FXニュース:欧州政治懸念リスクオフ
2024年6月17日東西FXニュース – 2024年6月17日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 欧株安受け安全資産買い
- 米国債買いで利回り低下
- 米消費者態度指数下振れ
- 米期待インフレ率上振れ
- 日銀7月利上げの可能性
- 日経平均株価も大幅安に
- 低リスク通貨としての円
今日2024年6月17日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の157円15銭付近から、円の安値でドルの高値の157円58銭付近の値幅約43銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は157円54〜58銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の157円73〜74銭付近の前東京終値比で約18銭の円高ドル安であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析は、まず先週の日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の日銀金融政策決定会合と日本市場の終了後の夕方の英国ロンドン外国為替市場では、植田和男総裁が「データ次第では、7月に追加利上げの可能性がある」と発言していたことが話題になっていたことや日銀会合後の海外市場に向けた為替介入警戒感と、フランスなどの欧州政治懸念のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の欧州株安を受けた欧州ユーロ売りで低リスク通貨の円が買われて上昇しており、世界的な安全資産の米国債も買われていた影響で債券価格上昇に伴う米国債の利回り低下が起き、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.200%付近に向けて低下したため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の金利差トレードで円買いドル売りが優勢になり、先週金曜日の夜19時台の19時17〜19分頃と43分頃にはドルは円相場で一時156円88銭付近の英国市場の円の高値でドルの安値を記録していた。
英国ロンドン外国為替市場では、先週金曜日に発表された英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) による5月調査で、英国市民の1年先の期待インフレ率が前回の2月調査から低下していた話題も、欧州ユーロに連れる様に低リスク通貨の円やドルに対して売られていた英国ポンドの対ドルの下落圧になったため、ロンドン・フィキシングを控えていた主要取引通貨でもあるドルが買い戻された影響の波及もあり、ドルは円相場でダブルボトム (Double Bottom) の毛抜き底をチャートに描く様にして一時下げ止まり、先週金曜日の夜20時37分頃に157円31銭付近に反発した。
ただし、債券市場では米国長期金利は先週金曜日の夜21時15分頃までは一時4.200%付近に低下しながら推移を続けていたことなどから、英国市場の後半にあたる先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時157円6銭付近の始値で、先週金曜日の夜21時7〜8分頃にドルは円相場で一時156円95銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
また、先週金曜日の夜21時30分頃に発表された最新米国経済指標の5月の米国輸入物価指数の前月比は、前回の0.9%と市場予想の0.1%を下回るマイナス圏の-0.4%に低下し、5月の米国輸出物価指数の前月比も前回の0.5%は前回0.6%に上方修正されたものの市場予想の0.0%を下振れする-0.6%に鈍化していたことも、米国インフレ圧の鈍化が意識されていた。
しかし、同じく先週金曜日の夜21時30分頃からは、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国クリーブランド連銀のロレッタ・メスター総裁の発言があり、先週のFOMCで今年年内1回までの米国利下げを示唆した見通しについて、自身の経済予想と「かなり近い」と述べ、「米国インフレに対するリスクは、まだ上向きであると考えている」とインフレ警戒感を示したほか、先日の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の下振れなどの短期データは「素晴らしい贈り物」であったが、米国利下げを検討するためにはあと数カ月は良好な長期データを見たいとし、「米国のインフレはこの2年で大きな進展を遂げたが、依然として高過ぎる。インフレが目標の2%に向けた軌道上にあると確信を持つためには、まだやるべきことがある」とタカ派発言をしたことが米国市場で話題になり、先週金曜日の夜22時40〜50分頃には米国長期金利は一時4.230%付近に反発上昇し、債券市場の日米金利差拡大を受けた円売りドル買いでドルも円相場で先週金曜日の夜22時35分頃には一時157円43銭付近に反発上昇していた。
続いて、先週金曜日の夜23時に発表された最新米国経済指標の6月の米国ミシガン大学消費者態度指数の速報値は、前回の69.1と市場予想の72.0に反し7カ月ぶりに65.6に低下したものの、同時発表の米国消費者の1年先の予想インフレ率は3.3%と前回の5月と変わらず高止まりを見せていたことからも、米国インフレの高止まりへの警戒感によるドルの買いが続き、先週金曜日の夜23時53分頃にドルは円相場で一時157円50銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
一方、欧州政治懸念のリスク回避のリスクオフムードの影響もあり、欧州主要株価の大幅な下落に連れて英国主要株価も小幅安になったほか、先週末の米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (Standard and Poor’s 500) も前営業日比で小幅安の終値に向かい、国際的なハイテク株の比率が多い米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) のみが小幅高であったことでも、安全資産の米国債買いの影響で米国長期金利が低下しており4.225%付近の終値をつけたことは、対ドルの低リスク通貨の円のやや抵抗要因になった。
このため、先週金曜日の夜から土曜日の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の156円95銭付近から、円の安値でドルの高値の157円50銭付近の値幅約55銭で、先週土曜日の朝6時頃のニューヨーク終値は157円40銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の157円3付近と比べて約37銭の円安ドル高をつけて週末を迎えていた。
週明けの今朝早朝のアジア・オセアニア市場ではシンガポール市場が祝日休場であったが、今朝8時24分頃にドルは円相場で一時157円66銭付近にまで買われていた。
しかし、今朝8時50分に発表された日本の最新経済指標の4月の日本機械受注は、前月比が前回の2.9%と市場予想は-3.0%に対し-2.9%と前回よりは低下したものの市場予想ほどは低下しておらず、前年同月比も前回の2.7%と市場予想の-0.2%に対し0.7%とマイナス予想に対しプラス圏に留まったことでは円の買い戻しも入った。
そのため、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時157円56銭付近の始値で、今朝9時28分頃には一時157円30銭付近に円相場も反発を見せていた。
日本市場の今朝の仲値決済に向けては、日本企業の輸入実需や投資系の円売りドル買いのなど抵抗が入ったものの、先週末の欧州政治懸念のリスク回避のリスクオフの欧米主要株価の下落後の影響もあり、今日の東京株式市場では日経平均株価が前営業日比で一時800円超安など大幅に下落したため、国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われた影響では、ドルや主要通貨に対して円相場が反発上昇し、午後15時台に今日の日経平均株価3万8102円44銭の終値と、前営業日比712円12銭安の大幅安のままで大引けすると、低リスク通貨の円買いの勢い一時強まり、今日の午後15時10分頃にドルは円相場で一時157円15銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、午後からの欧州英国市場の参入では、先週末に安値をつけていた欧州主要株価の先物で買い戻しが入り始めていたほか、安全資産の米国債も債券価格上昇後の利益確定売りの影響などもあり、今日の午後には一時4.253%付近に反発上昇していたため、リスクオフの巻き戻しのリスクオンが入り始めたことでは、日本市場の市場高値後の低リスク通貨の円にも利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始めて、ドルは円相場で反発し、夕方17時頃の東京終値の値動きの中で瞬時見せた一時157円58銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となった。
このため、今日17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は157円54〜58銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の157円73〜74銭付近の前東京終値比では約18銭の円高ドル安になった。
また、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、今夜18時11分頃にはドルは円相場で一時157円70銭付近にも買われており、前東京終値比の横ばいレンジ圏にも近づいていた。
今夜この後の米国市場では最新米国経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に 6月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数、25時頃から次回の米国公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁の発言予定と、26時頃から米国フィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言予定などを控えている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は168円57〜59銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の168円88〜90銭付近と比較すると約31銭の円高ユーロ安であった。
主な要因は、以前のニュースでもお伝え通り、今年6月9日までの欧州議会選挙で欧州連合 (EU / European Union) に懐疑的な極右政党の国民連合 (RN / フランス語 : Rassemblement National / 英語 : National Rally) や右派が勢力を増し、フランスのマクロン大統領の国民議会の下院の解散と選挙が決まり、欧州ではフランスなどの欧州政治懸念や減税による財政難への警戒感などが高まり、先週末の欧州市場英国ではリスク回避のリスクオフで世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルや低リスク通貨の円に対し欧州ユーロ売りがあったほか、欧州主要株価下落後のリスクオフムードの影響が今日の日本市場の東京終値時点の頃にも残っていたが、今日の午後には欧州株価先物などの反発を受けた欧州ユーロの買い戻しも入り始めていたことでは、下げ幅を縮小する時間もあった。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0699〜1.0701ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の1.0706〜1.0708ドル付近と比べると約0.07セントのユーロ安ドル高だった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は199円56〜62銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の200円79〜85銭付近と比べて約1円23銭の大幅な円高ポンド安であった。
主な要因は、前述の通り、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の最新の5月調査で英国の1年先の期待インフレ率が前回から低下していたことや、7月4日に英国総選挙を控えた政治リスク回避などもあり、今日の日経平均株価の大幅な下落もあってリスクオフムードの中では英国ポンドも低リスク通貨の円に対して売られやすかった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年6月17日の日本時間(JST)19時18分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時18分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:18の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 157.55 〜 157.56 | -0.18 (円高) |
ユーロ/円 | 168.66 〜 168.68 | -0.22 (円高) |
ユーロ/ドル | 1.0704 〜 1.0706 | -0.0002 (ドル高) |
英ポンド/円 | 199.50 〜 199.56 | -1.29 (円高) |
スイスフラン/円 | 176.62 〜 176.68 | +0.19 (円安) |
豪ドル/円 | 104.02 〜 104.06 | -0.34 (円高) |
注意:
本ウェブサイトに記載されている全ての情報またリンク先を含めた情報は、情報提供を目的のみとしており、取引投資決定、及びその他の利用目的のために作成されたものではありません。取引投資種、外国為替取引業者の選択、売買価格投資等の全ての最終決定については、利用者ご自身のご判断において行われるようお願い致します。
当社は、当サイトに掲載した情報によって万一閲覧者が被った直接・間接的に生じた損失に関して一切責任を負わないものとします。また、当社および当社に情報を提供している第三者は一切責任を負うものではございませんので ご了承ください。万が一、当サイトの提供情報の内容に誤りがあった場合でも、当社は一切責任を負いません。当社はこのウェブサイトの掲載内容を予告なしに変更または廃止することがございますので、あらかじめご了承おきください。