FXニュース:米消費者物価指数予想上振れ
2024年4月11日東西FXニュース – 2024年4月11日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米利下げ先送り予想が高まる
- 米長期金利上昇で金利差拡大
- 米FOMC議事要旨もタカ派的
- 1990年6月以来の円安ドル高
- 金利警戒株安リスク回避抵抗
- 為替介入警戒価格より変動性
- ドル円一時153円29銭付近
- 今夜は米卸売物価指数も発表
- 今日の欧ECB新政策金利控え
今日2024年4月11日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の152円76銭付近から、円の安値でドルの高値の153円21銭付近の値幅約45銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は153円12〜13銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の151円82〜84銭付近の前東京終値比では約1円30銭の大幅な円安ドル高であった。
また、その後の今夜17時50分頃の英国ロンドン外国為替市場では、一時153円29銭付近と1990年6月以来のおよそ34年ぶりの円安ドル高の記録を更新している。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨夜の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時151円84銭付近で、昨夜21時30分に米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国の新政策金利を決定する上で重視している最新重要インフレ指標データの米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) が発表されるというイベントを控えたイベントリスクによる一時的なドルの買い控えの影響では、発表前の昨夜21時23分にはドルは円相場で一時151円77銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録していた。
しかし、昨夜21時30分に最新米国重要経済指標の3月の米国消費者物価指数 (CPI) が発表され、前月比は市場予想の0.3%を上回る前回横ばいの0.4%の米国インフレの高止まりを示し、前年同月比は前回の3.2%と市場予想の3.4%を上回る3.5%に上昇し、中東情勢などで原油高は予想でも警戒されていたものの、食品とエネルギーを除き物価基調を測る重要度の高い米国消費者物価指数 (CPI) のコア指数も、前月比が市場予想の0.3%を上回る前回横ばいの0.4%の高止まりで、前年同月比も市場予想の3.7%を上回る前回横ばいの3.8%と根強い米国インフレの高止まりを示したことから、市場予想を上振れする結果を受けて米国の利下げ時期が先送りされたり、利下げ回数が減る可能性が意識され、米国政策金利の先高感から米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大や欧米英金利差拡大のよる円売りドル買いや欧州ユーロや英国ポンドに対するドル買いが起き、それまでのイベントリスクで買い控えられていた分もドルが主要通貨に対して買われ始めたため、ドルは円相場で152円台に上抜けて上昇した。
米国ニューヨーク債券市場でも、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は、米国消費者物価指数 (CPI) 発表前の昨夜21時20分頃には一時4.35%台付近だったが、発表後の昨夜22時頃には一時4.50%台に急騰して日米金利差が拡大しており、ドルも円相場で発表後の昨夜21時45分頃には一時152円50銭付近に高騰しており、今夜この後に欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会の欧州新政策金利発表イベントを控えている欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨に対してもドルは一時全面高に向かった。
ただし、152円台に上抜けした直後には為替介入警戒感も一時高まり、利益確定売りや持ち高調整の一時抵抗が混ざったほか、同時進行していた米国ニューヨーク株式市場では、米国インフレの長期化や高金利長期化が企業決算や株価に影響することへの警戒感から株売りで反応したため、米国主要株価三指数が揃って下落に向かうと、米国株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で、ドルからでも買える低リスク通貨の円が買われた抵抗では、昨夜21時45分頃の1分間の値動きの中で瞬時151円97銭付近の151円台後半にタッチした瞬間があったが、日米金利差拡大により瞬時に152円台に戻し、この時間以降は152円台から153円台を目指すドルの上昇トレンドが形成されていた。
昨夜22時45分頃には、米国の隣国にあたる北米カナダ銀行 (BoC / Bank of Canada) がカナダの新政策金利を市場予想通りに前回と同じ5.00%に据え置きする決定を発表したが、声明文では、北米カナダは産油国であることもあり、インフレ警感戒が緩和されていたことから、今後のデータ次第ではカナダが早期利下げをするという市場予想が浮上し、一方で、米国も産油国ではあるものの、米国の場合には国内産油コスト高や業界の人手不足が深刻化しており、車社会の米国では中東情勢による原油高の影響によるインフレ警戒感が強いという違いもあり、カナダドルに対してもドルが買われて上昇した。
続いて、昨夜23時に発表された最新米国経済指標の2月の米国卸売売上高の前月比も前回マイナス圏だった-1.7%と市場予想の0.4%を大幅に上振れするプラス圏の2.3%に上昇し、最近の堅調な米国経済指標を受けた景気要因のインフレ圧も意識された。
米国ニューヨーク債券市場で米国政策金利の先高感から、米国長期金利の指標となる米国10年債の利回りが上昇する一方で債券価格は下落を続けていたため、午前2時の米国10年債の入札は債券価格の下落トレンドの中では買いが少なかったことから、債券価格低下に伴う利回り上昇が追い風となり、米国長期金利は更に上昇し、入札直後の午前2時10分頃に米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は一時4.569%付近の高利回りを記録し、債券利回りを受けた日米金利差拡大による円売りドル買いや、主要通貨に対する金利差トレードの影響で、
午前2時2分頃と12分頃にはドルは円相場で一時152円98銭付近と153円台に迫ったが、153円付近のバリア・オプション (Barrier Option) 手前の上値抵抗線のレジスタンスライン (Resistance Line) 付近では、テクニカル分析的な売りサインのダブルトップ (Double Top) の毛抜き天井を描いて一旦反落したが、ストップロス (SL / Stop Loss) などの影響もあり、午前2時35分頃の一時152円64銭付近からは再び反発上昇した。
午前3時からは3月19〜20日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨が公表され、この日には米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達によるインフレ警戒の発言も見られていた中で、19人中10人という僅差で年内3回の米国利下げ見通しが維持されたが、今後のデータ次第では年内2回またはそれ以下のタカ派の米国利下げ見通しを支持していたメンバー達がいたことが最新データ発表後に改めて意識され、再び主要通貨に対してドルが買われて上昇した。
今朝早朝に米国ニューヨーク外国為替市場よりも先行して終了した米国ニューヨーク株式市場で、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) の大幅安と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) の小幅安と揃った下落の終値によるリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いが弱まると、終盤のドルは円相場で153円付近にあった前述のオプション取引のバリア (Barrier) を突破して更に上昇し、今朝5時43分にドルは円相場で一時153円24銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録し、この時点での1990年6月以来の今年最大の円安ドル高を更新した。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の151円77銭付近から、円の安値でドルの高値の153円24銭付近の値幅約1円47銭の値動きで、今朝6時前頃のニューヨーク終値は153円16銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の151円76銭付近と比べて約1円40銭の大幅な円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、日本市場開場前の日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) による為替介入警戒感が高まり、前日から大幅に上昇していたドルの利益確定や安値の円の持ち高調整が先行したため、今朝9時頃から始まった今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時152円96銭付近であった。
今朝早朝に年内最大の円安ドル高を記録したこともあり、今朝も日本政府の神田真人財務官が、最近の円安にいて、「足元の動きは急」であり、「行き過ぎた動きに対しては、あらゆる手段を排除せずに適切な対応を取る」と口先介入を実施し円安を牽制したことでは、為替介入警戒感が高まり、利益確定や持ち高調整の円の買いなどで、今朝10時11分頃にドルは円相場で一時152円76銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、「年初からの動きは、かなりの変動幅」であり、「必ずしも特定の水準を念頭に置いて判断しているわけではない」が、「過度な変動は国民経済に悪影響を与える」と、152円や153円という特定の価格よりも急激な価格変動性 (英語:ボラティリティ / 米語:ボラティリティー / Volatility) を注視していることにも言及していた。
同じく日本政府の財務省の鈴木俊一財務相も、円安について、「過度な変動は好ましくない」としており、「我々が見ているのは、152円や153円などの数字だけではない。背景も含め、高い緊張感をもって動きを見ている」と発言したことで、価格よりもボラティリティに注意された小幅なドルの買い戻しが入り始めた。
今朝までの米国主要株価三指数の下落を受けた今日の東京株式市場でも、日経平均株価が下落したため、リスク回避のリスクオフで低リスク通貨の円が買われる抵抗も対ドルの円相場を152円台後半付近での比較的小幅な値動きでの推移をサポートした市場時間もあったが、午後15時台に日経平均株価が3万9442円63銭の終値をつけ、前日比139円18銭安で大引けした後には、欧州英国市場の参入が始まり、今朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時点の一時4.544%付近から日本市場の時間外の米国債取引では一時低下も見せていた米国長期金利が再び上昇し、夕方には一時4.56%台から4.57%台に向かったため、日米金利差拡大による円売りドル買いが再燃し、ドルは円相場で再び153円台に乗せて上昇し、午後16時5〜6分頃に一時153円21銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は153円12〜13銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の151円82〜84銭付近の前東京終値比では約1円30銭の大幅な円安ドル高になった。
そして、今夜17時50分頃の英国ロンドン外国為替市場では、一時153円29銭付近と1990年6月以来のおよそ34年ぶりの円安ドル高の記録を更新している。
今夜この後の21時15分頃には欧州中央銀行 (ECB) 理事会が欧州の新政策金利を発表するイベントリスクがあることも一因になっており、今夜21時45分頃からの欧州中央銀行 (ECB) 理事会のクリスティーヌ・ラガルド総裁の発言などに注目が集まっているが、欧州の利下げ時期よりも米国の利下げ時期の方が遅れる市場予想が影響を与えている。
また、米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートの市場予想値を示すフェドウォッチ (FedWatch) で、6月の米国金利据え置き予想値が確定値の70%を超えた83%付近に上昇しており、7月の米国金利据え置き予想値も57.3%付近に上昇しており、日本が利上げする場合で緩和的な小幅利上げの可能性が高いことなどから、日米金利差拡大予想もあり、今夜17時52分頃には米国長期金利が一時4.570%付近に上昇し、日米金利差が拡大していた。
また、今夜この後の米国市場では、3月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) と米国PPIコア指数などの発表予定や米国債入札予定などがあり、市場予想を再び上振れすることへの警戒感による持ち高調整なども入っている。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達の要人発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に 3月の米国卸売 (生産者) 物価指数 (PPI) と米国PPIコア指数と、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、今夜21時45分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定、今夜23時頃から同じく次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言予定、25時頃から米国ボストン連銀のコリンズ総裁の発言予定、26時0分に米国30年債の入札予定、26時30分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国アトランタ連銀のボスティック総裁の発言予定などがある。
米国株式市場でも、明日の金曜日には米国JPモルガンチェースや米国シティグループなどの大手金融株の決算報告予定を控えていることにもやや注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜この後の21時15分に欧州中央銀行 (ECB) 理事会と今夜21時45分頃からの欧州中央銀行 (ECB) 理事会のクリスティーヌ・ラガルド総裁の要人発言予定のイベントリスクを控えていることもあり、イベント前の値動きでは今日の欧州ユーロ円相場は、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円52~53銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の164円79~81銭付近の前東京終値比で約27銭の円高ユーロ安であった。
また、他の主な要因として、今日の日本市場での日経平均株価の大幅反落を受けたリスク回避のリスクオフでも低リスク通貨の円が買われて欧州ユーロに対して上昇したほか、前述の最新米国消費者物価 (CPI) の市場予想の上振れを受けた主要通貨に対するドル買いの影響で、対ドルで欧州ユーロが下落したユーロ安も円相場に波及していた。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0745〜1.0745ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0853〜1.0855ドル付近の前東京終値比では約1.08セントの大幅なユーロ安ドル高であった。
英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は192円33〜39銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の192円61〜67銭付近の前東京終値比では約28銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、地理的・経済的に近く、欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドも対ドルでも下げた影響が、他の主要通貨で低リスク通貨でもある円相場に波及していた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年4月11日の日本時間(JST)19時50分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時50分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:50の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 153.09 〜 153.10 | +1.27 (円安) |
ユーロ/円 | 164.22 〜 164.23 | -0.57 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0726 〜 1.0728 | -0.0127 (ドル高) |
英ポンド/円 | 191.81 〜 191.87 | -0.80 (円高) |
スイスフラン/円 | 167.73 〜 167.79 | -0.22 (円高) |
豪ドル/円 | 99.80 〜 99.84 | -0.77 (円高) |
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