FXニュース:日米金利差縮小予想の円買い
2024年3月11日東西FXニュース – 2024年3月11日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米失業率と平均時給が下振れ
- 米賃金インフレ圧鈍化を意識
- 米長期金利低下で金利差縮小
- 日銀修正警戒で日経平均急落
- 今週春闘集中回答や米CPI控え
今日2024年3月11日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の146円53銭付近から、円の安値でドルの高値の147円9銭付近の値幅約56銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は146円72~74銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の147円87~89銭付近の前東京終値比で約1円15銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、先週金曜日の夕方17時24分頃の英国ロンドン外国為替市場ではドルは円相場で一時148円5銭付近に買い戻されていたが、同日夕方のニュースで英国ロイター通信 (Reuters) が「日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) では3月のマイナス金利解除に傾く政策委員が増えている」と報じたほか、今年の春闘集中回答日を今週3月15日に控え、「今年の賃金上昇加速が見込まれることが理由だという」と、米国ブルームバーグ通信 (Bloomberg) も観測報道を続け、市場で日銀の早期のマイナス金利解除予想が高まった。
さらに、日本の時事通信社 (Jiji Press) も、「国債購入、規模明示へ=YCC撤廃、新「量的」枠組み―円滑な緩和正常化で・日銀検討」として、「日銀が国債買い入れ規模を示す新たな『量的』金融政策の枠組みを検討し、国内長期金利を『0%程度』に誘導するほか、長短金利操作のイールドカーブコントロール (YCC / Yield Curve Control) の『撤廃』を、早ければ今月3月18〜19日に開く次回の日銀金融政策決定会合で早期のマイナス金利政策の解除と共に検討する」という内容の観測報道等が相次いだ影響で、世界市場では日米金利差縮小予想の円買いドル売りの勢いが強まり、先週金曜日の夜18時48分頃にドルは円相場で一時146円87銭付近に急落してした。
続いて、先週金曜日の夜22時から始まった米国冬時間最後の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は米国長期金利が4.07%台付近で推移していたこともあり、一時147円23銭付近から始まったが、先週金曜日22時30分に米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国の新政策金利や金融政策を決める際に重視している最新米国重要経済指標のデータでもある2月の米国雇用統計の発表イベントがあり、2月の米国非農業部門雇用者数変化 (NFP / Non-Farm Payroll) の前月比は前回の35.3万人と前回修正の22.9万人と市場予想の20.0万人に対し27.5万人と市場予想を上回ったことでは、瞬時のドル買いが先行し、発表時の先週金曜日22時30分にドルは円相場で一時147円48銭付近の先週末の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、前回の35.3万人が22.9万人に大幅に下方修正されていたことに加え、同時発表の2月の米国失業率が前回と市場予想の3.7%に対し3.9%に悪化したほか、2月の米国平均時給の前月比も前回の0.6%と前回下方修正の0.5%と市場予想の0.3%を下回る0.1%に低下し、2月の米国平均時給の前年同月比も前回の4.5%と前回下方修正と市場予想の4.4%以下の4.3%と弱かったため、米国政策金利の高金利維持の背景のインフレ圧警戒には、堅調な米国雇用市場と賃金インフレ圧なども関与してきたことなどから、米国賃金インフレ圧の鈍化が意識され、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.05%付近に急落し、日米金利差縮小の円買いドル売りに加えて主要通貨との金利差トレードでもドルが売られた影響で、先週金曜日22時41分頃にドルは円相場で一時146円48銭付近の先週末の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、冬時間最後の週末を控えた米国市場では、高値の円の利益確定売りでドルの買い戻しが入ったほか、米国ニューヨーク債券市場でも安全資産の米国債価格高騰後の利益確定売りで米国債券価格反落に伴う利回り上昇の影響で米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が反発して一時4.097%付近に向かったため、市場安値後のドルは円相場などで買い戻されて反発して下げ幅を縮め、147円台前半付近で推移した。
同米国市場からは来週にあたる今週の3月12日には、最新米国重要経済指標の中でも注目度が高い米国インフレ指標の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントなどを控えていることから、持ち高調整や様子見ではやや横ばいに近い値動きも混ざり始めた。
さらに、一部の観測報道で、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の関係者が、「初回利下げについて6月を圧倒的に支持している」ことや、「依然として4月利下げ開始を主張する一部当局者の支持を得るために、7月に2回目の利下げを行うという案も浮上している」という欧州利下げ予想を高めるニュースなども伝わり、欧州ユーロに対する一時の大幅な下落幅をドルが縮め、米国冬時間の終わりの米国市場終盤には、ユーロドルが前日比では小幅なユーロ安ドル高に転じた影響も対ドル円相場に波及していた。
ただ、米国冬時間終了の先週末の利益確定売りや持ち高調整では、米国主要株価三指数が揃って前日比で株安になった影響からは、ドルの買い戻しだけでなく、安全資産の米国債買いや低リスク通貨の円買いも混ざっていたことでは、ドルの買い戻し幅は限られていた。
このため、先週金曜日の夜から先週土曜日の朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の147円48銭付近から、円の高値でドルの安値の146円48銭付近の値幅約1円で、先週末のニューヨーク終値は147円6銭付近で、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の148円5銭付近と比べると約99銭の円高ドル安をつけていた。
週明け月曜日の今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の今朝8時30分には、日本の最新重要経済指標の発表があり、昨年10〜12月の前四半期の日本実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の改定値は、前期比が前回速報値のマイナス圏の-0.1%と市場予想の0.3%に対し0.1%と、市場予想ほどではないもののプラス圏に転じた上方修正がされ、年率換算も前回のマイナス成長だった-0.4%と市場予想の1.1%に対して0.4%と、同じく市場予想には届かなかったがプラス成長に上方修正されたことも、日本市場では好感され、日銀の早期のマイナス金利解除期待圧を継続させる結果となっていた。
今朝9時頃の今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時146円80銭付近と先週末のニューヨーク終値よりも対ドルの円相場が上昇して始まり、今朝の日本市場の時間外の米国債券取引では、日米金利差縮小予想により米国長期金利が一時4.06%台に再低下したことを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りの影響で、今朝10時13分頃にドルは円相場で一時146円53銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、日銀の早期のマイナス金利解除期待圧と国内金利上昇への警戒感などから、今日の東京株式市場では日経平均株価が急落し、一時前日比で1000円安の大幅下落を受けたリスク回避のリスクオフ (Risk-off) でも、国内第一安全資産の低リスク通貨の円がドルやユーロなどの主要通貨に対して買い戻されて、円相場が上昇していた。
しかし、一方で、円高による海外投資家達の日本株の利益確定売りだけでなく、市場高値圏から日本円や米国債にも利益確定売りが入った影響では、米国長期金利も一時4.07%台に向けて反発し、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルの安値からの買い戻しの抵抗も入ったことでは、今朝11時53分頃にドルは円相場で一時147円9銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
今日の午後14時50分頃には、今日大幅安の日経平均株価が一時1000円近かった急落幅をやや縮めたことなどもあり、ドルは円相場で一時147円8銭付近に再上昇したが、午後15時台に今日の日経平均株価が3万8820円49銭の終値と、前営業日で868円45銭安大幅下落のままで終値をつけると、再び低リスク通貨の円買いや世界的な安全資産でもある米国債買いによる米国債券価格上昇に伴い米国長期金利が再び低下する一方で、日銀の早期のマイナス金利解除予想や長短金利操作のイールドカーブコントロール (YCC) 撤廃等の修正期待などで日本国債10年物の利回りが指標の国内長期金利は上昇していたため、日米金利差縮小時の円買いドル売りの影響が続いた。
日本市場では今週に春季労使交渉の春闘の集中回答日のイベントを控えるほか、先述の今週の2月の米国消費者物価指数 (CPI) 発表イベント予定もあり、今週は日米の金融政策の方向性に影響を与えるイベントリスクがあることでは、持ち高調整や様子見の抵抗もやや混ざっていたが、夕方から本格参入の英国ロンドン外国為替市場では、世界的な安全資産の米国債買いの影響で、米国長期金利が夕方17時頃に一時4.05%台に再低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りが再燃した。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は146円72~74銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の147円87~89銭付近の前東京終値比では約1円15銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場は、先週末の日曜日に米国夏時間 (サマータイム) になってからの初の市場となるため、今月末の3月31日まではまだ英国冬時間の英国ロンドン外国為替市場や欧州市場などとの時差調整等の影響もあり、今夜は特に重要な最新米国重要経済指標の発表予定はないものの、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールでは、26時に米国3年債の入札予定があり、最近の米国債券利回りの影響による日米金利差トレードの影響などには注意が必要である。
一方、今日は欧州ユーロも、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は160円53~54銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の161円68~69銭付近の前東京終値比では約1円15銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、日銀修正期待圧や欧州中央銀行 (ECB) の欧州利下げ予想による日欧金利差縮小予想による円買いユーロ売りや、今日の日経平均株価の大幅下落を受けたリスク回避の低リスク通貨の円買いでも欧州ユーロが売られほか、基軸通貨のドルに対する円高ドル安も他の主要通貨である欧州ユーロや英国ポンドなどにも影響が波及していた。
このため、ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0940〜1.0942ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0932〜1.0934ドル付近の前東京終値比で約0.08セントのユーロ高ドル安であった。
英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は188円45〜51銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の189円30〜36銭付近の前東京終値比で約85銭の円高ポンド安であった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月11日の日本時間(JST)20時31分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時31分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、サマータイム制のある英国市場の英国夏時間 (BST / JST-8) への変更は今月末の3月31日からであるが、米国市場では先週末に米国冬時間が終了し、今週から米国夏時間 (EDT / JST-13) で日本市場や英国市場との時差が1時間変わったことには注意が必要である。)
通貨ペア | JST 20:31の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 146.69 〜 146.70 | -1.18 (円高) |
ユーロ/円 | 160.50 〜 160.52 | -1.18 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0940 〜 1.0942 | +0.0008 (ドル安) |
英ポンド/円 | 188.44 〜 188.50 | -0.86 (円高) |
スイスフラン/円 | 167.41 〜 167.47 | -1.12 (円高) |
豪ドル/円 | 97.01 〜 97.05 | -1.10 (円高) |
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