FXニュース:米CPIとFOMCイベント控え
2024年6月12日東西FXニュース – 2024年6月12日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米FRBパウエル議長発言も
- 米イベントリスクで様子見
- 米国債買いで利回りが反落
- 明日から日銀金融政策会合
- 欧EU政治懸念のリスク回避
- 英賃金上昇率は高水準継続
今日2024年6月12日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の157円4銭付近から、円の安値でドルの高値の157円36銭付近の値幅約32銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は157円26〜27銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の157円31〜33銭付近の前東京終値比で約5銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と市場時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) 市場のトレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時157円10銭付近であったが、欧州政治リスク回避の欧州株安の影響や、今夜この後の最新米国重要経済指標の5月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) と米国現地時間で6月11〜12日に開催される米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) と米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の要人発言のイベントリスクを控えたリスク回避のリスクオフ (Risk-off) などで、世界的な安全資産である米国債が買われて債券価格上昇に伴う利回り低下が起き、昨夜21時頃には米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.428%付近に低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りの金利差トレードと低リスク通貨の円買いで対ドルの円相場が上昇し、昨夜21時56分頃にドルは円相場で一時156円80銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
ただし、市場安値を記録後のドルの買い戻しも入り始めたほか、欧州政治不安の欧州ユーロ売りでは世界的な流動性の高さから安全資産としても人気のあるドル買いが入りやすく、深夜のロンドン・フィキシング (London Fixing) の基軸通貨としての実需買いなども入り、午前2時の米国10年債の入札を前にした債券価格上昇後の利益確定売りも入っていた午前1時台には米国長期金利が一時4.465%付近に向けて反発上昇したため、日米金利差拡大時の円売りドル買いが起き、午前1時26分頃にドルは円相場で一時157円40銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、午前2時の米国ニューヨーク債券市場の米国10年債の入札結果は堅調で、再び米国債が買われた影響で米国長期金利が反落し、一時4.399%付近に向けて大きく低下したため、ドルも円相場で反落を続け、午前4時21分頃には一時156円93銭付近まで下落した。
一方、米国現地時間で本日12日 (日本時間では時差で明日13日未明の午前3時) に結果発表を行う予定の今月の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) では、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) レートを現状の5.25〜5.50%の高金利のままで据え置き維持するとの市場予想が、米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェッドウオッチ (FedWatch) が確定予測値超えの99.4%付近で推移しているが、今夜この後の5月の米国消費者物価指数 (CPI) の重要インフレ指標や、今後の米国政策金利の見通しのドット・チャート (Dot chart / Dot plot = ドット・プロットとも呼ぶ)やジェローム・パウエル議長の要人発言では、以前は僅差で今年年内に3回の米国利下げの見通しであったものが、今回は年内何回になるのかが市場で注目されており、市場では年内1〜2回や3回以下に修正されるのではないかというタカ派の市場予想が高まってきていたことでは、ドルは低金利通貨の円に対して下げ止まって反発したが、イベント前の調整とドルの買い控えの抵抗を交えていたことでは、反発幅は米国市場終盤の午前5時41分頃の一時157円15銭付近までに留まった。
また、昨夜から今朝早朝までの米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が金利警戒感やリスク回避トレンドの影響で前日比大幅安になったものの、国際的なハイテク株の比率が多い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) は前日比大幅高と堅調で、米国S&P500種株価指数 (Standard and Poor’s 500) も前日比小幅高であったことでは、昨夜の欧州株式市場と比較すると為替相場への影響は限定的であったが、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りは終値時点で4.404%付近と、前日よりも-0.064%ほど下げて終えていた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の156円80銭付近から、円の安値でドルの高値の157円40銭付近の値幅約60銭の値動きで、今朝6時頃のニューヨーク終値は157円13銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の157円4銭付近と比べて約9銭の円安ドル高をつけていた。
今朝8時50分には日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) が日本の最新経済指標の5月の国内企業物価指数を発表し、前月比は前回の0.3%と前回上方修正の0.5%と市場予想の0.4%に対し0.7%に上振れし、前年同月比も前回の0.9%と前回上方修正の1.1%と市場予想の2.0%を上回る2.4%に上昇したことを受けては円相場が上昇したが、明日6月13日から始まり翌14日までの日銀金融政策決定会合のイベント前の様子見の買い控えがあったことでは、小幅な上昇域に留まった。
そのため、早朝のアジア・オセアニア市場に続いて今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時157円11銭付近であったが、前述の通りに米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が今朝は前日比で下げていた影響もあり、ドルのイベントリスク回避の低リスク通貨の円買いも相まって、今朝10時37分頃にドルは円相場で一時157円4銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
日本市場でも、今夜この後の最新米国重要インフレ指標の米国消費者物価指数 (CPI) や米国高金利長期化予想やタカ派の市場予想への警戒感などがあり、米国長期金利反発の影響もあり、市場安値後のドルは円相場で反発を始めて、午後からの欧州英国市場参入の影響もあって、午後16時17分頃にはドルは円相場で一時157円36銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
しかし、今夜のドルのイベントリスクにより、早期の利益確定や持ち高調整と買い控えの抵抗があり、今朝までの米国市場でつけていた高値は上抜けずにドルは円相場で反落し、前東京終値比では小幅安に戻した。
また、今日の東京株式市場では、明日から始まる日銀金融政策決定会合を前にした国内金利警戒感などのイベントリスク回避もあり、今日の日経平均株価は3万8876円71銭の終値と、前日比258円8銭安の大幅安で大引けしていたことも、国内第一安全資産の低リスク通貨の円の買い戻しに繋がっていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円26〜27銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の157円31〜33銭付近の前東京終値比では約5銭の小幅な円高ドル安になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標やビッグイベントの予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に最新米国重要インフレ指標の5月の米国消費者物価指数 (CPI) 、27時0分に米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 終了後の結果の米国新政策金利と声明文および米国政策金利と経済見通し (SEP / Summary of Economic Projections) の発表予定、27時に5月の米国月次財政収支、27時30分頃から市場注目度の高い米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の要人発言が定例記者会見のライブ中継で行われる予定である。
なお、今週は明日6月13日から始まり翌14日に結果発表予定の日本銀行 (日銀 / BoJ) の日銀金融政策決定会合のイベントも予定されており、今週は日米金融政策決定会合が世界市場の注目を集めている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は168円99銭〜160円0銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の169円31〜33銭付近と比較すると約32銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、先述の通り、欧州政治リスク回避や今日の日経平均株価下落を受けたリスク回避のリスクオフで欧州ユーロに対して世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルや低リスク通貨の円が買われて上昇していた。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0745〜1.0746ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の1.0761〜1.0763ドル付近と比べると約0.16セントのユーロ安ドル高だった。
なお、今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新インフレ指標の5月の独消費者物価指数 (CPI) の改定値は、前月比が前回と市場予想通りの0.1%で、前年同月比も前回と市場予想一致の2.4%の想定通りの横ばいであった。
また、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 高官のラトビア中央銀行のカザークス総裁が、「今年年内の欧州追加利下げの可能性は残されている」とややハト派寄りの発言をしたことも一時話題になったが、その条件や方法として、「欧州インフレの再燃がないという確信が必要」であることや、「段階的に欧州利下げを行うべき」とも発言していた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は200円52〜58銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の200円10〜16銭付近と比べて約42銭の円安ポンド高であった。
今日の午後15時に発表された最新英国重要経済指標の4月の英国月次国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の前月比は、前回の0.4%に対し市場予想通りの0.0%に低下し、4月の英国鉱工業生産も前回の0.2%と市場予想の-0.1%に対し-0.9%に低下し、前年同月比も前回の0.5%と市場予想の0.3%を下振れする-0.4%と弱く、4月の英国製造業生産指数の前月比も前回の0.3%と市場予想の-0.2%を下振れの-1.4%に低下と弱く、4月の英国貿易収支も赤字額が増加していたが、英国市場では日米金融政策イベントを控えた英国ポンドの買い戻しが入っていたほか、英国総選挙前にした英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) が早期の英国利下げ転換に動きにくいという日英金利差予想は燻っており、また昨日に発表されていた英国雇用統計の内容では、英国の週賃金の高い上昇率が継続していたことなどから、英国の根強い賃金インフレ圧が意識されていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年6月12日の日本時間(JST)19時1分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時1分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:01の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 157.30 〜 157.31 | -0.01 (円高) |
ユーロ/円 | 169.13 〜 169.15 | -0.18 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0751 〜 1.0753 | -0.0010 (ドル高) |
英ポンド/円 | 200.65 〜 200.71 | +0.55 (円安) |
スイスフラン/円 | 175.44 〜 175.50 | +0.10 (円安) |
豪ドル/円 | 104.03 〜 104.07 | +0.18 (円安) |
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