FXニュース:米長期金利低下後の反発

2024年7月08日
FXニュース:米長期金利低下後の反発

 

東西FXニュース – 2024年7月08日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米非農業雇用者数上振れ
  • 米雇用前月分は下方修正
  • 米平均時給予想通り鈍化
  • 米失業率4%から4.1%に
  • 米利下げ予想で米株上昇
  • 円高時の日経平均大幅安
  • 今週の米消費者物価指数
  • 仏選挙左派連合が勢力増

今日2024年7月8日月曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の160円26銭付近から、円の安値でドルの高値の160円95銭付近の値幅約69銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は160円91〜92銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の160円75〜76銭付近の前東京終値比では約16銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、先週金曜日の日本市場終了後の英国ロンドン外国為替市場の後半にあたる先週金曜日の夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時160円82銭付近の始値であったが、先週金曜日の夜21時30分には、米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長が毎回の様に米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の定例記者会見で引用していることでも有名な米国金融政策に影響を与える最新米国重要経済指標の一つである6月の米国雇用統計の発表イベントを迎えた。

最新の米国雇用統計の結果では、6月の米国非農業部門雇用者数変化 (NFP / Non-Farm Payrolls) の前月比は、前回にあたる前月の27.2万人と前月下方修正の21.8万人と市場予想の19.0万人を上回る20.6万人に上振れしたことを受けては、発表時の先週金曜日21時30分の1分間の値動きの中でドルは円相場で一時161円7銭付近に瞬時上昇したものの、前月分が下方修正されたことや、6月の米国失業率は前回と市場予想の4.0%を下振れする4.1%と弱かったことに加えて、6月の米国平均時給の前月比が前回の0.4%に対して市場予想通りの0.3%に減少し、6月の米国平均時給は前年同月比でも前回の4.1%に対して市場予想通り3.9%に低下したため、米国雇用市場の減速感と米国賃金インフレ圧の鈍化が観測されたことでは、今年年内の米国利下げ予想が意識され、同じく発表時の21時30分の1分間の値動きの中で対ドルの円相場が瞬時反発し、一時160円33銭付近の米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

ただし、米国ニューヨーク株式市場では、米国高金利長期化への警戒感が緩和され始めたことでは、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) と米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) が揃って上昇トレンドになったことを受けたリスク選好のリスクオン (Risk-on) の低リスク通貨の円売りが起き、世界FX市場でも米国雇用統計発表前のイベントリスクによるドルの買い控えが発表後に緩和されたことを受けては、同時進行だった欧州市場で7月7日日曜日のフランス総選挙の決選投票前のイベントリスク回避でも欧州ユーロに対して世界的に流動性が高いドルが安全資産として買われた値動きの波及なども混ざっていたため、ドルも円相場で約1円ほど反発上昇を見せて、先週金曜日の夜23時1分頃には一時161円33銭付近と米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

しかし、米国ニューヨーク債券市場では、先週金曜日の夜20時50分頃の英国ロンドン外国為替市場時間には一時4.338%付近だった米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が、前述の先週金曜日21時30分の米国雇用統計の発表後には米国雇用市場の減速感を受けた米国利下げ予想の高まりにより低下を始めており、先週金曜日の夜21時40分に一時4.303%付近に急落し、一時は下げ止まって23時5分頃には一時4.321%付近への反発を見せたものの、その後には再び低下に転じ、深夜0時35分頃には一時4.280%付近に低下していたことなどを受けては、債券利回りを受けた日米金利差トレードで日米金利差縮小時の円買いドル売りが起きて、深夜0時37分頃にドルに対し円相場は一時160円63銭付近にまで反発した。

とはいえ、先週金曜日の夜21時30には、北米カナダの最新加雇用統計も同時発表されていたのであるが、カナダの6月の加失業率は前回の6.2%と市場予想の6.3%を下回る6.4%に悪化しており、同月の米国失業率の前回の4.0%や今回の4.1%よりも更に弱かったことなどもあり、最新の米国雇用統計は小幅減速ながらも比較的堅調さを保っているとの強弱混合の受け止め方もあり、米国連邦準備制度理事会 (FRB) が急な米国利下げに転ずる程の大幅な下振れではなかった可能性なども一部で指摘され始めて、明日と明後日の7月9〜10日の夜に米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の要人発言予定を連日で控えていることや、7月11日木曜日には最新米国重要インフレ指標の6月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントがあることなどからは、週末を控えた利益確定と持ち高調整に加えて、今週のイベント予想と様子見の値動きなども入り始めたことではドルの買い戻しが入ったものの、先週末の米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の利回りは先週土曜日早朝の終値時点でも4.280%付近と前営業日比で-0.080%低下して引けたことでは、債券利回りでは日米金利差縮小時の影響が残っていた。

このため、先週金曜日の夜から土曜日の朝までの先週末の米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の160円33銭付近から、円の安値でドルの高値の161円33銭付近の値幅約1円0銭で、先週土曜日の朝6時頃のニューヨーク終値は160円75銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の161円28銭付近と比べて約53銭の円高ドル安をつけて週末を迎えていた。

週明けの今朝早朝のアジア・オセアニア市場では、昨日7月7日日曜日のフランス国民議会下院総選挙の決選投票で、仏極右の国民連合 (RN / 仏語:Rassemblement National / 英語:National Rally) が勢力を伸ばすにではないかという市場予想に反して仏内務省のルモンド統計では第三党の143獲得議席に留まった一方で、仏左派連合の新人民戦線 (NFP / 仏語:Nouveau Front Populaire / 英語:New Popular Front) が第一党の182獲得議席と最優勢になり、第二党になった仏中道の与党連合の次点168議席も上回っており、以下その他少数を含めたフランス下院定数577の中では、仏左派の新人民戦線 (NFP) が最大勢力になるというニュースが話題になり始め、第一党の仏左派から新首相を指名する主張を受け、ガブリエル・アタル仏首相が「明日、大統領に辞表を提出する」と発言したことも報じられ、市場の想定外のフランスの拡張的財政政策などへの警戒の高まりや、どの党も単独過半数を獲得していないハングパーラメント (Hung parliament / 宙吊り議会) 状態になり法案審議の混乱懸念なども出て、欧州ユーロが低リスク通貨の円や世界的に流動性が高い安全資産のドルに対して売られたほか、世界的な安全資産の米国債買いの影響では、今朝早朝の時間外米国債券取引でも、米国10年債の利回りは低下後の一時4.285%付近から始まった。

今朝8時30分には、日本の最新経済指標の5月の日本の厚生労働省の毎月勤労統計調査の現金給与総額の速報値が発表され、基本給に各種手当などを加えた現金給与総額の名目賃金の前年同月比は前回の2.1%と前回下方修正の1.6%と市場予想の2.1%を下回る1.9%で、物価変動の影響を除く実質賃金は前年同月比1.4%減と、過去最長の26カ月連続でマイナスが続いたものの下げ幅は縮めており、従業員5人以上の事業所の基本給の所定内給与は前年同月比で2.5%上昇と、今年の春闘の賃上げの影響が反映されて上昇率が約31年4カ月ぶりの高水準となったほか、5月の基本給の伸び率も今年4月から0.7ポイント上昇して1993年1月以来の高水準となっていた。

続いて、今朝8時50分に発表された日本の最新経済指標の5月の日本国際収支の貿易収支は、前回の-6615億円と市場予想の-1兆1867億円に対し-1兆1089億円と、前回よりも赤字額は増えたものの、市場予想よりはやや強い結果となっていた。

今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時160円64銭付近の始値と先週末の米国ニューヨーク終値よりもやや円高で始まったため、今朝の東京株式市場では先週末比の円高を受けた海外投資家達を中心とした利益確定の株売りが先行し、今朝10時過ぎに日経平均株価が前営業日比で一時100円以上の大幅下落を見せたことでは国内株価下落時のリスク回避のリスクオフ (Risk-off) で国内第一安全資産の低リスク通貨の円が買われた影響があったことに加えて、今朝の日本市場の仲値決済後の国内輸出企業の円買いドル売りオーダーも入ったことや、先週末の米国雇用統計の影響による米国長期金利低下の影響も残っていたことなどを受けては対ドルの円相場が上昇し、今朝11時41〜42分頃にドル円は一時160円26銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、今朝11時過ぎから午後14時頃までは日経平均株価が一時反発も見せており、一時は前営業日比でプラス圏に転じた時間があった影響では、上昇後の低リスク通貨の円が利益確定で売られ始めたほか、世界的な安全資産でもある米国債売りで債券価格低下に伴う利回り上昇が起き、米国長期金利が反発上昇したため、ドルは円相場で反発上昇を始めた。

午後15時台には、今日の日経平均株価が市場終盤の利益確定もあって再び反落し、4万780円70銭の終値と、前営業日比131円67銭安で大引けした時間には低リスク通貨の円買いの抵抗がやや混ざったものの、夕方からの英国ロンドン外国為替市場の参入を受けては、米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は一時4.313%付近に向けて上昇した日米金利差拡大の影響があり、日米の政策金利差も米国の今年年内1回の利下げが起きたとしても急速には縮まらない市場予想なども出ていたため、夕方16時5分頃と16時46〜48分頃の数分間にかけて、ドルは円相場で一時160円95銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は160円91〜92銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日の夜17時の160円75〜76銭付近の前東京終値比では約16銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定があり、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、28時に 5月の米国消費者信用残高が発表される予定である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は174円35〜37銭付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の174円4〜5銭付近と比較すると約31銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、今朝早朝の世界市場ではフランスの政治の先行き懸念による欧州ユーロ売りに対して日経平均株価下落時の低リスク通貨の円買いが先行したが、午後の欧州市場での自国通貨の欧州ユーロの買い戻しが入り、また夕方の英国ロンドン外国為替市場の参入を受けた米国長期金利の上昇によりドル円が前営業日比で円安ドル高に転じたことも波及し、欧州ユーロなどの主要通貨に対しても低リスク通貨の円の利益確定売りが入って円相場が反落し、日欧金利差もあって欧州ユーロの買い戻しとなり、前東京終値比で円安ユーロ高に転じた。

ただし、今日の午後15時に発表された欧州ユーロ圏の主要国ドイツの5月の独貿易収支は、前回の221億ユーロと前回修正の222億ユーロと市場予想の211億ユーロに対し249億ユーロに悪化していたことでは、欧州ユーロの買い戻し幅はやや限られていた。

ユーロドルも同様に午後の欧州市場で欧州ユーロの買い戻しが入り、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0835〜1.0837ドル付近と、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の1.0825〜1.0827ドル付近と比べると約0.10セントのユーロ高ドル安であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は206円18〜24銭付近で、前営業日同時刻にあたる先週金曜日17時の205円42〜48銭付近と比べて約76銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、先週の英国総選挙で労働党 (Labour) の圧勝 (A landslide victory) の結果を受けて、英国ではキア・スターマー英国新首相の就任を受けた政治安定化への期待感が高まっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月8日の日本時間(JST)19時58分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時58分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:58の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 160.94 〜 160.95 +0.19 (円安)
ユーロ/円 174.28 〜 174.30 +0.24 (円安)
ユーロ/ドル 1.0828 〜 1.0830 +0.0003 (ドル安)
英ポンド/円 206.25 〜 206.31 +0.83 (円安)
スイスフラン/円 179.55 〜 179.61 +0.57 (円安)
豪ドル/円 108.39 〜 108.43 +0.18 (円安)


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