FXニュース:米ISM非製造業景況感下振れ

2024年3月06日
FXニュース:米ISM非製造業景況感下振れ

 

東西FXニュース – 2024年3月6日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利低下で金利差縮小
  • 米総合PMI改定値は上方修正
  • 日米株価続落時のリスク回避
  • 一部報道で日銀金融修正期待
  • 米FRBパウエル議長発言控え
  • 今週米雇用統計控え調整等も
  • 欧ECB理事会前の見通し予想

今日2024年3月6日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の150円8銭付近から、円の高値でドルの安値の149円33銭付近の値幅約75銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は149円55~56銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の150円41~42銭付近の前東京終値比では約86銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜22時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、この時間の米国長期金利が一時4.18%台後半であったため、始値は一時150円40銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録して始まった。

しかし、米国ニューヨーク債券市場では、今週の欧米イベントを控えたリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の影響などにより、世界的な安全資産でもある米国債買いの需要があったことから、米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が昨夜22時半過ぎ頃には一時4.15%台に下落したため、日米金利差縮小時には、イベントリスクによる買い控えもあるドルに対して、低リスク通貨でもある円が買われやすくなり、対ドルの円相場が上昇を始めた。

ただし、昨夜23時45分に発表された最新米国経済指標の2月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の改定値は、前回の51.3と市場予想の51.4を上回る52.3に速報値から上方修正されたことに加えて、2月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回と市場予想の51.4を上回る52.5の好景気側であったことでは、米国長期金利が一時4.16%台に反発した影響もあり、発表時の昨夜23時45分と発表後の23時53分頃にドルは円相場で一時150円18銭付近にまで反発する抵抗が入った。

とはいえ、続いて深夜24時に発表された市場注目度がより高かった最新米国重要経済指標の2月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米供給管理協会 / 米国サプライマネジメント協会) 非製造業景況指数の総合は、前回の53.4と市場予想の53.0を下回る52.6に低下し、不景気と好景気のボーダーライン (Borderline/ 境界線) の50は上回る好景気側ではあったものの、同時発表だった1月の米国製造業新規受注の前月比も、前回の0.2%が前回修正-0.3%に下方修正され、市場予想の-2.9%を下回る-3.6%に悪化したことを受けた米国景気減速懸念では米国長期金利が一時4.13%台に急落し、円相場だけでなく主要通貨に対してもドルが売られて瞬時に急落し、発表直後の深夜24時1分頃にドルは円相場で一時149円70銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

昨夜の米国市場からは翌米国市場にあたる今夜この後の6日夜と7日夜には、市場への影響力が強く次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の半期に一度の米国議会証言での要人発言予定のイベントがあり、市場予想で出ていた早期の米国利下げ予想を牽制する発言への警戒感から持ち高調整のドル買い戻しがあったことや、終盤が同時進行していた英国ロンドン外国為替市場では、今週7日に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 定例理事会の欧州新政策金利発表のイベント前の対ユーロのドルの買い戻し調整などでも、市場安値後には世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルが買い戻される抵抗が入り始め、英国市場終盤のロンドン・フィキシング (London Fixing) の値決め後の午前1時45分頃には、ドルは円相場で一時150円23銭付近に反発していた。

しかし、英国市場終了後も同時進行していた米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数が続落し、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) や米国ナズダック総合指数 (NASDAQ Composite) が前日比で大幅安になるなど、ベア・マーケット (Bear Market / 弱気市場) 特有のリスク回避のリスクオフが起き、安全資産の米国債や低リスク通貨の円が買われたため、一時は4.15%台に反発した米国長期金利が再び一時4.13%台をタッチし、その後には再度4.15%台に戻したものの、前日比で低下した米国長期金利では日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いの影響があり、円相場が再上昇した。

ただし、今週は8日の金曜日に最新米国重要経済指標の米国雇用統計発表のイベント予定も控えていることでは、早期の利益確定による持ち高調整や様子見の買い控えなどの値動きも混ざっていたことでは、上昇後の円相場にも利益確定売りの抵抗が混ざった。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の150円40銭付近から、円の高値でドルの安値の149円70銭付近の値幅約70銭で、今朝7時前頃のニューヨーク終値は150円5銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の150円53銭付近と比べると約48銭の円高ドル安をつけていた。

今朝9時頃から今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場も一時150円5銭付近から始まったが、今朝の日本市場時間の時間外の米国債券取引では、米国長期金利がニューヨーク終値時の4.15%台から上昇し、一時4.16%台に向けたため、今朝の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円買い先行も相まって、今朝9時5分頃にはドルは円相場で一時150円8銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、一時4.16%台に上昇後の米国長期金利は、今週の欧米イベントを控えた世界的な安全資産の米国債買いの影響もあって、再び一時4.15%台に反落したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りが再開した。

また、今朝までに日本企業の主要取引先でもある米国主要企業の米国主要株価三指数が揃って下落していた影響があり、今日の東京株式市場でも日経平均株価が続落に向かったことでは、日米株価下落時のリスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円が買われやすくなった。

今日の昼過ぎのニュースでは、ロイター通信 (Reuters) が、「日銀、生産・消費の現状判断引き下げ検討。景気見通しは維持(関係筋)」として、今月3月18~19日に開催予定の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) 金融政策決定会合で、経済指標を受けて「生産や個人消費の現状判断を引き下げる方向で検討」しているが、日銀は「生産や消費の落ち込みは一時的とみており、経済が緩やかな回復を続けるとの先行きの見通しは維持される公算が大きい」と、関係筋情報を報道していた。

午後15時台には、今日の日経平均株価は今朝の低下幅は午後に縮めたものの、4万90円78銭の終値と、前日比では6円85銭安の小幅安で大引けした。

午後からの欧州英国市場の参入でも、米国長期金利が一時4.14%台にタッチした影響もあり、低リスク通貨の円が買われて対ドル円相場が上昇した。

さらに、午後16時台には、日本の時事通信社 (Jiji Press) が、今日の夕方の時事通信ニュースで、「日銀委員、3月解除で意見表明へ=マイナス金利、次回会合で―決定なら17年ぶり利上げ」という大見出しで、日本銀行 (日銀 / BoJ) が今月3月18〜19日に開催予定の次回の日銀金融政策決定会合で、「一部出席者がマイナス金利政策の解除が妥当だと、意見表明する見通しであることが6日、分かった」として、日銀総裁、副総裁、審議委員達で構成する金融政策委員9人中、「少なくとも1人がマイナス金利解除が適切だと主張」しており、「過半の5人以上の委員が賛成すれば、解除が決まり、2007年以来17年ぶりの利上げに踏み切る」と報道したことを受けて、日本市場では日銀の早期のマイナス金利解除期待が高まって円相場が一時高騰し、午後16時47分頃に対ドルは円相場は一時149円33銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、夕方には英国ロンドン外国為替市場の本格参入が始まっていたため、一時4.14%台にタッチした後の米国長期金利が4.15%台に反発したほか、その後の17時台後半には一時4.17%台に向けた上昇も見せ始めていたため、市場安値後のドルが買い戻される抵抗が入り始めた頃に、今夜17時の日本市場の東京終値を迎えた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は149円55~56銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の150円41~42銭付近の前東京終値比では約86銭の円高ドル安になった。

今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定や、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長と高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時に米国MBA住宅ローン申請指数、今夜22時15分に2月の米国ADP (Automatic Data Processing) 雇用統計、今夜23時45分には以前に米国政策金利見通しの市場予想に影響を与えたことのある近隣国の北米カナダ銀行 (BoC / Bank of Canada) 新政策金利発表予定もあり、深夜24時に1月の米国卸売売上高と1月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数、そして、同じく深夜24時頃から世界市場の注目を集めている米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の発言の1日目で半期に一度の米国議会証言を米国下院金融委員会にて行う予定の要人発言イベントがあり、深夜24時30分に週間の米国原油在庫、26時頃から米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の発言予定、28時に米国地区連銀経済報告 (ベージュブック) が発表される予定である。

また、米国市場では、明日7日の夜にも米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の米国議会証言での要人発言予定の2日目のイベントを控えており、今週金曜日の米国雇用統計の発表予定も注目のイベントである。

一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は162円41~43銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の163円15~17銭付近の前東京終値比では約74銭の円高ユーロ安であった。

主な要因は、明日7日に欧州中央銀行 (ECB) 定例理事会のイベントを控えたイベントリスク回避では、欧州国債買いも入っており、欧州長期金利低下時の低リスク通貨の円買いと欧州ユーロ売りが為替相場に影響を与えていた。

また、基軸通貨でもあるドルに対する今日の円相場上昇の影響や、日米株価下落時の低リスク通貨の円買いの影響なども、他の主要通貨である欧州ユーロに波及した。

さらに、明日7日の夜には欧州中央銀行 (ECB) 理事会後のラガルド総裁の記者会見での発言が予定されているが、昨夜の欧米市場では、米国銀行のバンク・オブ・アメリカ (Bank of America) の関係者などの一部が、市場で優勢の欧州政策金利の据え置き予想に対して、会見では欧州利下げ時期が迫っていることが示唆される可能性を指摘していたことも、一部市場予想を受けたイベント前の警戒感による欧州ユーロ売りの一因になっていた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0858〜1.0860ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0846〜1.0848ドル付近の前東京終値比では約0.12セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、欧米共にイベントリスクがある中でも、先述の今日の東京終値直前の夕方の一部報道を受けた対ドル円相場でドルが下落した影響が、他の主要通貨である欧州ユーロの対ドルの為替相場にもドル下落圧として波及していた。

また、今日の午後16時に発表された欧州ユーロ圏の主要国ドイツの最新経済指標の1月の独貿易収支は、前回の222億ユーロと前回修正の224億ユーロと市場予想の215億ユーロを上回る275億ユーロに上昇した。

続いて、今夜19時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の1月の欧州小売売上高は、前月比が前回マイナス圏だった-1.1%と前回修正の-0.6%に対し、市場予想通りのプラス圏の0.1%に改善され、前年同月比も前回の-0.8%と前回修正の-0.5%と市場予想の-1.3%に対し-1.0%と、欧州景気懸念の市場予想ほどは悪化しなかったことも好感された。

なお、今夜22時頃には、欧州連合 (EU / European Union) 加盟国のポーランド中銀も現地の金利を発表する予定である。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は190円11〜17銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の190円69〜75銭付近の前東京終値比では約58銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、今週の欧米イベントリスクを控えた欧州ユーロやドルに対して低リスク通貨でもある円相場が上昇した影響が、他の主要通貨で欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドにも波及した。

ただし、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoJ / Bank of England) 金融政策委員会 (MPC) は次回が3月21日の予定で、明日3月7日に迫った欧州中央銀行 (ECB) や、今夜この後の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長の要人発言イベント予定などと比較すると、イベントリスクから離れていたことでは、欧州ユーロよりも少ない下げ幅に反映されていた。

なお、今夜の英国ロンドン外国為替市場では、日本市場終了後の今夜18時30分に最新英国経済指標の2月の英国建設業購買担当者景気指数 (PMI) が発表され、前回の48.8と市場予想の49.0を上回る49.7に上昇したが、不景気と好景気を分ける50にはやや届かなかった。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月6日の日本時間(JST)20時24分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時24分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。

通貨ペア JST 20:24の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 149.76 〜 149.77 -0.65 (円高)
ユーロ/円 162.84 〜 162.86 -0.31 (円高)
ユーロ/ドル 1.0872 〜 1.0874 +0.0026 (ドル安)
英ポンド/円 190.50 〜 190.56 +0.13 (円安)
スイスフラン/円 169.12 〜 169.18 -0.68 (円高)
豪ドル/円 97.68 〜 97.72 +0.15 (円安)


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