FXニュース:今年の円安ドル高を続伸
2024年7月02日東西FXニュース – 2024年7月02日
文/八木 – 東西FXリサーチチーム
主な点:
- 欧米政治影響の債券売り
- 欧米長期金利上昇円売り
- 米ISM製造業景況感低下
- 英ロンフィクのドル需要
- 日欧米株上昇リスク選好
- 欧ユーロ円安も史上最大
- 米パウエル議長発言控え
今日2024年7月2日火曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の161円45銭付近から、円の安値でドルの高値の161円75銭付近の値幅約30銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は161円65〜66銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円1〜2銭付近の前東京終値比では約64銭の円安ドル高であった。
今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の欧州市場と英国ロンドン外国為替市場では、フランスの第一回選挙で極右の国民連合 (RN) が得票率で首位ではあったものの、単独では過半数を下回る見通しから決選投票では与党連合と左派連合が協力する方針が示されたことから過剰な欧州政治懸念が緩和され、欧州主要株価上昇を伴うリスク選好のリスクオン (Risk-on) が続き、低リスク通貨の円や世界的に流動性が高い安全資産に対して欧州ユーロが買われやすくなっていたが、安全資産の欧米国債も売られたことでは10年債の利回りが指標となる欧米長期金利が上昇したため、債券利回りを受けた金利差トレードでは高金利通貨の欧米通貨に対して低金利通貨の円が売られて、欧米通貨に対する円安が進行していた。
英国ロンドン外国為替市場後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時161円10銭付近の始値であったが、米国のニュースでは先日の米国大統領選のテレビ討論会では民主党のジョー・バイデン現大統領よりも共和党のドナルド・トランプ前大統領の方が優位に立ったとの見解から、景気刺激策や関税増税などの政策案を受けて米国インフレ再燃への警戒感が高まったことでも米国債が売られたため、昨夜21時頃に一時4.414%付近だった米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は、昨夜22時10分頃には一時4.457%付近に上昇したため、日米金利差拡大による円安ドル高が進行し、昨夜22時18分頃にドルは円相場で一時161円46銭付近と、この時点での今年最大の円安ドル高を更新していた。
ただし、昨夜22時45分に発表された最新米国経済指標の6月の米国製造業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の改定値は、前回と市場予想の51.7をやや下回る51.7に下方修正されたことに加えて、昨夜23時に発表された最新米国重要経済指標の6月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米供給管理協会) 製造業景況指数も前回の48.7と市場予想の49.2を下回る48.5であったことでは、米国景気の減速が意識されたことは抵抗要因となり、発表後の昨夜23時頃にドルは円相場で一時160円94銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、後半が同時進行していた英国ロンドン市場では、深夜24時のロンドン・フィキシング (London Fixing) に向けて、新四半期の月初めの主要取引通貨としてのドル需要によるドル買いフロー (Flow) が他の主要通貨に対して強まったため、深夜過ぎの24時6分頃にドルは円相場で一時161円73銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録し、この時点での今年最大の円安ドル高の記録を再び更新し、1986年12月以来のおよそ37年半ぶりの歴史的な円安ドル高を続伸した。
市場高値後には抵抗も混ざったものの、昨日の日経平均株価上昇に続き、昨夜は欧州主要株価も上昇トレンドであった影響などを受けて、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク株式市場でも新四半期の新規ポジション形成需要も相まって、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) が揃って前営業日比で上昇の終値に向けていたことでは、日欧米株価上昇時のブル・マケーケット (Bull Market / 強気市場) のリスク選好のリスクオン・ムードが続き、低リスク通貨の円だけでなく世界的な安全資産でもある米国債も売られやすかったため、一時的な抵抗を交えながらも米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は更に上昇し、今朝未明の午前3時20分頃には一時4.495%付近に達し、約1カ月ぶりの高利回りを記録した日米金利差拡大は、円安ドル高の主な要因になっていた。
一方、歴史的な円安ドル高が進行したことを受けては、為替介入警戒感も燻っていたことでは利益確定や持ち高調整は抵抗要因となったほか、今夜この後の翌欧米市場では、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の中でも、市場への影響度が最も高く注目されているジェローム・パウエル議長と、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリステーヌ・ラガルド総裁がECBフォーラム (ECB Forum) で発言するイベント予定が今夜22時30分頃から予定されていることでは、要人発言のイベントを控えたイベント前の様子見も混ざり始めていたことも、米国長期金利やドルの上値を抑えるやや抵抗要因になっており、今朝早朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時点の米国10年債の利回りは4.462%付近に留まったことでは、ドルは円相場での上昇幅を縮めていた。
なお、欧州中央銀行 (ECB) のクリステーヌ・ラガルド総裁は、昨夜のECBフォーラムで、「欧州のインフレ率から、私達が目標とする2%を上回るリスクが過ぎ去ったと確信できる様な十分なデータを集めるには、時間がかかる」と、欧州の追加利下げを急がないタカ派寄りの発言をしたことが話題になり、1999年の欧州ユーロ導入以来の円安ユーロ高が進行した一因になっていたが、最近の米国インフレ指標の鈍化の発表後であることから、今週後半には米国雇用統計も控えているが、今夜この後の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言内容が、中道派からどちらに傾くかが注目されている。
そのため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の160円94銭付近から、円の安値でドルの高値の161円73銭付近の値幅約79銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は161円46銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の160円88銭付近と比べて約58銭の円安ドル高をつけていた。
今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続いて、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時161円51銭付近の始値であったが、今日の日本市場の今朝9時55分の仲値決済に向けては日本企業の輸入実需の円売りドル買いが先行し、今朝9時54分頃にドルは円相場で一時161円64銭付近に上昇した。
ただし、その後には国内輸出企業の円買いドル売りの抵抗も入ったことなどでは、午前10時2分頃に対ドル円相場は一時161円45銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。
しかし、今朝までの米国主要株価三指数が揃って前営業日比で上昇の終値をつけていた影響もあり、日本の東京株式市場でも今朝は一時前日比で低下から始まっていた日経平均株価が午前10時過ぎからはプラス圏に転じて上昇トレンドになったほか、東証株価指数 (TOPIX) が1990年1月以来の約34年半ぶりの高値圏で連日推移していることを受けて、株価上昇時のリスク選好のリスクオン・ムードが日本市場でも連日で起き始めて、国内第一安全資産の低リスク通貨の円が再び売られたため、ドルは円相場で反発上昇した。
今日は日本東京証券取引所などの国内4証券取引所が、2023年度の株主分布状況調査を発表したが、円安の追い風に乗って外国人投資家達の日本株保有比率は金額ベースで31.8%に増加し、昨年2022年度の30.1%から上昇して、現在比較可能な記録データが残されている1970年度以降で過去最高になったニュースがあったが、最近の歴史的な円安進行の影響もあり、今日の昼過ぎには日経平均株価の上昇幅が大幅になり、およそ3ヶ月ぶりに大台の4万円台に乗せ始めたことから、前述のリスクオンの低リスク通貨の円売りが強まり、今朝までの海外市場での上値を抜けてドルは円相場で更に上昇し、今日の午後13時50分頃に一時161円75銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録し、1986年以来の今年最大の円安ドル高の記録を続伸した。
市場高値後のドルには利益確定や持ち高調整の抵抗が混ざったものの、今日の午後15時には日経平均株価は4万74円69銭の終値をつけ、前日比443円63銭高の大幅高のままで大引けしたことを受けては小抵抗に留まったため、その後にもドルは円相場で161円台後半の高値圏付近の推移を続けた。
このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は161円65〜66銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の161円1〜2銭付近の前東京終値比で約64銭の円安ドル高になった。
今夜この後の米国市場では、先述の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の要人発言予定と最新米国経済指標の発表予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜22時30分頃からジェローム・パウエル議長の発言イベント予定が前述のECBフォーラムであり、続いて今夜23時には5月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数が発表される予定である。
一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は173円26〜28銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の173円17〜18銭付近と比較すると約9銭の円安ユーロ高であった。
主な要因は、昨夜の欧州主要株価は欧州政治懸念緩和の影響もあり上昇したため、リスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りに対する欧州ユーロ買いが進み、昨夜22時半前頃にはユーロ円は一時173円67銭付近の今年最大の円安ユーロ高と1999年のユーロ導入以来の史上高値を更新していたが、今日の日本市場の午後から始まった欧州市場では、欧州主要株価が反落を見せ始めたため、リスク回避のリスクオフ (Risk-off) の抵抗が入り、欧州ユーロは円相場での上昇幅を東京終値時点には小幅域に縮めていた。
また、今日の夕方の欧州市場のニュースでは、欧州ポルトガルで開催中の欧州中央銀行 (ECB) 主催のECBフォーラムでの要人発言が相次いでおり、欧州中央銀行 (ECB) 理事会メンバーのエストニア中銀のマディス・ミュラー総裁は、「今後のデータが我々の最新予想に近いものになるのであれば、今年中に景気抑制的な欧州政策金利を更に利下げできる可能性が高い」とハト派の発言をしたことが話題になり、ドルに対して欧州ユーロが売られた。
ただし、「具体的にいつ、どの程度かは、まだ分からない」と、今後のデータ次第を示唆する発言もしており、欧州中央銀行 (ECB) のルイス・デ・ギンドス副総裁も、「予め決められた様な欧州金利の道筋はない」とデータ次第という中道派の発言を強調していた。
その一方で、スロベニア中銀のボシュティアン・バスレ総裁は、「予想通りに進むのであれば、欧州政策金利の追加利下げの可能性はある」と、発言したこともほぼ同時ニュースになったため、ドルに対しては欧州ユーロが今日の夕方の東京終値では前日比で反落していた。
このため、ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0717〜1.0719ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0753〜1.0755ドル付近と比べると約0.36セントのユーロ安ドル高であった。
なお、今夜18時に発表された欧州ユーロ圏の最新重要経済指標の6月の欧州消費者物価指数 (HICP / 英語:Harmonised Index of Consumer Prices / 米語:Harmonized Index of Consumer Prices) 速報値は、前年同月比が前回の2.6%に対し市場予想通りの2.5%に鈍化したが、HICPコア指数は前回の2.9%と市場予想の2.8%に対し2.9%であった。
同時発表の欧州ユーロ圏の5月の欧州失業率は前回と市場予想一致の6.4%の横ばいであった。
英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は204円10〜16銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の203円94銭〜204円0銭付近と比べて約16銭の円安ポンド高であった。
主な要因は、昨日にもドルや欧州ユーロなどの主要通貨への歴史的な円安の影響が、日英の政策金利差もある英国ポンドにも波及していたことでは2008年以来の204円台の円安ポンド高が進行していた。
なお、今週の7月4日には英国も総選挙を控えており、保守党と労働党の政権交代の可能性が指摘されている。
今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月2日の日本時間(JST)19時46分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時46分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)
通貨ペア | JST 19:46の為替レート | 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比 |
ドル/円 | 161.63 〜 161.65 | +0.62 (円安) |
ユーロ/円 | 173.20 〜 173.21 | +0.03 (円安) |
ユーロ/ドル | 1.0714 〜 1.0716 | -0.0039 (ドル高) |
英ポンド/円 | 204.33 〜 204.39 | +0.39 (円安) |
スイスフラン/円 | 178.81 〜 178.87 | -0.05 (円高) |
豪ドル/円 | 107.52 〜 107.56 | +0.01 (円安) |
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