FXニュース:1986年以来の円安ドル高

2024年6月27日
FXニュース:1986年以来の円安ドル高

 

東西FXニュース – 2024年6月26日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米高金利長期化予想影響
  • 米長期金利上昇4.3%台
  • 日銀の超小幅利上げ予想
  • 日経平均株価は大幅反落
  • 主要通貨への円安も波及
  • 史上最大の欧ユーロ円安

今日2024年6月27日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の160円72銭付近から、円の高値でドルの安値の160円30銭付近の値幅約42銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は160円53〜54銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の159円88〜90銭付近の前東京終値比では約65銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の昨夜20時3分頃の英国ロンドン外国為替市場では、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のミシェル・ボウマン理事のタカ派発言と再発言の影響を受けた米国高金利長期化予想の再燃により、米国長期金利が上昇し日米金利差拡大の円売りドル買いの影響が続き、ドルは円相場で今年4月29日に記録した160円台を上抜けた一時160円39銭付近になり、1990年4月の160円20銭付近の記録も超えた1986年12月以来の今年最大の円安ドル高を更新していた。

この時点では、まだ日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) 為替介入の引き金となると考えられている程のボラティリティ (Volatility / 価格変動性) ではなかったこともあり、為替介入への警戒感は燻ってはいたものの、豪ドルや英国ポンドなどの他の主要通貨に対する円安も同時に進行した影響の波及もあったため、利益確定や持ち高調整の抵抗を交えながらも、ドルは円相場で160円台に乗せた推移を続けたため、英国ロンドン外国為替市場後半の昨夜21時頃から時差で始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時160円32銭付近の始値であった。

ただし、昨夜22時頃には、日本政府の神田眞人財務官の円安牽制発言がニュースで報じられ、「最近の急速な円安進行に関しては、深刻な懸念を有する」ことや、「高い警戒感を持って、市場の動向を注視している」とし、「行き過ぎた動きには、必要な対応を取っていく」と、為替介入を示唆したため、為替介入警戒感の高まりによる利益確定や持ち高調整の抵抗が一時強まり、昨夜22時5分頃にはドルは円相場で一時160円2銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、米国ニューヨーク債券市場では、昨夜22時頃には一時4.290%付近だった米国10年債の利回りが指標の米国長期金利が上昇し、昨夜22時25分頃には一時4.309%付近と4.3%台に乗せて更に上昇のトレンドであったことなどから、米国高金利長期化予想を受けた債券利回りの日米金利差拡大による円売りドル買いの勢いは強く、すぐにドルの買い戻しが入ってドルは円相場で反発上昇し、昨夜22時30分頃には一時160円63銭付近と、160円台後半の今年最大の円安ドル高の更新を続けていた。

昨夜23時頃には最新米国重要経済指標の5月の米国新築住宅販売件数が発表され、年率換算件数は前回の63.4万件は前回69.8万件に上方修正されたものの市場予想の63.3万件を下回る61.9万件で、前月比も前回分は-4.7%がプラス圏の2.0%に上方修正されたものの、今回分は市場予想の-0.2%を下振れする-11.3%に低下したことでは、この時間にはやや抵抗も混ざったが、同時進行の米国ニューヨーク株式市場では、月末や四半期末の決算時期を控えていた米国主要株価三指数の上昇の影響によるリスク選好のリスクオン (Risk-on) などでは低リスク通貨の円買い需要が弱い一方で、安全資産の米国債が売られ続けており、債券価格低下に伴う利回り上昇により、昨夜23時25分台には米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は、米国高金利長期化予想の影響も続いていたことから一時4.315%付近に上昇しており、ドルは円相場で抵抗を交えながらも再び上昇トレンドになっていた。

また、豪ドルや英国ポンドだけでなく欧州ユーロなどの他の主要通貨に対する円安が進行しており、深夜前にはユーロ円も一時171円79銭付近のまで1999年の欧州ユーロ導入以来の史上最大の円安ユーロ高を更新したほか、英国ポンドに対しても2008年以来の円安ポンド高に向けていたことや、豪ドルに対しても2007年以来の円安進行に向けていた外貨影響の波及があり、その一方で米国長期金利の上昇を受けてそれらの主要通貨に対してもドル買いが入っていた影響が対ドル円相場に波及していたことなどから、ドル単体の円買いドル売りの為替介入をしても、外貨影響から効果が短期間になり逆にドルの安値買いのチャンスが来るのではないかという市場での話題があったことや、深夜頃の6月末と四半期末を控えたロンドン・フィキシング (London Fixing) の金価格等の値決め時間にも、世界的に流動性が高い取引通貨で基軸通貨でもあるドル買い需要があったため、深夜過ぎの0時39分頃にもドルは円相場で一時160円82銭付近と、今年最大の1986年以来の円安ドル高を更新し続けた。

米国ニューヨーク外国為替市場の終盤には、米国ニューヨーク株式市場が終値をつけ、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) が揃って前日比で上昇して大引けしたため、リスク選好市場では低リスク通貨の円や安全資産の米国債が売られやすく、米国長期金利は4.334%付近に上昇し、米国ニューヨーク債券市場の終値時点でも4.330%付近と前日比で+0.081上昇していたことから、日米金利差拡大による円売りドル買いが続き、月末と四半期末の決算を控えたドルの買い戻しも入ったことなどから、午前5時51〜52分頃にかけてドルは円相場で一時160円87銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録し、1986年12月以来の今年最大の円安ドル高の記録を続伸した。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の160円2銭付近から、円の安値でドルの高値の160円87銭付近の値幅約85銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は160円81銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の159円70銭銭付近と比べて約1円11銭の大幅な円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間には、為替介入警戒感による持ち高調整で円相場は反発を始めており、また今朝8時50分に発表された日本の最新経済指標の前週分の対外対内証券売買契約等の状況は、対外中長期債が前回の6536億円と前回上方修正の6551億円が-1兆620億円に転じ、対内株式も前回の800億円が前回816億円に上方修正された一方で-855億円のマイナス圏に転じたものの、同時発表だった日本の景気関連の経済指標は好調で、5月の日本小売業販売額の前年同月比は前回の2.4%と前回修正と市場予想の2.0%を上振れする3.0%で、5月の日本の百貨店・スーパー販売額 (既存店) の前年同月比も前回の2.7%を大きく上回る4.1%と堅調であったことなどは円相場の抵抗になった。

そのため、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時160円62銭付近の始値であったが、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けては、月末を控えた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があったことや、日本市場と時間帯の近いオセアニア市場ではオーストラリアのインフレ高止まりで追加利下げの可能性が意識されていたこともあり、豪ドルに対して低金利通貨の円が売られて2007年以来の安値圏で推移していた外貨への円安の影響の波及などもあり、今朝10時頃にはドルは円相場で一時160円72銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、月末と四半期末を控えた日本の輸出企業による円買いドル売りも入ったほか、今夜この後には最新米国重要経済指標の1〜3月四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の確定値や米国GDP個人消費と米国コア個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditure) の確定値の発表イベントを控えていることに加えて、明日6月28日の金曜日の夜には米国連邦準備制度理事会 (FRB) が今後のデータとして重視している5月の米国個人消費支出 (PCE) 物価指標である米国PCEデフレーターと米国PCEコア・デフレーターの最新重要米国インフレ指標の発表イベントなどを控えているため、イベント前のイベントリスクの持ち高調整や買い控えなども混ざり始めたほか、今週は日本政府の財務省の幹部人事の発表予定なども話題になっていることから、今週金曜日の夜の日本市場終了後 の米国重要インフレ指標が上振れした場合には、イベント後の日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ) の為替介入が入る可能性があるとの警戒感は燻り続けていた。

また、来月に金利抑制のための自国債買い入れの公開市場操作の指し値オペの購入額の縮小を発表していた日銀 (BoJ) の国債購入額の減額は「相当な規模」となることが伝わっていたことでは、新発10年物日本国債の利回りが指標となる国内長期金利は1%台に上昇していたことでも円相場がやや上昇し、今年最大の円安の要因が金利差であることなどから、来月の日銀 (BoJ) の追加利上げ予想も再浮上したことでは、国内金利上昇への警戒感の影響もあり、今朝の東京株式市場では昨日までは大幅に続伸していた日経平均株価が大幅な反落を見せたため、日本株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われて円相場が反発し、昼の13時6分頃には対ドル円相場は一時160円30銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、今日の日本市場の時間外の米国債券市場でも米国長期金利は一時4.349%付近と、4.3%台に上昇して推移したことや、もしも日銀の追加利上げが起きた場合でも、海外では異例の超小幅な利上げ幅になることが市場予想で出ていたため、米国利下げ転換が起きるまでは日米の金利差が拡大した状態が続く可能性が高いことなどでは、午後からの欧州市場の参入では、再び日米金利差を意識した円売りドル買いが再開し、他の主要通貨に対する円安の影響なども波及していたことでは、前東京終値比では円安ドル高が継続していた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は160円53〜54銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の159円88〜90銭付近の前東京終値比では約65銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定や米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に1〜3月四半期の米国実質国内総生産 (GDP) 確報値と米国GDP個人消費の確報値と米国コアPCE (個人消費支出) と、前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数と5月の米国耐久財受注と米国卸売在庫が同時発表されるイベント時間があり、続いて今夜23時に5月の米国住宅販売保留指数と、26時に米国7年債の入札予定などを控えている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は171円60〜62銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の170円97〜99銭付近と比較すると約63銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、前述のドルや豪ドルや英国ポンドなどの主要通貨に対する円安の影響の波及が波及し、欧州政治懸念の燻る欧州ユーロに対しても円安ユーロ高に転じていた。

また、月末要因などもあり、昨夜の欧州市場では利回りが欧州長期金利の指標となるドイツの連邦10年債が売られていた影響で、日欧金利差が意識されたことでも、他の主要通貨への円安も相まって、欧州ユーロ導入史上以来の円安ユーロ高を記録した影響も残っていた。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0688〜1.0690ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0692〜1.0694ドル付近と比べると約0.04セントの小幅なユーロ安ドル高であった。

主な要因は、昨夜は米国長期金利の上昇時には欧州ユーロに対してもドルが買われていたが、今週の欧州市場では欧州ユーロ圏のフランスやスペインの6月の消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表予定なども控えていることなどから、今週のドルのイベントリスクの持ち高調整では利益確定のドル売りで月末や四半期要因もあり、今日の午後からの欧州市場では、自国通貨の欧州ユーロが買い戻される抵抗なども混ざっていることでは、小幅域であったために今夜19時台の英国ロンドン外国為替市場では前東京終値比で横ばいレンジから小幅なユーロ高ドル安にも転じている。

ただし、今夜18時に発表された欧州ユーロ圏総合の6月の欧州消費者信頼感の確定値は、前回と市場予想通りの-14.0の横ばいであったが、同時発表の6月の欧州経済信頼感は前回の96.0と前回修正の96.1と市場予想の96.2に対し95.9であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は202円81〜87銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の202円58〜64銭付近と比べて約23銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場では、主要通貨への歴史的な円安の影響の波及に加えて、日英金利差なども意識されたため、英国ポンドに対しても円安が進行し、一時203円台の2008年8月以来の円安ポンド高も記録した影響が見られた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年6月27日の日本時間(JST)19時27分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時27分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:27の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 160.43 〜 160.44 +0.55 (円安)
ユーロ/円 171.57 〜 171.58 +0.60 (円安)
ユーロ/ドル 1.0693 〜 1.0695 +0.0001 (ドル安)
英ポンド/円 202.88 〜 202.94 +0.30 (円安)
スイスフラン/円 178.86 〜 178.92 +0.46 (円安)
豪ドル/円 106.86 〜 106.90 +0.07 (円安)


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