っている。前日にも高水準のインフレ指標が発表されたばかりで、財のセクターのインフレは落ち着きつつあるが、サービスインフレはそれほどでもない」と、米国経済には依然として物価上昇圧が存在しており、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) がいつ米国利下げを開始できるかを予測することは時期尚早と発言する一方で、「市場予想の年内の利下げ回数が減っているのはデータに反応しているからであろうが、我々は市場と闘っているのではない」としており、先週金曜の夜23時台にはインフレ圧警戒への発言内容への反応等も混ざっていた。

同日のニュースの話題では、米国シカゴ連銀のグールズビー総裁も、「米国の住宅インフレが、なぜ一段と低下していないのか、我々はまだ完全には把握しておらず、注視する必要がある」と、住宅インフレにも警戒感を見せていたことが市場で話題になっており、同米国市場からは翌週にあたる今週の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の米国議会証言での発言予定がイベントとして注目され始めていた。

しかし、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の以前の発言内容から「データ重視」姿勢が改めて意識されていた中で、先週金曜日の深夜24時に発表された最新米国重要経済指標の2月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米供給管理協会) 製造業景況指数が、前回の49.1と市場予想の49.5を下回る47.8であったことを受けては、米国ニューヨーク債券市場では安全資産の米国債買いが起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は先ほどの一時4.29%台から一時4.19%台に向けて急落したため、日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いドル売りや、欧州ユーロなどの他の主要通貨に対するドル売りの影響の波及で、ドルは円相場で150円台後半から150円台前半に急落した。

同時発表だった最新米国経済指標の2月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値も、前回と市場予想の79.6を下回る76.9に下方修正されたことや、同じく発表された1月の米国建設支出の前月比も前回の0.9%と前回修正の1.1%と市場予想の0.2%を下回るマイナス圏の-0.2%に悪化したことでも、米国景気影響でインフレ圧鈍化につながるという一部市場の考えもあり、今年の夏頃の欧米利下げ開始予想が市場で増え、安全資産の米国債が買われて米国長期金利は一時反発を交えながらも、先週土曜日の午前4時台には更に一時4.18%台にまで低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りが続き、先週土曜日の午前4時32分頃にドルは円相場で一時150円5銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場では、世界的なAI関連株ブームの影響が続き、米国主要株価三指数の中でもハイテク株の比率が高い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が史上最高値を連日で続伸したことに加え、米国長期金利の低下を受けた金利警戒感緩和もあり、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500 (Standard and Poor’s 500 Index) も三指数が揃って前日比で上昇するなど好調な終値に向かったことでは、米国主要株高時のブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) 特有の市場心理のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の影響では、週末を控えた持ち高調整もあって低リスク通貨の円には市場高値後の利益確定売りの抵抗が入り始めた。

先週末のコモディティ市場でも、米国WTI原油先物価格が高騰し、一時80ドル台と昨年の秋以来の今年の高値圏を記録したことでも、原油高時には島国の日本の輸送コスト増加予想から貿易赤字リスクが増えるため、低リスク通貨のリスク増加による円売りも、基軸通貨のドルや他の主要通貨と産油国通貨に対しても入った影響が、対ドル円相場に波及していた。

しかし、同米国市場からは翌週にあたる今週の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の米国議会証言予定の連日のイベントには、イベントリスクの様子見もあったために、結果が分かるまでのドルの買い控えなども入り始めていた。

このため、先週金曜日の夜から土曜日の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の150円72銭付近から、円の高値でドルの安値の150円5銭付近の値幅約67銭で、先週末の土曜の朝7時前頃のニューヨーク終値は150円12銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の149円98銭付近と比べると約14銭の円安ドル高をつけていた。

先週末の2日のニュースでは、日本の共同通信社 (Kyodo New) が、日本政府が物価上昇傾向を受けて、「デフレ脱却」を表明する検討に入ったということが複数の関係者への取材で分かったということが話題になり、今年の春闘で物価高に見合う賃上げが実現するかどうかや、物価の見通しなどを見極めて判断すると報じられた。日本政府は日本経済がデフレにあると2001年頃に初表明して以来、もしも今年にデフレ脱却を表明することになれば、およそ23年に渡る日本のデフレ経済の脱却への表明となることから、市場の一部では日本の賃金インフレ圧やマイナス金利解除などの金融正常化への市場予想に影響を与え始めていた。

週明けの今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の今朝8時50分頃には、今日の日本市場に先行して日本の最新経済指標の発表があり、昨年10〜12月の前四半期の日本法人企業統計調査のソフトウェアを含む全産業設備投資額の前年同期比は、前回の3.4%と市場予想の2.8%に対し16.4%と大幅に上昇した。

今朝9時頃から今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時150円13銭付近の始値であったが、先週末の米国債券市場の終値時には一時4.181%の低利回りをつけていた米国長期金利が、週明けの日本市場時間の時間外の米国債券取引でも今朝一時4.20%台に反発後にも一時4.19%台に再び低迷し、日米金利差縮小時の円買いドル売りがあったほか、先述の日本政府のデフレ脱却表明検討のニュースや、日米経済指標の影響でも朝の対ドル円相場が上昇し、今朝9時42分頃にドルは円相場で一時149円84銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、先週末の米国主要株価三指数上昇の影響もあり、米国を主要取引先に持つ日本企業の株価も上昇し、今日の東京株式市場では日経平均株価 (Nikkei Stock Average / Nikkei 225 / JP 225) が上昇し、バブル以来の史上最高値を再び上回り、史上初の4万円台を達成したため、日米株価上昇を受けたリスク選好のリスクオンが再燃し、国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られやすくなったことでは、主要通貨に対して円相場が反落した。

午後15時台には、今日の日経平均株価は海外投資達の短期の利益確定売りの抵抗を交えながらも、国内投資家達の長期投資向けの新NISA資金の流入などの強さも見せ、史上最高レベルの4万円台の大台をキープしたまま4万109円23銭の終値をつけたことでも、欧州ユーロなどの主要通貨に対するリスクオンの低リスク通貨の円売りの影響が続いた。

また、午後からの欧州英国市場の参入では、米国長期金利も一時4.21%台に向けた反発を見せたため、前東京終値比では今朝の一時149円台で円高ドル安に傾いた後のドルが円相場で下げ幅を縮める形になり、午後16時21分頃にドルは円相場で一時150円40銭付近の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、先週の一時4.3%台と比較すると、米国長期金利の低下傾向が続いていたこともあり、欧米ともに今年の夏頃の利下げ開始予想が市場で増えていた中でも、今週の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の米国議会証言での要人発言イベント予定のイベントリスクもあって、欧州ユーロに対してもドル低下の影響があったため、日本市場の前営業日の前東京終値比では、やや円高ドル安の東京終値に向かった。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円31~32銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の150円49~51銭付近の前東京終値比では約18銭の小幅な円高ドル安になっていた。

今夜この後には、特に重要度の高い最新米国重要経済指標の発表予定はないものの、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜25時頃から米国フィラデルフィア連銀ハーカー総裁の発言予定がある。

また、前述の通り、今週の3月6〜7日には半年に一度の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の米国議会証言予定のイベントを控えており、6日の水曜日に米国下院金融委員会、そして7日の木曜日に米国上院銀行委員会にて発言予定で、世界FX市場では今週のドルの値動き予想のビッグイベントとして注目されており、すでに先週末からイベント前の持ち高調整や買い控えなども入り始めていることなどには注意が必要である。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は163円16~18銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の162円71~72銭付近の前東京終値比で約45銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、先述の今日の日経平均株価が史上最高値の4万円台の大台を記録し、リスク選好のリスクオンムードで低リスク通貨の円売りが起きた一方で、リスクオン市場で買われやすい欧州ユーロや英国ポンドが買われて円相場で上昇した。

また、米国長期金利低下を受けて、欧州ユーロが基軸通貨のドルに対しても上昇した影響も、他の主要通貨である円相場にも影響が波及していた。

そのため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0854〜1.0858ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0811〜1.0813ドル付近の前東京終値比では約0.43セントのユーロ高ドル安であった。

英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は190円57〜63銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の190円7〜13銭付近の前東京終値比で約50銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、先述の通り、欧州ユーロ同様に、日米の株高を受けたリスクオンや、今日の日経平均株価の史上最高値の大台記録により、低リスク通貨の円が売られて英国ポンドが上昇した。

また、英国にも北海油田があり、先述の産油国通貨に対する円売り時の影響も残していた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月4日の日本時間(JST)20時27分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時27分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:27の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 150.41 〜 150.42 -0.08 (円高)
ユーロ/円 163.25 〜 163.26 +0.54 (円安)
ユーロ/ドル 1.0852 〜 1.0854 +0.0041 (ドル安)
英ポンド/円 190.58 〜 190.64 +0.51 (円安)
スイスフラン/円 170.21 〜 170.27 +0.44 (円安)
豪ドル/円 98.08 〜 98.12 +0.78 (円安)


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