FXニュース:今夜のパウエル議長発言控え

2024年3月20日
FXニュース:今夜のパウエル議長発言控え

 

東西FXニュース – 2024年3月20日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 今年最大の円安ドル高が進行
  • 対ユーロやポンドも年内円安
  • 日米金利差と株高リスクオン
  • 米FRBのFOMC金利維持予想
  • 今後の米政策金利見通し警戒
  • 明日英BoEのMPCも金利発表

今日2024年3月20日水曜日の日本の東京外国為替市場は春分の日で祝日休場ですが、日本市場相当時間の9時頃から17時頃までの世界FX市場での対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の151円0銭付近から、円の安値でドルの高値の151円58銭付近の値幅約58銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値相当時間は151円48~49銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の150円24~25銭付近の前東京終値比で約1円24銭の大幅な円安ドル高であった。

今日は今年最大の円安ドル高の記録を更新したほか、クロス円も年内最大の円安ユーロ高や円安ポンド高を記録した影響の波及があり、その後の今夜19時50分頃の英国ロンドン外国為替市場では一時151円76銭付近の円安ドル高が更に進行している。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場で日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) がマイナス金利解除による金融正常化後も0%のゼロ金利から0.1%の低金利の無担保コール翌日物の新政策金利と、「緩和的な金融政策を継続」することから、昨夜の英国ロンドン外国為替市場と米国ニューヨーク市場では日本と欧米の金融政策の違いが意識されたほか、日本の国債利回りの金利抑制のための長短金利操作のイールドカーブ・コントロール (YCC / Yield Curve Control) の撤廃後にも日銀は長期国債の買い入れ額は当面の間は現状の6兆円規模を維持することを受けて国内長期金利が低下して日米金利差が拡大し、また日銀はリスク資産価格安定のための上場投資信託 (ETF /Exchanged Traded Fund) の新規買い入れの終了も発表したものの、植田総裁の記者会見では、「過去の遺産は当面残り続ける」として、異次元の大規模緩和金融政策で日銀が大量に購入してきた自国債とETFの保有資産の今後についても、「確たることを申し上げられない」としており、日本と欧米の金利差が当面の間は続くとの市場での受け止めから、主要通貨に対して円が売られて、円安が進行していた。

そのため、昨夜21時頃の英国ロンドン外国為替市場の後半から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時150円39銭付近で、昨夜21時5分頃の一時150円34銭付近が米国市場の円の高値でドルの安値となり、その後には更に円安ドル高が進行した。

世界市場では、今夜この後に米国の中央銀行制度にあたる米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国の新政策金利と金融政策を決める米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の結果発表と声明やフォワードガイダンス (Forward Guidance) を控え、ジェローム・パウエル議長の定例記者会見の発言予定が注目されているが、米国市場では最近の米国インフレ指標データの上振れを受けたインフレ警戒感により、米国の利下げ開始時期が遅れるのではという市場予想が高まっており、米国利下げ開始時期が遅れる場合には、以前は年内3回の利下げ予想だった今後の米国政策金利予測分布図のドットチャート (Dot Chart / 点図表、ドットプロット (Dot Plot) とも呼ばれる) が年内2回に修正される可能性などを指摘したタカ派の市場予想への警戒感もあって、日米の金融政策の違いを意識した円売りドル買いが進んだ。

昨夜21時20分頃の米国ニューヨーク債券市場でも、米国政策金利の先高感から米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.337%付近に上昇しており、日米の政策金利の違いに加えて日米の債券利回りなどを受けた金利差トレードでも円が売られたほか、昨日の日本市場での日経平均株価の円安株高進行後の米国ニューヨーク株式市場でも、米国主要株価三指数が揃って続伸し、中でも米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が前日比で大幅高になるなど、ブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) が続き、日米株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも、主要通貨に対して低リスク通貨の円が売られやすくなっていた。

また、昨夜はコモディティ (Commodity / 商品) 市場でも、米国WTI (West Texas Intermediate) 原油先物価格上昇の影響などがあり、円安に加えて島国である日本の貿易コスト増加による貿易赤字懸念でも、産油国通貨に対して円が売られやすい傾向があった。

昨夜21時30分に米国市場で発表された最新米国経済指標の2月の米国住宅着工件数の年率換算件数も、前回の133.1万件と前回修正の137.4万件と市場予想の143.0万件を上回る152.1万件と堅調で、前月比も前回マイナス圏だった-14.8%と前回修正の-12.3%と市場予想の7.4%を大幅に上回る10.7%のプラス圏に好転し、2月の米国建設許可件数の年率換算件数も前回の147.0万件と前回修正の148.9万件と市場予想の150.0万件を上回る151.8万件で、前月比は前回の-1.5%と前回修正の-0.3%と市場予想の2.0%に対し1.9%とやや市場予想には届かなかったものの、前回のマイナス圏からプラス圏に大幅な改善をされたことも、景気影響もあって根強い米国のインフレが市場で意識されていた。

ただし、午前2時には米国20年債の入札があり、イベントリスクもあって好調だった入札結果を受けては、全般的な米国債価格の上昇に伴う利回り低下の影響で、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時的に低下したことを受けては、午前2時1分頃にドルは円相場で一時150円95銭付近から150円84銭付近に瞬時の一時低下をする抵抗が入ったが、すぐに買い戻されて反発上昇したため、午前2時15〜17分頃の数分間に高止まりをする形で150円96銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録したほか、昨年2023年11月16日以来のこの時点での今年最大の円安ドル高を記録した。

しかし、151円台手前では昨夕の日本政府の鈴木俊一財務相の発言を受けた為替介入への警戒感もあり、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の結果や米国連邦準備制度理事会 (FRB) のパウエル議長発言などのイベント前の早期の利益確定や持ち高調整の抵抗が入り始めた。

また、午前5時に発表された1月の対米証券投資は、前回の1398億ドルと前回修正の1374億ドルから-88億ドルに減少し、短期債を除いた前回の1602億ドルと前回下方修正の1586億ドルに対しても361億ドルに低下したこともやや抵抗になった。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の150円34銭付近から、円の安値でドルの高値の150円96銭付近の値幅約62銭で、今朝6時頃の米国夏時間のニューヨーク終値は150円86銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の149円15銭付近と比べて約1円71銭の大幅な円安ドル高をつけていた。

今日の日本の東京外国為替市場は国民の休日の「春分の日」の祝日休場であったが、今朝早朝の世界FX市場およびアジア・オセアニア市場でも欧米トレンドを受けた主要通貨に対する円売りが継続したため、今朝9時頃の今日の日本の東京外国為替市場の始値相当時間の対ドル円相場は一時151円0〜2銭付近で、今朝9時0分の値動き内に瞬時記録した一時151円0銭付近が今日の日本市場相当時間の円の高値でドルの安値となって円相場が下落を続けて、151円台の今年最大の円安ドル高が進行したほか、日本が祝日で企業の実需も少ないことなどから日本との金利差がある欧州ユーロや英国ポンドに対しても、今年最大の円安に向かった。

基本的に、今までの日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の為替介入は、日本企業へのご迷惑を意識しているのか日本市場時間には起きておらず、日本の国民の祝日は海外では平日にあたるため、今朝のアジア・オセアニア市場と重なる日本市場時間には151円台でも安心感のある様な円売りが先行したが、実際は日本市場の休日で時間外であったため、その後の午前中にはやや早期の利益確定の抵抗が入ったほか、今朝の仲値決済の頃の日本企業や投資系の値動きの影響が乏しかったことでは、午後からの欧州市場参入前の日本市場時間にはやや市場流動性が少ない横ばい近いに値動きになる時間も見られた。

しかし、午後からの欧州市場の参入が始まった頃の午後15時台には、再び主要通貨に対する円安が進行したため、ドルは円相場で午後15時1分と10分頃に一時151円58銭付近の今日の日本市場相当時間の円の安値でドルの高値を記録し、この時点での今年最大の円安ドル高の記録を更新した。

日本市場が祝日休場でファンダメンタル的な値動きが少なかったことでは、テクニカル分析的な取引チャート上のダブルトップ (Double Top) の毛抜き天井を描く形で、高値を2度目のトライで上抜けできなかったことからは利益確定のドル売りサインとなり一時反落の抵抗が入ったものの、日本と欧米の金融政策の違いや金利差が意識され続けていたことからは、午後15時36分と45分にも再び、一時151円58銭付近の今日の日本市場相当時間の円安ドル高を再記録したが、同様に毛抜き天井を叩いた形では抵抗が入った。

また、夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入の頃の時間外の米国債券市場では、今夜この後の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) のイベントを控え、米国の政策金利は現状の5.25〜5.50%の据え置き予想が優勢であるものの、今後のフォワード・ガイダンスやパウエル議長の発言イベントを控えたイベントリスクがあり、市場でタカ派予想がかなり織り込まれてきていることに対する警戒感や、明日の英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) のイベントなども控えている英国市場で午後16時に発表された最新英国経済指標の2月の英国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) が、前月比は前回の-0.6%と市場予想の0.7%に対し0.6%と市場予想を下回り、前年同月比は前回の4.0%と市場予想の3.5%を下回る3.4%で、英国CPIコア指数も前回の5.1%と市場予想の4.6%を下振れした4.5%であったことからは、英国市場ではイベントリスク警戒感から世界的な安全資産でもある米国債が買われて債券価格上昇に伴う利回りが一時4.27%台に低下したことや、持ち高調整の抵抗が混じったことを受けてはやや抵抗が入ったが、その後には米国長期金利が一時4.28%台に反発したことでは、今夜19時50分頃の英国ロンドン外国為替市場の一時151円76銭付近の今年最大の円安ドル高に向かった。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間は151円48~49銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の150円24~25銭付近の前東京終値比で約1円24銭の大幅な円安ドル高になった。

今夜この後には、最新米国経済指標の発表予定と、先述の世界的な注目を集める米国連邦準備制度理事会 (FRB) の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) やパウエル議長発言の重要イベント予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時30分に週間原油在庫の後の、27時に米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 終了後の結果の米国新政策金利と金融政策と声明などの発表予定と、27時30分頃から米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の定例記者会見での要人発言予定となっており、イベント時の値動きには注意が必要である。

一方、今日の欧州ユーロの円相場も、今夜17時の今日の東京外国為替市場のユーロ円相場の終値相当時間は164円55~60銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の163円8~10銭付近の前東京終値比では約1円47銭の大幅な円安ユーロ高であった。

主な要因は、前述の通り、対円では、日本銀行 (日銀 / BoJ) のマイナス金利解除後にも金融緩和的な低金利政策が維持されることが意識された日欧金利差や金融政策の違いの影響が大きく、今年最大の円安ユーロ高も記録していた。

ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値相当時間は1.0864〜1.0866ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0853〜1.0855ドル付近の前東京終値比で約0.11セントのユーロ高ドル安であった。

しかし、今日の夕方16時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の2月の独生産者物価指数 (PPI / Producer Price Index) の前月比は、前回の0.2%と市場予想の-0.1%を下回る-0.4%に低下したことでは欧州ユーロ売りが入り始めたほか、今夜は先ほど欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の発言があり、「今後、数カ月以内に、最初の欧州政策変更に十分な信頼度を高めることができる2つの重要な証拠が得られると期待している」と欧州利下げに向けた発言をしたこよや、「関連情報が出揃うまで、待つことはできない」と早期の利下げ開始の可能性も示唆したことでは、ドルに対して欧州ユーロが売られて、今夜20時台には前東京終値比でユーロ安ドル高への市場反転も見せている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値相当時間は192円56〜62銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の190円78〜84銭付近の前東京終値比では約1円78銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な要因は、対円では欧州ユーロ同様に日英金利差が意識され、今年最大の円安ポンド高を記録したほか、前述のリスクオン市場でも、低リスク通貨の円売り時に英国ポンドが買われやすかった。

ただし、明日の3月21日には英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) も英国の新政策金利や金融政策を決定する金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) を控えていることには注意が必要である。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年3月20日の日本時間(JST)20時48分(チャート画像の時間帯は、日本から時差で9時間遅れの英国ロンドン外国為替市場の冬時間 (GMT / JST-9) の11時48分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、サマータイム制のある英国市場の英国夏時間 (BST / JST-8) への変更は3月最終日曜日の3月31日からであるが、米国市場では3月第二日曜日の3月10日から既に米国夏時間 (EDT / JST-13) になっており、日本市場や英国市場との時差が1時間変わっていることには注意が必要である。)

通貨ペア JST 20:48の為替レート 前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 151.64 〜 151.66 +1.40 (円安)
ユーロ/円 164.41 〜 164.43 +1.33 (円安)
ユーロ/ドル 1.0840 〜 1.0842 -0.0013 (ドル高)
英ポンド/円 192.49 〜 192.55 +1.71 (円安)
スイスフラン/円 170.22 〜 170.28 +1.33 (円安)
豪ドル/円 98.83 〜 98.87 +0.93 (円安)


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