FXニュース:日銀マイナス金利後も緩和的
2024年3月19日東西FXニュース – 2024年3月19日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 日本新政策金利0〜0.1%程度
- YCC撤廃ETF購入終了想定内
- 日銀修正後にドル円150円台
- 米長期金利上昇で日米金利差
- 日米株価上昇時のリスクオン
- 今夜から米FRBのFOMC開催
- 明後日に英BoE新政策金利も
- 豪RBA政策金利4.35%維持
今日2024年3月19日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の148円97銭付近から、円の安値でドルの高値の150円49銭付近の値幅約1円52銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は150円24~25銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の149円12~14銭付近の前東京終値比で約1円12銭の大幅な円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時149円3銭付近であったが、米国ニューヨーク債券市場で米国政策金利の先高感などにより米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いでドルが円相場で上昇していた。
昨夜23時に発表された最新米国経済指標の3月の米国NAHB (National Association of Home Builders / 全米住宅建設業者協会) 住宅市場指数が、前回と市場予想の48を上回る51であったことも米国長期金利上昇を伴うドルの上昇に影響を与え、昨夜23時58分頃にドルは円相場で一時149円30銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、一時抵抗要因もあり、午前2時頃に、先日の春闘の賃上げを受けた連日の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) のマイナス金利解除の報道に続いて、今朝の朝刊向けの日本経済新聞 (Nikkei) が、「日銀が大規模緩和解除へ、19日決定。長短金利操作も撤廃」というニュース報道を再開し、3月18〜19日開催で今日結果発表の日銀金融政策決定会合が、大規模緩和金融政策の正常化を決める方針で、マイナス金利解除後の0.0〜0.1%の日本の新政策金利誘導目標への利上げと、国債利回りの国内長期金利を抑制するための長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC / Yield Curve Control) 撤廃と、リスク資産価格安定のための上場投資信託 (ETF / Exchange Traded Fund) 購入も終了する見通しと改めて報じられたことを受けては、市場ではほぼ織り込み済みではあったものの、YCC修正時の日本国債の利回り上昇への警戒感がやや入ったことでは、午前2時6分頃に対ドルの円相場は一時148円92銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を瞬時記録した。
しかし、昨日のニュースでもお伝えしていた通り、日本銀行 (日銀 / BoJ) はマイナス金利解除後も金融緩和的な0.0〜0.1%の低金利予想であったことに加えて、最近の米国重要経済指標を受けた米国インフレ警戒感から、今夜この後から2日間の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) を開催し、米国の新政策金利や金融政策 の決定を控える米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が、現在の5.25〜5.50%の米国フェデラルファンド (FF / Federal Funds) 政策金利誘導目標を高金利のままで今年後期まで長期間維持する市場予想が出てきていたことでは、米国ニューヨーク債券市場では、米国長期金利上昇による実質的な日米金利差拡大による円売りドル買いが続いており、午前2時35分頃に米国長期金利は一時4.351%付近に向けて上昇し、今年2月以来の米国10年債の高利回りであったことでは、すぐにドルの買い戻しが入り、ドルは円相場で反発した。
また、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数が揃って反発上昇し、日米イベント前の売買の影響の中でも、米国ナズダック平均 (NASDAQ Composite) が前日比で大幅高になり、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) も上昇し、S&P500種 (Standard and Poor’s 500) も今年更新した史上高値圏の5千台に乗せたままで上昇しており、イベント前の投資家達のブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオン (Risk-on) では、イベントリスクがあるにも関わらず、安全資産の米国債や低リスク通貨の円が売られやすくなっていた。
市場終盤には、やや利益確定や持ち高調整の抵抗が混じったものの、米国ニューヨーク債券市場の終値時の米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は4.331%であった。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の149円30銭付近から、円の高値でドルの安値の148円92銭付近の値幅約38銭で、今朝6時頃の米国夏時間のニューヨーク終値は149円15銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の149円4銭銭付近と比べて約11銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時149円16銭付近であったが、今日の昼頃に日本銀行 (日銀 / BoJ) 金融政策決定会合が、マイナス金利政策の解除を決定し、以前は-0.1%だった政策金利を市場予想通りの0.0〜0.1%程度に利上げし、国内長期金利抑制のため長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC) 終了と、リスク資産価格安定のための上場投資信託 (ETF) 買い入れの終了も決定したニュースを受けては、正午12時35分頃に対ドルの円相場は一時148円97銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、連日のニュース報道を受けた市場では、ほぼ織り込み済みでサプライズがなかったことに加えて、声明文には、市場予想通りに「当面は緩和的な金融環境が継続すると考えている」との内容があったことでは、この後の午後15時30分頃からの植田和男総裁の発言前から円売りドル買いが入り始めて、ドルは円相場で反発後に上昇し、午後13時台後半から150円台に乗せ始めた。
午後15時台には、国内債券市場では、イールドカーブ・コントロール (YCC) 終了のニュースの傍らで日本の政策金利の低金利が意識され、日本国債の利回りが指標となる国内長期金利が終値時に0.725%と前日比で-0.030%下げていた一方で、今日の東京株式市場では、今朝までの米国主要株価三指数が揃って上昇していた影響もあり、今日の日経平均株価が上昇し、4万3円60銭の終値で前日比263円16銭高の大幅高で大引けし、日米株価上昇時のリスク選好のリスクオンのトレンドが続いたことでも、低リスク通貨の円が主要通貨に対して売られやすく、円相場が下落していた。
午後15時30分頃からの日銀の植田和男総裁の記者会見での発言も、市場予想の範囲内で特に大きなサプライズ感はなく、「見通しが下方向にずれて、追加緩和が必要になれば、これまで使用した手段を含め様々な手段を検討」という再度の金融緩和を意識させる発言があったほか、「基調的な物価上昇率が、もう少し上昇すれば、短期金利の水準引き上げにつながる」という利上げ関連の発言ではやや円の買い戻しの一時抵抗も混じったものの、欧米では0.25%が小幅利上げ、0.50%が大幅利上げとして利上げされてきた中で、異次元緩和の後にも今回も世界市場ではやや異例とも言える超小幅利上げ率であったことから、午後からの欧州市場の参入後にも円売りドル買いが続き、午後15時46分頃にドルは円相場で一時150円49銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、16時過ぎ頃に、日本政府の鈴木財務相が、マイナス金利解除を含めた修正の報告を受け、日本経済に前向きな兆しがみられるが、デフレ脱却にはならないと発言した一方で、「政策修正を受けて、経済や為替市場を注視する」と、150円台の市場で為替介入警戒感を高める発言をしたため、日本市場終盤に向けた利益確定と持ち高調整では、午後16時33分頃に一時149円98銭をタッチした時間もあったが、すぐに押し目買いも入ったほか、夕方からの英国ロンドン外国為替市場の本格参入もあり、16時代後半の米国長期金利がニューヨーク終値時の4.331%を上回る4.336%付近であったため、再び日米の金利差が意識され、ドルは円相場で再び150円台の推移を続けた。
また、今日の昼過ぎにはオセアニア市場のオーストラリアの中央銀行にあたる豪州準備銀行 (RBA / Reserve Bank of Australia) も新政策金利を発表しており、前回と市場予想通りの4.35%で金利据え置きを決定しており、日銀がマイナス金利解除後も0.0〜0.1%程度の日本の低金利政策であることや、イールドカーブ撤廃のニュースの後にも日本の国債利回りの国内長期金利が上昇しなかったことも、ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンド、豪ドルなど、日本円と比較して高金利の主要通貨に対する円売り要因になっていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は150円24~25銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の149円12~14銭付近の前東京終値比では約1円12銭の大幅な円安ドル高になった。
今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定や米国債入札予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に2月の米国住宅着工件数と 米国建設許可件数、26時に米国20年債の入札予定、29時に1月の対米証券投資が発表される予定であるが、世界市場では、今夜から2日間開催予定の3月19〜20日の今月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) とその後の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言予定に注目が集まっている。
一方、今日の欧州ユーロは、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値は163円8~10銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の162円43~45銭付近の前東京終値比では約65銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、前述の通り、日銀のマイナス金利解除後にも金融緩和的な低金利政策が維持されることが意識された日欧金利差トレードの円売りユーロ買いがあったほか、今日の日経平均株価続伸を受けたリスク選好市場のリスクオンの低リスク通貨の円売りでも、ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどが買われていた。
また、日本市場終了後の今夜19時の英国ロンドン外国為替市場では、最新欧州経済指標の発表があり、欧州ユーロ圏総合の3月の欧州ZEW (独語:Zentrum für Europäische Wirtschaftsforschung / ドイツ欧州経済研究センター) 景況感調査が前回の25.0から33.5に上昇し、ドイツの3月の独ZEW景況感調査の期待指数も前回の19.9と市場予想の20.5を上回る31.7であったことでも、円安ユーロ高が継続した。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0853〜1.0855ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0891〜1.0892ドル付近の前東京終値比で約0.38セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、米国長期金利の大幅な上昇を受けて、円だけでなく欧州ユーロなどの主要通貨に対しても金利差トレードでドルが買われていた影響が見られた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は190円78〜84銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の189円95銭〜190円1銭付近の前東京終値比では約83銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、欧州ユーロ同様に、日英金利差トレードや、今日の日経平均株価続伸によるリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りで、英国ポンドも買われた影響が見られた。
なお、今週は日米の金融政策イベントに続き、3月21日に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) も英国の新政策金利や金融政策を決定する金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) を控えているが、現在の英国政策金利も5.25%の高金利であり、今日の市場では日銀のマイナス金利解除後の日英金利差も意識されていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月19日の日本時間(JST)20時30分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時30分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、サマータイム制のある英国市場の英国夏時間 (BST / JST-8) への変更は3月最終日曜日の3月31日からであるが、米国市場では3月第二日曜日の3月10日から既に米国夏時間 (EDT / JST-13) になっており、日本市場や英国市場との時差が1時間変わっていることには注意が必要である。)
通貨ペア | JST 20:30の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 150.45 〜 150.46 | +1.33 (円安) |
ユーロ/円 | 163.18 〜 163.19 | +0.75 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0844 〜 1.0846 | -0.0047 (ドル高) |
英ポンド/円 | 190.85 〜 190.91 | +0.90 (円安) |
スイスフラン/円 | 169.34 〜 169.40 | +0.66 (円安) |
豪ドル/円 | 97.98 〜 98.02 | +0.08 (円安) |
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