FXニュース:今夜米PPIと小売売上高控え
2024年3月14日東西FXニュース – 2024年3月14日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 債券利回り受けた日米金利差
- 日経平均株価が続落後の反発
- 明日の春闘第1回答集計結果
- 日銀マイナス金利解除を議論
- 来週の日米中銀会合前の調整
- 欧ECB政策金利枠組み見直し
- ギリシャ中銀総裁ハト派発言
今日2024年3月14日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の147円53銭付近から、円の安値でドルの高値の147円97銭付近の値幅約44銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は147円84~85銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円66~68銭付近の前東京終値比で約18銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夕の日本市場終了後の18時40分頃の英国ロンドン外国為替市場では、債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いで、ドルは円相場で一時148円5銭付近に買われていた。
続いて、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場でも、この時間には米国長期金利は一時4.18%台から4.19%台に向けて更に上昇を続けていたため、一時147円97銭付近の始値をつけた後に、一時4.195%付近とおよそ4.2%近い高利回りの米国長期金利との日米金利差が意識され、昨夜21時4分頃にドルは円相場で一時148円1銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、昨夜の米国ニューヨーク株式市場では、来週に米国の中央銀行制度にあたる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国新政策金利や金融政策を決める米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) のイベント予定を控えていることを警戒したイベントリスクの利益確定と持ち高調整が入ったほか、米国国防総省が最大25億ドルの半導体補助金をインテルに提供する計画を撤回したというニュースを受けてインテルなどの一部の関連株が大幅に急落した影響などがあり、前日には揃って堅調だった米国主要株価三指数のうち、米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) の二指数が揃って小反落に向かい、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) は小幅高であったものの、一部の大幅な株価急落を警戒したリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では、世界的な安全資産でもある米国債が買われて債券価格上昇に伴う利回り低下の影響で米国長期金利が一時反落し、日米金利差縮小時に低リスク通貨の円が買い戻されたことでは、対ドルの円相場は反発した。
また、昨夜の米国ニューヨーク債券市場では、午前2時に米国30年債の入札があり、好調な入札結果を受けて米国長期金利が一時4.17%台に再低下したため、午前2時9分頃に対ドルの円相場は一時147円46銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、米国債入札後の影響が一巡すると、米国長期金利が再び一時4.19%台の終値に向けて戻していったことや、昨夜は特に重要度が高い米国指標の発表がなく、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達も来週の会合前の発言自粛のブラックアウト期間に入っていたが、翌米国市場にあたる今夜この後には、最新米国重要経済指標を含むデータの発表予定を控えており、2月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) と2月の米国小売売上高、そして米国雇用関連の前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数が今夜21時半に同時発表されるイベント予定があるため、来週の日米の金融政策決定会合のイベント週を前にした日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) のマイナス金利解除圧の連日の報道後にも上昇していた日本円の早期の利益確定売りや持ち高調整も入り始めたことでは、円相場は上昇幅を縮める形で反落した。
ただし、明日の金曜日には春闘 (春季労使交渉) の第1次回答集計結果の発表予定もあり、日本銀行 (日銀 / BoJ) が来週の3月18~19日の日銀金融政策決定会合でマイナス金利を解除するか議論すると伝わっており、昨日の午後に日本政府の岸田文雄首相が、日本経済は「再びデフレに戻る見込みがないと言える状況にはまだ至っていない。従って、デフレ脱却には至っていない」という発言をした一方で、日銀の植田和男総裁は、賃金と物価の好循環を確認する上で、「現在本格化している春闘の動向は、大きなポイントとなる」とも発言していたことなどから、日本企業の賃上げ動向が注視される中で、日銀の早期のマイナス金利解除圧が世界市場でも意識されて燻っていたことなどは、円相場の抵抗要因になっていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の148円1銭付近から、円の高値でドルの高値の147円46銭付近の値幅約55銭で、米国夏時間になり日本時間で今朝6時頃になったニューヨーク終値は147円76銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の147円68銭付近と比べて約8銭の小幅な円安ドル高をつけていた。
今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドルの円相場の始値は一時147円59銭付近であったが、来週の日本銀行 (日銀 / BoJ) 金融政策決定会合で「日銀がマイナス金利解除を議論する」というニュース圧が続いており、明日の春闘の第1次回答集計結果を控えた様子見ムードの値動きの中でも低リスク通貨の円の買い戻しが入っていたことでは、今朝10時4分頃に対ドルの円相場は一時147円53銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、先日の最新米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) が市場予想よりも根強い米国インフレを意識させ、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での米国金利据え置き予想値は確定値超えの99%に達しており、米国政策金利の先高観が意識される中で、今夜この後には最新米国卸売 (製造者) 物価指数 (PPI) や最新米国重要経済指標の米国小売売上高や週間の雇用関連指標などの発表イベントを控えていることなどから、アジア・オセアニア市場と同時進行していた日本市場の昼頃から、時間外の米国債券市場では米国長期金利が再び上昇を再開し一時4.20%台に乗せ、更に夕方の英国ロンドン外国為替市場の参入では一時4.21%台に向かったことでは、債券利回りの日米金利差が拡大し、金利差トレードの円売りドル買いで、午後13時32分頃にドルは円相場で一時147円97銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録したほか、夕方16時22分頃と27分頃にも同じ高値圏を再度記録したが、ダブルトップ (Double Top) の毛抜き天井で上抜けできなかったことでは天井を打つ形でやや反落した。
また、今日の東京株式市場では、日銀のマイナス金利解除圧に警戒して続落していた日経平均株価 (Nikkei Stock Average) が、昨日の日本政府の岸田首相のデフレ脱却がまだという発言後に日銀の早期のマイナス金利解除予想がやや後退し、春闘の結果前の様子見ムードでは、来週はまだ「議論」だけの段階に留まる可能性もあるために、市場では早期のマイナス金利解除や修正による国内金利上昇や企業や個人へのローン金利上昇などへの警戒感がやや緩和されていたこともあり、今日の日経平均株価は大幅に反発し、午後に3万8807円38銭の終値と、前日比111円41銭高の大幅高で大引けしたことも、低リスク通貨の円の利益確定売りの一因となっていた。
また、以前にも、日銀総裁がマイナス金利解除後も緩和的な金融政策を続ける可能性について言及していた理由は、海外では金利上昇時には企業への貸付ローン金利や家計への住宅ローン金利などもどんどん上昇し、賃金や売上などが同時に上昇していないと、物価高やコスト高に加えたローン金利上昇は、中小企業や低所得の家計への負担が増えることに配慮した発言でもあったのだが、今回の春闘でも、一部の有名大企業の満額または大幅な賃上げは予想されていたが、中小企業などの全般的な賃上げに加えて、株価上昇の恩恵を受けられない非上場企業などの全体的な日本の賃上げ動向が焦点になるとも考えられていたため、トヨタなどの一部の国際的な上場大企業の賃上げのニュースだけではまだ判断できないため、明日の春闘の第一次の集計結果発表が注目されており、日銀の植田総裁は「大きなポイントとなる」としながらも、大規模緩和金融政策の修正には慎重な姿勢を示していたことでは、一部のタカ派の日銀委員の発言や、一部の観測ニュースで上昇後の円には、イベントリスクの利益確定売りや持ち高調整が混じり、日銀がマイナス金利解除後も大規模緩和金融政策を当面継続する場合には、欧米の利下げ時期による日本との金利差が焦点となってくる。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は147円84~85銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の147円66~68銭付近の前東京終値比で約18銭の円安ドル高になった。
今夜この後には最新米国重要経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは今夜21時30分に、2月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) 、2月の米国小売売上高、前週分の米国新規失業保険申請件数および米国失業保険継続受給者数が同時発表されるイベント時間があり、続いて23時に1月の米国企業在庫が発表される予定である。
一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は161円69~70銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円35~37銭付近の前東京終値比では約34銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、基軸通貨のドルに対する円相場の値動きの影響が、他の主要通貨である欧州ユーロにも波及したほか、日経平均株価の大幅反発や時間外の米株価先物の反発などを受けたリスク選好のリスクオン (Risk-on) では低リスク通貨の円やドルに対してユーロが買われて上昇していたが、今日の夕方に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会関係者のギリシャ中銀のストゥルナラス総裁が、「我々はすぐにでも欧州利下げを開始する必要がある」と、夏休み前に2度の利下げや年内4回の早期の欧州利下げに言及するハト派発言をしたニュースが話題になり、主要通貨に対してユーロが売られた抵抗が入ったことでは、やや小幅域になった。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0935〜1.0937ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0926〜1.0927ドル付近の前東京終値比で約0.09セントのより小幅なユーロ高ドル安であった。
主な要因は、昨夜の欧州市場では、欧州中央銀行 (ECB) が、欧州政策金利の運営フレームワーク (Framework / 枠組み) の見直しを発表したが、銀行への中銀からの貸付金利条件の変更などは含んでいたものの、特に利下げなどの欧州政策金利の見通しに影響を及ぼすものではなかったことからは、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場でもユーロ高ドル安の終値をつけていた。
また、今夜の米国イベントリスクを控えた持ち高調整や買い控えなども入っていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は189円27〜33銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の188円77〜83銭付近の前東京終値比で約50銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、他の主要通貨の影響の波及に加えて、今日は最新英国経済指標の2月の英国王立公認不動産鑑定士協会(RICS / Royal Institution of Chartered Surveyors) 住宅価格指数が発表され、前回の-18と前回修正の-19と市場予想の-11に対し-10と、英国の住宅インフレの鈍化ペースは、前回よりは鈍化したものの、市場予想ほど鈍化しなかったことから、米国同様に根強い英国の住宅インフレが市場で意識されたことで、英国ポンドが円相場で上昇した。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月14日の日本時間(JST)20時29分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時29分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、サマータイム制のある英国市場の英国夏時間 (BST / JST-8) への変更は今月末の3月31日からであるが、米国市場では先週末に米国冬時間が終了し、今週から米国夏時間 (EDT / JST-13) で日本市場や英国市場との時差が1時間変わったことには注意が必要である。)
通貨ペア | JST 20:29の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 147.71 〜 147.73 | +0.05 (円安) |
ユーロ/円 | 161.61 〜 161.63 | +0.26 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0939 〜 1.0941 | +0.0013 (ドル安) |
英ポンド/円 | 189.20 〜 189.26 | +0.43 (円安) |
スイスフラン/円 | 168.01 〜 168.07 | -0.25 (円高) |
豪ドル/円 | 97.88 〜 97.92 | +0.23 (円安) |
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