FXニュース:米FOMC議事要旨がタカ派
2024年5月23日東西FXニュース – 2024年5月23日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米高金利長期化予想が優勢
- 必要時の米利上げ意見複数
- 日銀国債購入額を据え置き
- 日経平均株価は大幅に反発
- 欧英米購買担当者景気指数
今日2024年5月23日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の156円90銭付近から、円の高値でドルの安値の156円56銭付近の値幅約34銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は156円75〜76銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の156円39〜40銭付近の前東京終値比で約36銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析は、まず、昨日の日本市場終了後の昨夜20時35分頃の英国ロンドン外国為替市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.460%付近に上昇したことを受けた債券利回りの日米金利差拡大による金利差トレードの影響で、低金利の円に対して高金利のドルが買われて上昇し、昨夜20時45分頃に一時156円62銭付近に達した影響で、英国市場後半の昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場の始値は一時156円59銭付近であった。
しかし、米国市場では、この後の午前3時に市場が注目度の高い4月30日~5月1日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の議事要旨の発表イベントを控えていたことなどから、イベントリスク回避でドルの利益確定や持ち高調整と買い控えが入り始めたほか、安全資産の米国債が買われた影響で債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、米国長期金利が一時4.421%台に向けた急反落を見せたため、日米金利差縮小時の円買いドル売りも相まって、ドルは円相場で昨夜22時45分頃に一時156円35銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
市場安値後のドルには買い戻しも入り始めたものの、昨夜23時に発表された最新米国経済指標の4月の米国中古住宅販売件数の年率換算件数が、前回の419万件と前回修正と市場予想の422万件を下回る414万件であったことや、前月比も前回の-4.3%と前回修正の-3.7%よりは改善したものの市場予想の0.8%を下回る-1.9%であったことでは、この後の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨公開イベント前の様子見の買い控えもあり、この時間の戻りは弱かったが、最近は次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達からタカ派発言が相次いでいた影響では、米国長期金利の反発に伴うドルの買い戻しが円相場で入り始めていた。
日本時間の今朝未明の午前3時には注目の4月30日~5月1日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の議事要旨の発表イベントがあり、参加メンバーの米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達は、「今年1〜3月の第1四半期の米国インフレデータが期待外れだったと指摘」し、「米国のインフレ率が持続的に目標の2%に抑制されつつあるという確信を参加メンバー達が強めるには、従来想定していたよりも時間がかかるであろう」ことや、「現在の金融引き締め的な政策金利を、より長く維持する」と米国インフレ警戒による米国高金利の長期化を示唆したほか、「数人の参加メンバー達は、必要であれば更なる追加利上げの意向がある」と市場予想以上のタカ派寄りの内容であったために、発表後には主要通貨に対する米国政策金利の先高観によるドル買いが優勢になり、一時低下後の米国長期金利も反発して再び一時4.435%付近に上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いの影響や、欧州ユーロなどの主要通貨全般に対する一時全面ドル高の影響の波及などが続き、今朝早朝の午前5時57分頃の市場終盤には、ドルは円相場で一時156円85銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
ただし、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要企業の決算報告シーズンで、米国政策金利の高止まりや金利上昇が企業の決算に影響を及ぼすことへの警戒感などから、米国主要株価三指数が揃って下落の終値をつけたため、米国主要株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では安全資産の米国債が買われた影響で、米国ニューヨーク債券市場の米国10年債の利回りは終値時点で4.418%になったことや、安値から低リスク通貨の円が買われたことは対ドル円相場のやや抵抗要因になっていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の156円35銭付近から、円の安値でドルの高値の156円85銭付近の値幅約50銭の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は156円80銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の156円17銭と比べて約63銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時156円73銭付近の始値で、先述の米国市場で発表された米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨のタカ派寄りの内容を受けたトレンドの影響による円売りドル買いが先行した。
また、今朝10時10分に日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が定例の公開市場操作の日本国債買い入れオペを通知し、市場では日銀が国債購入予定額を縮小していくとの期待感があったことに反して、この日に通知された残存期間5〜10年等の国債購入予定額を3本とも据え置いたことで、日銀が大規模緩和金融政策の修正を急がないハト派の姿勢が市場で意識された円売りドル買いが起き、発表時の今朝10時10分頃に対ドルの円相場は、今朝早朝までの米国市場の円相場のドルの高値を上抜けた一時156円90銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
日本政府と日銀による円買い為替介入への警戒感は今でも燻っていたため、市場高値後のドルには利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始めたが、日銀が金融緩和の修正を急がない姿勢が市場で意識されたことでは、国内金利上昇への警戒感の緩和などから、今日の東京株式市場では、日経平均株価が大幅に上昇し、低リスク通貨の円の買い戻し幅は限られた。
しかし、今朝の日本市場の時間外の米国債取引で一時4.437%付近に上昇後の米国長期金利が、まとまった米国債買いの影響により、午前11時頃に一時4.423%付近に低下し、一時反発後にも午後からの欧州英国市場の参入後の午後16時25分頃の一時4.417%付近までの低下を見せた時間には、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りは対ドルの円相場の抵抗となり、午後16時15分頃にドルは円相場で一時156円56銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
今日は欧州と英国と米国の最新経済指標の購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の発表予定が相次ぐが、最初に出てきた午後16時15分の欧州ユーロ圏のフランスの5月の仏製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の45.3と市場予想の45.8を上回る46.7であったものの、5月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値が、前回の51.3と市場予想の51.7を下回る49.4で、いずれもが好景気と不景気を分けるボーダーライン (Borderline / 境界線) の50以下になったことでは、世界的な安全資産でもある米国債が一時買われて、債券価格上昇を受けて利回りが一時低下していた。
ただし、一時低下後の米国長期金利は、英国ロンドン外国為替市場で反発し、今夜17時17分頃の一時4.449%付近に向けた上昇を始めたことでは、日米金利差拡大による低金利通貨の円売りと高金利通貨のドル買いの影響で、ドルは円相場で円安ドル高の東京終値に向かった。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は156円75〜76銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の156円39〜40銭付近の前東京終値比で約36銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定などがあり、日本時間での経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に前週分の米国失業保険継続受給者数と米国新規失業保険申請件数、今夜22時45分に5月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI) と5月の米国サービス部門購買担当者景気指数(PMI) と5月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) 、今夜23時に4月の米国新築住宅販売件数、28時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国アトランタ連銀のボスティック総裁の発言予定などを控えている。
また、米国主要企業の決算報告シーズンの影響が続く米国株式市場からの為替相場への影響にも注意が必要であるが、今年の世界的な人工知能 (AI) ブームで話題の大手半導体メーカーの米国エヌビディア (NVIDIA / NVDA) の2024年2〜4月期の今朝の決算報告は、市場予想を大きく上回る増収増益となり、AI向け半導体需要の増加による業績拡大が続き、成長鈍化の懸念を覆す決算と見通しが発表されていた。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は169円74〜75銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の169円80〜85銭付近と比べると約6銭の円高ユーロ安であったが、その後の今夜18時台の英国ロンドン外国為替市場では、小幅な円安ユーロ高にも転じている。
主な要因は、今日の午後16時15分に発表された前述の欧州ユーロ圏のフランスの5月の仏購買担当者景気指数 (PMI) 速報値が、製造業とサービス部門共に好景気と不景気の境界線の50を下回ったことでは、欧州景気懸念と景気要因のインフレ圧鈍化による欧州利下げ予想が高まった。
ただし、続いて今日の午後16時30分に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの5月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は、前回の42.5と市場予想の43.1を上回る45.4であったほか、5月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の53.2と市場予想の53.5を上振れする53.9に上昇し、好景気側の指標が出てきたことでは、欧州ユーロが低リスク通貨の円に対して買い戻されたことに加えて、一時買われた世界的な安全資産の米国債も売られて、利回りが指標の米国長期金利が反発上昇した。
今夜17時に発表された欧州ユーロ圏総合の5月の欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も、前回の45.7と市場予想の46.2を上回る47.4であったが、5月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は市場予想の53.5には届かなかったものの、前回と横ばいの53.3で、好景気寄りの50以上の経済指標であった。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0827〜1.0829ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0856〜1.0860ドル付近と比べると約0.29セントのユーロ安ドル高であった。
主な要因は、一部では早ければ6月からの欧州利下げ予想が出ている中で、先述の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨のタカ派寄りの内容から、米国の方が欧州よりも高金利を長期間維持するという市場予想が優勢であったため、ドルが欧州ユーロに対して上昇していた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円43〜49銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の199円29〜35銭付近と比べると約14銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、昨日発表された最新英国経済指標の4月の英国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) が市場予想以上であったため、想定より根強い英国インフレが意識されていたことが為替相場に影響を及ぼしていた。
今夜17時30分に発表された5月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も前回の49.1と市場予想の49.5を上回る51.3と好景気側の指標に改善されたが、5月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値は前回の55.0と市場予想の54.7を下振れする52.9であったことでは、今夜18時台の英国ロンドン外国為替市場では、英国ポンドの利益確定売りや持ち高調整も入り、低リスク通貨の円に対して前東京終値比で円高ポンド安に転じている時間も見られた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年5月23日の日本時間(JST)18時21分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の10時21分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 18:21の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 156.73 〜 156.75 | +0.34 (円安) |
ユーロ/円 | 169.83 〜 169.84 | +0.03 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0834 〜 1.0836 | -0.0022 (ドル高) |
英ポンド/円 | 199.14 〜 199.20 | -0.15 (円高) |
スイスフラン/円 | 171.41 〜 171.47 | +0.18 (円安) |
豪ドル/円 | 103.87 〜 103.91 | -0.26 (円高) |
注意:
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