FXニュース:米消費者物価指数が予想以上
2024年3月13日東西FXニュース – 2024年3月13日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 根強い米インフレと金利市場
- 米10年債入札で利回り4.17%
- 米S&P500種史上最高値更新
- 春闘集中回答日の賃上げ観測
- 日経平均株価続落リスク回避
今日2024年3月13日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の147円23銭付近から、円の安値でドルの高値の147円79銭付近の値幅約56銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は147円66~68銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円34~35銭付近の前東京終値比で約32銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、日本時間の昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時147円44銭付近の始値であったが、昨夜21時30分には米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国の新政策金利や金融政策を決める上で重視していることが知られている最新米国重要経済指標の2月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントがあり、前月比は前回の0.3%に対し市場予想通りの0.4%であったものの、前年同月比では前回と市場予想の3.1%を上回る3.2%であったことに加え、価格変動が激しい食品とエネルギーを除き物価基調を見る米国CPIコア指数も、前年比が市場予想の0.3%を超える前回と横ばいの0.4%、前年同月比も前回の3.9%と市場予想の3.7%に対し3.8%と、市場予想を上回ったことを受けて、継続的な2%のインフレ目標達成への確信を強まる最新データではないことから米国の利下げ開始時期が遅れる可能性が市場で意識され、発表時の昨夜21時30分にドルは円相場で一時148円16銭付近に高騰し、昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、前回に続き市場予想を上回ったものの、前回よりはやや鈍化傾向が見られたことや、以前の米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の発言においても、物価高の沈静化の一方で米国の根強い住宅インフレ圧やサービス・インフレと、最近の中東情勢などから原油価格上昇などのエネルギー・インフレ圧への警戒感などが既に指摘されていた様に、今回もガソリン価格やサービスと家賃を含む住宅インフレが上昇していたため、住居費を除く米国スーパーコアCPIの上昇率では、前月の0.8%から0.5%に減速していたことからは、上昇後の市場高値圏のドルには利益確定売りの反動が入り、昨夜21時41分頃には一時147円6銭付近に急反落するという荒い値動きになった。
しかし、同時進行中だった米国ニューヨーク債券市場では、今回のCPIではインフレ率が持続的に2%に向かっていることを示す一段の確信を持てる証拠は見当たらなかったという専門家の指摘などを受けた米国政策金利の先高感による米国長期金利の上昇に加えて、その後の午前2時には債券利回りが米国長期金利の指標となる米国10年債の入札予定を控えていたために米国長期金利が更に上昇し、米国CPIの発表前の4.09%台から発表後に4.10%台に乗せてからも上昇を続け、昨夜23時台からは一時4.16%台に大幅に上昇したため、日米金利差拡大による円売りドル買いにより、すぐにドルの買い戻しも入り始めて、ドルは円相場で反発し、昨夜22時台からは148円台手前の147円台後半付近で推移していた。
午前2時の米国10年債の入札結果が低調に終わったことから、米国債券価格低下に伴う利回り上昇の影響が続き、入札後の米国長期金利は一時4.167%台から約4.17%付近にまで上昇し、金利差トレードで円安要因の日米金利差拡大が起きていた。
この米国債券価格低下の一因は、同時進行中だった米国ニューヨーク株式市場では、イベントリスク警戒感の緩和などから米国主要株価三指数が揃って好調になり、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が前日比で大幅高の終値に向かったほか、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) は史上最高値記録を更新し、米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) も前日比で大幅高になるというブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオン (Risk-on) で安全資産の米国債が売られた影響があった。
また、日米金利差拡大による金利差トレードの円売りドル買いに加えて、株価下落時のベア・マーケット (Bear Market / 弱気市場) のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では買われやすい低リスク通貨の円が、株価上昇時のブルなリスクオンでは逆に売られやすくなっていた。
ただし、午前3時の2月の米国月次財政収支は、前回の-219億ドルに対し、市場予想の-2990億ドル以下ではあったものの、-2963億ドルと前回よりは赤字額が大幅に増えたことでは、低リスク通貨の円の対するドルの上値は抑えていた。
また、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の結果発表予定のイベント前日の3月19日には、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合の結果発表予定を控えており、今週には日本の春闘の第1回回答集計結果発表予定のイベントも控えているため、イベント前の早期の利益確定や持ち高調整も始まったこともやや抵抗になった。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の148円16銭付近から、円の高値でドルの高値の147円6銭付近の値幅約1円10銭で、米国夏時間になり日本時間で今朝6時頃になったニューヨーク終値は147円68銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の146円95銭付近と比べて約73銭の円安ドル高をつけていた。
今朝9時頃の今日の日本の東京外国為替市場の対ドルの円相場の始値は一時147円62銭付近で始まったが、今朝9時55分の今日の日本市場の仲値決済では、国内輸出企業の円買いドル売りが優勢であったことから円相場が反発して下げ幅を縮め始めた。
日本市場では、今日が春闘の春季労使交渉の集中回答日であるために、今週金曜日の春闘の第1回回答集計結果発表予定を控え、今朝のニュース速報で「トヨタが4年連続で満額回答、賃上げ最大2万8440円」や「日本製鉄、賃上げ率14%、要求上回る3万5000円で回答」という日本経済新聞社 (Nikkei Inc.) のニュース速報などの一部報道を受けて、組合に対して高い賃上げ率の回答を示す企業が他にも相次ぐのではという賃上げ観測報道が日本放送協会 (NHK / Nippon Hoso Kyokai / Japan Broadcasting Corporation) などのニュースでも続いたため、「賃金と物価の好循環」を大規模緩和金融政策の出口政策で目指している日本銀行 (日銀) が今年の春闘を政策決定時に注視していることが意識され、来週の3月18~19日に開催予定の日銀金融政策決定会合での早期のマイナス金利解除期待圧が再び高まったことでは、今朝のニュースを受けて円買いドル売りが入り、午前10時8分頃に対ドルの円相場は一時147円23銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、今日の東京株式市場では、日銀修正期待圧による国内金利上昇への警戒感もあり、日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が続落し、前日比で大幅安になったこともでも、日本株安時のリスク回避のリスクオフでは、国内第一安全資産でもある低リスク通貨の円が買われやすくなっていたほか、日本市場時間の時間外の米国債券取引でも世界的な安全資産でもある米国債が買われた影響で、今朝早朝には一時4.17%近かった米国長期金利が日本市場の取引で一時4.13%台にまで低下した影響もあったが、日本国債も買われて利回りが低下したことでは、円相場では日米金利差縮小の影響はやや相殺されていた。
ただし、今日の日経平均株価は、午前中の一時の大幅な下落幅を午後にはやや縮めたため、市場高値後の低リスク通貨の円にはリスクオンで利益確定売りが入った。午後15時台に今日の日経平均株価は、3万8695円97銭の終値をつけ、前日比101円54銭安で大引けした。
午後15時台の参議院予算委員会では、日本政府の岸田文雄首相が日本銀行 (日銀) の金融政策について、「マイナス金利解除のタイミングを含め、具体的手法は日銀に委ねられている」、「政府が今取り組んでいる構造的な賃上げという政策等もしっかりと踏まえた上で、日銀として総合的な判断を行っていくものと認識している」と発言したが、日本経済には賃上げなどの明るい兆しが出てきているとする一方で、物価動向については、「再びデフレに戻る見込みがないと言える状況にはまだ至っていない。従って、デフレ脱却には至っていない」と発言したことでは、日銀の「賃金上昇を伴う2%のインフレ目標」が大規模緩和金融政策の出口戦略であると意識されていたため、市場では円が売られた。
午後15時26分頃からの参議院予算委員会には、日銀の植田和男総裁も出席し、一部の大企業から今年の春闘の満額回答が相次いでいる報道などに対する見解が市場で注目されていたが、日銀の金融政策修正の前提となる「賃金と物価の好循環」を確認する上で、現在本格化している今年の春闘の動向は、「大きなポイントとなる」と植田総裁は発言したものの、一部大企業の満額回答が相次いだ集中回答日の見解については触れずに、賃上げの結果を含めた様々な最新データなどの情報を「総合的に点検した上で、適切に判断していきたい」と慎重な姿勢を示し、先行きの「物価2%目標の実現」が見通せる状況に至った場合には、大規模緩和策の修正を検討すると改めて強調したことでは、今月の早期の日銀修正予想や日米金利差縮小予想がやや後退し、対ドルの円相場が下落し、午後15時43分頃に対ドルの円相場は一時147円79銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、午後からの欧州英国市場の参入も始まり、昨夜の米国インフレの根強さの影響を受けていたことでも円売りでドルが買われたが、午後16時に発表された欧州英国の最新経済指標を受けて世界的な安全資産でもある米国債買いが入った影響では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は夕方までに一時4.13%台にまで下げたものの、その後の今夜の英国市場の一時4.17%台に向けた反発を始めたため、ドルの買い戻しも始まっていた。
そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円66~68銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の147円34~35銭付近の前東京終値比では約32銭の円安ドル高になった。
今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定や米国債入札予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時30分に週間原油在庫と、26時0分に米国30年債の入札予定がある。
一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は161円35~37銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円7~8銭付近の前東京終値比では約28銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、前述の対ドル円相場の円安の値動きの影響が、他の主要通貨である欧州ユーロなどにも波及していた。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0926〜1.0927ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0930〜1.0932ドル付近の前東京終値比で約0.04セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、今日の午後16時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の2月の独卸売物価指数 (WPI / Wholesale Price Index) の前月比は、前回の0.1%から-0.1%に鈍化しており、欧州利下げ予想が高まった。
また、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会メンバーのラトビア中銀のカザークス総裁が、「欧州利下げをあまり遅らせる必要はない」と発言した影響もあった。
ただし、今夜19時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新欧州経済指標の1月の欧州鉱工業生産は、前月比が前回の2.6%と前回修正の1.6%と市場予想の-1.5%を下回る-3.2%に悪化し、前年同月比も前回の1.2%と前回修正の0.2%と市場予想の-2.9%を倍以上下回る-6.7%に悪化したことでは、欧州景気懸念が浮上したほか、欧州市場では自国通貨である欧州ユーロの買い戻しが入っていたことでは、東京終値時にも小幅域であったために、前東京終値比での小幅なユーロ高ドル安に今夜20時台の欧州市場では市場反転も見せている。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は188円77〜83銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の188円50〜56銭付近の前東京終値比で約27銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、ドルや欧州ユーロに対する円安の影響が波及したほか、今日の午後16時に発表された最新英国重要経済指標の1月の英国月次国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の前月比は、前回マイナス成長だった-0.1%から市場予想通りにプラス圏の0.2%に転じたことが好感された。
しかし、同時発表だった1月の英国鉱工業生産は、前月比が前回の0.6%と市場予想の0.0%を下回るマイナス圏の-0.2%に悪化し、前年同月比も前回の0.6%と市場予想の0.7%を下回る0.5%であったことでは、世界的な安全資産の米国債が発表時に一時買われた一因になった。
ただし、同じく発表された1月の英国商品貿易収支と1月の英国貿易収支も共に赤字継続ではあったものの、市場予想比では強弱が入り混じっていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月13日の日本時間(JST)20時54分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時54分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、サマータイム制のある英国市場の英国夏時間 (BST / JST-8) への変更は今月末の3月31日からであるが、米国市場では先週末に米国冬時間が終了し、今週から米国夏時間 (EDT / JST-13) で日本市場や英国市場との時差が1時間変わったことには注意が必要である。)
通貨ペア | JST 20:54の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 147.93 〜 147.94 | +0.59 (円安) |
ユーロ/円 | 161.87 〜 161.92 | +0.80 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0943 〜 1.0945 | +0.0013 (ドル安) |
英ポンド/円 | 189.40 〜 189.46 | +0.90 (円安) |
スイスフラン/円 | 168.57 〜 168.63 | +0.55 (円安) |
豪ドル/円 | 97.84 〜 97.88 | +0.33 (円安) |
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