FXニュース:米新規失業保険申請数増加

2024年5月10日
FXニュース:米新規失業保険申請数増加

 

東西FXニュース – 2024年5月10日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米雇用受け年内利下げ予想
  • 米国債入札買い利回り低下
  • 日米欧英株上昇リスクオン
  • 英GDPが市場予想を上回る

今日2024年5月10日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の155円36銭付近から、円の安値でドルの高値の155円78銭付近の値幅約42銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は155円68〜69銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の155円83〜84銭付近の前東京終値と比較すると約15銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と、時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析はまず、昨日17時に日本市場が終了した後の昨夜18時57分頃の英国ロンドン外国為替市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.520%付近に上昇後も4.51%台付近で高止まりを続けていたため、日米金利差拡大による円売りドル買いの影響で、ドルは円相場で一時155円95銭付近に買われて高値圏で推移していた。

昨夜20時には、英国中央銀行のイングランド銀行 (英中銀 / BoE / Bank of England) の英中銀金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) が、英国の新政策金利を発表し、現状の5.25%で据え置きの高金利維持を決定したが、声明と共に発表された今後の英国経済の見通しでは、来年2026年度の英国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の前年比上昇率の予想値が、英中銀 (BoE) の目標の2%を下回る水準に下方修正されたため、市場では英国の利下げ開始時期が近づいているという市場予想により、英国10年債の利回りが指標となる英国長期金利が低下し、米英金利差拡大でドルに対する英国ポンド売りがあった影響の波及も、対ドルの円相場でドルが高止まりをする一因になっていた。

そのため、昨夜の英国市場の後半から時差で始まった昨夜21時頃の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時155円88銭付近で、昨夜21時10分頃には米国長期金利が一時4.521%付近のピークに達したため、円安要因の日米金利差拡大によりドルは円相場で一時155円92銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、米国市場では昨夜21時30分に最新米国経済指標の前週分の米国新規失業保険申請件数が発表され、前回の20.8万件と前回修正の20.9万件と市場予想の21.5万件を上回る23.1万件に悪化し、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の177.4万人と前回修正の176.8万人よりも弱い市場予想通りの178.5万人であったため、先日の米国雇用統計が市場予想を下振れ後に続いた最新米国雇用市場の軟化を示すデータにより、米国の賃金インフレ圧の鈍化が予想され、米国中央銀行制度にあたる米国連邦準備制度理事会 (FRB/ Federal Reserve Board) が年内の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国の利下げを開始するという市場予想が再浮上してきたことを受けて、発表後の昨夜21時35分頃には米国長期金利が一時4.484%付近に急落し、日米金利差縮小時の円買いドル売りで対ドルの円相場が反発を始めたほか、欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨に対しても米国長期金利低下時のドル売りが優勢になった。

また、米国ニューヨーク債券市場では、午前2時に米国30年債の入札があり、世界的な安全資産としても米国債が買われたため、好調な入札結果を受けて米国債券価格上昇に伴う利回り低下が起きた影響も他の年度の米国債に波及したため、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時の急落後に反発したものの再び反落し、午前3時35分頃には一時4.450%付近に低下し、日米金利差縮小時の円買いドル売りや、欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨に対しても米国長期金利低下時のドル売りが続いた影響の波及で、米国ニューヨーク外国為替市場終盤の今朝早朝の午前5時18分頃にドルは円相場で一時155円40銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、決算報告シーズンの影響が続いていた米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数が揃って上昇して終値をつけており、三指数の中でも米国ナズダック (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) は小幅高であったが、米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が前日比で大幅高の終値であったことでは、リスク選好のリスクオン (Risk-on) の安全資産の米国債売りや低リスク通貨の円の利益確定売りなどの抵抗は市場終盤に混じった。

一方で、最近の米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言を受けた米国高金利長期化予想も続いており、ドルの買い戻しの抵抗要因になっていたが、今朝未明の午前3時頃からは次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国サンフランシスコ連銀のメアリー・デイリー総裁の発言があり、米国ジョージ・メイソン大学のポッドキャストのインタビューで、「ここ3カ月のデータは依然として不安定ではあるが、金融政策は依然として機能していると思う。本当に良い意味での、ディスインフレ (Disinflation / ディスインフレーション) が起きるのではないかと思う」と、ハト派寄りの意見が出てきたことを受けた市場では、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の中でも、米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の「会合毎に決める」今後の米国金融政策への意見が分かれていることが一時意識されたが、デイリー総裁は年内に米国利下げを開始するかどうかについては言及せずに、「私自身は、様子見モード」であると米国利下げには慎重な発言もしており、最近の米国雇用市場のデータについても、米国の利下げを正当化するほどの悪化は見られないとしており、月間での米国雇用上昇率は今でも底堅く、以前の想定上振れと比較すると、「単に、平常時の正常な上昇水準に戻りつつある」と見ており、「米国のインフレが根強く、一段の進展が見られないというシナリオの元では、米国労働市場が低迷するという兆候が確認されない限りは、金利調整に着手するのは適切ではない」と強調していたことでは、まだ米国利下げへの確信が持てないのではないかという米国利下げ開始時期に関する不透明感は継続していた。

なお、午前4時には米国の隣の南米メキシコ中央銀行にあたるメキシコ銀行 (Banco de México / Bank of Mexico) が新政策金利を発表し、市場予想通りに現状の11.00%の金利維持を発表したほか、メキシコのインフレ率の見通しが上方修正されるなど、米国周辺ではサプライズ利下げのトレンドがまだ始まっていないことなども市場の話題になっていた。

このため、昨夜21時頃から今朝6時頃までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の155円92銭付近から、円の高値でドルの安値の155円40銭付近の値幅52銭の値動きで、今朝早朝のニューヨーク終値は155円48銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の155円53銭付近と比べて約5銭の小幅な円高ドル安をつけていた。

今朝8時30分に発表された日本の最新経済指標の3月の日本全世帯家計調査の消費支出の前年同月比は、前回の-0.5%と市場予想の-2.3%に対し-1.2%と想定よりは買い控えが悪化しなかったほか、3月の日本の国際収支の貿易収支は前回マイナス圏の-2809億円と市場予想の5496億円に対し市場予想ほどではないもののプラス圏の4910億円に転じていたことでは、円安による日本製品輸出時の国際競合力の増加が改めて意識された。

今朝早朝8時36分頃のアジア・オセアニア市場では、米国ニューヨーク債券市場の終値時点の米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が4.453%と前日比で0.044低下していた後にも更に再下落の余地があったことでもドル売りが先行していたため、ドルは円相場で一時155円26銭付近にまで売られていた。

その影響で、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場に対ドル円相場の始値は一時155円39銭付近で、今朝の米国長期金利は一時4.449%付近に向けた低下を始めたことでは、今朝9時1分頃には一時155円36銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、今日は10日で日本の貿易企業の決算日が集中しやすい5と10が付く日の「五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」であったため、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、輸入実需の円売りドル買いが優勢で、ドルは円相場で反発を始めた。

今朝も日本政府の鈴木俊一財務相が閣議後の記者会見で、円安について、「市場の動向をしっかりと注視しており、必要があれば適切な対応を堂々と取る」と口先介入の発言をしたが、現在の為替レートの水準が適切かどうかという質問に対しての答えは、「コメントは控える」としていた。

今朝までの米国主要株価三指数上昇の影響もあり、今日の東京株式市場でも日経平均株価が大幅に上昇し、午後15時には3万8,229円11銭の終値と前日比で155円13銭高の大幅高で大引けしたことでも、リスク選好のリスクオンによる国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りがあり、欧州英国市場参入後の午後16時42分頃には欧州英国の株式市場の上昇を受けた低リスク通貨の円売りも入ったため、ドルは円相場で一時155円78銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、昨夜の米国新規失業保険申請数増加を受けた米国長期金利の低下は続いており、今日の日本市場の時間外の米国債券取引では一時4.466%付近にまで反発していた米国長期金利が、夕方には債券価格上昇の影響で一時4.448%付近に向けて反落したため、今日のドルの上値は限られた。

そのため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円68〜69銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の155円83〜84銭付近の前東京終値と比べると約15銭の円高ドル安になった。

今夜この後の米国市場では、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定や最新米国経済指標発表予定などがあり、日本時間の経済カレンダーのスケジュール予定は、今夜22時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事の発言予定、今夜23時に5月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値、26時30分頃から同じく次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のバー副議長の発言予定、27時に4月の米国月次財政収支などが予定されており、この他にも時間未定の米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定なども報告されている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は167円84〜85銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の167円27〜29銭付近と比べると約57銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、日米株価上昇に加えて、今日の午後から始まった欧州市場でも欧州株式市場が全面高を見せ、株価上昇時のリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円や世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルが売られて、リスク市場で買われやすい欧州ユーロが買われたことが対ユーロの為替相場にユーロ高の影響を及ぼした。

その影響で、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0779〜1.0781ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0733〜1.0735ドル付近と比べると約0.46セントのユーロ高ドル安であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は195円3〜9銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の194円41〜44銭付近と比べると約62銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、前述の英国政策金利維持による日英金利差の継続に加えて、今日の午後15時に発表された最新英国重要経済指標の1〜3月四半期の英国国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の速報値が、前期比は前回マイナス成長だった-0.3%と市場予想の0.4%を上回るプラス成長の0.6%に上昇し、前年同期比も前回の-0.2%と市場予想の0.0%を上振れする0.2%で、月単位の3月の英国月次国内総生産 (GDP) の前月比も前回の0.1%と前回上方修正の0.2%と市場予想の0.1%を上回る0.4%に上昇し、英国や米国のメディアが、「英国のリセッションが終わった (United Kingdom has moved out of recession) 」と報道したため、欧州ユーロ同様に日米欧英株価上昇時のリスク選好市場のリスクオンでも買われやすかった英国ポンドが円だけでなく主要通貨に対しても上昇した。

また、今日の午後15時に同時発表された3月の英国鉱工業生産や3月英国製造業生産指数と3月の英国貿易収支などの最新英国経済指標も軒並み市場予想を上回っていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年5月10日の日本時間(JST)19時24分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時24分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 20:00の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 155.91 〜 155.92 +0.57 (円安)
ユーロ/円 167.35 〜 167.38 +0.56 (円安)
ユーロ/ドル 1.0733 〜 1.0735 −0.0002 (ドル高)
英ポンド/円 194.27 〜 194.33 +0.56 (円安)
スイスフラン/円 171.43 〜 171.49 +0.65 (円安)
豪ドル/円 102.52 〜 102.56 +0.51 (円安)


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