FXニュース:米ISM非製造業景況悪化

2024年7月04日
FXニュース:米ISM非製造業景況悪化

 

東西FXニュース – 2024年7月04日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米ADP雇用報告予想以下
  • 米指標受け長期金利低下
  • 米大統領選も為替に影響
  • ナズダックとS&P最高値
  • 米独立記念日の実需低下
  • 日経平均株価最高値更新
  • 明日の米雇用統計を控え

今日2024年7月4日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の安値でドルの高値の161円60銭付近から、円の高値でドルの安値の161円14銭付近の値幅約47銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は161円27〜28銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円77〜78銭付近の前東京終値比では約50銭の円高ドル安であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場の日米株価上昇を受けたリスク選好のリスクオン (Risk-on) のトレンドを受け継いだ英国ロンドン外国為替市場では、欧州政治懸念緩和による欧州主要株価上昇のリスクオンの影響もあって、昨夜20時4分頃にドルは円相場で一時161円95銭の1986年12月以来の約37年半ぶりの今年最大の円安ドル高を続伸していたが、162円を目前にした日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入への警戒感が燻っていたことを受けては利益確定や持ち高調整の抵抗が入り始めて、英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時161円92銭付近で、昨夜21時1分と7分と17分頃に高止まりしていた一時161円93銭付近が昨夜の米国市場の円の安値でドルの高値となった。

ただし、昨夜21時15分に発表された最新米国重要経済指標の6月の米国ADP (Automatic Data Processing / 給与計算代行会社オートマチック・データ・プロセッシング) 雇用統計が前回の15.2万人と前回修正の15.7万人と市場予想の16.0万人を下回る15.0万人と弱かったため、ドル売りの抵抗が一時強まり、発表時の21時15分頃にドルは円相場で一時161円87銭付近に瞬時の下落を見せたが、この時間にはまだ米国10年債の利回りが指標になる米国長期金利は一時4.43%付近で推移していたため、債券利回りを受けた日米金利差トレードでの低金利の円に対するドルの買いも続いており、昨夜21時17分にはドルは円相場で再び一時161円93銭付近の市場高値圏に買い戻された。

続いて、昨夜21時30分に発表された5月の米国貿易収支は、前回の-746億ドルと前回修正の-745億ドルと市場予想の-762億ドルに対し-751億ドルと、市場予想ほどの悪化は見せなかったものの前回よりは赤字額が増加し、同時発表だった前週分の米国新規失業保険申請件数は前回の23.3万件と前回修正の23.4万件と市場予想の23.5万件に対し23.8万件と弱く、前週分の米国失業保険継続受給者数も前回の183.9万人と前回修正の183.2万人と市場予想の184.0万人に対し185.8万人と軟調であったことでは、今週金曜日の米国雇用統計を控えて米国雇用市場の減速による賃金インフレ圧の低下が意識されたことを受けては、発表時の昨夜21時30分頃にドルは円相場で一時161円80銭付近に急落したほか、昨夜21時35分頃には米国長期金利が一時4.409%付近に低下したため、日米金利差縮小時の円買いドル売りが強まった。

米国経済指標発表は続き、昨夜22時45分の6月の米国サービス部門購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) の改定値は、前回の速報値と市場予想の55.1を上回る55.3に上方修正され、6月の米国総合購買担当者景気指数 (PMI) の改定値も前回の54.6よりも強い54.8に上方修正されたことではドルは円相場でやや反発も見せた。

しかし、昨夜23時に発表された最新米国重要経済指標の6月の米国ISM (Institute for Supply Management / 全米サプライマネジメント協会) 非製造業景況指数の総合が、前回の53.8と市場予想の52.5を大きく下回る48.8に下振れし、好景気と不景気を分ける景気ボーターラインの50以下に低下したことを受けては、米国景気減速懸念で世界的な安全資産の米国債が買われたため、債券価格上昇に伴う利回り低下で米国長期金利は4.4%台から4.3%台に向けて大幅に急落し、主要通貨に対するドル売りが起き、発表直後の23時1分頃にはドルは円相場でも一時161円25銭付近に急落したほか、米国長期金利は昨夜23時50分頃の一時4.344%付近に向けた低下を続けていたため、昨夜23時13分頃にドルは円相場で一時160円77銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

昨夜23時に同時発表されていた5月の米国製造業新規受注の前月比も、前回プラス圏の0.7%と市場予想の0.2%を下振れするマイナス圏の-0.5%に悪化したことも、この日に相次いで弱い米国重要経済指標が発表されていたことから、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) が今年年内の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) で米国利下げを開始するという市場予想を高めており、昨夜の米国長期金利低下の原因になっていた。

ただし、今年11月の米国大統領選を前にした先日の討論会を受けて、昨夜には米国新聞のニューヨーク・タイムズ (New York Times) と米国経済紙のウォール・ストリート・ジャーナル (Wall Street Journal) が、民主党のジョー・バイデン大統領に対して、共和党のドナルド・トランプ前大統領が最新の全米世論調査では優勢になってきていることを報じていたため、トランプ前大統領の米国景気刺激策によるインフレ圧や、アメリカ・ファーストの10%などという高額な関税が海外からの輸入品に課せられるようになった場合には米国インフレ再燃懸念があるため、円や外貨に対するドルの買い戻しが米国市場で入り始めて、ドルは円相場で反発し、再び161円台に戻していった。

午前3時には、先月6月11~12日開催分の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) 議事要旨と議事録が公開され、「多くのメンバーは、米国経済成長の漸進的な冷え込みを認識」しいたことや、「インフレ目標へのさらなる緩やかな進展を認識」しているとの内容もあったことではややドル売りも混ざったものの、「今年の米国インフレ鈍化の道のりは、昨年12月に予想していたよりも時間がかかっている」との意見があり、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が目標とする「2%に向かう確信を持つためには、さらなる追加のデータが必要である」と米国利下げに慎重なデータ重視の姿勢が強調されており、今週金曜日の6月の米国雇用統計も追加のデータの一つにあたるため、「米国労働需給は、よりよいバランスを保っている」という意見も出ており、この日の指標は弱く市場予想でも軟化予想は出ているが、今後の「データ重視」の中道の姿勢が意識されたことでは、様子見もあってドルは円相場で再び反発上昇した。

また、昨夜の米国市場からは翌市場にあたる本日7月4日は、米国独立記念日 (Independence Day) の連邦祝日のため、今夜この後の米国祝日休場を控えた一部短縮市場ではややお祭りムードも始まっており、昨夜の米国ニューヨーク株式市場では、米国利下げ転換の市場予想の高まりを受けて高金利長期化への警戒感が緩和された影響があり、米国主要株価指数の米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) が連日で史上最高値を続伸したほか、米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) も史上最高値を更新するなど好調な終値をつけたことでは、米国ハイテク株などの一部株価の高騰によるリスク選好のリスクオン (Risk-on) の低リスク通貨の円売りが入り、今朝早朝の午前5時9〜10分頃にはドルは円相場で一時161円75銭付近にまで買い戻されていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の安値でドルの高値の161円93銭付近から、円の高値でドルの安値の160円77銭付近の値幅約1円16銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は161円69銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の161円44銭付近と比べて約25銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続いて、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時161円59〜60銭付近の始値であったが、今日この後の米国市場は米国独立記念日で休場予定のため、日本市場の今朝9時55分の仲値決済では日本企業の輸入実需などのドル実需は弱かった一方で、日本の国内輸出企業の円買いドル売り実需は強かったため円相場が上昇し、今朝10時7分頃には対ドル円相場は一時161円14銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、今日の東京株式市場でも日経平均株価が大幅に続伸したほか、午前中から東証株価指数 (TOPIX / Tokyo Price Index) が一時史上最高値を超え始めており、昨日に続き日米株価上昇の影響を受けたリスクオンでは、低リスク通貨の円が主要通貨に対して売られた影響が対ドル円相場にも波及し始めたことは、ドルは円相場で反発して下げ幅を縮め始めて、昼の13時29分頃にはドルは円相場で一時161円58銭付近まで買い戻されたが、昨夜の弱い米国経済指標を受けては、今週金曜日の米国雇用統計の様子見ムードの買い控えもあったことは上値を抑えていた。

なお、今日の午後15時台には、今日は日経平均株価も4万913円65銭の終値と、終値ベースの史上最高値を記録し、前日比332円89銭高の大幅高で5営業日続伸と好調の大引けを見せた。

ただし、午後からの欧州市場の参入では、欧州主要株価続伸を受けたリスクオンでは、低リスク通貨の円だけでなく、世界的な流動性の高さから安全資産でもあるドルが売られた影響があったことは、米国祝日でドル実需の低下もあって、ドルは円相場でも下落した。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は161円27〜28銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の161円77〜78銭付近の前東京終値比では約50銭の円高ドル安になった。

今夜この後の米国市場は祝日休場予定のため、最新米国経済指標の発表予定などはないものの、明日の夜の最新米国重要経済指標の米国雇用統計の発表イベントは世界的に注目されており、すでに利益確定や持ち高調整と様子見の買い控えなどの値動きは混ざり始めている。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は174円9〜11銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の174円5〜6銭付近と比較すると約4銭の小幅な円安ユーロ高であった。

主な要因は、前述の通り、日米欧株価上昇を受けたリスクオンでは低リスク通貨の円が売らやすかったものの、基軸通貨のドルに対して円相場が反発した影響では欧州ユーロに対する円安は小幅域になっていた。

また、今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏主要国ドイツの最新経済指標の5月の独製造業新規受注は、前月比が前回の-0.2%と前回下方修正の-0.6%と市場予想の0.5%に対し-1.6%と低調で、前年同月比も前回の-1.6%と前回下方修正の-1.8%と市場予想の-6.1%を下回る-8.6%に低下したことも、低リスク通貨の円に対する欧州ユーロの上値を抑えた一方で、景気要因の欧州インフレ圧の鈍化を意識させたことでは、欧州政策金利への警戒感の緩和などでは、欧州政治懸念緩和の影響もあったことなどから、今日の午後の欧州主要株価は上昇して始まっていた。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0794〜1.0795ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0758〜1.0759ドル付近と比べると約0.36セントのユーロ高ドル安であった。

主な要因は、昨夜の米国経済指標を受けて今年年内の米国利下げ転換が意識されたことや、米国祝日休場による実需低下、そして日米欧株価上昇を受けたブル・マーケット (Bull Market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオン市場では、欧州ユーロに対して世界的な流動性から安全資産でもあるドルも売られやすかった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は205円65〜71銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の205円31〜37銭付近と比べて約34銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、昨日までにも2008年以来の日英金利差が意識された円安ポンド高が進行していたことに加えて、今日の日米欧英の株価上昇を受けたリスク選好では、欧州ユーロ同様に英国ポンドも低リスク通貨の円に対して買われやすかった。

ただし、今日の日本市場終了後の今夜17時30分に英国ロンドン外国為替市場で発表された最新英国経済指標の6月の英国建設業購買担当者景気指数 (PMI / Purchasing Managers’ Index) は、前回の54.7と市場予想の53.6を下回る52.2であった。

なお、本日7月4日は、英国の総選挙日であることにも注意が必要である。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月4日の日本時間(JST)19時49分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時49分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:49の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 161.09 〜 161.11 −0.68 (円高)
ユーロ/円 174.00 〜 174.02 −0.05 (円高)
ユーロ/ドル 1.0800 〜 1.0802 +0.0042 (ドル安)
英ポンド/円 205.54 〜 205.60 +0.23 (円安)
スイスフラン/円 178.83 〜 178.89 −0.14 (円高)
豪ドル/円 108.34 〜 108.38 +028 (円安)


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