FXニュース:為替介入過去最大9.7兆円
2024年6月03日東西FXニュース – 2024年6月03日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 欧HICPとコア指数が上振れ
- 米PCEコア価格指数が鈍化
- ロンドン値決めのドル需要
- 米ダウ工業株30種大幅高
- 日経平均株高でリスクオン
- 米長期金利低下時ドル売り
今日2024年6月3日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の157円0銭付近から、円の安値でドルの高値の157円47銭付近の値幅約47銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は157円11〜13銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の157円15銭付近の前東京終値比では約4銭の小幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界FX市場のトレンド動向の分析は、まず、先週金曜日の夜18時の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場では、欧州ユーロ圏総合の最新重要経済指標の5月の欧州消費者物価指数 (HICP / 英語:Harmonised Index of Consumer Prices / 米語:Harmonized Index of Consumer Prices) の速報値が、前年同月比は前回の2.4%と市場予想の2.5%を上回る2.6%であったほか、欧州HICPコア指数も前回と市場予想の2.7%を上振れする2.9%であったため、欧州の利下げは想定よりも穏やかなペースになるのではないかという市場予想が高まり、欧州ユーロが円やドルなどの主要通貨に対して買われていた。
続いて、先週金曜日の夜19時に発表された日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) と日本の財務省の2023年4月26日から5月29日の外国為替平衡操作の実施状況の為替介入実績は、今年の4月29日と5月2日に実施したと市場で観測されていた円買いドル売りのステルス (覆面) 為替介入を反映し、今回の為替介入総額は9兆7885億円規模と、昨年2022年9〜10月の3回の円買いドル売りの為替介入時の9.1兆円規模を上回る過去最大規模の為替介入となっていたことでも、この時間に1ドル157円台前半で推移していたドルは円相場で、この後の最新米国重要経済指標発表前のイベントリスクもあり、早期の利益確定や持ち高調整などでやや下げる抵抗が入り始めていた。
先週金曜日の夜21時頃から始まった先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時157円17銭付近の始値であったが、先週金曜日21時30分に発表された最新米国重要経済指標の4月の米国個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditures) 物価指数 (デフレーター) の前年同月比は前回と市場予想通りの2.7%の横ばいであったが、気候条件などで価格変動の激しい食品やエネルギーを除きコアな物価基調を見る4月の米国個人消費支出 (PCE) コア・デフレーターは、前年同月比は前回と市場予想通りの2.8%の横ばいであったものの、前月比が前回と市場予想の0.3%を下振れする0.2%に鈍化してことを受けては、将来的な米国利下げの可能性が意識され、発表前は一時4.555%付近だった米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.492%台に向けて急落を始めたため、日米金利差縮小時の円買いドル売りや主要通貨に対するドル売りが入り、ドルは円相場で156円台に向けて急落した。
同時発表だった4月の米国個人消費支出 (PCE) の前月比も、前回の0.8%と前回修正の0.7%と市場予想の0.3%を下回る0.2%で、4月の米国個人所得の前月比も前回の0.5%に対し市場予想通りの0.3%に鈍化しており、先日の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の下振れに続き、米国インフレの鈍化が観測されたことで、債券市場での米国長期金利低下に伴う金利差トレードでドルが売られた。
また、先週金曜日の夜22時45分に発表された5月の米国シカゴ購買部協会景気指数も前回の37.9と市場予想の41.0を下回る35.4であったこともあり、米国景気要因のインフレ圧の鈍化傾向が続く場合には、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が年内の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国利下げ転換に向かう可能性もあるため、先週金曜日の夜23時25分頃にドルは円相場で一時156円56銭付近の先週末の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、先週末は5月末であったため、市場後半が同時進行していた英国ロンドン外国為替市場では、月末要因の基軸取引通貨のドル需要の高まりにより、世界最大規模の金価格の値決めなどで有名なロンドン・フィキシング (London Fixing) に絡むドル買いフローが観測されたほか、米国PCEコア・デフレーターの下振れ幅が小幅であったこともあり、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達のタカ派発言を覆すほどの長期データではまだないことも指摘され、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利も一時4.516%付近に反発していたため、ドルは円相場で大幅に反発上昇し、深夜過ぎには157円台を回復していた。
また、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) がインフレ警戒感の緩和により前営業日比で大幅高になり、米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) は週末と月末を控えた利益確定や持ち高調整の影響でやや横ばいに近い僅差の小幅安の終値に向かったものの、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) は前営業日比で上昇と三指数中二指数が好調であったことでも、リスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円が売られてドルが買い戻されたため、先週土曜日の午前4時36分頃にはドルは円相場で一時157円35銭付近の先週末の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
米国ニューヨーク債券市場でも、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は先週末の終値時点は4.500%付近であった。
このため、先週金曜日の夜から先週土曜日の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の156円56銭付近から、円の安値でドルの高値の157円35銭付近の値幅約79銭の値動きで、先週土曜日の朝6時頃のニューヨーク終値は157円31銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の156円82銭付近と比べて約49銭の円安ドル高をつけて週末を迎えていた。
週が明けた今朝早朝のアジア・オセアニア市場ではニュージーランド市場が連休であったが、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時157円18銭付近の始値であった。
今朝9時55分の日本市場の月初めの仲値決済に向けては、国内輸出企業などの円買いドル売り需要が優勢であったため、今朝10時20分頃にドルは円相場で一時157円0銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、東京株式市場では今日の日経平均株価が大幅な上昇を見せたため、株価上昇時のリスク選好のリスクオンで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られて円相場が下落したほか、英国経済紙フィナンシャル・タイムズ (Financial Times / FT) に米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国ミネアポリス連邦銀行のニール・カシュカリ総裁が、「米国政策金利は、当面の間、現状の水準で維持されるべき」という発言の記事が載ったことなどが市場で話題になったためドルが買われて上昇し、日本市場の今日の昼の12時56分頃にドルは円相場で一時157円47銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
なお、午後15時台には、今日の日経平均株価は3万8923円3銭の終値と、前営業日比435円13銭高の大幅高で大引けした。
ただし、午後からの欧州英国市場が参入すると、前述の先週末の欧州HICPのインフレ上振れを受けて欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) の連続利下げが困難になるという市場予想が浮上していたことで、欧州ユーロがドルや円に対して買われた影響や、米国10年債の利回り低下を受けた日米金利差トレードや為替介入警戒感でもドルが利益確定売りされたことなどでドルは円相場で反落し、前営業日比で横ばいに近い小幅な円高ドル安の東京終値に向かった。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円11〜13銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の157円15銭付近の前東京終値比では、約4銭の小幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国ニューヨーク外国為替市場では、最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時45分に5月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index)、今夜23時に5月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米供給管理協会) 製造業景況指数と4月の米国建設支出などを控えている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は170円29〜31銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の170円4〜9銭付近と比較すると約25銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、先週末の欧州インフレ指標の上振れや、今日の日経平均株価が大幅高で大引けしたことなどで、低金利通貨で低リスク通貨の円に対して欧州ユーロが買われて上昇した。
ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0837〜1.0839ドル付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0822〜1.0823ドル付近と比べると約0.15セントのユーロ高ドル安であった。
主な原因は、先述の欧州ユーロ圏総合の最新重要経済指標の5月の欧州消費者物価指数 (HICP) や同欧州HICPコア指数の速報値の上振れを受け、ドルに対しても欧州ユーロが買われていた。
ただし、今日の午後16時50分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の5月の仏製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値が、前回と市場予想の46.7を下回る46.4であったことではやや欧州ユーロ売りも入ったが、続いて16時55分に発表されたドイツの5月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は前回と市場予想一致の45.4の横ばいで、今夜17時の欧州ユーロ圏総合の5月の欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) 改定値は前回と市場予想の47.4をやや下回る47.3で、いずれも不景気と好景気のボーダーライン (Borderline / 境界線) の50を下回る不景気寄りの指標であったことは、製造業の景気要因の欧州インフレ圧の弱さもあり、欧州ユーロの上値をやや抑えていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円70〜76銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の199円64〜70銭付近と比べて約6銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、今日の日経平均株価が大幅高になったリスク選好市場では、欧州ユーロ同様に英国ポンドも低リスク通貨の円に対して買われやすかった。
なお、その後の今夜17時30分に発表された最新英国経済指標の5月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は、前回と市場予想の51.3をやや下回る51.2であったことでは英国ポンド売りも入ったため、円相場では東京終値時点でも小幅域であったために、今夜18時台の英国ロンドン外国為替市場では、英国ポンドの円相場は前営業日比で円高ポンド安に転じた時間があったが、欧州と比較すると不景気と好景気の境界の50を上回る好景気寄りの経済指標であったことでは、景気要因の英国インフレ圧も意識されていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年6月3日の日本時間(JST)18時6分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の10時6分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 18:06の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 157.05 〜 157.07 | -0.10 (円高) |
ユーロ/円 | 170.24 〜 170.26 | +0.20 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0838 〜 1.0840 | +0.0016 (ドル安) |
英ポンド/円 | 199.50 〜 199.56 | -0.14 (円高) |
スイスフラン/円 | 173.88 〜 173.94 | +0.22 (円安) |
豪ドル/円 | 104.30 〜 104.34 | +0.09 (円安) |
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