FXニュース:ドル円続伸一時155円目前
2024年4月24日東西FXニュース – 2024年4月24日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 1990年以来円安ドル高続伸
- 2008年以来円安ユーロ高も
- 日米欧英金利差とリスク選好
- 欧英PMI改善比の米PMI低下
- 欧英中銀利下げ慎重意見も
- 日米株価大幅続伸で円売り
- 明日から明後日の日銀会合
- 日銀円安加速の影響を議論
今日2024年4月24日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の154円74銭付近から、円の安値でドルの高値の154円97銭付近の値幅約23銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は154円90〜92銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の154円81〜82銭付近の前東京終値比では約9銭の円安ドル高であった。
今日の日本の東京外国為替市場と英国ロンドン外国為替市場の取引時間の重なる午後16時1分頃に、対ドル円相場は一時154円97銭付近と、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場で記録した一時154円87〜88銭付近を更に上抜けた1990年6月以来のおよそ34年ぶりの今年最大の円安ドル高を連日で更新したほか、今朝11時39分頃にはユーロ円も一時165円84銭付近の2008年8月以来の今年最大の円安ユーロ高を記録しており、ドルだけでなく欧州ユーロなどの主要通貨に対する円安も進行した。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州英国市場では中東情勢警戒感の緩和による株価上昇を受けたリスク選好のリスクオン (Risk-on) 市場でのドルや欧州ユーロなどの主要通貨に対する低リスク通貨の円売りが続いたことや、安全資産の欧米国債売りによる債券価格低下に伴う利回り上昇の影響で欧米長期金利上昇時の日米欧金利差トレードでも低金利の円が高金利な主要通貨に対して売られていたため、欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の参入時の対ドル円相場は一時154円80銭付近の始値で、米国ニューヨーク債券市場で米国長期金利が一時4.65%付近で高止まりした日米金利差拡大の影響が続き、昨夜22時37分頃にドルは円相場で一時154円87〜88銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、昨夜22時45分に発表された最新米国経済指標の4月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の速報値は、前回の51.9と市場予想の52.0を下振れする49.9で景気ボーダーラインの50を下回り、4月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値も前回の51.7と市場予想の52.0を下回る50.9で、4月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の速報値も前回の52.1と市場予想の52.0を下回る50.9に低下し、昨日の夕方に先行して発表されていた欧州ユーロ圏がサービス業と総合では市場予想を上振れしていたことに対して、米国ではサービス業と総合も市場予想を下振れした比較から、欧州ユーロに対して、低リスク通貨の円だけでなく、世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドルも売られたほか、米国景気指数の想定外の下振れにより米国長期金利も一時4.58%付近に向けて反落したため、金利差縮小時のドル売りが主要通貨に対して起き、発表時の昨夜22時45分頃にドルは円相場で一時154円57銭付近に急落したほか、ユーロドルも一時1.0711ドル付近の米国市場および日通しの欧州ユーロの高値でドルの安値を記録し、主要通貨に対するドルインデックス (ドル指数) も一時105.61付近にまで下落した。
また、同時進行していた昨夜の欧州英国市場でも、昨夕の欧州景気指標の一部上振れにより、過度の欧州景気懸念が緩和され、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会メンバーのドイツ連銀のナーゲル総裁が、「欧州の利下げ開始を確約する前に、目安とする水準にまで欧州インフレが持続的に抑制されているかどうかのデータを確認する必要がある」と早期の欧州利下げに慎重な発言したため、前日に欧州中央銀行 (ECB) のデギンドス副総裁が、「サプライズがなければ、6月の欧州中央銀行 (ECB) 理事会での欧州利下げはほぼ確実」と発言していた時に売られた欧州ユーロがドルに対して買い戻される値動きも入っていたため、対円だけでなく対ドルでも欧州ユーロが上昇した影響が円相場にも波及し、ユーロ円も一時165円74銭付近のこの時点での今年最大の2008年以来の円安ユーロ高を昨夜の欧米市場でも記録していた。
しかし、最近の他の米国経済指標の強さにより、今週発表予定の最新米国重要経済指標の米国国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の市場予想上振れへの警戒感などがあり、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が6月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) でも米国政策金利を据え置きする市場予想も依然として確定値超えの優勢さを保っていたため、市場安値圏からはドルのショートカバーや買い戻しが入りやすく、円相場でドルはすぐに反発を始めた。
続いて、昨夜23時に発表された最新米国重要経済指標の3月の米国新築住宅販売件数は、年率換算件数が前回の66.2万件と市場予想の63.7万件を上回る69.3万件に上昇し、前月比では前回はマイナス圏だった-0.3%と前回修正の-5.1%が市場予想の1.2%を大幅に超えるプラス圏の8.8%に改善と市場予想上振れで強く、同時発表だった4月の米国リッチモンド連銀製造業指数も前回の-11と市場予想の-8を上回る-7に改善されたことを受けてドルの買い戻しが続き、深夜24時台にはドルは円相場で一時154円84銭付近に反発し、深夜24時13〜14分頃と24時45〜47分頃と24時56分頃に何回も高止まりを見せたほか、午前1時53分頃にも再び一時154円84銭付近に達した。
ただし、前回の東西FXニュースでも予告していた通り、26時(午前2時)には米国ニューヨーク債券市場で米国2年債の入札があり、好調な入札結果を受けた米国債券価格上昇に伴う利回り低下の影響が他の年度の米国債にも波及したため、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時の反発後に再び一時4.58%台付近にまで低下したため、日米金利差縮小時の円の買い戻しや主要通貨の反発の影響を受けて、午前2時7分頃にドルは円相場で一時154円55銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、午前2時頃に発行された日本経済新聞社 (日経 / Nikkei) のニュースが話題になり、日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が今月4月25〜26日に開催予定の日銀金融政策決定会合で、「日銀が円安加速の影響を議論する」と報道し、「3月会合でマイナス金利を解除したばかりで、市場で今会合での追加利上げを見込む声は少ない」ものの、「日銀は為替が円安方向に進むことが、輸入物価押し上げなどを通じて物価上昇率に及ぼす影響を議論する。異次元緩和を終えた日銀が国債買い入れ額をいつ減らしていくかも焦点」という内容で、急激に進む円安が日銀に圧力をかけていることが意識され、サプライズの追加利上げの可能性が排除できないことも、イベントリスクの安全資産の国債買いやドル円の早期の利益確定や持ち高調整の一因となった。
一方、米国主要企業の決算報告シーズンの米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) や米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) が前日比大幅高で続伸し、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も小幅高と揃って続伸の終値に向かい、リスク選好のリスクオンの安全資産の価格上昇後の利益確定売りにより、米国長期金利も4.602%に回復した米国ニューヨーク債券市場の終値の日米金利差もあり、低リスク通貨の円売りの影響も続いたことは市場安値後のドルの反発と「往って来い」につながり、市場終盤前にはドルは円相場で再び一時154円84銭付近に戻したが、米国市場の終値時間の利益確定は抵抗になった。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の154円87〜88銭付近から、円の高値でドルの安値の154円55銭付近の値幅約32銭の値動きで、今朝6時前頃のニューヨーク終値は154円83銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の154円85銭付近と比較して約2銭の僅差の円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、今年最大の円安ドル高進行後の為替介入警戒感や、今朝8時50分に発表された日本の最新経済指標の3月の日本企業向けサービス価格指数の前年同月比が前回の2.1%と前回修正の2.2%と市場予想の2.1%を上回る2.3%に上昇したことを受けて、明日から明後日に開催予定の日銀金融政策会合でのサプライズ利上げの可能性のイベントリスクが意識された持ち高調整の影響があり、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時154円75銭付近の始値で、今朝9時45分頃に一時154円74銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今日の日本市場時間の時間外の米国債券取引では、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が再び4.6%台に乗せたまま4.63%台に向けた上昇を始めたため、日米金利差拡大による金利差トレードで低金利の円が売られて高金利のドルが買われ、ドルが円相場で再び上昇するという円安要因の日米金利差拡大トレンドが再燃した。
また、今朝までの米国主要株価三指数続伸でうち二指数は前日比で大幅高に影響もあり、今日の東京株式市場でも日経平均株価が大幅に続伸したため、欧米トレンドのリスク選好のリスクオンで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られて、リスク選好市場で買われやすい欧州ユーロが買われたため、今朝11時39分頃にユーロ円も一時165円84銭付近の2008年8月以来の今年最大の円安ユーロ高を続伸し、他の主要通貨に対する円安進行の影響も対ドル円相場に波及した。
午後15時台には今日の日経平均株価が3万8,460円8銭の終値をつけ、前日比で907円92銭高の大幅続伸で大引けしたため、リスクオンの低リスク通貨の円売りが続いたほか、世界的な安全資産の米国債売りの影響で米国長期金利が上昇を続け、高止まりも見せていたことなどから日米金利差トレードの円売りドル買いも続き、欧州市場の参入が始まった午後15時台の15時12〜15分頃と15時49〜50分頃にはドルは円相場で一時154円94銭付近の高値圏で何回も高止まりを見せたほか、夕方16時頃から欧州本土よりも時差遅れの世界最大規模の英国ロンドン外国為替市場の本格参入が始まると、午後16時1分頃にドルは円相場で一時154円97銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、1990年6月以来の今年最大の円安ドル高の記録を更新した。
155円の手前付近では、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の為替介入警戒感による利益確定と持ち高調整に加えて、155円付近に大量に観測されていたノックダウン・オプション (KO / Knock-out Option) 警戒の影響もあり、午後16時13分頃に対ドル円相場は一時154円77銭付近に円相場が反発したが、米国長期金利は今夜の一時4.64%台に向けて更に上昇トレンドであったため、日米金利差拡大によりドルはすぐに買い戻されて瞬時に反発し、午後16時35〜36分頃にはドル円は再び一時154円93銭付近のドルの高値圏に戻しており、市場終盤の利益確定幅も限られていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は154円90〜92銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の154円81〜82銭付近の前東京終値比で約9銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や米国債入札予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜20時に米国MBA住宅ローン申請指数、今夜21時30分に3月の米国耐久財受注、今夜23時30分に米国週間原油在庫と、26時 (午前2時) に米国5年債入札予定がある。
米国ニューヨーク株式市場でも米国主要企業の決算報告シーズンが続いており、明日早朝の米国株引け後の時間にフェイスブック (FB / FaceBook) の持ち株会社の米国メタ・プラットフォームズ (META / Meta Platforms, Inc.) 決算報告などが予定され、米国債などの債券利回りの影響に加えて、株式市場のトレンドの影響や世界情勢のニュースの影響なども市場で引き続き注視されている。
また、明日から始まり明後日の今週金曜日までの日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合の結果発表とその後の植田和男日銀総裁の要人発言予定、そして、来週の4月30日〜5月1日に開催予定の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) とその後の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の要人発言予定などのイベントも控えていることには注意が必要である。なお、来週の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) を控え、今週は米国連邦準備制度理事会 (FRB) の高官達は発言自粛のブラックアウト期間 (Blackout Period) に入っている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は165円59~60銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる昨日17時の165円28~29銭付近の前東京終値比で約31銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、先述の通り、日米欧のリスクオン市場で買われやすい欧州ユーロに対し、低リスク通貨の円が売られやすく、日欧金利差の影響もあり、今年最大の円安ユーロ安を記録後の利益確定の抵抗後にも、ドルに対する円安も進行した影響が波及したため、円安ユーロ高の東京終値となった。
ユーロドルは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の終値は1.0688〜1.0690ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0675〜1.0677ドル付近の前東京終値比では約0.13セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、前述の通り、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーの中には、欧州景気懸念がやや緩和された影響もあって、欧州の早期利下げに慎重な意見も出てきた影響から、ドルに対しても欧州ユーロが買い戻されていた。
今夜17時に発表された欧州ユーロ圏主要国のドイツの最新経済指標の4月の独IFO企業景況感指数も、前回の87.8と前回上方修正の87.9と市場予想の88.8を上回る89.4に上昇した。
また、低リスク通貨の円と同様に、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルも、日米欧株価上昇時のリスク選好のリスクオンで欧州ユーロに対して売られやすくなっていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は192円53〜59銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の191円37〜43銭付近の前東京終値比では約1円16銭の大幅な円安ポンド高であった。
主な要因は、昨夜17時30分に発表された最新英国経済指標の4月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の50.3と市場予想の50.4を下振れする48.7に低下したものの、欧州の同指標と同様に4月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の53.1と市場予想の53.0を上振れする54.9であったことから、欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドも、昨夜の米国の購買担当者買景気指数 (PMI) の低下を受けた比較で買い戻されていたほか、日米欧英の株価上昇時のリスク選好のリスクオン市場でも低リスク通貨の円に対して英国ポンドも買われやすくなった。
また、昨夜の英国市場では、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) のメンバー兼チーフエコノミストのピル氏が、「私の基本的なシナリオとしては、英国の利下げはもう少し先になる」とタカ派発言をした影響もあり、今日は日英金利差も意識されたほか、ドルや欧州ユーロや豪ドルなどの他の主要通貨に対する今日の円安の影響も波及していた。
ただし、ドルや円に続く第3の安全資産でもあるスイスフランも、リスク選好のリスクオン市場では売られやすくなり、今夜19時台の英国市場では、スイスフランに対しては円は前東京終値比で円高スイスフラン安になっている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年4月24日の日本時間(JST)19時47分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時47分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:47の為替レート | 前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 154.92 〜 154.93 | +0.11 (円安) |
ユーロ/円 | 165.56 〜 165.57 | +0.28 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0685 〜 1.0687 | +0.0010 (ドル安) |
英ポンド/円 | 192.62 〜 192.68 | +1.25 (円安) |
スイスフラン/円 | 169.46 〜 169.52 | -0.46 (円高) |
豪ドル/円 | 100.61 〜 100.65 | +0.81 (円安) |
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