FXニュース:米雇用統計が市場予想以下
2024年5月06日東西FXニュース – 2024年5月06日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米PMI改定値市場予想以上
- 米ISM非製造業景況下振れ
- 米ISM価格は前月比で上昇
- 米FRBボウマン理事タカ派
- 米主要株価指数が大幅続伸
- 日本連休で為替介入警戒感
- 米イエレン財務長官再発言
- 欧英PMIも市場予想上振れ
今日2024年5月6日月曜日の日本の東京外国為替市場はゴールデンウィークの連休休場ですが、世界FX市場の日本市場相当時間の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の153円32銭付近から、円の安値でドルの高値の154円1銭付近の値幅約69銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値相当時間は153円78〜79銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週木曜日17時の155円48〜49銭の前東京終値比では約1円70銭の大幅な円高ドル安であったが、世界市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の153円27〜29銭付近と比較すると約51銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と、時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析は、まず先週金曜日にも日本政府の鈴木俊一財務相が、為替相場の急激な変動は好ましくないとの見解を改めて示し、「行き過ぎた動きがある時は、ならすことは必要になる」と発言したことで、先週の日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入観測が合計推定9兆円規模でまだすぐに使える日銀当座預金に為替介入への余力があることから、日本市場のゴールデンウィーク連休中の時間外の為替介入警戒感が継続していた。
先週金曜日の夜21時頃から始まった先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時153円20銭付近の始値で、米国ニューヨーク債券市場で米国10年債の利回りが指標である米国長期金利が一時4.56%台付近であった日米金利差トレードでは先週金曜日の夜21時15〜16分頃には一時153円31銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録したが、先週金曜日の夜21時30分に発表された最新米国重要経済指標の4月の米国雇用統計の4月の米国非農業部門雇用者数変化 (NFP / Non-Farm Payrolls) の前月比が前回の30.3万人と前回上方修正の31.5万人と市場予想の24.3万人を下回る17.5万人に低下したほか、4月の米国失業率も前回と市場予想の3.8%から3.9%に悪化し、4月の米国平均時給も前月比が前回と市場予想の0.3%に対し0.2%に低下、前年同月比も前回の4.1%と市場予想の4.0%を下回る3.9%と前回と市場予想以下であったことを受けて、一時ドルは円相場で一時152円19銭付近に急落した。
米国雇用市場軟化による賃金インフレ圧の弱まりから米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) の利下げ先送り予想が後退して年内の利下げ開始予想が高まり、一部では9月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) での米国利下げ予想が小幅域だけでなく大幅域でも浮上したことで、米国ニューヨーク債券市場では世界的な安全資産でもある米国債が買われて債券価格上昇に伴う利回り低下の影響で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が米国雇用統計発表前の一時4.55%台から一時4.48%台に急落したことに加えて、同時進行していた欧州英国市場でも欧州債や英国債が買われて米欧英の長期金利が低下したため、低金利通貨の日本円との金利差縮小時の円買いにより、円相場はドルや欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対して上昇した影響が波及したため、対ドルの円相場は一時急伸し、先週金曜日の夜21時39分頃に一時ドル円は151円86銭付近と、先週末の欧米市場および4月10日以来の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、長期的なデータ分析によって目標の2%のインフレ抑制達成への「確信」を得ようとしている米国連邦準備制度理事会 (FRB) においては、前回の米国雇用統計の大幅な上振れ後の今回の米国雇用統計の下振れ一回データだけでは米国連邦公開市場委員会 (FOMC) での金融政策決定に与える影響はまだ限定的との見方もあり、連続した総体的なデータでは次回の様子見もあり得るなどの受け止め方も市場では強かったため、一部の9月の米国利下げ予想も確定値には達せず、市場安値後のドルには買い戻しが入り、ドルは円相場ですぐに152円台に反発した。
続いて、先週金曜日22時45分に発表された最新米国経済指標の4月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の改定値は前回の50.9と市場予想の51.0を上回る51.3に上昇し、4月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回の50.9と市場予想の51.0を上回る51.3であったことで、米国の景気要因による米国インフレ圧も再び意識され、円相場ではドルの買い戻しが続いた。
また、先週金曜日の夜22時50分頃には米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のミシェル・ボウマン理事のタカ派発言が話題になり、「データ次第では、米国追加利上げの用意がある」ことや、「見通しには、依然として多くの上振れリスクがある」と言及し、「インフレが引き続き低下するかどうかは不透明」であり、「最近のインフレの加速は、多くの商品やサービスのカテゴリーで明らか」であると指摘したことなどを受けては、米国利下げ予想がやや後退し、ドルの買い戻しが進んだ。
ただし、先週金曜日の夜23時に発表された最新米国重要経済指標の4月の米国ISM (Institute for Supply Management / 米国サプライマネジメント協会) 非製造業景況指数では、総合が前回の51.4と市場予想の52.0を下回る49.4で、不景気と好景気を分けるボーダーライン (Borderline / 境界線) の50以下の2022年12月以来の低水準あったことでは、発表時に瞬時152円51銭付近から一時152円15付近までドルが瞬落したものの、個別項目の仕入れ価格指数は前月の53.4と市場予想の55.0を大きく上振れする上回る59.2に上昇したことでは、先ほどのボウマン理事の今後の米国インフレ見通しに関するタカ派発言とも相まって、ドルは円相場で再び買い戻されて反発して下げ幅を縮めた。
先週金曜日の夜23時30分頃には米国長期金利も反発して一時4.54%台付近に下げ幅を縮めていたため、日米金利差拡大を受けた円売りドル買いの影響で、先週金曜日の夜23時45分頃にはドルは円相場で一時再び153円7銭付近と153円台を回復したが、日本政府と日銀 (BoJ) の為替介入警戒感が継続していたことで早期の利益確定や持ち高調整が入り始めたことはドルの上値を抑えた。
先週金曜日の夜23時34分頃には、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国シカゴ連銀のオースタン・グールズビー総裁の発言もあり、前回の大幅な上振れを受けた市場予想以下であったものの、「4月の米国非農業部門雇用者数変化 (NFP) の前月比が、前回から17.5万人増加というのは、非常に堅実な報告」であるとし、「最近のインフレが再加速の兆候ではないという、安心感を得なければならない。こうした米国雇用統計が増えれば増えるほど、確信も強まる」ことから、「こうしたデータを更に確認したい」と発言していた。
一方、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要企業の決算報告シーズンの影響などで米国主要株価三指数が揃って続伸の終値に向かっており、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が前営業日比で大幅高、米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) も同じく大幅高で、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) も小幅高と堅調で、週末を控えた利益確定や持ち高調整では、先週は日本政府と日銀 (BoJ) の為替介入観測で一時大幅に上昇した低リスク通貨の円が利益確定売りでされたものの、為替介入警戒感による持ち高調整も続いており、市場終盤には買い控えによる市場流動性の低下もあってドル円はやや横ばいに近い値動きも見せた。
また、午前5時過ぎ頃には米国政府のジャネット・イエレン財務長官が、米国ブルームバーグ (Bloomberg) のインタビューで、「私にとってのファンダメンタルズとは米国のインフレ期待と労働市場であり、前者は十分にコントロールされており、後者は強いもののインフレ圧力の大きな要因にはなっていない」と、米国の物価上昇基調鈍化と米国大統領選に向けた利下げ開始圧を再感させるもので、住宅供給逼迫が根強い米国住宅インフレの要因になっていることに関しては、「予想より若干のタイムラグがあるとしても、米国の住宅インフレはこれからの賃貸市場に見合ったものになると考えている」との見解を示していた。
このため、先週金曜日の夜21時頃から先週土曜日の朝6時頃までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の153円31銭付近から、円の高値でドルの安値の151円86銭付近の値幅1円45銭の値動きで、先週土曜日の朝のニューヨーク終値は153円5銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の153円64銭付近と比べて約59銭の円高ドル安をつけて週末を迎えていた。
先週土曜日の早朝6時頃の米国ニューヨーク外国為替市場の終了後の午前8時50分頃には、米国政府のジャネット・イエレン財務長官の再発言があり、先週の日本政府と日銀 (BoJ) の為替介入観測について、日本が介入したかどうかについては、「ノーコメント」としたものの、先週の円相場の動きは急激であったことは認めて、「こうした介入は稀であるべきで、協議が行われることが期待される」と発言したことは、今日の週明けの世界市場では、米国政府の日本政府への為替介入牽制発言として注目されることになった。
そのため、週明け月曜日の今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、ゴールデンウィークの日本と韓国が祝日休場であったが、米国政府のジャネット・イエレン財務長官の日本政府の為替介入牽制の再発言を受けたドルの買い戻しが円相場で先行し、今朝9時頃の今日の日本の東京外国為替市場の始値相当時間の対ドル円相場は一時153円66銭付近と先週末のニューヨーク終値よりもドルが円相場で上昇していた。
午前9時56分頃には、今日の日本市場はゴールデンウィークの連休で日本企業の仲値決済による輸入需要による円売りドル買いがなかったため、世界FX市場では日本市場が休場で時間外であることが意識されて為替介入警戒感が一時やや再燃し、ドルは円相場で一時153円32銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録したが、今朝から話題になっていた米国政府の為替介入牽制発言の影響が続き、ドルの買い戻しが再開した。
今朝のアジア市場では中国市場が先週の大型連休明けであったが、午後からの英国ロンドン外国為替市場が今日は英国のアーリー・メイ・バンクホリデー (Early May Bank Holiday) の祝日休場予定で、今日は日本市場と英国市場の休場につき、世界市場全体の流動性が低下する中で、英国と米国と日本の世界三大市場の中では、今日は米国市場のみが平日営業となるため、世界的なドル需要を見込んだ主要通貨へのドルの買い戻しや、ゴールデンウィーク中も一部の日本企業の休日出勤で買収に絡む円売りがあったことなども世界市場で話題になって円相場に影響を及ぼし、昼の13時11分頃にはドルは円相場で一時154円1銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、154円付近にはオプション観測などもあったほか、日本市場の時間外につき、為替介入への警戒感も燻っていたことでは、再び対ドルの円相場も反発した。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値相当時間は153円78〜79銭付近で、日本市場の連休前で為替介入観測の影響があった前営業日同時刻にあたる先週木曜日17時の155円48〜49銭の前東京終値比では約1円70銭の大幅な円高ドル安であったが、世界市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の153円27〜29銭付近と比べると約51銭の円安ドル高であった。
今夜この後の米国市場では、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定があり、日本時間の経済カレンダーのスケジュール予定は、今夜25時50分頃から米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言予定と、続いて26時0分頃から米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定がある。また、米国株式市場では、米国主要企業の決算発表シーズンが続く。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値相当時間は165円49〜50銭付近で、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週木曜日の17時の166円60〜62銭付近の前東京終値比で約1円11銭の大幅な円高ユーロ安であったが、世界市場の前営業日にあたる先週金曜日17時の164円53〜54銭付近と比べると約96銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、日本市場が祝日連休で為替介入観測時の影響が前東京終値比では残る一方で、今日も実需のあるドルや欧州ユーロが円相場で買い戻された影響で下げ幅を縮めた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値相当時間は1.0760〜1.0762ドル付近で、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週木曜日17時の1.0714〜1.0715ドル付近の前東京終値比では約0.46セントのユーロ高ドル安で、世界市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0732〜1.0734ドル付近と比べると約0.28セントのユーロ高ドル安であった。
主な要因は、最新米国重要データの米国雇用統計下振れによる対ユーロのドル売りの影響が見られたほか、今日の午後16時50分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の4月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値が、前回と市場予想の50.5を上振れする51.3に上昇し、続いて発表された今日の午後16時55分のドイツの4月サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は前回と市場予想の53.3をやや下回る53.2であったものの、今夜17時の欧州ユーロ圏総合の4月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値が前回と市場予想の52.9を上回る53.3で、米国の同指標の51.3を超えた好景気寄りの数値であったことから欧州景気懸念が緩和され、欧州ユーロが対ドルで上昇していた。ただし、その後の今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の3月の欧州卸売 (生産者) 物価指数 (PPI / Producer Price Index) は、前月比が前回の-1.0%と前回修正の-1.1%とに対し市場予想通りの-0.4%で、前年同月比は前回の-8.3%と前回修正の-8.5%と市場予想の-7.7%に対し-7.8%と、市場予想よりも欧州の卸売 (生産者) 物価指数は鈍化していた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値相当時間は193円27〜33銭付近と、日本市場の前営業日同時刻にあたる先週木曜日17時の194円76〜82銭付近の前東京終値比では約1円49銭の大幅な円高ポンド安であったが、世界市場の前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の192円30〜82銭付近と比べると約97銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、先週金曜日の夜17時30分に発表された最新英国経済指標の4月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も、前回と市場予想の54.9を上回る55.0に上方修正されており、米国市場の同指標を上回り、英国ポンドも欧州ユーロ同様に先週の為替介入観測後の円相場での下げ幅を縮めていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年5月6日の日本時間(JST)20時29分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の12時29分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 20:29の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 153.77 〜 153.78 | -1.71 (円高) |
ユーロ/円 | 165.67 〜 165.68 | -0.93 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0772 〜 1.0774 | +0.0058 (ドル安) |
英ポンド/円 | 193.40 〜 193.46 | -1.36 (円高) |
スイスフラン/円 | 169.88 〜 169.94 | -0.65 (円高) |
豪ドル/円 | 101.94 〜 101.98 | +0.27 (円安) |
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