FXニュース:米小売売上高が予想以下

2024年6月19日
FXニュース:米小売売上高が予想以下

 

東西FXニュース – 2024年6月19日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利低下時のドル
  • 米FRB利下げ確信持てず
  • 安全資産のスイスフラン
  • 英国サービス価格上振れ

今日2024年6月19日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の157円93銭付近から、円の高値でドルの安値の157円60銭付近の値幅約33銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は157円73〜75銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の158円13〜15銭付近の前東京終値比では約40銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析は、まず昨日の日本市場の終了後の昨夜17時17分頃の英国ロンドン外国為替市場では、前日の欧州政治懸念のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の後の巻き戻しのリスク選好のリスクオン (Risk-on) で低リスク通貨の円が売られやすかったほか、欧州主要株価の反発上昇に伴って世界的な安全資産の米国債も売られた影響で、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.298%付近に向けて上昇したため、債券利回りを受けた金利差トレードで日米金利差拡大による低金利通貨の円売りと高金利のドル買いが入ったことで、ドルは円相場で一時158円23銭付近の日通し高値を記録していた。

また、昨日は日本市場と時間帯の近いオセアニア市場で、オーストラリアの中央銀行にあたる豪州準備銀行 (RBA / Reserve Bank of Australia) 理事会が、5会合連続で豪州政策金利を4.35%で現状据え置きする維持の決定をしたが、その後の記者会見などでミシェル・ブロック総裁が、「豪州利下げについては、今回の理事会で議論しなかった」とした一方で、可能性は低いとしつつも、「豪州利上げを議論した」と明らかにしたことなどが話題になっており、豪ドルなどに対する円売りの影響がドルなどの他の主要通貨にも波及していた。

ただし、ドルが円相場で158円台前半に上昇後の市場高値圏からは、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入警戒感による早期の利益確定や持ち高調整の抵抗が混ざり始めたことに対して、世界的に流動性が高い安全資産でもあるドルと、世界最大の対外純資国である日本の低リスク通貨の円に続く、第三の安全資産としても買われていたスイスフランはドル円の様な為替介入警戒売りの影響を受けずに上昇トレンドが続いていたため、対ドルでのスイスフラン高の影響の波及は、円相場だけでなく、欧州ユーロなどの他の主要通貨へのドルの上値を抑え始めていた。

なお、昨夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新重要経済指標の5月の欧州消費者物価指数 (HICP / 英語 : Harmonised Index of Consumer Price / 米語 : Harmonized Index of Consumer Price) の改定値の前年同月比は前回と市場予想通りの2.6%で、天候条件などで価格変動が激しい生鮮食料品などを除き基調的な物価を見るインフレ指標の欧州消費者物価指数 (HICP) コア指数の改定値の前年同月比も前回と市場予想通りの2.9%であった。

一方、昨夜18時に同時発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の6月の独ZEW (ドイツ語 : Zentrum für Europäische Wirtschaftsforschung / 英語 : Centre for European Economic Research / 米語 : Centre for European Economic Research / 日本語 : 欧州経済研究センター) 景況感調査の期待指数は、前回の47.1と市場予想の50.0に対し47.5と、前回よりは上昇したものの市場予想を下回っていた。

欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から時差で始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時158円8銭付近で、この時間の米国長期金利も一時4.295%付近で推移を続けていたため、昨夜21時13分頃にドルは円相場で一時158円13銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録していた。

しかし、昨夜21時30分に米国市場で発表された最新米国重要経済指標の5月の米国小売売上高の前月比は、前回の0.0%が前回-0.2%のマイナス圏に下方修正されたほか、市場予想の0.2%を下回る0.1%と想定よりも低調で、自動車を除くコアな5月の米国小売売上高の前月比も前回の0.2%が前回-0.1%のマイナス圏に下方修正された上で、市場予想の0.2%を下振れする-0.1%のマイナス圏になったことを受けて、米国景気懸念によるインフレ圧の低下予想や安全資産の米国債買いの影響などで、米国長期金利が一時4.243%付近に急落したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りや主要通貨に対するドル売りが起き、昨夜21時43分頃にドルは円相場で一時157円62銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、続いて昨夜22時15分に発表された最新米国経済指標の5月の米国鉱工業生産は、前回の0.0%と市場予想の0.3%を上回る0.9%に上昇したことや、5月の米国設備稼働率も前回の78.4%と前回修正の78.2%と市場予想の78.6%を上回る78.7%に上昇したことでは、市場安値後のドルには買い戻しが入り始めた。

昨夜22時30分頃からは、次回の米国公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁が、「米国経済は、正しい方向に向かっている」と発言した一方で、具体的な米国利下げ開始の時期については言及を避け、今年年内1回の米国利下げの見通しの可能性についての質問に対しても、「今後の経済データ次第」であると発言したことが話題になったことでもドルが買い戻されていた。

昨夜23時頃からは、同じく次回の米国公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国リッチモンド連銀のトーマス・バーキン総裁の発言もあり、米国の利下げを支持するかどうかを検討する前に、「さらに数カ月分の経済データを分析する必要がある」と、米国の利下げ転換を急がない慎重な姿勢を示したことでも、主要通貨へのドルの買い戻しが入っていた。

バーキン総裁は、「我々は、インフレの終わりを迎えようとしている」と発言する一方で、米国インフレの鎮静化には「持続と拡大」が重要であると指摘し、「持続とは、総合インフレ率とコアインフレ率が共に2%に回帰しているという確信が持てる軌道を続けることを意味しており、拡大とは、それが品目全体に渡るという意味」であると説明しており、現時点では、まだ長期データによる確信は持てていないということを、改めて市場に意識させた。

米国ボストン連銀のスーザン・コリンズ総裁の発言もあり、「米国のインフレ率が、確実に目標の2%に戻る道にあるかどうかを判断するのには、まだ時期尚早」としており、「我々は、1〜2カ月の前向きなニュースに過剰反応をするべきでない」と、短期データへの過剰な反応を示さずに長期データを重視し、米国利下げ転換に慎重な姿勢を示していたことでは、米国ニューヨーク債券市場では安全資産の米国債買いが続いた影響によって米国長期金利は一時の急落後にも再び一時4.217%付近に向けて低下していたもののドルは円相場で下げ止まり、深夜頃のロンドン・フォキシング (London Fixing) の値決め時間の主要取引通貨としての実需のドル買いの影響もあって円相場での反発も交えていた。

ただし、午前2時頃からの次回の米国公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ国連邦準備制度理事会 (FRB) のアドリアナ・クーグラー理事の発言では、「私が予想するように米国経済が展開する場合には、今年年内のいずれかの時期に、利下げを開始するのが適切となる可能性が高いだろう」と発言しており、「米国インフレは目標と比較すると、あまりにも高い水準にとどまっている」としながらも、「最近のデータは、目標の2%目標に向かう道にあるという、慎重ながらも楽観的な考えを抱かせる」とも話しており、今年年内の米国利下げ開始予想では米国政策金利の高金利長期化への警戒感の緩和もあり、米国ニューヨーク株式市場では米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国S&P500種株価指数 (Standard and Poor’s 500) と米国ナスダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が小幅ながらも揃って続伸の終値に向かったため、安全資産の米国債買いの抵抗も混ざり、今朝早朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時点の米国長期金利は4.223%付近にやや反発したが、前日比では-0.058%ほど低下しており、米国小売売上高の市場予想下振れ後のドルの円相場での急落後の買い戻し幅はやや限られていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の158円13銭付近から、円の高値でドルの安値の157円62銭付近の値幅約51銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は157円86銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の157円74銭付近と比べて約12銭の円安ドル高をつけていた。

今朝8時50分には日本の最新経済指標の発表があり、5月に日本貿易統計の通関ベースは、季調前が前回の-4625億円と前回修正の-4656億円と市場予想の-1兆3137億円に対し-1兆2213億円で、季調済が前回の-5608億円と前回修正の-5813億円と市場予想の-6252億円に対し-6182億円と、前回よりは赤字額が増えたものの、円安により価格競合性の増した自動車や半導体などの輸出額が伸びており、円安による輸入赤字額懸念の市場予想ほどは悪化していなかった。

同時刻の今朝8時50分頃には、日本銀行 (日銀 / BoJ) の4月25~26日開催分の日銀金融政策決定会合の議事要旨が公開され、今後の日本の国内政策金利の見通しについて、「円安を背景に、基調的な物価上昇率の上振れが続く場合には、正常化のペースが速まる可能性は十分にある」などの意見が話題になった。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時157円87銭付近の始値で、日本市場の今朝9時55分の仲値決済に向けて、今夜この後の米国市場は祝日で休場予定だが、国際的な原油取引などにおいても基軸通貨や取引通貨でもあるドルには日本企業の輸入実需の円売りドル買いなどが入っていた今朝9時51〜52分頃の一時157円93銭付近が今日の日本市場の円の安値でドルの高値となった。

しかし、本日6月19日は米国奴隷解放記念日のジューンティーンス (Juneteenth) の連邦祝日にあたるため、今夜この後の米国市場が祝日休場となるほか、今日の日本市場時間には時間外の米国債の取引が行われないことでは、今朝早朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時点の前日比で低下していた米国長期金利の影響が続いたことでは、日米金利差縮小時の円買いドル売りが入り始めて、対ドルの円相場が上昇を始めた。

今日の東京株式市場では、前日に続き日経平均株価が続伸し、午後15時台には3万8570円76銭の終値をつけ、前日比88円65銭高で大引けしたことでは、やや低リスク通貨の円売りも入っており、午後からの欧州英国市場の参入を受けては、前日比で低下していたままの米国長期金利の影響があり、再び日米金利差縮小時の円買いドル売りが入ったほか、今夜この後の米国市場の祝日休場予定による実需低下からもドルが売られたため、夕方16時1分頃の英国ロンドン外国為替市場の本格参入後に、ドルは円相場で一時157円60銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、英国市場では世界最大規模の金価格などのコモディティの値決めなどにも基軸通貨のドルが使用されることが多いため、市場安値後のドルには買い戻しも入り始めたため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は157円73〜75銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の158円13〜15銭付近の前東京終値比では約40銭の円高ドル安になった。

今夜この後の米国市場は祝日休場の予定であるが、市場時間の重なる英国ロンドン外国為替市場や世界FX市場は開場しており、一部の最新米国重要経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールでは、今夜20時に米国MBA住宅ローン申請指数と、今夜23時には 6月の米国NAHB (National Association of Home Builders / 全米住宅建設業者協会) 住宅市場指数が発表される予定である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は169円36〜38銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の169円56〜58銭付近と比較すると約20銭の円高ユーロ安であった。主な要因は、昨夜の米国小売売上高の下方修正や下振れを受けて、米国長期金利が低下した影響で、ドルに対して欧州ユーロが買われて上昇した影響が、欧州ユーロに対する円相場にも波及した。

そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0736〜1.0738ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0722〜1.0723ドル付近と比べると約0.14セントのユーロ高ドル安だった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は200円75〜81銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の200円47〜53銭付近と比べて約28銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、今日の午後15時に発表された最新英国インフレ指標の5月の英国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) は前月比が前回の0.3%と市場予想の0.4%に対し0.3%で、前年同月比は前回の2.3%に対し市場予想通りの2.0%に鈍化し、2021年7月以来の低水準になったが、英国CPIコア指数の前年同月比は前回の3.9%に対し市場予想通りの3.5%で、さらに英国のサービス価格の上昇率の前年同期比は5.7%と、前回の4月からは縮小はしたものの市場予想や目標を上回る高水準であったことから、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) が、7月の英国総選挙前もあり英国利下げを急がない可能性が改めて意識されて、英国ポンドが買われて上昇していた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年6月19日の日本時間(JST)19時47分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時47分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:47の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 157.82 〜 157.83 -0.31 (円高)
ユーロ/円 169.53 〜 169.55 -0.03 (円高)
ユーロ/ドル 1.0740 〜 1.0742 +0.0018 (ドル安)
英ポンド/円 200.96 〜 201.02 +0.49 (円安)
スイスフラン/円 178.23 〜 178.29 +0.40 (円安)
豪ドル/円 105.32 〜 105.36 +0.74 (円安)


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