FXニュース:今夜米PCE物価指数控え
2024年6月28日東西FXニュース – 2024年6月28日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- ドル円一時161円台記録
- 日米金利差と決算期実需
- 介入担当神田財務官退任
- 鈴木財務相口先介入継続
- 米大統領選討論会で警戒
- 日経平均株価が大幅上昇
- 欧英通貨にも歴史的円安
今日2024年6月28日金曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の160円65銭付近から、円の安値でドルの高値の161円28銭付近の値幅約63銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は160円91〜92銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の160円53〜54銭付近の前東京終値比では約38銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時160円55銭付近の始値で、この時間には債券市場で米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は一時4.330%付近で推移していたのであるが、昨夜21時30分に複数同時発表された最新米国経済指標は強弱混合であったものの、欧米市場が重なるこの時間に世界的な安全資産の米国債が買われた影響があり、米国長期金利が昨夜21時50分頃には一時4.303%付近に向けて急落したため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の金利差トレードの影響で、昨夜21時57分頃にドルは円相場で一時160円28銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
昨夜21時30分に発表された最新米国重要経済指標の1〜3月四半期の米国実質国内総生産 (GDP / Gross Domestic Product) の確定値は、前期比年率が前回の速報値と市場予想の1.3%を上回る1.4%に上方修正された。
しかし、同時発表の最新米国経済指標の同四半期の米国GDP個人消費の確定値は、前期比年率が前回と市場予想の2.0%を下回る1.5%に下方修正された。
ただし、同じく発表された同四半期の米国コア個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditure) の確定値では、前期比年率が前回と市場予想の3.6%を上回る3.7%に上方修正されていたことでは、ドルの買い戻しも混ざっていた。
同時発表だった前週分の米国新規失業保険申請件数は、前回の23.8万件と前回修正の23.9万件と市場予想の23.6万件よりも強い23.3万件であったが、前週分の米国失業保険継続受給者数は、前回の182.8万人と前回修正の182.1万人と市場予想の182.4万人よりも弱い183.9万人と、米国雇用市場の経済指標にも強弱が入り混じったが、前週分の米国新規失業保険の申請件数は、月単位に近い4週間分の平均ではやや増加傾向にあることでは、米国雇用市場の過熱感の沈静化によるインフレ圧の減少が一部で指摘されていた。
同じく発表された5月の米国耐久財受注の前月比は、前回の0.7%が前回0.2%に下方修正されたものの市場予想の-0.1%は上回る0.1%であったが、輸送用機器を除いたコアな前月比では前回の0.4%と市場予想の0.2%を下回る-0.1%であり、また米国耐久財の受注額では、米国の防衛関連を除いた場合には、前月比で減少したことが意識された。
なお、これらの経済指標の中では重要度は低いものの、5月の米国卸売在庫の前月比は前回の0.2%と市場予想の0.1%を上回る0.6%に増えており、市場安値後には外貨への円安の影響の波及もあり、ドルは円相場で反発を始めた。
しかし、米国ニューヨーク債券市場では、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は急落後にも低下を続けて、昨夜22時50分頃には一時4.283%付近に低下していたことでは、ドルの反発上昇には抵抗も混ざっていた。
続いて、昨夜23時に発表された最新米国経済指標の5月の米国住宅販売保留指数は、前月比が前回の-7.7%と市場予想の0.5%に対し-2.1%で、前年同月比は前回の-0.8%と市場予想の-4.6%に対し-6.6%であった。
また、昨夜23時台の米国ニュースでは、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の米国アトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁の発言が話題になり、「米国のインフレ率に鈍化が再開した兆候が見られる」として、今年の「10〜12月の第4四半期には年内1回の米国利下げを引き続き予想」しており、来年の2025年には更に「4回の米国利下げの見通し」の予想を個人的に持っているというハト派寄りの見解を明らかにしたことなども、米国ニューヨーク債券市場では米国長期金利が更に低下し、午前2時に米国7年債の入札予定を続えていた影響などもあって、同時進行の英国ロンドン外国為替市場でも今週末の6月30日にフランスで下院選挙第1回投票を控えていることで欧州政治への不透明感から世界的な安全資産の米国債が買われた影響や、四半期末の月末を控えた予算消化のための国債買い入れなどもあり、米国債入札直後の午前2時10分頃には米国長期金利は一時4.282%付近にまで低下したことは、反発後のドルの上値を抑えていた。
しかし、米国ニューヨーク債券市場では、他の高官達が米国利下げに慎重な今後の「データ重視」の姿勢を示していたことなどから、今夜この後に発表予定の最新米国重要経済指標の5月の米国個人消費支出 (PCE) 物価指標である米国PCEデフレーターとコア・デフレーターが市場で注目されており、これまでの市場予想では鈍化が予想されていたものの、この日に発表された先ほどの四半期の米国コア個人消費支出 (PCE / Personal Consumption Expenditure) の確定値では、前期比年率が前回と市場予想の3.6%を上回る3.7%に上方修正された影響もあり、米国長期金利が反発し4.297%付近に向けて戻し始めると、日米金利差拡大によるドルの買い戻しが進み、政策金利での日米金利差の違いなども意識された上で、午前4時59分頃にはドルは円相場で一時160円82銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。
また、クロス円で欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨に対して歴史的な円安が進行しており、昨夜の米国ニューヨーク外国為替市場でもユーロ円が一時172円15銭付近と、1999年に欧州ユーロが導入されて以来の史上最大の円安ユーロ高の記録を更新したことや、ポンド円も2008年のリーマンショック以前の円安ポンド高が進行後であった外貨影響も、対ドル円相場に波及していた。
昨夜の欧州英国株式市場では、欧州主要株価指数のドイツのDAX (Deutscher Aktienindex) や英国主要株価指数のFTSE (Financial Times Stock Exchange) が前日比で上昇の終値をつけ、今朝早朝までの米国ニューヨーク株式市場でも米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) が揃って前日比で続伸するなど堅調であったことも、米国市場終盤のリスク選好のリスクオン (Risk-on) の低リスク通貨の円売りによる円安の一因になっていたが、米国債買いによる米国債券価格上昇の影響では利回り低下後の戻りが鈍く、今朝早朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時点の米国長期金利は4.288%付近と、前日比-0.042で4.3%台を下回っていたことは、主要通貨に対するドルの上値を抑えていた影響が対ドル円相場にも波及し、今朝6時頃の米国ニューヨーク終値時点のドルの円相場での上値を抑えた。
このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の160円28銭付近から、円の安値でドルの高値の160円82銭付近の値幅約54銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は160円76銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の160円81銭付近と比べて約5銭の小幅な円高ドル安をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場時間の午前8時30分には、今日の日本市場に先立って日本の最新経済指標の発表があり、6月の日本東京都区部消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の生鮮食料品を除くコア指数は、前年同月比が前回の1.9%と市場予想の2.0%を上回る2.1%に上昇したことでは、円相場は一時160円63銭付近に上昇した。
同時発表だった最新経済指標の5月の日本失業率は前回と市場予想通りの2.6%の完全雇用に近い横ばいが続いたが、5月の日本有効求人倍率は前回と市場予想の1.26を下回る1.24に低下した。
続いて、今朝8時50分に発表された5月の日本鉱工業生産の速報値は、前月比が前回の-0.9%と市場予想の2.0%を上振れする2.8%と堅調で、前年同月比も前回の-1.8%と市場予想の0.0%を上回る0.3%に上昇と強かった。
今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時160円71銭付近の始値で、最新の日本経済指標の堅調さなどを受けては、今朝9時26分頃に一時160円65銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた四半期末の月末決算の影響で日本企業の貿易実需の円売りドル買い需要が強かったことや、今朝の日本市場の時間外の米国債券市場では米国長期金利が再び一時4.330%付近に向けて上昇した日米金利差拡大による円売りドル買いが入り、更に今朝10時台には日本政府の財務省の幹部人事が発表され、今年4〜5月に実施した円買いドル売りの為替介入の責任者だった神田真人財務官の退任が決まったことでは、日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) による為替介入警戒感の一時的な緩和の影響や、欧州ユーロや英国ポンドなどの他の主要通貨への歴史的な円安の波及などもあり、ドルが円相場で高騰して161円台に乗せ、今朝10時31分頃にドルは円相場で一時161円28銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、昨日にも記録していた1986年12月以来の今年最大の円安ドル高の記録も続伸した。
ただし、財務省の幹部人事速報では、7月31日付の発令で神田真人財務官の後任後の三村淳国際局長の就任が決まり、また7月5日付の発令では茶谷栄治事務次官の退任後の後任に新川浩嗣主計局長を起用するなどの幹部人事の後任同時発表しており、その一方で、鈴木俊一財務相は今朝も円安について、「過度な変動には、適切な対応を取る」と口先介入を続けて、為替介入への警告を続けていたことでは、市場高値後のドルには利益確定売りや持ち高調整の抵抗が入り始めた。
しかし、日本時間の今朝10時頃から米国大統領選のテレビ討論会が始まり、民主党のジョー・バイデン現大統領と共和党のドナルド・トランプ前大統領が90分間の論戦を始めており、アメリカ・ファーストで知られていたトランプ前大統領の押しの強い政策案が、米国のインフレを再燃させる可能性が意識されたことでは、米国長期金利上昇の影響もあり、世界市場でも主要通貨に対してドルが買われたほか、日米の政策金利の違いもあり低金利通貨の円が売られたため、今朝11時台になってもドルの円相場での下げ幅は限定的で、およそ1時間近く161円台付近での推移が続いていた。
また、今朝までの米国主要株価三指数が堅調だった影響の波及もあって、今日の東京株式市場では今日の日経平均株価が大幅に上昇しており、一時は前日比で400円以上も高騰したほか、午後には利益確定売りなどで大幅な上昇幅はやや縮めたものの、午後15時台の終値も3万9583円8銭と、前日比で241円54銭高の大幅高で大引けしたことも、リスク選好のリスクオン (Risk-on) による低リスク通貨の円売りに影響を与えており、午後からの欧州英国市場の参入後でもクロス円で欧州ユーロや英国ポンドなどに対しても歴史的な円安が進行していた影響が対ドル円相場に波及していた。
とはいえ、今夜この後の最新米国重要経済指標で、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が注視する米国インフレ指標にあたる5月の米国個人消費支出 (PCE) 物価指数の米国PCEデフレーターとコアデフレーターの発表イベントを控えては、イベントリスクによるドルの利益確定や持ち高調整の抵抗も入り、イベントリスク回避のリスクオフ (Risk-off) の安全資産の米国債買いで米国長期金利が上昇幅を縮めた影響もあり、午後からにはドルは円相場で160円台後半に戻しており、ドルも円相場での上昇幅をやや縮めていた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は160円91〜92銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の160円53〜54銭付近の前東京終値比では約38銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定や米国債入札予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に5月の米国個人所得と米国個人消費支出 (PCE) と米国PCEデフレーターとPCEコアデフレーターなどの注目の指標の発表イベントがあり、続いて今夜22時45分に6月の米国シカゴ購買部協会景気指数、今夜23時に6月の米国ミシガン大学消費者態度指数の確報値、25時頃から次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) のボウマン理事の発言予定、25時40分頃から同じく次回のFOMC投票権を持つFRB高官の米国サンフランシスコ連銀のデイリー総裁の発言予定などを控えており、イベント時の値動きには注意が必要である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は172円11〜13銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日の夜17時の171円60〜62銭付近と比較すると約51銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、今日の日本市場でも日経平均株価上昇のリスクオンの低リスク通貨の円売りでドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対する円安が続いたほか、今朝までの米国市場でも1999年の欧州ユーロ導入以来の史上最大の円安ユーロ高を記録した影響が観測された。
ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0695〜1.0697ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0688〜1.0690ドル付近と比べると約0.07セントの小幅なユーロ高ドル安であった。
主な要因は、日米株価上昇を受けたリスク選好市場では、低リスク通貨の円だけでなく世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドルも欧州ユーロに対しても売られやすかったことに加えて、今日の午後15時台に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの5月の独輸入物価指数は前月比と前年同月比共に市場予想よりもやや鈍化したが、フランスの6月の仏消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の速報値の前月比は前回の0.0%から市場予想通り0.1%に上昇し、前年同月比では前回の2.3%と市場予想の2.2%を下回る2.1%であったが、同時に出た5月の仏卸売物価指数 (PPI / Producer Price Index) の前月比は前回の-3.6%から-1.4%に鈍化率が弱まっており、今日の午後の欧州市場では米国長期金利が上昇幅を縮めると、昨夜の米国長期金利低下時同様にドル売りでユーロが買い戻されていた。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は203円45〜51銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の202円81〜87銭付近と比べて約64銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、ドルや欧州ユーロなどの主要通貨への歴史的な円安進行の影響の波及に加えて、日英金利差なども意識されたため、英国ポンドに対しても円安が進行し、203円台の2008年以来の円安ポンド高が続いていた。
また、今日の午後15時に発表された最新英国重要経済指標の1〜3月四半期の英国国内総生産 (GDP) の改定値は、前期比が前回と市場予想の0.6%を上回る0.7%で、前年同期比)も前回と市場予想の0.2%を上振れする0.3%に上昇したことも、今日の日本市場での英国ポンド買いに影響を与えていた。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年6月28日の日本時間(JST)19時55分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時55分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:55の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 160.53 〜 160.54 | ±0.00 (レンジ) |
ユーロ/円 | 171.85 〜 171.90 | +0.25 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0708 〜 1.0710 | +0.0020 (ドル安) |
英ポンド/円 | 203.11 〜 203.17 | +0.30 (円安) |
スイスフラン/円 | 178.57 〜 178.63 | -0.31 (円高) |
豪ドル/円 | 106.86 〜 106.90 | -0.09 (円高) |
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