FXニュース:円安ドル高続伸153円台後半
2024年4月15日東西FXニュース – 2024年4月15日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 中東情勢リスク回避の株売り
- 低リスク通貨円買い一時抵抗
- 安全資産欧米国債買いと反発
- 日米欧英金利差トレード再燃
- 為替介入警戒時の価格変動性
- 欧利下げ予想で長期金利低下
- 今年最大のユーロ安ドル高も
今日2024年4月15日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の153円28銭付近から、円の安値でドルの高値の153円97銭付近の値幅約69銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は153円90〜91銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の153円24〜25銭付近の前東京終値比で約66銭の円安ドル高であった。
今日の日本の東京外国為替市場では、午後の英国ロンドン外国為替市場参入後に、対ドル円相場はかねてからの円安要因であった日米金利差拡大により、一時153円97銭付近の1990年6月以来のおよそ34年ぶりの今年最大の円安ドル高を続伸した。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、先週金曜日の午後の日本市場と欧州英国市場が重なる時間にも一時153円38銭付近のその時点での今年最大の円安ドル高を記録していたが、世界的に流動性が高い安全資産の米国債買いの影響では米国債券価格上昇に伴う利回り低下で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.52%台に低下したため、先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時153円16銭付近であった。
先週金曜日の夜21時30分に発表された最新米国経済指標の 3月の米国輸入物価指数の前月比も前回と市場予想の0.3%を上振れする0.4%に上昇し、3月の米国輸出物価指数の前月比は前回の0.8%と前回修正の0.7%に対し市場予想通りの0.3%であったものの、先週に発表された米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の上振れ以来は、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が6月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) でも米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートを現在の5.25〜5.50%の高金利のままで据え置きする市場予想がフェドウォッチ (FedWatch) の市場予想値でも70%の確定値を上回って推移していたため、米国高金利の長期化予想でもドルは円相場の高値圏で推移しており、先週金曜日の夜21時30分頃の発表時のドルは円相場で一時153円18銭付近であった。
しかし、この日の米国市場のニュースでは、米国のジョー・バイデン大統領が中東のイスラエルがシリアにあるイラン大使館を空爆したことを受けたイランの報復攻撃は、「すぐにでも、あり得る」と発言をしたほか、それ以前にも米国経済紙ウォール・ストリート・ジャーナル (WSJ / Wall Street Journal) も近く攻撃がある可能性を警告しており、米国CNBCテレビなども米国政府関係者筋の情報として、イランや親イラン武装組織が100機以上の無人機やミサイル数十発を準備しイスラエル軍事施設を攻撃する恐れがあることを報じたため、先週金曜日の夜の米国ニューヨーク株式市場では、大手金融株などの決算報告シーズンが始まりセンシティブな市場になっていたところに、中東情勢緊迫化への警戒による地政学的リスクの高まりや原油先物高懸念により、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) の株売りが起き、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) や米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) が大幅な下落を見せたほか、S&P500種 (Standard and Poor’s 500) を含む米国主要株価三指数が揃って下落したため、米国株価下落時に買われやすい安全資産の米国債買いやドルからでも買える低リスク通貨の円買いが進み、米国債券価格上昇に伴う利回り低下の影響で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.49%台に向けて大幅に低下したため、債券利回りを受けた金利差トレードで日米金利差縮小時の円買いも加わったことでは、円相場は一時大幅に反発し、先週金曜日の夜22時7分頃に一時152円59銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
先週金曜日23時に発表された最新米国経済指標の4月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値も、前回の79.4と市場予想の79.0を下回る77.9であったことでも、米国長期金利は一時4.48%台にまで低下することになったが、同時発表された4月の米国ミシガン大学消費者調査では、1年後の予想インフレ率が前回3月の2.9%から3.1%に上昇していたことでは、米国インフレ警戒による米国政策金利の先高感からは、その後の米国長期金利は反発したため、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルはリスク市場に強い低リスク通貨の円には株安リスク回避では売られながらも、市場安値記録後には押し目買いで買い戻され始めたほか、リスク市場に弱い欧州ユーロや英国ポンドに対しては買われていたため、他の主要通貨に対する値動きの影響も対ドル円相場に波及し、ドルは円相場で再び153円反発して下げ幅を縮め始めた。
また、先週土曜日の午前3時30分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官で、米国スタンフォード大学の経済学博士号を有するエコノミストでもある米国アトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁のタカ派の発言があり、「今年年末にかけての1回の米国利下げ」の自身の見通しを繰り返したほか、「米国利下げを急いでいない」と発言しており、米国の利下げ時期の先送り予想や、以前に19人中10人と僅差で維持された年内3回の米国利下げ見通し修正予想により、米国長期金利低下後の反発や主要通貨に対するドルの買い戻しに繋がった。
続いて、先週土曜日の午前4時30分頃から、同じく次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国サンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁の発言もあり、「米国政策金利を調整する緊急性は全くない」と、米国利下げを急がない姿勢を示した。
これらの米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の相次ぐタカ派発言の影響もあり、米国政策金利の先高観によって米国ニューヨーク債券市場で米国長期金利は4.524%付近に反発した終値を上昇トレンドで付けたため、日米金利差拡大による円売りドル買いでドルは円相場で先週土曜日の午前5時55分頃に一時153円32銭付近まで買い戻され、週末の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、週末を控えたポジション調整では利益確定や持ち高調整も入り、週を越す新規ポジションを買いにくいリスク市場であったことでは、低リスク通貨の円買い需要の抵抗も大きかった先週末の欧米市場では、ドルの買い戻し幅はやや限られていた。
このため、先週金曜日の夜から土曜日の朝までの先週末の米国ニューヨーク市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の152円59銭付近から、円の安値でドルの高値の153円32銭付近の値幅約73銭の値動きで、先週土曜日の朝6時前頃のニューヨーク終値は153円23銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の153円27銭付近と比べて約4銭の小幅な円高ドル安をつけて週末を迎えていた。
週が明けた今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、時差で中東情勢警戒のリスク回避のリスクオフが先行したため、早朝の窓開きでは対ドル円相場は一時153円3銭付近も記録したが、今朝のニュースでは、イランのイスラエル報復攻撃について、イランとイエメンからイスラエルに向けられた無人機のドローン80機以上と6発以上の弾道ミサイルを米国や欧州軍の駆逐艦の支援により迎撃して破壊したことから、更なる中東情勢の緊迫化への警戒感がやや緩和され、安全資産の米国債や低リスク通貨の円の利益確定売りが起き、日米金利差拡大により、再び円相場でドルが上昇を始めた。
そのため、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時153円31銭付近であった。
今朝の東京株式市場でも、先週末の欧米市場で起きた中東情勢警戒のリスク回避のリスクオフの株売りの影響を受けて、日経平均株価が朝から大幅に一時急落して始まったため、日本株安時の国内第一安全資産の低リスク通貨の円買いが一時先行したことでは、市場の始まりの今朝9時2〜3分と9時6分頃に対ドル円相場は一時153円28銭付近の今日の日本市場での円の高値でドルの安値を記録したが、その後の日経平均株価が下げ幅を縮め始めたこともあり、ドルの底値は固く、テクニカル分析的なダブルボトム (Double Bottom) の毛抜き底の買いサインになり、その後にはドルは円相場で反発上昇を始めた。
また、今日は15日で、日本の貿易企業の決算日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」であったため、日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があり、輸出企業のドル売り円買いの抵抗と交錯したが、米国インフレ警戒による米国利下げ先送り予想の影響もあり、今日の日本市場の時間外米国債券取引では、米国長期金利が一時4.52%台に低下後に反発上昇し、今日の午後の一時4.57%台に向けた再上昇を始め、日米金利差拡大による金利差トレードの円売りドル買いが再燃したことでは、ドルは円相場で反発後に再び上昇し、今年最大の円安ドル高の153円台後半に向かっていった。
午後15時台には、今日の日経平均株価は今朝の一時700円以上の大幅な下げ幅を半分以下に縮めた3万9,232円80銭の終値をつけ、前営業日比290円75銭安で大引けしたことでも、今朝のリスク回避で買われた余剰な低リスク通貨の円が売られた。
午後からの欧州英国市場の参入では、先週末に一時下落後の米国ダウ先物が反発上昇を見せ始めたほか、夕方の米国長期金利が上昇しており、日米金利差拡大による円売りドル買いが再燃し、午後16時31分頃にドルは円相場で一時153円97銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、1990年6月以来の今年最大の円安ドル高を前日本市場に続いて続伸した。
ただし、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) による為替介入への警戒感も急激な価格変動性のボラティリティ (Volatility / 米語: ボラティリティー) では高まるため、市場終盤に向けては利益確定や持ち高調整の抵抗も入った。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は153円90〜91銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の153円24〜25銭付近の前東京終値比で約66銭の円安ドル高になった。
なお、今夜17時の日本市場終了後の日本の国内企業への為替介入による迷惑がかかりにくい為替介入警戒感が高まる時間になると、夕方のニュースで日本政府の神田眞人財務官が、金融および為替市場について、「日常的に、米国を含む主要国の財務官や中銀幹部と頻繁に連絡を取り合っている」と、為替介入を意識させる円安牽制の口先介入とも取れる発言をしたほか、米国のワシントンで今週から始まる国際通貨基金 (IMF / International Monetary Fund) の世銀春季会合の合間に、日米韓財務相会談を開催する方向で調整していることを発表し、今夜17時19分頃に一時153円70銭付近まで対ドル円相場が一時反発を見せた時間もあったが、その後は押し戻されながらも、ボラティリティに注意した値動きも見せている。
今夜この後の米国市場では、米国株式市場で今夜21時頃に大手金融株のゴールドマン・サックス (Goldman Sachs) の決算報告発表予定などがあるほか、最新米国重要経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に最新米国重要経済指標の 3月の米国小売売上高と、4月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数、同じく21時30分頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定、23時に2月の米国企業在庫と、4月の米国NAHB (National Association of Home Builders / 全米住宅建設業者協会) 住宅市場指数などが発表される予定である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円2~4銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の163円72~73銭付近の前東京終値比で約30銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、欧米長期金利低下後の反発上昇により、日米欧金利差による円売りが影響を及ぼした。
また、先週の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 総裁や高官のハト派発言の影響もあり、6月の欧州利下げ予想の高まりと同月の米国利下げ先送り予想により、先週はドルに対する年内最大レベルのユーロ安ドル高が進行した影響が円相場にも波及したが、今週に入ってからの今日の日本市場では、午後からの欧州市場でのリスク回避の緩和による欧州ユーロの買い戻しがあり、低リスク通貨の円に対して欧州ユーロが買い戻されて今日の円相場では反発した。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0656〜1.0658ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0683〜1.0685ドル付近の前東京終値比では約0.27セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、欧米の利下げ開始時期の違いが影響を続けたほか、先述の米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言に対し、先週に続き、今夜の欧州市場でも欧州中央銀行 (ECB) 高官のハト派発言があり、以前からもハト派で有名なリトアニア中銀のシムカス総裁が、「50%以上の可確率で2024年の欧州利下げは3回以上と予想」と発言していた。
欧州ユーロは、先週末の英国ロンドン外国為替市場でも、昨年2023年11月以来の今年最大のユーロ安ドル高を記録していた。
英国ポンドも、欧州ユーロ同様に円相場では買い戻しが入り、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は192円2〜8銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の191円84〜90銭付近の前東京終値比では約18銭の円安ポンド高であった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年4月15日の日本時間(JST)19時47分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時47分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:47の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 153.92 〜 153.93 | +0.68 (円安) |
ユーロ/円 | 163.97 〜 163.98 | +0.25 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0652 〜 1.0653 | -0.0031 (ドル高) |
英ポンド/円 | 192.19 〜 192.25 | +0.35 (円安) |
スイスフラン/円 | 168.41 〜 168.47 | +0.48 (円安) |
豪ドル/円 | 99.75 〜 99.79 | -0.16 (円高) |
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