FXニュース:米為替操作監視国に日本

2024年6月21日
FXニュース:米為替操作監視国に日本

 

東西FXニュース – 2024年6月21日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 英金利維持後利下げ予想
  • 米製造業景況で価格上昇
  • 米FRBインフレ警戒続く
  • 米長期金利上昇で金利差
  • 日消費者物価指数下振れ
  • 日経平均株価リスク回避

今日2024年6月21日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の159円13銭付近から、円の高値でドルの安値の158円67銭付近の値幅約46銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は158円76〜78銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の158円28〜30銭付近の前東京終値比では約48銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析は、まず昨日の日本市場終盤で英国ロンドン外国為替市場参入後の夕方に、スイスの中央銀行にあたるスイス国立銀行 (SNB / Swiss National Bank) が3カ月物銀行間取引金利誘導目標中心値を前回と市場予想の1.50%に対して1.25%に決定し、0.25%のサプライズ利下げしたことが原因となり、スイスフランがドルなどの主要通貨に対して売られた影響の波及もあり、ドルが円相場で上昇トレンドになっていた。

そして、昨日の日本市場終了後の昨夜20時の英国ロンドン外国為替市場では、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) が、英国の新政策金利を市場予想通りの前回と同じ5.25%の据え置き維持をすることを7対2の多数決で決定したが、参加メンバーのうちで反対票の2名は英国利下げを支持するというハト派寄りであったことに加えて、公開された議事要旨の内容も英国のサービス価格の上昇率の想定以上の上振れについて、「英国のディスインフレーション (Disinflation) の軌道を大きく変えるものではない」と楽観的であったことなどから、市場予想で8月の英国利下げの可能性が浮上し、英国ポンドがドルに対して売られたことで、対ドル円相場でもドルが158円台の昨日の日本市場の高値を上抜けて推移していた。

そのため、昨夜21時頃から始まった祝日連休明けの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時158円43銭付近の始値であった。

ただし、昨夜21時30分に同時発表された最新米国経済指標の1〜3月四半期の米国経常収支は前回の-1948億ドルと前回下方修正の-2218億ドルと市場予想の-2064億ドルを下回る-2376億ドルに低下し、5月の米国住宅着工件数も年率換算件数が前回の136.0万件と前回修正の135.2万件と市場予想の137.0万件を下回る127.7万件であったことに加えて前月比も前回の5.7%と前回修正の4.1%と市場予想の0.7%を下振れする-5.5%で、5月の米国建設許可件数も年率換算件数は前回の144.0万件と市場予想の145.0万件に届かない138.6万件に低下した上で前月比も前回の-3.0%と市場予想の0.7%以下の-3.8%になり、6月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数も前回の4.5と市場予想の5.0に反し1.3で、前週分の米国新規失業保険申請件数は前回の24.2万件が前回24.3万件に下方修正された上で市場予想の23.5万件よりも弱い23.8万件になり、前週分の米国失業保険継続受給者数は前回の182.0万人が181.3万人に上方修正されたものの市場予想の180.5万人よりも弱い182.8万人と、全体的に弱い米国経済指標の発表となったことを受けては、発表時の昨夜21時30分頃にドルは円相場で一時158円23銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、その経済指標の内容では、6月の米国フィラデルフィア連銀製造業景気指数 と同時に発表されていた支払価格や販売価格の項目は前月比で上昇しており、米国のインフレの沈静化に時間がかかると指摘されたことでは、祝日明けの米国債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が上昇していたため、債券利回りを受けた日米金利差拡大による低金利通貨の円売りと高金利通貨のドル買いが続いたことでは、ドルは円相場で反発上昇を始めた。

また、昨夜21時45分頃からは米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国ミネアポリス連銀のニール・カシュカリ総裁の発言があり、米国の物価上昇率がインフレ目標の2%に抑制されるまでには、「1〜2年かかる可能性がある」とタカ派発言をしたことでも、米国高金利長期化予想により、米国ニューヨーク外国為替市場の開場時には一時4.255%付近であった米国長期金利が一時4.290%付近に向けて上昇し、日米金利差拡大による円売りドル買いが続き、ドルは円相場で158円台後半に向けていた。

祝日明けの米国ニューヨーク株式市場では、先行した欧州主要株価上昇の影響などもあり、米国主要株価三指数の一つである米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) が前営業日比で大幅高の終値に向かったことも、一部株価の上昇を受けたリスク選好のリスクオン (Risk-on) で世界的な安全資産の米国債売りによる利回り上昇や低リスク通貨の円売りに影響を与えていたが、国際的なハイテク企業の比率が多い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) は前営業日比で下げた終値に向かったことはやや抵抗要因になっていた。

しかし、午前4時30分頃から次回の米国公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の米国リッチモンド連銀のバーキン総裁の発言があり、「行動前に確信を高めようというのが個人的見解」としており、今年年内1回の米国利下げを実施するかどうか、また年内1回の利下げ後に金利を維持する可能性があるかどうかについては、「経済動向次第」であると、米国のインフレ抑制への確信に至るまでの長期データ重視の慎重な姿勢を示しており、先日の米国政策金利を5.25〜5.50%で現状維持を決定した米国連邦公開市場委員会 (FOMC) において、最新の四半期経済予想金利予測分布図のドット・プロット (Dot plot / dot chartとも言う)で、今年年内の米国利下げの見通しを中央値で1回までと以前の3月時点の3回よりもタカ派寄りの内容であったことを改めて意識させたため、再びドルは円相場で上昇していた。

さらに、米国政府の財務省が半期毎に公表する外国為替政策報告書において、為替操作をしていないかどうかを注視する為替操作に関する監視リストの国に1年ぶりに日本を追加したニュースが世界市場で話題になり、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) による為替介入が、日本の貿易黒字が拡大する米国との国際摩擦などの懸念により困難になるのではないかと言う市場予想が浮上したため、為替介入警戒感の一時緩和により、円売りドル買いが出やすくなり、午前5時5〜6分頃と5時10〜12分頃と5時55〜59分頃にかけて、ドルは円相場で一時158円94銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値圏で何度も高止まりし、市場終盤の利益確定や持ち高調整の抵抗を交えながらも、今年4月29日以来のドルの円相場での高値圏を記録していた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の158円23銭付近から、円の安値でドルの高値の158円94銭付近の値幅約71銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は158円93銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の158円9銭付近と比べて約84銭の円安ドル高をつけていた。

今朝8時30分には日本の最新重要インフレ経済指標の5月の日本全国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表があり、前年同月比は前回の2.5%と市場予想の2.9%に対し2.8%と前回よりは上昇したものの市場予想を下回り、気候条件などで価格変動の激しい生鮮食料品を除くCPIコア指数の前年同月比も前回の2.2%と市場予想の2.6%に対し2.5%で、生鮮食料品とエネルギーを除くCPIコアコア指数の前年同月比は前回の2.4%と市場予想の2.2%を下振れする2.1%に鈍化したことでは、日本銀行 (日銀 / BoJ) が追加利上げを急がない可能性が市場で意識され、対ドルの円相場が下落した。

また、今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、先日にオーストラリア中央銀行の豪州準備銀行 (RBA / Reserve Bank of Australia) 理事会が5会合連続で豪州政策金利を4.35%の高金利で維持し、ミシェル・ブロック総裁が「豪州利上げを議論した」と発言した影響が残っており、豪ドルが円相場で上昇して始まった影響の波及もあったため、今朝9時頃からの今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時158円94〜96銭付近の始値と、昨夜から今朝までの米国市場でのドルの円相場の高値を上抜けながら始まっていた。

今朝までの世界市場でも話題入りした米国政府の財務省の外国為替政策報告書で為替操作監視対象国のリストに日本が追加されたことで為替介入警戒感が緩和されたニュースを受けて、今朝は日本政府の財務省の神田真人財務官が、米国の監視リストに「入ったからと言って、為替政策を問題視する物ではない」と口先介入の円安牽制発言を続けたほか、鈴木俊一財務相も日本の米国に対する「経常黒字の拡大などを背景にした、機械的な対応」とし、林芳正官房長官も「米国為替報告書の監視対象指定は、日本の為替政策を問題視していると意味するものではないと理解している」として、日本政府は「引き続き、為替市場の動向をしっかり注視し、万全の対応をする」と発言したが、世界市場では日本政府は為替介入をやりにくくなった空気があるとの一部見解が続き、元々日本経済やビジネスへの影響から為替介入が入りにくい日本市場の今朝9時55分頃の仲値決済で日本企業の輸入実需の円売りドル買いが入った後にも、米国長期金利上昇を受けた日米金利差拡大による円売りドル買いが続き、今朝9時59分頃にドルは円相場で一時159円13銭付近と今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、前回の為替介入観測があった4月29日以来の円安ドル高を記録した。

しかし、今日の東京株式市場では、日経平均株価が下落して始まっており、一時買われたものの再び反落して前日比安になり始めたことを受けては、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) では、国内第一安全資産でもある低リスク通貨の円買いが入り始めたことは、今日の円相場の抵抗要因となり、円相場が下げ幅を縮め始めたほか、午後15時台には今日の日経平均株価は3万8596円47銭の終値と、前日比36円55銭安で大引けした。

午後からの欧州英国市場の参入では、世界的な安全資産でもある米国債も買われていたことで米国長期金利が反落していたため、日米金利差縮小時の円買いドル売りや主要通貨に対するドルの利益確定売りなども入って対ドルの円相場は今朝の下げ幅を縮め、午後16時37分頃に対ドル円相場は一時158円67銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

市場安値後のドルには買い戻しも入り始めたが、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は158円76〜78銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の158円28〜30銭付近の前東京終値比で約48銭の円安ドル高になっていた。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の米国経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時45分に6月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) と米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) と米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の速報値、今夜23時に5月の米国景気先行指標総合指数と5月の米国中古住宅販売件数の発表を控えている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は169円50〜55銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の169円71〜76銭付近と比較すると約21銭の円高ユーロ安であった。

ただし、日本市場終了後の今夜19時台の英国ロンドン外国為替市場では、欧州市場での欧州ユーロの買い戻しの影響もあり、小幅な円安ユーロ高に市場反転も見せている。

主な要因は、昨日の欧州近隣国のスイスのサプライズ利下げや英国のハト派寄りの金利維持の後に、欧州周辺国の通貨であるスイスフランや英国ポンドが対ドルで売られた影響が欧州ユーロにも波及したほか、今日の午後16時15分に発表された欧州ユーロ圏のフランスの最新経済指標の6月の仏製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値が、前回の46.4と市場予想の46.8を下回る45.3と低調で、6月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 速報値も、前回の49.3と市場予想の50.0に反し48.8に低下したことなども欧州景気懸念の欧州ユーロの低リスク通貨の円に対する売り要因になった。

続いて、今日の午後16時30分に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの6月の独製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値も、前回の45.4と市場予想の46.4を下回る43.4の計器ボーダーラインの50以下の不景気側で更に低下し、6月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は好景気寄りの50以上ではあったものの前回の54.2と市場予想の54.4に届かない53.5と弱かった。

今夜17時に発表された欧州ユーロ圏総合の最新経済指標の6月の欧州製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値も、前回の47.3と市場予想の47.9を下振れする45.6に低下し、6月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値も前回の53.2と市場予想の53.5を下回る52.6と、市場予想比で弱い欧州経済指標は、この時間の低リスク通貨の円や世界的に流動性が高い安全資産のドルに対する欧州ユーロ売りに影響を与えていた。

そのため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0676〜1.0680ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の1.0722〜1.0724ドル付近と比べると約0.46セントのユーロ安ドル高だった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は200円75〜81銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の201円10〜16銭付近と比べて約35銭の円高ポンド安であった。

主な要因は、先述の英国の金利維持にハト派の反対票が混ざっていたこともあり、今年の夏の英国利下げ予想の影響による英国ポンド売りの影響があったが、今日の午後15時に発表された最新英国経済指標の5月の英国小売売上高は、前月比が前回の-2.3%と前回修正の-1.8%と市場予想の1.5%を上回る2.9%に上昇し、前年同月比や自動車を除くコアも前回と市場予想を上振れしたことでは英国ポンドの買い戻しも一時は混ざっていた。

なお、今夜17時30分に発表された最新英国景気指標の6月の英国製造業購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の51.2と市場予想の51.3に対し51.4に上昇したが、6月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の速報値は前回の52.9と市場予想の53.0を下回る51.2と、強弱が入り混じっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年6月21日の日本時間(JST)19時38分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時38分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:38の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 158.94 〜 158.95 +0.66 (円安)
ユーロ/円 169.82 〜 169.83 +0.11 (円安)
ユーロ/ドル 1.0683 〜 1.0684 -0.0039 (ドル高)
英ポンド/円 200.90 〜 200.96 -0.20 (円高)
スイスフラン/円 178.10 〜 178.16 +0.27 (円安)
豪ドル/円 105.65 〜 105.69 +0.09 (円安)


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