FXニュース:米欧英豪通貨に円安進行

2024年7月03日
FXニュース:米欧英豪通貨に円安進行

 

東西FXニュース – 2024年7月03日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米FRB議長はデータ重視
  • 今週の米雇用統計に注目
  • 米JOLTS求人件数上振れ
  • 米主要株価三指数が続伸
  • 日経平均大幅続伸円売り
  • 欧ECB総裁は利下げ慎重

今日2024年7月3日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の161円44銭付近から、円の安値でドルの高値の161円94銭付近の値幅約50銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は161円77〜78銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円65〜66銭付近の前東京終値比では約12銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場で昨夜19時5分頃に一時4.465%付近だった米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が米国債買いの影響で昨夜21時頃の米国ニューヨーク外国為替市場の開場時に一時4.448%付近に低下していたことを受けては、昨夜21時頃の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時161円63銭付近の始値で、昨夜の米国市場での円の安値でドルの高値になっていた。

昨夜22時30分頃からは、ポルトガルで開催中の欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) 主催の国際金融会議のECBフォーラム (ECB Forum) のパネルディスカッションに、欧州中央銀行 (ECB / European Central Bank) のクリステーヌ・ラガルド総裁と共に、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官達の中でも特に市場の注目度が高いジェローム・パウエル議長の要人発言があり、最近の米国インフレデータを受けて、「ディスインフレの道筋に、戻りつつある兆しが見られる」ことや、最近の米国労働市場はなお堅調であるとしながらも、今週金曜日の最新米国雇用統計のデータ発表のイベントを控えて、「想定外の米国労働市場の軟化があった場合には、行動のきっかけになり得る」と、ドル売りワードの「ディインフレ」と米国利下げ転換の「きっかけ」についてのややハト派寄りの発言をした時間には主要通貨に対するドル売りが起き、昨夜22時35分頃には米国長期金利が一時4.421%付近にまで低下して債券利回りを受けた金利差トレードの日米金利差縮小時の円買いドル売りの影響で、昨夜22時44分頃にはドルは円相場で一時161円27銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、米国連邦準備制度理事会 (FRB) の中でもデータ重視の中道派で知られるジェローム・パウエル議長は、「米国政策金利を引き下げる前には、一段の確信が必要」であることや、「最近発表されているような米国経済指標が、更に必要」であるという、「今後のデータ次第」の中道的な姿勢は保ち続けていたことは、現時点ではまだ短期データで兆候が見られても、長期データによる利下げ転換への「確信」は持てていないとの市場の受け止め方から、米国長期金利が反発上昇に転じ、日米金利差拡大に伴う円売りドル買いや、市場高値後の円の利益確定売りなどでドルが買い戻されて、ドルは円相場で反発した。

また、ジェローム・パウエル議長は、「我々は、時間をかけて正しく対応することができる」ことや、「早すぎることと遅すぎることのリスクを十分に認識している」、「サービスインフレは通常は、一段と粘り強い」とややタカ派寄りとも取れる発言もしており、米国の利下げ転換を急がない慎重な姿勢を示したことでは、米国長期金利は上昇を続けて、日米金利差再拡大によりドルが買われて円相場で再び上昇を始めた。

昨夜23時には、最新米国経済指標の5月の米国雇用動態調査 (JOLTS / Job Openings and Labor Turnover Survey) 求人件数が発表され、前回の805.9万件と前回修正の791.9万件と市場予想の791.0万件を大幅に上回る814.0万件に上振れしたため、想定以上に米国雇用市場が堅調である可能性が意識され、発表直後にドルが主要通貨に対して買われて上昇し、昨夜23時10分頃にドルは円相場で一時161円62銭付近の高値圏になり、今週金曜日に発表が予定されている「今後のデータ」である最新米国重要経済指標の6月の米国雇用統計への市場注目度が更に高まった。

今週のイベントリスクが意識されたことでは、早期の利益確定や持ち高調整の抵抗も混ざり始めたが、米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利は午前1時55分頃には一時4.458%付近にまで上昇しており、かねてからの円安要因である日米金利差拡大による円安ドル高は優勢であった。

米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株30種 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) が揃って続伸し、前営業日比で上昇の終値に向かっていたことも、世界的な安全資産でもある米国債売りによる債券価格低下に伴う利回り上昇に影響を与えており、株価上昇時のブルマーケット (Bull Market / 強気市場) に特有のリスク選好のリスクオン (Risk-on) でも、低リスク通貨の円は売られやすかった。

しかし、米国ニューヨーク債券市場の終盤には、安値からの米国債買いの需要が入ったほか、パウエル議長のハト派寄りの一部の発言を引用したディスインフレ報道や今週の米国雇用統計に向けたイベントリスクもあり、世界的な安全資産の米国債が買われて債券価格上昇に伴う利回りの低下が起きたことでは、今朝早朝の米国ニューヨーク債券市場の終値時点の米国10年債の利回りは4.432%付近と前日比で−0.030と低下して引けたため、債券利回りを受けた日米金利差縮小時の低リスク通貨の円の買い戻しや市場終盤の持ち高調整では対ドルの円相場は反発した。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の161円63銭付近から、円の高値でドルの安値の161円27銭付近の値幅約36銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は161円44銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の161円46銭付近と比べて約2銭の小幅な円高ドル安をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時161円49銭付近の始値で、開場直後に溜まったオーダーがまとめて処理されていた今朝9時1分頃の一時161円44銭付近が今日の日本市場の円の高値でドルの安値となり、今朝の東京株式市場では日経平均株価が続伸して高く始まったことや、今朝の日本市場の時間外の米国債券市場で米国長期金利が再び上昇を始めたため、リスクオンと日米金利差による低リスク通貨の円売りとドル買いが再開した。

今朝早朝に米国主要株価三指数が揃って上昇していた影響もあり、今日の日本の東京株式市場でも日経平均株価が続伸し、円安の追い風に乗り外国人投資家達の日本株保有比率が過去最高レベルに増加していた影響もあり、昨日の日経平均株価は約3ヶ月ぶりに4万円台の大台に乗せて引けていたが、今日はその4万円台で更に上昇し、一時4万656円を超えたほか、利益確定の抵抗を交えた後の午後15時台の終値も4万580円76銭と、前営業日比で506円7銭高の大幅高で大引けしたため、日米株価上昇に伴うリスク選好のリスクオンで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られて、ドルだけでなくリスク市場で買われやすい欧州ユーロや英国ポンドや豪ドルに対する歴史的な円安が進行した影響が主要通貨に波及したため、今日の午後15時28〜29分頃にかけてドルは円相場で一時161円94銭付近の今日の日本市場の円安ドル高を記録し、ドル円は1986年12月以来のおよそ37年半ぶりの今年最大の円安ドル高を更新した。

今日の日本市場では、ドルストレートだけでなくクロス円に対する円安も進行し、欧州ユーロに対する円相場のユーロ円も一時174円19銭付近と1999年の欧州ユーロ導入以来の今年最大の円安ユーロ高の記録を更新したほか、英国ポンド円も一時205円51銭付近の2008年以来の今年最大の円安ポンド高になり、豪ドル円も一時108円20銭付近と1991年以来の円安豪ドル高と、ドルだけ売って円を買っても為替介入の効果が出にくい複数の主要通貨に対する歴史的な円安が進行しており、為替介入警戒感は燻っているものの、円買いドル売りの為替介入だけでは、一時的な時間稼ぎにならざるを得ない市場のトレンドであったことでは、為替介入警戒感の中でも主要通貨に対する円売りが優勢であった。

市場高値後や史上高値後の利益確定や持ち高調整の抵抗なども混ざり始めたが、午後15時45分頃のドル円の抵抗幅は一時161円67銭付近までに留まり、午後からの欧州市場の参入後に英国ロンドン外国為替市場も参入を始めたため、ドルの買い戻しも入り始めた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は161円77〜78銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円65〜66銭付近の前東京終値比では約12銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表予定や次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官の発言予定や米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事録公開予定などがあり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜20時に経済指標の米国MBA住宅ローン申請指数と、同じく今夜20時頃から米国ニューヨーク連銀のジョン・ウィリアムズ総裁の発言予定、今夜20時30分に 6月の米国チャレンジャー人員削減数、今夜21時15分に重要経済指標の6月の米国ADP (Automatic Data Processing / 給与計算代行会社オートマチック・データ・プロセッシング) 雇用統計、今夜21時30分に5月の米国貿易収支と前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数が同時発表され、続いて今夜22時45分に6月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) と 6月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の改定値、今夜23時に5月の米国製造業新規受注と、重要経済指標の6月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米サプライマネジメント協会) 非製造業景況指数、今夜23時30分に週間の米国原油在庫、そして、27時に6月11~12日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨と議事録が公開される予定である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は174円5〜6銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の173円26〜28銭付近と比較すると約79銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、先述の通り、今日の日本市場では日米株価上昇を受けたリスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円が売られて、欧州ユーロや英国ポンドや豪ドルが買われて上昇し、歴史的な円安が進行していた。

また、欧州政治懸念の緩和による欧州ユーロの買い戻しの影響もやや続いていたほか、昨夜のECBフォーラムで欧州中央銀行 (ECB) のクリステーヌ・ラガルド総裁の再発言があったが、欧州ユーロ圏のインフレ動向について、昨夜に6月の欧州ユーロ圏総合の消費者物価指数 (HICP / 英語:Harmonised Index of Consumer Prices / 米語:Harmonized Index of Consumer Prices) の速報値が発表されたが、前年同月比の上昇率が市場予想通りに鈍化した一方で、天候条件等で変動が激しい食品やエネルギーなどを除く基調的なコア指数では根強さも観測されたため、「正しい方向に向かっている」と発言した後に、「道のりは険しい」と付け加えていたことも、欧州の追加利下げに慎重な姿勢を示したと受けた日欧金利差予想による円売りユーロ買いや、ドルに対するユーロ買いに影響を与えていた。

そのため、ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0758〜1.0759ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0717〜1.0719ドル付近と比べると約0.41セントのユーロ高ドル安であった。

また、今日の午後16時50分に発表された欧州ユーロ圏の最新経済指標では、フランスの6月の仏サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) の改定値は前回と市場予想の48.8を上回る49.6に上方修正されていた。

続いて午後16時55分のドイツの6月の独サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値は前回と市場予想の53.5を下回る53.1に下方修正されたが、夕方17時の欧州ユーロ圏総合の6月の欧州サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値は前回と市場予想の52.6を上回る52.8に上方修正された。

ただし、日本市場終了後の18時の5月の欧州卸売物価指数 (PPI / Producer Price Index) は、前月比が前回と市場予想の-0.1%に対し-0.2%に鈍化し、前年同月比も前回の-5.7%ほどではないものの市場予想の-4.1%に対し-4.2%と市場予想よりも鈍化していた。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は205円31〜37銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の204円10〜16銭付近と比べて約1円21銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な要因は、前述のリスクオンの低リスク通貨の円売りや日英金利差トレードの影響は挙げられるが、今夜17時30分に発表された最新英国経済指標の6月の英国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI) 改定値も、前回と市場予想の51.2を上振れする52.1に上昇し、今日はリーマンショック以前の2008年以来の円安ポンド高が、日本市場終了後の今夜の英国ロンドン外国為替市場でも進行している。

また、明日の7月4日には英国総選挙を控えているが、保守党と労働党の政権交代の可能性なども意識されている。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月3日の日本時間(JST)19時30分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時30分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:30の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 161.92 〜 161.93 +0.27 (円安)
ユーロ/円 174.22 〜 174.23 +0.96 (円安)
ユーロ/ドル 1.0758 〜 1.0760 +0.0041 (ドル安)
英ポンド/円 205.58〜205.64 +1.48 (円安)
スイスフラン/円 179.32 〜 179.38 +0.45 (円安)
豪ドル/円 107.99 〜 108.03 +052 (円安)


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