FXニュース:今週米重要指標と日銀会合
2024年4月22日東西FXニュース – 2024年4月22日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 中東情勢警戒緩和買い戻し
- 米FRBハト派のタカ派発言
- 米高金利長期化予想の影響
- 日銀総裁追加利上げに言及
- 為替介入警戒感は抵抗要因
- 日経平均株価が大幅に反発
- 米長期金利反発と高止まり
- 欧インフレ見通しのリスク
- 英景気懸念で利下げ予想も
今日2024年4月22日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の154円59銭付近から、円の安値でドルの高値の154円76銭付近の値幅約17銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は154円65〜66銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の154円47〜48銭付近の前東京終値比では約18銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、前回に東西FXニュースでもお伝えしていた通り、先週金曜日の日本市場では午前中に一時中東情勢緊迫化のニュースの影響によるリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の安全資産買いが高まり、米国債の利回りが指標となる米国長期金利が一時低下したほか、低リスク通貨の円買いにより円相場が主要通貨に対して一時反発したが、その後の先週金曜日の午後の中東情勢のニュース続報を受けては中東情勢警戒感がやや緩和され、午後からの欧州市場と英国ロンドン外国為替市場の参入では上昇後の円の利益確定売りと米国長期金利の反発による日米金利差再拡大によるドルの買い戻しが進んだため、先週金曜日の夜の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時154円60銭付近であった。
先週金曜日の日本市場時間の中東情勢リスク回避時には一時4.499%付近にまで急落後の米国長期金利も、その後には反発を続け、先週金曜日の夜21時40分頃の米国ニューヨーク債券市場では一時4.60%台を回復して、更に上昇していた。
ただし、同時進行していた欧州英国市場では、先週金曜日の夜23時台には欧州ユーロの対ドルでの買い戻しが更に進行する様な中東情勢警戒緩和のニュース続報が続いており、「イラン、イスラエルへの報復ないと示唆。戦火の拡大回避か」、「イスラエルの攻撃を受けたイランは、再攻撃に慎重な姿勢を示している」などの報道が話題になり、これまでのリスク回避時に買われた低リスク通貨の円売りだけでなく、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルも売られて欧州ユーロが買い戻されたことから、ユーロドルがユーロ高ドル安に転じたほか、欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドに対するドル売りも一時入った影響が他の主要通貨である対ドルの円相場などにも波及し、先週金曜日の夜23時28〜30分頃にドルは円相場で一時154円46銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録し、その直後にはユーロドルも欧州ユーロが対ドルで一時1.0677ドル付近の欧州英国市場および日通しの欧州ユーロの高値でドルの安値の高値を記録したため、主要通貨全般に対するドルインデックス (ドル指数) は一時105.85付近に低下した。
また、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリステーヌ・ラガルド総裁の発言も話題になり、欧州のインフレ率が低下していくディスインフレの過程は続きそうであるとの見方を示すと同時に、インフレ見通しのリスクは「上下のどちら方向にもある」との発言により、欧州中央銀行 (ECB) の高官達にはハト派発言が続いていた中でも、抵抗要因への警戒感が混ざったことも欧州ユーロ買い戻しの一因となっていた。
しかし、英国夏時間 (BST / British Summer Time / GMT+1) には日本の深夜頃にあたる週末の英国ロンドン市場終盤の深夜頃のロンドン・フィキシング (London Fixing) の値決め時間に向けては、金価格などには基軸通貨のドルで取引される金融商品の実需もあったため、市場安値後のドルには買い戻しやショートカバーが入り、ドルは円相場で反発した。
週末の米国市場では、今週の最新米国重要経済指標の第1四半期米国国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) や、米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で引用されていた米国重要インフレ指標データの米国PCE (Personal Consumption Expenditures / 個人消費支出) デフレーターなどの「今後のデータ」の発表予定を控えていることが意識され始めていたところに、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の中でもハト派で知られていた米国シカゴ連銀のオースタン・グールズビー総裁高官のタカ派発言の影響もあり、「2024年の米国インフレ抑制の進展は、今年に入ってから3カ月連続で市場予想を上回るインフレになり、今のところ失速している。統計にはノイズも多いため、単月だけのデータはあまり重視したくはないが、3カ月も続くと否定できない」と発言し、「立ち止まって入手可能なデータにより、今後の経済動向を見極める必要がある」と、米国の利下げに慎重な姿勢を示しており、米国政策金利の先高観により、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は反発後の上昇で一時4.62%台後半に向かったほか、4.623%の終値になり、日米金利差拡大による円買いドル売りの影響で、先週土曜日の早朝5時30分頃と37分頃に、ドルは円相場で一時154円65銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の植田和男総裁が米国ワシントンの講演で発言し、「一時的な要因を除き、基調的な物価上昇傾向が続けば、金利を引き上げる可能性が非常に高い」と、日銀 (BoJ) の追加利上げの可能性を改めて示し、具体的な時期や追加利上げ幅については言及しなかったものの、市場で高まっていた米国政府も容認の日本政府と日銀の為替介入の警戒感に加えて、日銀の追加利上げの可能性も意識されたことでは、155円台手前の154円台後半では低リスク通貨の円の上値抵抗線のレジスタンスラインの手前や、先日に更新後の今年の円安ドル高記録の154円79銭付近のノックアウトオプション (knock-out Option) も大量に観測されていたことを受けては、週末を控えた早期の利益確定や持ち高調整が入ったことは、週末の米国市場終盤の円相場の抵抗要因となった。
また、決算報告シーズンの米国主要株価三指数では、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が前営業日比で大幅高になった以外には、米国S&P500 (Standard and Poor’s 500) が小幅安で、米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) は大幅安になるなど、一部の株安を受けたリスク回避でドルから買える低リスク通貨の円が買われたことも抵抗要素になった。
このため、先週金曜日の夜から土曜日の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の154円46銭付近から、円の安値でドルの高値の154円65銭付近の値幅約19銭の値動きで、先週土曜日の朝6時前頃のニューヨーク終値は154円64銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の154円64銭付近と同じ横ばいレンジ圏をつけていた。
週が明けた今朝早朝のシンガポールなどのアジア市場やオーストラリアなどのオセアニア市場に続いて始まった今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時154円64銭付近の始値で、日本市場の今朝9時55分の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需の円売りドル買いがあり、今朝9時54〜55分頃にはドルは円相場で一時154円74銭付近に上昇したが、続いての輸出企業の円買いドル売りと155円手前が意識された154円台後半の早期のドルの利益確定売りによる円の買い戻しが一旦入ったことでは対ドルの円相場が一時反発し、午前10時52分頃に対ドル円相場は一時154円59銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、中東情勢警戒緩和の影響もあり、週明けの東京株式市場では、先週金曜日に今年最大の下落幅を見せた日経平均株価が反発し、前営業日比で一時400円超高の大幅な反発上昇を見せたことでは、リスク選好のリスクオン (Risk-on) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られた影響があり、米国長期金利も一時4.66%台に向けて上昇したため、日米金利差拡大による円売りドル買いによりドルは円相場で反発し、更なる上昇に向かった。
午後15時台には、今日の日経平均株価は3万7438円61銭の終値をつけ、前営業日比で370円26銭の大幅高で大引けし、低リスク通貨の円売りの影響が続いた。
同じく15時台には欧州市場の参入が始まっていたが、日本国債利回りの国内長期金利は0.880%付近であったことに対し、米国長期金利は一時4.66%台で高止まり後にも一時4.65%台付近で推移していたため、日米金利差トレードによる円売りドル買いの影響などで、ドルは円相場で午後15時7分頃に一時154円76銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、154円台後半では、前述の今年の円安ドル高記録の154円79銭付近のテクニカル分析的な上値抵抗線のレジスタンスラインが再び意識されたほか、為替介入警戒感やノックアウトへの警戒などの早期の利益確定と持ち高調整は、円相場の抵抗要因となった。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は154円65〜66銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の154円47〜48銭付近の前東京終値比で約18銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、米国ニューヨーク株式市場で米国主要企業の決算報告シーズンが続くが、明日以降には予定されているものの今夜は特に重要度が高い最新米国経済指標の発表予定がないため、米国債などの債券利回りの影響や、世界情勢のニュース続報の影響などが市場では注視されているところである。
なお、欧州市場では、今夜この後の23時に4月の欧州消費者信頼感速報値の最新欧州経済指標の発表予定があり、続いて深夜24時30分頃から欧州中央銀行 (ECB) のラガルド総裁の要人発言予定が再びあることが注目されている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は164円83~85銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の164円58~60銭付近の前東京終値比で約25銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、先述の通り、先週金曜日のリスク回避後の欧州ユーロの買い戻しの影響が対円だけでなく対ドルにも入ったほか、今日の日本市場でも日経平均株価が大幅反発したため、リスク選好時の低リスク通貨の円売りで欧州ユーロが買われた。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0657〜1.0658ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0653〜1.0655ドル付近の前東京終値比で約0.04セントの小幅なユーロ高ドル安であった。
ただし、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、米国の方が欧州よりも長期間高金利が維持される市場予想が強く、元々が中東情勢警戒感の緩和による小幅域であったために、今夜19時台には前東京終値比で小幅なユーロ安ドル高への市場反転なども見せている。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は191円27〜33銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の192円22〜28銭付近の前東京終値比では約95銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、先週金曜日に発表された最新英国経済指標の3月の英国小売売上高がいずれも市場予想を下回り、英国景気懸念と景気要因により英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の英国利下げ予想が意識された英国ポンド売りに影響を及ぼしたため、一方の日銀の追加利上げ予想では、年内の日英金利差縮小予想が浮上していた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年4月22日の日本時間(JST)19時45分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時45分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:45の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 154.75 〜 154.76 | +0.28 (円安) |
ユーロ/円 | 164.84 〜 164.85 | +0.26 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0651 〜 1.0653 | -0.0002 (ドル高) |
英ポンド/円 | 190.88 〜 190.94 | -1.34 (円高) |
スイスフラン/円 | 169.75 〜 169.81 | -0.27 (円高) |
豪ドル/円 | 99.59 〜 99.63 | +0.43 (円安) |
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