FXニュース:米FRB議長中道姿勢保持

2024年7月10日
FXニュース:米FRB議長中道姿勢保持

 

東西FXニュース – 2024年7月10日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 米長期金利一時4.3%台
  • 日米株価史上最高値続伸
  • 円安ユーロ高も史上最大
  • 今夜パウエル議長再発言
  • 今週米CPIとPPI発表予定

今日2024年7月10日水曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の161円30銭付近から、円の安値でドルの高値の161円59銭付近の値幅約29銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は161円49銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の160円90〜91銭付近の前東京終値比では約59銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の昨夜20時10分頃の英国ロンドン外国為替市場では、安全資産の米国債売りの影響があり、米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利が一時4.301%付近に上昇し、その後の20時台にも一時4.305%付近を記録するなど、昨日の日本市場時間の時間外の米国債券取引の一時4.2%台から4.3%台にシフトしたことから、債券利回りの日米金利差拡大を受けた金利差トレードで低金利の円に対して高金利のドルが買われて上昇し、昨夜20時台にドルは円相場で一時161円17〜18銭付近と、昨日の日本市場の高値を上抜けて、前東京終値比で円安ドル高になっていた。

昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時161円12〜15銭付近の始値で、この時間の米国長期金利は一時4.301%であったが、昨夜23時頃からは次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) 高官の中でも市場への影響力が最も大きいジェローム・パウエル議長の要人発言イベントがあったことでは、半期に一度の米国上院銀行委員会の議会証言のライブ中継を前にしていたことから、1時間前になりイベントリスクが高まり始めた昨夜22時頃には、イベントリスク回避で安全資産の米国債が買われたため、債券価格上昇に伴う利回り低下の影響でこの時間の米国長期金利が一時4.295%付近と再び4.2%台に低下したことを受けては、イベント直前の昨夜22分50分頃には一時4.292%付近にまで低下したため、債券利回りの日米金利差縮小時の低リスク通貨の円買いドル売りで、昨夜23時頃に対ドルの円相場は一時160円89銭付近に瞬時反発し、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、ライブ中継が始まった昨夜23時頃には、瞬時に米国債の利益確定も入り始めて、米国長期金利が一時4.306%付近に反発したためドルも円相場で反発を始めた。

ジェローム・パウエル議長は、「歴史的には堅調な米国雇用市場」であることから、先日発表された6月の最新米国雇用統計で米国失業率が前月と市場予想の4.0%から4.1%に上昇後するなど短期データでは米国雇用市場の過熱感は沈静化してきたものの、これまでと同じく、「今後のデータ次第で、毎回の会合毎に米国政策金利などの金融政策を決定していく」というこれまでと同じ中道派のデータ重視の慎重な姿勢を保ち、米国のインフレに関しても目標の2%に向けた「更なる確信を高める必要がある」として、前回と前々回の米国消費者物価指数や先週金曜日の米国雇用統計の発表後に市場予想で高まっていた早期の米国利下げ予想にあった様な早期の米国利下げ予定については言及をせずに、「早過ぎる米国利下げによるインフレ高止まりのリスク」を指摘し、逆に遅過ぎる場合の景気抑制リスクとの「リスクバランスを重視」しており、米国利下げについて慎重な長期データ重視姿勢を保ったことで、米国長期金利は4.3%台で更に上昇を続け、長いライブ中継が終了に向かうにつれてドルは円だけでなく主要通貨に対しても全般的に上昇し、米国長期金利も深夜24時40分頃の一時4.329%付近に向けた大幅な上昇を続けたため、日米金利差拡大による円売りドル買いに加えて、主要通貨に対する一時全面ドル高が円相場に波及し、昨夜24時17分頃にドルは円相場で一時161円52銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、明日7月11日木曜日の夜には、最新米国重要経済指標でインフレ指標の6月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントを控えていることでは、更に連続で米国インフレデータが鈍化を示せば、米国利下げへの確信がより高まるのではないかという市場予想が出ていたことでは、世界最大級のデリバティブ取引所の米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) 運営グループのCMEグループが米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) 金利先物の価格データを基に市場予想値を算出することで有名なフェドウオッチ・ツール (CME FedWatch Tool) で今年9月の米国利下げの市場予想値が確定値に近いと考えられている70%付近に上昇していたことでは、米国ニューヨーク債券市場では上昇後の米国長期金利がやや反落し、米国ニューヨーク債券市場の終値時点の一時4.293%付近に向けて上げ幅を縮め始めたことでは、市場高値後のドルには利益確定売りや持ち高調整の抵抗も混ざったが、前日比では米国長期金利は+0.012上昇していたことでは、ドルは161円台前半で推移した。

また、米国ニューヨーク株式市場では、米国主要株価三指数の米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) は前日に続き小幅安となったものの、米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) は史上最高値を更新して続伸していたことでも、昨日は日経平均株価も史上最高値を更新するなど日米株価上昇を受けたリスク選好のリスクオン (Risk-on) ムードが続いていたことも、低リスク通貨の円売りと、安全資産の米国債売りによる日米金利差を受けた円安ドル高の一因となっていた。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の160円89銭付近から、円の安値でドルの高値の161円52銭付近の値幅約63銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は161円33銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の160円83銭付近と比べて約50銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝の8時50分頃のアジア・オセアニア市場では、今日の日本市場に先立って日本の最新経済指標の発表があり、6月の日本国内企業物価指数は、前月比が前回の0.7%と市場予想の0.4%を下回る0.2%に下ぶれして鈍化していたが、前年同月比は前回の2.4%と前回修正の2.6%を上回る市場予想通りの2.9%であったことを受けては、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時161円33銭付近の始値であったが開場時の9時0分の1分間の値動きの中で瞬時に161円30銭付近へと円相場がやや反発し、今朝9時1分頃にかけて一時161円30銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、今日は10日で、日本市場の貿易企業の決済日が集中しやすい「5と10がつく日の五十日 (ごとおび / ゴトーび) 」であることもあり、今朝9時55分の日本市場の仲値決済に向けた日本企業の輸入実需の円売りドル買い需要があったことでドルは円相場で反発上昇を始めた。

また、東京株式市場では、昨日も4万1千円台の史上最高値を記録した日経平均株価が、今朝9時頃には利益確定の影響もあり前日終値比ではやや下げて始まったものの、仲値決済の9時55分頃を境に前日比でプラス圏に乗せ始め、史上最高値を続伸する期待感で更に買われて上昇トレンドになったことから、日米主要株価が史上最高値続伸という株式市場のブル・マーケット (Bull market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオンでも、国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られ、リスク市場に強い欧州ユーロが買われて174円台後半と1999年の欧州ユーロ導入以来の史上最大の円安ユーロ高の記録を更新するなどのクロス円の円安の波及もあったほか、日本市場時間の時間外の米国債券取引でもこの時間の米国長期金利が一時4.314%付近にまで上昇し、日米金利差拡大による円安要因もあったためドルは円相場で上昇し、今朝までの米国市場の高値を上抜けて、今朝11時1〜3分頃にかけて一時161円59銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録した。

ただし、債券価格低下後の安値での米国債買いの抵抗も入り始めて、上昇後の米国長期金利が反落に転じると、市場高値後のドルにも利益確定や持ち高調整の抵抗が入り始めたが、東京株式市場では円安の追い風を受けた海外投資家達によるオイルマネー流入の噂などもあって日経平均株価は史上最高値を大幅続伸していたことでは低リスク通貨の円売りでクロス円の円安波及は続き、午後14時35分頃には日経平均株価が一時4万1878円6銭付近の史上最高値のピーク付近を記録するとドルも再び一時161円56銭付近の高値圏で推移している時間があったが、株式市場終盤には利益確定や持ち高調整の小抵抗が入ったものの、午後15時頃に今日の日経平均株価は4万1831円99銭の終値と、前日比251円82銭高の大幅高のまま終値ベースの史上最高値で大引けしたことでは、リスクオンの低リスク通貨の円売りの影響は残っていた。

午後からの欧州市場に続き、夕方に英国ロンドン外国為替市場が本格参入すると、安全資産の米国債売りの影響で米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は午後16時30分頃には一時4.282%付近にまで低下したため、午後16時34分頃にはドルは円相場で一時161円34銭付近まで上げ幅を縮めたが、今夜この後にも米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の米国下院金融サービス委員会での再発言予定を控えていることもあり、ドルは円相場で再び反発して上昇トレンドに転じた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場の対ドル円相場の終値は161円49銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の160円90〜91銭付近の前東京終値比で約59銭の円安ドル高になった。

また、その後の今夜18時31分頃の英国ロンドン外国為替市場では、ドルは円相場で一時161円61銭付近と、今日の日本市場の高値を上抜けている。

今夜この後の米国市場では、最新米国経済指標の発表予定と、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の要人発言予定や米国債入札などを控えており、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜20時に米国MBA住宅ローン申請指数、今夜23時に5月の米国卸売売上高と、同じく今夜23時0分頃から次回のFOMC投票権を持つFRB高官達の中でも市場への影響力が大きいジェローム・パウエル議長の半期に1度の議会証言第2日目の米国下院金融サービス委員会での要人発言予定のイベントがあり、今夜23時30分に米国週間原油在庫、26時0分に米国10年債入札予定、27時30分頃から同じく次回のFOMC投票権を持ちFRBの中でもタカ派で知られているミシェル・ボウマン理事の発言予定と、同時刻27時30分頃から同じくFRBの米国シカゴ連銀のオースタン・グールズビー総裁の発言予定などがある。

また、今週は、明日7月11日の夜の翌米国市場で、最新米国重要経済指標の米国消費者物価指数 (CPI) 発表イベントなども控えていることには注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は174円65〜66銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の174円3〜4銭付近と比較すると約62銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、先述の通り、今朝までに米国主要株価三指数のうち二指数が史上最高値を続伸したことに続き、今日の東京株式市場では円安背景の海外マネー流入の影響などもあり、日経平均株価が史上最高値で大幅続伸し、リスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円が売られてリスク選好市場で買われやすい欧州ユーロが一時174円77銭付近の史上最大の円安ユーロ高の記録を更新しており、利益確定や持ち高調整の抵抗後も円安ユーロ高が続いた。

ユーロドルは、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0814〜1.0816ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0815〜1.0817ドル付近と比べると約0.01セントの小幅なユーロ安ドル高であった。

主な要因は、昨夜の米国連邦準備制度理事会 (FRB) のジェローム・パウエル議長の発言を受けて米国長期金利が大幅に上昇した際にはドルが買われて、円や欧州ユーロなどの主要通貨に対して一時ドル全面高に上昇していたが、その後には上昇幅を縮めたことでは小幅域になり、今夜19時台の欧州市場では実需もあり、小幅なユーロ高ドル安にも転じている。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は206円56〜62銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の205円90〜96銭付近と比べて約66銭の円安ポンド高であった。

主な要因は、今日の日経平均株価が史上最高値で大幅続伸したリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りでは、欧州ユーロと同様に英国ポンドも買われて円相場で上昇し、2008年のリーマンショック以前のレベルの円安ポンド高が進行していた。

また、先日に英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の高官が英国利下げ転換に慎重な姿勢を見せていた影響もあり、昨夜の米国長期金利の上昇時には、欧州と米国の間に位置する英国10年債も連れ高になり、一時4.21%台で推移していた時間もあったが、今夜は一時4.13%台にまで下げていたが、日本の新発10年物の国債利回りが今日の午後の日本市場の終値時点で上昇しても1.085%付近であったことでは、日英金利差も影響を及ぼしていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月10日の日本時間(JST)19時49分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時49分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:49の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 161.53 〜 161.54 +0.63 (円安)
ユーロ/円 174.77 〜 174.78 +0.74 (円安)
ユーロ/ドル 1.0819 〜 1.0820 +0.0004 (ドル安)
英ポンド/円 206.84 〜 206.90 +0.94 (円安)
スイスフラン/円 179.84 〜 179.90 +0.81 (円安)
豪ドル/円 108.85 〜 108.89 +0.37 (円安)


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