FXニュース:米消費者物価指数を控え

2024年7月11日
FXニュース:米消費者物価指数を控え

 

東西FXニュース – 2024年7月11日

文/八木 – 東西FXリサーチチーム

主な点:

  • 日米欧英株高リスクオン
  • 日米株価最高値連日続伸
  • 日本と欧米の政策金利差
  • 史上最大ユーロ円安連日
  • 英ポンド利下げ予想後退

今日2024年7月11日木曜日の日本の東京外国為替市場の9時頃から17時頃までの対ドル円相場の為替レートは、円の高値でドルの安値の161円47銭付近から、円の安値でドルの高値の161円76銭付近の値幅約29銭で、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は161円62〜63銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円49銭付近の前東京終値比では約13銭の円安ドル高であった。

今日の為替相場の値動きの主な要因と時間に沿った世界外国為替証拠金取引 (FX / Foreign Exchange) のマーケット・トレンド動向の分析はまず、昨日の日本市場終了後の昨夜18時31分頃の英国ロンドン外国為替市場では、日米株価史上最高値続伸のリスク選好のリスクオン (Risk-on) ムードを受けて、欧州主要株価も上昇トレンドになったことなどから欧英通貨に対する低リスク通貨の円売りの波及が続き、ドルは円相場で一時161円61銭付近と昨日の日本市場よりも円安が進行していた。

ただし、株価だけでなく債券価格も上昇した影響では利回りが低下し、昨夜21時頃に米国10年債の利回りが指標となる米国長期金利も一時4.273%付近にまで低下していたことでは、債券利回りを受けた金利差トレードで日米金利差縮小時の円買い抵抗も入り、欧州英国市場の後半にあたる昨夜21時頃から始まった米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は一時161円48銭付近の始値になり、この日の米国ニューヨーク債券市場では米国10年債の入札も控えていたため、昨夜22時1分頃に対ドル円相場は一時161円43銭付近と、米国市場の円の高値でドルの安値を記録した。

しかし、米国ニューヨーク株式市場では、前日に史上最高値を更新した米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) が連日で続伸に向けたことに加えて、米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) も上昇に転じ、米国主要株価三指数が揃って上昇という株高ムードを受けたブル・マーケット (Bull market / 強気市場) 特有のリスク選好のリスクオンが続き、低リスク通貨の円売りだけでなく、安全資産の米国債も売られた時間には米国長期金利が反発し、日米の政策金利の違いだけでなく債券利回りの日米金利差拡大でもドルが買われて円相場で再び上昇した。

昨夜23時に発表された最新米国経済指標の5月の米国卸売売上高が、前回と市場予想の0.1%と前回上方修正の0.2%を上回る0.4%に上昇したことも、景気好感のドル買いの一因になった。

また、昨夜23時頃からは、前日に続いて次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC / Federal Open Market Committee) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB / Federal Reserve Board) のジェローム・パウエル議長の半期に1度の米国議会証言第2日目の米国下院金融サービス委員会での要人発言があり、前日同様に、2%の米国インフレ目標の達成に、「持続的に向かう十分な確信があるかということについては、まだ『そうだ』と答えられる用意はない」と、今後のデータ次第の中道姿勢を保ち続け、米国利下げ開始時期への言及を避け続けたことでも、米国長期金利が上昇し、深夜過ぎ一時4.304%付近と再び4.3%台を記録したため、日米金利差拡大時の円売りドル買いトレンドになった。

ただし、今夜この後には最新米国重要インフレ指標の6月の米国消費者物価指数 (CPI / Consumer Price Index) の発表イベントを控えていることでは、今回も前回と前々回に続いて米国インフレデータが鈍化を続けた場合には、米国利下げ転換への確信が高まるのではないかという市場予想による様子見やドルの買い控えの抵抗も混ざったものの、米国政策金利のフェデラル・ファンド (FF / Federal Funds) 金利先物の価格データを基に市場予想値を算出することで有名な米国シカゴ・マーカンタイル取引所 (CME / Chicago Mercantile Exchange) のフェドウオッチ・ツール (CME FedWatch Tool) では、前日には今年9月の米国利下げの市場予想値が確定値に近い70%付近であったものが確定値以下にやや低下しており、今日の時点でも68.1%付近と市場で確定値と考えられている70%以上に達していないことも、日米の政策金利の違いから高金利のドルが低金利の円に対して上昇し、ドルは161円台後半の推移を続けた。

午前2時の米国10年債の入札による米国債買いの影響を受けては、午前2時10分頃には米国10年債の利回りが指標の米国長期金利は一時4.285%付近に反落したものの、株式市場では米国長期金利の低下時には企業への貸し付けローン金利上昇への警戒感が緩和されるほか、具体的な時期は未定でも今年年内の米国利下げ予想も優勢であったことでは、米国ハイテク株などが好調であった影響もあり、投資家の強気モードは続き、米国主要株価三指数のうち、ハイテクや半導体などの株価比率が多い米国ナズダック総合株価指数 (NASDAQ Composite) と米国S&P500種 (Standard and Poor’s 500 index) が連日で史上最高値を続伸し、金利上昇に敏感な米国ダウ工業株 (Dow Jones Industrial Average) も三指数揃って上昇の終値に向かったことでは、ドルだけでなく欧州ユーロや英国ポンドなどの主要通貨に対するリスクオンの低リスク通貨の円売りが続き、為替市場では日米の政策金利の違いもあり円相場でドル買い意欲も強かったため、午前3時8〜11分頃の約4分間に渡ってドルは円相場で一時161円81銭付近の米国市場の円の安値でドルの高値を記録した。

162円台の大台に再び近づいたことや、数分かけても上抜けをできなかった天井感もあり、海外市場を狙った日本政府と日本銀行 (日銀 / BoJ / Bank of Japan) の為替介入への警戒感も燻ったことでは、市場終盤に向けた利益確定売りや持ち高調整の抵抗も入り始めたほか、今夜この後の米国消費者物価指数 (CPI) 発表イベントに向けたイベントリスクの様子見の買い控えも入り始めたことでは、その後の円相場は反発も見せて下げ幅を縮めた。

米国ニューヨーク債券市場では、ドルのイベントリスクもあり、米国10年債の利回りは終値時点では4.285%と前日比-0.008と低下して終えたことも、欧州ユーロや英国ポンドに対するドル売りの一因となったため、市場終盤のドルの利益確定売りの影響もあり、今朝6時0分頃の1分足チャートの値動きではドルは円相場で瞬時に161円60〜66銭付近をタッチした。

このため、昨夜から今朝までの米国ニューヨーク外国為替市場の対ドル円相場は、円の高値でドルの安値の161円43銭付近から、円の安値でドルの高値の161円81銭付近の値幅約38銭で、今朝6時頃のニューヨーク終値は161円60銭付近と、前営業日同時刻の前ニューヨーク終値の161円33銭付近と比べて約27銭の円安ドル高をつけていた。

今朝早朝のアジア・オセアニア市場に続き、今朝9時頃から始まった今日の日本の東京外国為替市場の対ドル円相場は一時161円59銭付近の始値で、今朝9時台には米国長期金利が前日比でまだ低下していたため、今夜この後の米国消費者物価指数 (CPI) 発表を控えたイベントリスクの持ち高調整と債券利回りを受けた日米金利差縮小時の円買いドル売りでは円相場が反発し、今朝9時44〜45分頃と9時49分頃に一時161円47銭付近の今日の日本市場の円の高値でドルの安値を記録したが、今朝9時55分には日本市場の仲値決済で日本企業の輸入実需のドル買いも入ったことでは、ドルも円相場で反発した。

また、今日の東京株式市場でも、最近の歴史的な円安を受けた海外投資家の日本株投資や、日本企業の自社株買いと個人投資の増加などの影響があり、昨日に続いて日経平均株価が今朝9時台から史上最高値に乗せて大幅な続伸を始め、史上初の4万2千円台に乗せて上昇トレンドになったことでは、今朝までの米欧英の世界株高の影響もあって株式市場のブル・マーケット特有のリスク選好のリスクオンで国内第一安全資産の低リスク通貨の円が売られ、欧州ユーロが円相場で1999年以来の史上最高値を続伸したほか、英国ポンドも円相場で2008年以来の高値圏になったクロス円の円安の影響が、ドルストレートの対ドル円相場にも波及し、ドルは円相場で再び上昇した。

日経平均株価は、今日の午後15時台に4万2224円2銭の終値と、前日比392円3銭高の大幅高で大引けし、史上最高値を3営業日連続で続伸した。

今夜この後の米国消費者物価指数 (CPI) を控えたドルのイベントリスクはあるものの、日米欧英株価上昇を受けたリスクオン市場では、低リスク通貨の円だけでなく、世界的な安全資産でもある米国債も一時売られたことでは、債券価格低下に伴う利回り上昇が起き、今日の午後15時頃には米国長期金利も一時4.301%付近にまで上昇していたため、午後からの欧州市場に続いて英国ロンドン外国為替市場の本格参入が始まっていた今日の午後16時4分頃には、ドルは円相場で一時161円76銭付近の今日の日本市場の円の安値でドルの高値を記録したが、今夜この後のドルのイベントリスクでは米国債が再び買われた影響では、米国長期金利が再び反落したため、市場高値後のドルの利益確定や持ち高調整の抵抗が強まり、午後16時54分頃には対ドルの円相場は一時161円54銭付近への反発も見せた。

しかし、夕方には日本銀行 (日銀 / BoJ) が今月7月30〜31日に予定されている日銀金融政策決定会合では、金融正常化を慎重に進めたい日銀は今回の国債買い入れ額の減額と同時に追加利上げをすることは難しいのではないかという観測ニュースが話題になり、日米の政策金利の違いを意識して、今年年内の米国利下げが起きた場合でも日米の金利差が当面は続くという市場予想も出ていたことでは、今夜のイベント前のドルの買い控えの中でも買い戻しが混ざっていた。

このため、今夜17時の今日の東京外国為替市場のドル円の終値は161円62〜63銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨日17時の161円49銭付近の前東京終値比で約13銭の円安ドル高になった。

今夜この後の米国市場では、最新米国重要経済指標の発表イベント予定と、次回の米国連邦公開市場委員会 (FOMC) の投票権を持つ米国連邦準備制度理事会 (FRB) 高官達の発言予定や米国債入札などを控えており、日本時間の経済指標カレンダーのスケジュールは、今夜21時30分に最新米国重要インフレ指標の6月の米国消費者物価指数 (CPI) と米国CPIコア指数の発表イベントと、同時刻に前週分の米国新規失業保険申請件数と米国失業保険継続受給者数、深夜24時15分頃から次回のFOMC投票権を持つ米国アトランタ連銀のラファエル・ボスティック総裁の発言予定、26時に米国30年債の入札予定、27時に6月の月次米国財政収支の発表などが予定されており、特に米国CPIと雇用関連の最新経済指標が同時発表されるイベント時間の値動き影響には注意が必要である。

一方、欧州ユーロは、今夜17時の東京外国為替市場の今日のユーロ円相場の終値は175円20〜25銭付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の174円65〜66銭付近と比較すると約55銭の円安ユーロ高であった。

主な要因は、先述の通り、日経平均株価が3連日で史上最高値を続伸し、リスク選好のリスクオンで低リスク通貨の円が売られやすくなっており、世界的に流動性が高い安全資産のドルに対しても欧州ユーロが買われやすかった外貨影響の円相場への波及もあり、1999年のユーロ導入以来の一時175円31銭付近の史上最大の円安ユーロ高の記録も続伸した。

このため、ユーロドルも、今夜17時の東京外国為替市場の終値は1.0838〜1.0840ドル付近と、前営業日同時刻にあたる昨日17時の1.0814〜1.0816ドル付近と比べると約0.24セントのユーロ高ドル安であった。

英国ポンドは、今夜17時の今日の東京外国為替市場の英ポンド円相場の終値は207円95銭〜208円1銭付近で、前営業日同時刻にあたる昨夜17時の206円56〜62銭付近と比べて約1円39銭の大幅な円安ポンド高であった。

主な要因は、欧州ユーロ同様に、欧米株価上昇や今日の日経平均株価が史上最高値で3連日続伸という株価影響のリスク選好のリスクオンの低リスク通貨の円売りで、英国ポンドも買われて円相場で上昇し、2008年のリーマンショック以前のレベルの円安ポンド高が進行していた。

また、昨夜の英国市場では、英国中央銀行のイングランド銀行 (BoE / Bank of England) の金融政策委員会 (MPC / Monetary Policy Committee) メンバーのチーフエコノミストのピル委員とマン委員が、英国利下げに慎重な姿勢を示したニュースが話題になり、市場で出ていた8月の英国利下げ予想が後退し、主要通貨に対して英国ポンドが上昇していたことで、ドルやユーロに対しても英国ポンドが上昇したため、円相場では低金利の円に対して高金利通貨でもある英国ポンドは大幅高になっていた。

今日の東西FXニュース執筆終了前の2024年7月11日の日本時間(JST)19時52分(チャート画像の時間帯は、3月最終日曜日から英国夏時間 (BST / British Summer Time) に1時間時差変更され、日本から時差8時間遅れになった英国ロンドン外国為替市場の英国夏時間 (BST / GMT+1 / JST-8) の11時52分頃) の人気のクロス円を中心とした東京外為前営業日比の為替レートは下表の通りである。(なお、米国市場でも3月第二日曜日から、米国夏時間 (EDT / Eastern Daylight Time / GMT-4 / JST-13) になっている。)

通貨ペア JST 19:52の為替レート 日本市場前営業日JST 17:00の前東京終値比
ドル/円 161.53 〜 161.54 +0.63 (円安)
ユーロ/円 175.21 〜 175.26 +0.56 (円安)
ユーロ/ドル 1.0846 〜 1.0848 +0.0032 (ドル安)
英ポンド/円 207.96 〜 208.02 +1.40 (円安)
スイスフラン/円 179.82 〜 179.88 −0.16 (円高)
豪ドル/円 109.11 〜 109.15 +0.31 (円安)


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