FXニュース:米ISM製造業景況が下振れ
2024年6月04日東西FXニュース – 2024年6月04日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米建設支出の前月比も減少
- 米景気懸念利下げ予想再燃
- 米NYSEで一部取引不具合
- 株価下落時の低リスク通貨
- 米長期金利低下時の金利差
- 今週の欧利下げ予想高まる
今日2024年6月4日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の156円49銭付近から、円の高値でドルの安値の155円36銭付近の値幅約1円13銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は155円39〜40銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の157円11〜13銭付近の前東京終値比では約1円72銭の大幅な円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) 市場のトレンド動向の分析は、まず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時156円86銭付近で、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.474%付近に上昇後の昨夜21時14分頃に一時156円94銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録していた。
昨夜22時45分に発表された最新米国経済指標の5月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の改定値は、前回と市場予想の50.9を上回る51.3に上方修正されたことではドルは堅調な推移を続けていた。
しかし、昨夜23時に発表された最新米国重要経済指標の5月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米供給管理協会) 製造業景況指数が前回の49.2と市場予想の49.6を下回る48.7に下振れし、2カ月連続で低下したことから米国製造業の成長鈍化の懸念が強まり、安全資産の米国債が買われて利回りが発表時に一時4.416%付近に急落したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りが起きたほか、主要通貨全般に対するドル売りが優勢になった。
同時発表の4月の米国建設支出も前回の-0.2%と市場予想の0.2%に対し-0.1%と、前回よりも上昇の市場予想に反して低下してマイナス圏に留まったことも米国景気懸念により、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が年内の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国利下げを開始する市場予想が高まったことで、米国長期金利は米国ニューヨーク債券市場終値時点の4.383%付近に向かって更に低下を続けたことから、債券利回りを受けた金利差トレードでも日米金利差縮小時の円買いドル売りが続き、深夜24時56分頃にドルは円相場で一時155円95銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、昨夜の米国ニューヨーク株式市場では、前述の5月の米国ISM製造業景況指数に低下を受けた米国景気減速懸念に加えて、米国ニューヨーク証券取引所 (NYSE / New York Stock Exchange) で技術的な不具合が発生し、一部株価が急激な変動に見舞われて60銘柄以上が一時売買停止となるという事件が起きたため、一時的な不具合が解消して取引が再開されるまでの間には、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) で取引可能な米国ニューヨーク債券市場の安全資産の米国債や金とFXの低リスク通貨の円などがドルから買われた。
ただし、取引再開後の今朝の終値に向けては、米国主要株価三指数の中の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) は38,571ドル3セントの終値と前営業日比で115ドル29セント安の大幅安になったが、ハイテク株の比率の多い米国ナズダック総合 (NASDAQ Composite) は16,828ドル67セントの終値と前営業日比で93ドル66セント高になり、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500) も5,283ドル40セントの終値と前営業日比5ドル89セント高であったことでは、リスク回避で買われた低リスク通貨の円には利益確定売りや持ち高調整の抵抗も入ったが、米国長期金利は米国利下げ予想の再燃もあって前営業日比で低下したままで終えていたことではドルの買い戻し幅は限られた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の156円94銭付近から、円の高値でドルの安値の155円95銭付近の値幅約99銭の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は156円8銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の157円31銭付近と比べて約1円23銭の大幅な円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時156円9銭付近であったが、今朝9時2分頃に一時1ドル155円98銭付近の155円台をタッチしたことでは安値感からショートカバーのドル買いが入ったほか、今朝の日本市場の仲値決済でも日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があったため、今朝10時46分頃にドルは円相場で一時156円49銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比大幅安で始まったほか、更に一時320円超安に低下したため、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われる値動きが優勢になり、ドルや主要通貨に対して円相場が上昇を始めた。
また、先日の日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の今年2023年4月26日~5月29日の外国為替平衡操作の実施状況の為替介入実績で、4月29日と5月2日に実施したと市場で観測されていた円買いドル売りのステルス (覆面) 為替介入総額が9兆7885億円規模と過去最大規模の為替介入となっていたことについて、今日は日本政府の鈴木俊一財務相が、「投機的な動きを背景とした過度な変動に対応するために実施した。その観点から、一定の効果があった。引き続き、市場動向をしっかりと注視し、万全の対応を取りたい」と発言したことで、為替介入警戒感も漂っていた。
更に、日銀の植田和男総裁が今日の参院財政金融委員会に出席し、金融政策について、「先行き見通しに沿って、基調的物価上昇率が高まれば、金融度合いを調整する」と発言しており、日銀の追加利上げ予想も燻った。
ただし、その一方で、日本国債の利回りを受けた国内長期金利に関しては、「急激に上昇する場合には、市場における安定的な金利形成を促す観点から、機動的にオペを実施する」と、金利抑制のための公開市場操作の指し値オペの継続も示唆していた。
しかし、午後15時台には、今日の日経平均株価が今朝の一時の大幅な下げ幅は縮めたものの3万8,837円46銭の終値と前日比85円57銭安に下落したままで大引けしたため、株価下落時のリスク回避のリスクオフの低リスク通貨の円買いは続いていた。
午後からの欧州英国市場の参入では、世界的な安全資産である米国債が買われた影響で、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が低下し、東京終値の17時頃には一時4.381%付近に下落したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りの勢いが増し、今日の午後16時59分頃から17時に向けてドルは円相場で一時155円36銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
欧州市場では、今週の6月6日に次回の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 理事会を控えており、欧州利下げ開始予想が高まっていることで、日経平均株価下落時のリスクオフだけでなく、欧州のイベントリスク回避でも今日は低リスク通貨の円に対して欧州ユーロが売られやすくなっていたため、他の主要通貨である欧州ユーロに対する円相場の上昇も、対ドル円相場に円の上昇圧として影響が波及していた。
また、米国連邦準備制度理事会 (FRB) も次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) を来週の6月11〜12日に控えており、昨夜の最新米国重要経済指標の下振れを受けたイベントリスク回避のロングポジションの利益確定や持ち高調整の売りが入りやすくなっていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は155円39〜40銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の157円11〜13銭付近の前東京終値比では約1円72銭の大幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国ニューヨーク外国為替市場では、最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜23時に 4月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数と、 4月の米国製造業新規受注を控えている。
なお、来週の6月11〜12日には米国連邦公開市場委員会 (FOMC) のイベントを控えているため、米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達は、今週からイベントまでは発言自粛のブラックアウト (Blackout) 期間に入る予定である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は169円19〜21銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の170円29〜31銭付近と比較すると約1円10銭の大幅な円高ユーロ安であった。
主な要因は、前述の通り、今日の日経平均株価下落によるリスク回避のリスクオフだけでなく、今日の夕方には欧州の主要株価も軟調であったことや、今週の欧州中央銀行 (ECB) 理事会のイベントリスクに加えての欧州利下げ予想の高まりにより、欧州ユーロに対して低リスク通貨の円が買われて上昇したほか、基軸通貨のドルに対する今日の東京終値時点の円高ドル安の影響も欧州ユーロなどの他の主要通貨に対しても波及していた。
また、今日の夕方16時55分に発表された欧州ユーロ圏の主要国ドイツの最新経済指標の5月の独失業者数の前月比は、前回と市場予想の1.00万人が前回1.10万人に修正されたほか、2.50万人に失業者が増加したことも欧州株価下落や低リスク通貨の円に対する欧州ユーロ売りに影響を与えたが、欧州ユーロ圏では仕事を求める欧州移民の国境を超えた移動の自由度が高いため、5月の独失業率は前回と市場予想通りの5.9%に留まっていた。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0887〜1.0889ドル付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0837〜1.0839ドル付近と比べると約0.50セントのユーロ高ドル安であった。
主な原因は、先述の最新米国重要経済指標の下振れを受けたドル売りや、今日の夕方に世界的な安全資産でもある米国債が買われた影響で利回りが指標の米国長期金利が一段と低下したため、金利差トレードで日米金利差縮小時の円買いドル売りだけでなく、欧州ユーロに対してもドルが売られて下落していた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は198円67〜73銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の199円70〜76銭付近と比べて約1円3銭の円高ポンド安であった。
主な要因は、経済圏が地理的にも近く欧州ユーロの影響を受けやすい英国ポンドにも、今日のドルやユーロに対する円高の影響が波及したほか、株価下落時のリスク回避のリスクオフでも低リスク通貨は英国ポンドに対して買われやすかった。
また、今朝8時1分に発表されていた最新英国経済指標の5月の英国小売連合 (BRC / British Retail Consortium) 小売売上高調査の前年同月比も、前回の-4.4%と市場予想の1.2%に対し0.4%と、市場予想以下であった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年6月4日の日本時間(JST)18時0分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の10時0分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 18:00の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 155.34 〜 155.35 | -1.77 (円高) |
ユーロ/円 | 169.03 〜 169.06 | -1.26 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0881 〜 1.0882 | +0.0044 (ドル安) |
英ポンド/円 | 198.46 〜 198.52 | -1.24 (円高) |
スイスフラン/円 | 173.49 〜 173.55 | -0.57 (円高) |
豪ドル/円 | 103.27 〜 103.31 | -0.94 (円高) |
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