FXニュース:欧政懸念後退リスクオン
2024年6月18日東西FXニュース – 2024年6月18日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 米製造業景況指数が改善
- 米FRB高官利下げに慎重
- 米長期金利上昇で金利差
- 日銀植田総裁利上げ示唆
- 日米欧株価反発で円売り
- 豪RBA政策金利据え置き
今日2024年6月18日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の157円52銭付近から、円の安値でドルの高値の158円15銭付近の値幅約63銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は158円13〜15銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の157円54〜58銭付近の前東京終値比で約58銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析は、まず昨日の日本市場の終了後の夕方の英国ロンドン外国為替市場では、先々週の欧州議会選挙で欧州連合 (EU / European Union) に懐疑的な極右政党の国民連合 (RN / フランス語 : Rassemblement National / 英語 : National Rally) や右派が勢力を増し、フランスの国民議会 (下院) の解散と総選挙が決まった混乱などから、先週末の欧米市場では欧州政治懸念と減税による財政難への警戒感が高まるリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で欧州主要株価が大幅に下落するなど欧州金融市場が不安定になっていたが、昨日の日本市場の午後から始まった週明けの欧州市場では欧州主要株価先物から買い戻しが入り始めていたほか、昨夜18時頃から欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリスティーヌ・ラガルド総裁の発言があり、「欧州金融市場が上手く機能しているかどうかに注意を払っている」と沈静化に向けたことに加えて、ルイス・デギンドス副総裁も「欧州連合 (EU) の統合性に疑問を投げかける様な非自由主義的な動きを懸念している」などと欧州金融市場の沈静化への発言を続けており、欧州主要株価の買い戻しが進んで株価の反発や上昇により欧州政治懸念のリスク回避ムードが後退し、これまでのリスクオフで買われていた低リスク通貨の円が利益確定や持ち高調整で売られたほか、世界的な安全資産でもある米国債も売られたことで米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が反発上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが入り始めた。
そのため、欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時157円85銭付近の始値にドルが円相場で上昇しており、この時間の債券市場でも米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.260%付近から更に上昇のトレンドであったことから、債券利回りを受けた日米金利差トレードでも高金利通貨のドルが低金利通貨の円に対して買われて上昇を続けていた。
そこに昨夜21時30分に発表された最新米国経済指標の6月の米国ニューヨーク連銀製造業景気指数も前回の-15.6と市場予想の-10.5を大きく上振れする-6.0に改善され、欧州政治懸念に加えて米国景気減速懸念も後退したことで、欧米主要株価上昇を伴う安全資産の米国債売りが続き、米国長期金利は一時4.294%付近に向けて大きく上昇したため、日米金利差拡大による円売りドル買いや主要通貨に対するドル買いの波及で、昨夜23時11〜12分頃と23時15〜16頃にドルは円相場で高止まりを見せる様に一時157円96銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、昨夜の米国CBSテレビに米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国ミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁が出演し、「米国のインフレ率が目標の2%に抑制されつつあることを確信するには、もっと多くの証拠が必要である」と、米国利下げ転換に慎重なタカ派寄りの発言をしていたほか、先日の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の最新の米国政策金利の予測分布図のドット・プロット (Dot plot / dot chart = ドットチャートとも呼ぶ) の見通しで、今年年内の米国利下げが行われる場合には1回までが優勢であったが、もしその年内1回の米国利下げを行う場合には、今年最後の12月の1回になるとの予想が「妥当」であると発言していたことも、当面の金利差の市場予想による円や主要通貨へのドル買いの一因になっていた。
158円台の手前付近からは、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入警戒による早期の利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始めたものの、午前2時頃から米国フィラデルフィア連銀のパトリック・ハーカー総裁の発言内容も同様に、最近の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) は米国インフレ抑制への良い兆候であることを短期データとしては認めていたが、米国インフレ抑制の進展にはまだばらつきがあるとし、住宅インフレやサービス部門で高止まりしているコストなどの潜在的なリスクに対応するため、現在のところは米国政策金利を据え置くことの重要性について強調しており、「より多くのデータが不可欠」と、米国利下げ転換には長期データを待つという慎重な姿勢が見られたほか、自身も今年年内1回の米国利下げを支持していると語っていたため、利益確定や持ち高調整のドルの下値は限定的で、午前3時47〜54分頃の一時157円68銭付近までの底値で下げ止まったあたりが、米国市場の円の高値でドルの安値となった。
一方、昨夜の米国ニューヨーク株式市場では、欧州主要株価の反発や上昇の影響もあり、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (Standard and Poor’s 500) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) も揃って上昇の終値に向かったため、米国ニューヨーク債券市場の終値時点でも世界的な安全資産でもある米国10年債の利回り下押し後も4.281%付近で、前営業日比で0.056%上昇しており、債券利回りを受けた日米金利差は拡大していた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の157円96銭付近から、円の高値でドルの安値の157円68銭付近の値幅約28銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は157円74銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の157円40銭付近と比べて約34銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時157円70銭付近の始値であったが、今朝の参院財政金融委員会で日本銀行 (日銀 / BoJ) の植田和男総裁が、国債買い入れの公開市場操作の指し値オペの減額計画の具体案を決定する次回7月の日銀金融政策決定会合について、「場合によっては、政策金利が引き上げられることも十分あり得る」とタカ派寄りの再発言をしていた影響もあり、今朝10時46〜47分頃と10時55分頃に円相場が反発し、一時157円52銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今日の東京株式市場では、今朝までの欧米主要株価の上昇を受けたリスク回避のリスクオフムードの後退により、日経平均株価も反発上昇し、昼頃には一時前日比で400円超高の大幅高になり、日本株価上昇時のリスク選好のリスクオン (Risk-on) ムードで国内第一安全資産の低リスク通貨の円売りに転じ、今日の日経平均株価は午後15時台に3万8482円11銭の終値と、前日比379円67銭高の大幅高で大引けした。
午後から参入の欧州英国市場でも、先日までのリスクオフの巻き返しのリスクオンの米国債売りで米国長期金利が上昇し、日米金利差拡大も相まって低リスク通貨の円が売られたため、午後にドルは円相場で上昇して158円台前半に向かい、今夜17時の東京終値時に一時158円15銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、今日の午後13時30分頃にはオセアニア市場のオーストラリアの中央銀行にあたる豪州準備銀行 (RBA / Reserve Bank of Australia) 理事会が、5会合連続で豪州政策金利を4.35%で現状据え置きする維持の決定を発表し、声明文では資源国でもあるオーストラリアのインフレ率が目標値に戻るまでには時間がかかるとの見解を示したことなどから、豪州も利下げに慎重な姿勢を見せているとの市場での受け止めかられ方から、低金利の円に対して高金利維持の豪ドルが買われた影響も、午後の対ドルの円相場下落に影響を与えていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は158円13〜15銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の157円54〜58銭付近の前東京終値比では約58銭の円安ドル高になった。
また、今夜その後の英国ロンドン外国為替市場では、円売りドル買いが続き、17時17分頃にはドルは円相場で一時158円23銭付近も記録し、日本市場時間の高値を上抜けている。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定や米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に最新米国重要経済指標の 5月の米国小売売上高が発表され、続いて今夜22時15分に5月の米国鉱工業生産と5月の米国設備稼働率、今夜23時に4月の米国企業在庫、同じく23時頃から次回の米国公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言予定と、26時頃から次回の米国公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ国連邦準備制度理事会 (FRB) のクーグラー理事の発言予定、29時に4月の対米証券投資などの発表も控えている。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は169円56〜58銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の168円57〜59銭付近と比較すると約99銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、前述の通り、過剰な欧州政治懸念の後退と日米欧主要株価の反発や上昇を受けたリスクオフからリスクオンムードへの巻き返しを受けて、低リスク通貨の円売りや世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルの利益確定売りや持ち高調整で、欧州ユーロが買い戻されて今日の東京終値時には反発上昇を見せていた。
そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0722〜1.0723ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0699〜1.0701ドル付近と比べると約0.23セントのユーロ高ドル安だった。
英国ポンドも、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は200円47〜53銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の199円56〜62銭付近と比べて約91銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、地理的・経済的に近く影響を受けやすい欧州ユーロと同様に、先週末の欧州政治懸念のリスク回避のリスクオフの後の今日の日米欧の株価の反発上昇を受けたリスク選好のリスクオンの巻き返しでは、低リスク通貨の円に対して英国ポンドも買われやすかった。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年6月18日の日本時間(JST)19時0分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時0分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:00の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 158.09 〜 158.10 | +0.89 (円安) |
ユーロ/円 | 169.46 〜 169.48 | +0.89 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0718 〜 1.0720 | +0.0019 (ドル安) |
英ポンド/円 | 200.52 〜 200.58 | +0.96 (円安) |
スイスフラン/円 | 178.11 〜 178.17 | +1.46 (円安) |
豪ドル/円 | 104.62 〜 104.66 | +0.62 (円安) |
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