FXニュース:今週の欧米イベント控え調整

2024年3月05日
FXニュース:今週の欧米イベント控え調整

 

東西FXニュース – 2024年3月5日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FRB議長発言と雇用統計前
  • 今夜の米ISM非製造業景況感
  • 米高官3回利下げ予想を否定
  • 日米株価史上高値後の小反落
  • 東京CPIコアは予想通り2.5%
  • 政府デフレ脱却検討報道否定
  • 欧ECB理事会も今週開催予定

今日2024年3月5日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の150円35銭付近から、円の安値でドルの高値の150円55銭付近の値幅約20銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は150円41~42銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の150円31~32銭付近の前東京終値比では約10銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時150円44銭付近であったが、今週は今夜この後の最新米国重要経済指標2月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米供給管理協会) 非製造業景況指数の発表予定や、明日6日から2日間の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のパウエル議長の米国議会証言での要人発言予定と、7日の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の欧州新政策金利発表予定と、8日の最新米国雇用統計発表予定などの欧米のイベントの数々を控えているため、市場ではイベント前の利益確定と持ち高調整や様子見の買い控えなどの影響があり、一時は米国債売りにも波及したことから、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.23%台に上昇したことを受けた日米金利差拡大による円売りドル買いで、昨夜22時25〜28分頃の数分間にかけてドルは円相場で150円57銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、安全資産でもある米国債のイベントリスク回避的な需要もあり、債券価格低下に伴う利回り上昇後には、安値からの米国債買いの抵抗も入り、債券価格反発に伴う利回り反落の影響で、米国長期金利は昨夜23時半前頃の一時4.237%付近からピークアウトして、深夜頃には一時4.21%台にまで低下したため、深夜前の昨夜23時59分頃に日米金利差縮小時の円買いドル売りで、ドルも円相場で一時150円31銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、米国長期金利が債券価格反発後の早期の利益確定売りの抵抗もあって再び4.22%台に戻したことを受けた日米金利差トレードでは、ドルが円相場で反発を始めた。

また、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国アトランタ連銀のボスティック総裁の発言があり、現在の米国経済と労働市場を考慮すると「緊急的な米国利下げ圧はない」と述べたほか、市場予想では今年の夏頃から年内3回の米国利下げ予想が出ていたが、昨年はハト派で有名だったボスティック総裁は今年にFOMC投票権を有してからは非ハト派の発言に転じたことが話題を呼んでいたが、この日にも「0.25%の小幅利下げを2回実施することが適切」と発言し、3回利下げ予想や連続利下げ予想に否定的とも言えるややタカ派寄りの発言をしたことも、ドルの買い戻しに影響を与えた。

さらに、ボスティック総裁は、米国利下げを開始する以前に、「米国のインフレ率が、長期的に平均して目標の2%への確実な道筋を辿っているという十分な確信を得るには、一段の前進のデータを見る必要がある。その確信を得てから、初めて米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの引き下げを開始する時期が来ると感じている。米国経済と労働市場が繁栄していることは朗報で、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) は緊急的なプレッシャーなしに金融政策を決定することが可能」としており、また米国インフレが低所得層にストレスを与えていることなどからインフレ警戒感も示していたことで、市場で既に意識され始めていた今週のパウエル議長発言や金曜日の米国雇用統計データなどのイベント予定が改めて意識されるとともに、利下げ開始に対するデータ重視の中道的で慎重な意見は、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の中でもかねてから中道派で知られていたパウエル議長の要人発言内容の市場予想に影響を与えたことでもドルが買い戻され、午前4時5分頃にドルは円相場で市場高値の手前付近の一時150円56銭付近にまで再上昇した。

ただし、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の中でハイテク株の比率が高い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が前日までの史上最高値を続伸後に、イベント前の利益確定や持ち高調整の影響などで小反落したことに加えて、先ほどの米国政策金利警戒感緩和もあり、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500 (Standard and Poor’s 500 Index) も前日までの上昇後に小反落したため、この日の米国市場の対円のドルの高値手前からはイベントリスクの早期の利益確定売りの抵抗や、米国主要株価小反落を受けたリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で市場安値圏からの低リスク通貨の円買いで円相場が反発した。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の150円57銭付近から、円の高値でドルの安値の150円31銭付近の値幅約26銭で、今朝7時前頃のニューヨーク終値は150円53銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の150円12銭付近と比べると約41銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の午前8時30分には、日本の最新経済指標が発表され、総務省の2月の東京都区部消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) は、生鮮食料品除く総合コア指数の前年同月比が、前回の1.6%と前回修正の1.8%に対し、市場予想通りの2.5%の上昇率となり、世界市場の視点では世界の中銀の目標の2%に近い市場予想通りの日本首都圏の2%台のコアインフレ率は、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) に特に早期のマイナス金利解除圧がないという見解もあり、対ドル円相場は発表時の8時30分頃に一時150円55銭付近に下落した。

ただし、物価基調を計るコア指数では除外する価格変動が激しい生鮮食料品や、以前に日本政府のエネルギー価格補助などがあったエネルギー価格なども含めた総合の場合の2月の東京都区部消費者物価指数 (CPI) では、日銀 (BoJ) が目標とする2%のインフレ率をやや上回る2.6%の上昇率であったことでは、円相場がやや反発した。

そのため、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時150円46銭付近の始値になったが、今朝は日本政府の鈴木俊一財務相の発言があり、先週末の日本の共同通信社 (Kyodo News) が一部関係者筋の情報という「日本政府がデフレ脱却を表明する検討に入ったとの一部報道」について、「その様な検討をしている事実はない」と否定したため、今朝の市場予想通りの東京都のコアインフレ率と相まって、日本市場でも日銀の早期の金融政策正常化予想が後退したことでは、再び円売りドル買いが入り、今朝9時29〜30分頃にはドルは円相場で一時150円49銭付近に反発した。

しかし、今日は5日で、日本市場では5と10がつく日本の貿易企業の決算日が集中しやすい「五十日」 (ごとおび / ゴトーび) にあたるため、日本の貿易企業の円買いドル売りが優勢であったことでは、円相場にも抵抗要因があり、今朝9時55分の仲値決済の直前の9時54分頃に、一時150円35銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

また、今朝の東京株式市場では、今朝までの米国主要株価指数の小反落の影響もあり、日経平均株価が前日までの史上最高値後の利益確定売りもあって4万円台から3万9千円台に一時下落していた時間があったことでも、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買い戻された時間があったが、午後には日経平均株価が反発し、市場最高値圏の4万円台に戻し、一時は前日比でもプラス圏の史上最高値の再更新に向かっていたことでは、リスク選好のリスクオン (Risk-on) でドルが円相場で反発後に上昇し、午後14時1分頃に一時150円55銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

なお、今日の昼頃からの日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男総裁の発言の内容は、FIN/SUM (フィンサム) 2024出席時の挨拶で、中央銀行デジタル通貨 (CBDC / Central Bank Digital Currency) についての説明や日銀の昨年からのパイロット実験の現状などに留まり、特に日本の今後の金融政策については言及されていなかった。

ただし、15時台には日経平均株価は再び利益確定売りで小反落し、4万97円63銭の終値で前日比11円60銭安の小幅安となったが史上高値圏の4万円台に留まったことや、今日の日本市場の時間外の米国債券市場では米国長期金利が一時4.22〜4.21%台で推移していた日米金利差では、午後15時23〜26分頃にかけてドルは円相場で一時150円55銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を再記録したが、何回も上抜けできなかったことでは天井を打つ形で利益確定売りが入り始めたほか、午後からの欧州英国市場参入により、今週の欧米イベントリスク回避の世界的な安全資産の米国債買いの影響で、米国長期金利が夕方に一時4.18%台に急落した日米金利差縮小を受けては、低リスク通貨の円も午後16時53分頃には再び一時150円35銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を再記録した。

しかし、世界的に流動性が高い基軸通貨でもあるドルは、その後の米国長期金利が一時4.20%台に向けて再び反発を見せた影響もあり、買い戻しも入り始めたが、イベント前の利益確定や持ち高調整に加えて、様子見の買い控えの抵抗も混ざった。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円41~42銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の150円31~32銭付近の前東京終値比では約10銭の小幅な円安ドル高になった。

今夜この後には、先述の通り、最新米国重要経済指標などの発表予定や、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時45分に 2月のサービス部門と総合の米国購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の改定値、深夜24時に最新米国重要経済指標の2月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米供給管理協会) 非製造業景況指数、同時刻に1月の米国製造業新規受注、26時頃からと29時30分頃の2回に渡りFRBのバー副議長の発言予定がある。

また、明日3月6日と明後日7日には米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の半年に一度の米国議会証言での要人発言予定のイベントを控えており、今週金曜日の米国雇用統計の発表予定にも既に注目が集まっている。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は163円15~17銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の163円16~18銭付近の前東京終値比では約1銭の僅差でほぼ横ばいに近い円高ユーロ安であった。

主な要因は、今週の欧州中央銀行 (ECB) 定例理事会を控えたイベントリスクによる安全資産の欧州国債買いが入った影響で安全資産のドルや低リスク通貨の円買いの影響があったほか、今日の午後16時45分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の1月の仏鉱工業生産の前月比は、前回プラス圏だった1.1%と前回修正の0.4%と市場予想の-0.1%を下回るマイナス圏の-1.1%に低下し、欧州景気懸念も為替相場に影響を与えた。

なお、今日の日本市場終了後の今夜17時50分に発表されたフランスの2月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の48.0を上回る48.4であったが、不景気と好景気のボーダーライン (境界線) の50は下回ったままで、直後の今夜17時55分の欧州主要国ドイツの2月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も同様に前回と市場予想の48.2に対し48.3であった。

ただし、その後の今夜18時の欧州ユーロ圏総合の2月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の50.0を僅かに上回る50.2であったことでは、円相場で欧州ユーロは反発し、僅差の円安ユーロ高にも転じたが、米国経済と比較すると欧州景気懸念は燻っていた。

そのため、ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0846〜1.0848ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0854〜1.0858ドル付近の前東京終値比では約0.08セントの小幅なユーロ安ドル高であった。

また、今夜19時に発表された欧州ユーロ圏総合の1月の欧州卸売物価指数 (PPI / Producer Price Index) は、前月比が前回の-0.8%と前回修正の-0.9%と市場予想の-0.1%に対し-0.9%に鈍化し、前年同月比は前回の-10.6%と前回修正の-10.7%と市場予想の-8.1%に対し-8.6%と、いずれも市場予想よりも鈍化していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は190円69〜75銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の190円57〜63銭付近の前東京終値比では約12銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、今週の欧米イベントリスクと比較すると、次回の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoJ / Bank of England) 金融政策委員会 (MPC) は3月21日の予定でイベントの日にちが遠く、今週3月7日の欧州中央銀行 (ECB) や、再来週3月18〜19日の日銀 (BoJ) 金融政策決定会合と3月19〜20日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) と比べて買われやすい時間があった。

ただし、東京終値後の今夜18時30分の英国ロンドン外国為替市場で発表された最新英国経済指標の2月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の54.3から53.8に低下したことでは、英国ポンドの上値は抑えられていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月5日の日本時間(JST)20時57分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時57分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:57の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 150.40 〜 150.41 +0.09 (円安)
ユーロ/円 163.18 〜 163.20 +0.02 (円安)
ユーロ/ドル 1.0848 〜 1.0850 -0.0006 (ドル高)
英ポンド/円 190.70 〜 190.76 +0.13 (円安)
スイスフラン/円 169.71 〜 169.77 -0.89 (円高)
豪ドル/円 97.63 〜 97.67 -0.45 (円高)


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